自民大勝、単独過半数 参院選「1人区」制す 対応問われる食料安保
2022年07月11日
第26回参院選は10日、投開票され、自民党が改選議席の過半数となる63議席を単独で獲得し、大勝した。全国32ある「1人区」でも28勝4敗と大きく勝ち越し。野党第1党の立憲民主党は改選前を下回り、17議席と苦戦した。岸田文雄首相(自民党総裁)の政権基盤は安定し、今後、生産資材高騰対策や食料安全保障政策の見直しに取り組む方針だ。
立民苦戦、維新は伸長 改憲勢力3分の2維持

参院の新勢力
岸田首相にとって昨年10月の政権発足直後の衆院選に続く大型国政選挙。8日に安倍晋三元首相が死去する異例の選挙戦となった。 選挙全体の勝敗を左右するとされ、農村部も含む1人区は、自民が全てで候補者を擁立したのに対し、立民など主要野党が候補を一本化したのは11選挙区にとどまった。自民は過去の2回の参院選挙で苦戦した東北で、勝ち越した。 自民は全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)が推薦した藤木眞也氏が比例代表で当選。野上浩太郎前農相や野村哲郎元農林部会長ら農林議員も選挙区で当選した。首相は、エネルギーや食料の価格高騰対策を重視する姿勢を強調。「今後の事態の変化にしっかりと注目し、必要な対策はしっかり行っていきたい」と述べた。 立民は苦戦した。日本維新の会は改選議席を大きく上回り躍進した。与党と維新、国民民主党など憲法改正に前向きな勢力で、国会発議に必要な3分の2を確保するための82議席に達した。政では、資材高騰への対策など食料安全保障の強化に向けた対応が争点となった。水田活用の直接支払交付金の見直しなど米政策を巡っても与野党が政策を競った。 参院選は6月22日に公示され、計545人が立候補した。改選124議席(選挙区74、比例代表50)と、非改選の神奈川選挙区の欠員補充を含む計125議席を争った。

今後の主な政治日程
与党は参院選での勝利で、今後3年間、国政選挙に振り回されず政権運営できる環境を手にした。だが、そこで対峙(たいじ)するのは食料安全保障という重い課題だ。生産資材高騰など喫緊課題から、“農政の憲法”とされる食料・農業・農村基本法の検証など中長期の問題まで含む。生産現場に不安が強い米の転作助成の見直しや農地の規制改革も、無縁ではない。 まず対応が問われるのは資材高騰だ。肥料高騰対策の具体化に加え、配合飼料でも、価格の高止まりで補填(ほてん)金が出にくくなる課題を抱える。政府は予備費や編成が想定される補正予算で対応する見通し。自民党は食料安保強化への提言で、既存予算とは別に食料安保予算を「新たに確保」するよう求めた。政権の食料安保への姿勢を占う大きな試金石になる。 秋からは政府・与党の基本法の検証も本格化する。生産資材の海外依存の問題だけでなく、認定農業者など「専ら農業を営む者」らに施策を集中する現行基本法の路線で生産基盤を維持できるのか、中小経営や半農半Xといった多様な人材の政策上の位置付けなど、幅広く徹底した議論が必要だ。 農家の不安が強いのが、米の転作助成である水田活用の直接支払交付金の見直しだ。5年に一度も米を作付けない農地を対象外とする政府方針には、離農や耕作放棄の発生を懸念する声がある。転作が今後も拡大し続ける中で、必要予算の総額確保も課題だ。食料安保の基盤となる農家経営、農地の維持へ詰めるべき論点は多い。 農地所有適格法人の出資規制緩和や、企業の農地取得の全国解禁の是非の検討も続く。外資の農地支配が進み、食料安保に逆行するとの懸念は強いが、改革勢力の日本維新の会は存在感を増した。岸田首相が掲げる「新自由主義からの転換」が問われる局面を迎える。
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