靴脱げた女性が次々に店内へ」現場前の店が新証言 梨泰院雑踏事故から1週間
2022年11月06日
ソウルの繁華街「梨泰院」で起きた雑踏事故から5日で1週間。死者156人。5日時点で24人が入院しています。 ▼新証言「どんどん人が倒れて…」 (青山ななみリポート) 『事故が起きた坂の西側には事故当時も営業していた店がありました』 サタデーステーションは、日本のメディアで初めて、このカバン店のオーナーに、当時の状況を聞くことができました。この店には事故の15分ほど前から、靴の脱げた女性が次々と避難してきたといいます。 (現場目の前の店オーナー) 『「転んで片方の運動靴が脱げた」と言っていました。3分ほど話しているとまた別の女性が裸足で急いで入ってきました。理由を聞くと「転びました」と言って太ももにはアザができていました』 人々が倒れる瞬間も目撃していました。 (現場目の前の店オーナー) 『外が騒がしくなり、「助けて!」という声が聞こえたので、喧嘩でも起きたかと外へ出たら、どんどん人が倒れて、手を振ったり、何とか顔を出して助けを求めていました』 ▼複数証言 共通する“滞留スポット” 事故が起きたのは、梨泰院駅前の大通りと「世界グルメ通り」と呼ばれるメインストリートを結ぶ細い坂道です。事故発生から15分以内には、坂の下からの救助が始まったといいます。しかし倒れた人を引っ張り出せず、坂の上側からの救出にとりかかりますが、事故発生後でもこれだけの大混雑。 なぜこの「世界グルメ通り」に人が集まるのでしょうか。 (菅野富美リポート) 「事故現場の坂をすぐ登りきった場所なんですけれども、そのすぐ近くには梨泰院で人気のクラブがあります。こちらにも人気のクラブがあります」 「世界グルメ通り」は、ドラマ「梨泰院クラス」のロケ地としても有名で、人気スポットが集中しています。 サタデーステーションは、事故当日に、この世界グルメ通りで生配信をしていた男性に、4日、現地で話を聞くことができました。現在の梨泰院では、午後7時過ぎでも、ほとんど人が歩いていません。 (当日撮影していた日本人男性) Q事故当日と比べて現在の梨泰院の雰囲気は違う? 『真夜中でも、もうちょっと人がいますので、梨泰院は。初めてこんなの見ました』 事故の2時間半前には、すでに、世界グルメ通りは大混雑。この男性を含む2人の動画撮影者が、違う時間帯に、同じ場所で、身動きが取れなくなっていたことが明らかになりました。その場所は世界グルメ通りの東側、ハミルトンホテルの近くです。 事故の1時間半前に撮影された映像では、丁字路に向かう人の流れができていましたが…ホテルの手前で止まりました。 (当日撮影していた日本人男性) 『本来、前方へ流れなきゃいけないんですけど、それがピタッと止まって、みんな「なんだ?なんだ?」という感じです』 さらに、逆方向に押し戻されました。 (当日撮影していた日本人男性) 『左も右も突き出た屋台みたいな。今思えば、あれが原因で流れが止まったのかなと、うなずける感じはあります』 そして、これは事故の18分前に別の男性が撮影した映像です。人の流れは再び丁字路の方向へ向かっていましたが、この男性もハミルトンホテル付近で、流れが止まり始めたと言います。 (現場近くにいた日本人観光客) 『ちょうどハミルトンホテル辺り、そこから動けなくなって、本当に丁字路に入ってから全く動けなくなった。血圧測る機械で腕ではなく、全身を締め付けられているような感じ』 ▼事故現場に2つの“ボトルネック” 人流への影響をシミュレーション なぜ同じ場所で、何度も人の流れが止まっていたのでしょうか?私たちが注目したのは「ボトルネック」の危険性です。現場周辺の道幅を測ってみると… (青山ななみリポート) 『世界グルメ通りの道幅を測ってみますと、およそ8mあります。しかし、道を進んでみますと障害物が続くため、道幅が3.8mまで狭まります』 道の先が狭くなる“ボトルネック”が、事故現場の近くに2か所もありました。 (紀真耶アナウンサー リポート) 『“ボトルネック”がどれくらい人の流れに影響するのか、シミュレーションしてもらいました』 普段は大規模会場や街の避難シミュレーションなどに携わっている、湘南工科大学の浅野教授。一つの点を人間1人の頭に見立て、丁字路にボトルネックが2つある場合と、ボトルネックが無い場合で、同時に人の動きをシミュレーションしてもらうと、ボトルネックがある場合は、上部の通りが混雑しやすいことがわかります。上部の通りに溜まった人数は、番組調べで、およそ13%増えました。 (湘南工科大学情報工学科浅野俊幸教授) Qボトルネックが増えることで変化は? 『ボトルネックが増えると滞留が発生し、より圧力が高まる場所になる、危険な場所が増えてくる。滞留が発生するタイミングが増えて早くなる』 動けなくなった人にかかる圧力も、ボトルネックが増えるほど強くなるため、より危険性が増すと言います。 ▼「芽生!まさか梨泰院に行ってないよね?」来なかった返信 この事故で、日本人2人も命を落としました。18歳の小槌杏さんと26歳の冨川芽生さんです。 5日午後、冨川芽生さんの遺体が、実家のある北海道へ戻りました。“韓国語を使った仕事をしたい”と、6月から語学留学していた芽生さん。 芽生さんの音楽仲間だったというパクさんは事故の後、芽生さんと連絡が取れないと知り、メッセージを送っていました。 (SNSのメッセージ) 『芽生!まさか梨泰院に行ってないよね?大丈夫?』 (冨川芽生さんの音楽仲間) 『未読を表す「1」がずっと消えなかったんですよ。読んでない状況で。日本のニュースも出てるってリンク送ってもらって、その時わかりました。ただ目からずっと涙ばかり出ました。このピアノは、ぼくが、ハロウィンがあった週に芽生ちゃんに貸してあげる予定だったピアノです』 芽生さんと2人で、ピアノアルバムをリリースする準備もしていたといいます。 (冨川芽生さんの音楽仲間) 『芽衣ちゃんは自分の目標が日本とか韓国でピアノのアルバムをリリースするのが夢だって。手伝うって言ったときに「本当ですか!夢です」と言いながら、めっちゃ喜んでいた。優しい子だったんですよ。会話するときに人の目を、瞳をちゃんと見て会話する子でした。悲しいです』 ▼警察トップ事故発生時にキャンプへ 人々の怒りは、政府・警察に向けられています。 (河村聡リポート) 『大統領府前では若者らによるデモが始まりました。手元には国家の責任を認めろと書かれています』 午後、ソウル市内では、抗議デモが行われました。被害拡大は防げなかったのでしょうか。 初動の遅れが指摘されている警察庁トップ・尹煕根長官。新たにわかったことがあります。現地メディアによると、事故当日、ユン長官は休日を利用しキャンプで知人と酒を飲んでいました。事故発生は午後10時15分。午後11時ごろ、就寝したユン長官。事故の状況を報告するメール、さらに電話にも出ませんでした。 事故から2時間経ち、ようやく電話がつながり、状況を把握。指揮を執り始めたのは、事故から4時間以上後のことでした。 (現地紙・東亜日報) 『3年ぶりのマスクのないハロウィンを迎え、危険を予想できなかったわけでもない。このような時期に酒を飲んで眠り、非常連絡も適時にできなかった責任をどう負うのか?』
「展示品「ロシアの占領軍が略奪」 ウクライナ南部の美術館が訴え」
「ソウル雑踏事故1週間、各地で追悼 現場の店舗は「政争利用」に懸念」
