ユニクロ「初任給30万円」で目が覚めた? 賃金格差は「東大出て官僚より海外バイトが高額に」と専門家
2023年01月23日
ユニクロを展開するファーストリテイリンググループは今春新入社員の初任給を、現行の25万5000円から30万円(年収で約18%増)に引き上げると発表し、世間に驚きを与えた。そればかりではなく、国内の正社員の報酬を最大40%引き上げるという。日本企業の賃上げをどう見るか、第一生命経済研究所の藤代宏一・主任エコノミストに聞いた。 【参考グラフ】20年間で増え続ける年収200万円以下の給与所得者
ファーストリテイリング広報によれば、「初任給30万円」の対象となるのは今年3月入社予定の新入社員約230人。狙いをこう答えた。 「いろいろ反響はいただいています。お問い合わせもたくさんいただいています。報酬というのは入社する会社を決定する大きな決め手になると思いますので、まずはそこを上げていくということです」(広報担当者) 初任給だけではなく、今年3月から、正社員8400人を対象に報酬を数%から最大40%アップするという。 「日本だけではなく、世界各国で報酬改定を進めています。日本は海外に比べて報酬水準が低位にとどまっている状況があると思います」(同前) アメリカやヨーロッパなど、海外で採用した従業員が日本人採用よりも給料が高いというケースは多々あるという。 「全部が全部そういうわけではないんですけれども、物価も違いますので、そういうケースはあります」(同前) グローバル化ということを考えると、給料の高い欧米などの海外子会社から優秀な人材を日本に人事異動させる場合、給料が下がってしまうことにならないのだろうか。 「入社国・地域の給与をベースとしているため、下がるということはありません。海外から人事異動をさせにくいことを解消することが、報酬改定の狙いではありません。これからはより優秀な人材に入っていただきたいということと、すでに入社していて、成長意欲と能力ある従業員一人ひとりにフェアに報いることが今回の狙いです」(同前)
日本全体ではこの30年間、賃金が上がらなかった。国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、1991年の平均年収は446万円、それから30年たった2021年の平均年収は443万円と、上がるどころか逆に3万円下がったという情けない状況。 日本ではどうして賃金が上がらないのか、第一生命経済研究所の藤代宏一・主任エコノミストはこう話す。 「賃金と物価というのは表裏一体ですので、物価が上がらない限り賃金は上がりませんし、賃金が上がらなければ物価も上がらない。物価と賃金は、かなり密接に連動しています。通常は人手不足によって賃金が上がるのですが、これまでは女性と高齢者が労働市場に多く出ていき、安い労働力を提供し、労働市場を支えてきたという経緯もあって、日本全体で見ると、賃金を押し上げるほどではなかった」 ただし、最近はそういう構図もついに変化をみせ、人手不足感が出てきたという。 「もう、従来のやり方では限界に近づいてきたので、人手不足が深刻化してきました。そうすると、企業として、賃金を上げていくということで、優秀な労働者を囲い込むという構図がかなり鮮明になってきています」(藤代氏) ワーキングホリデーのブームで、30歳までに海外へ出て、留学をしたり休暇を楽しんだりしながら、就労しようとする若者が増えた。海外で現地の言語を学びながら仕事をするというのは夢があるという風潮は続くだろうか。 「内外の賃金格差は日本経済にとって問題です。たとえば、東大を卒業して官僚になるよりも、海外でアルバイトをした方が報酬が高くなるというような逆転現象が生じてしまう。海外でちょっとした簡単な仕事で年収700万~800万円になったりすると、それではもう日本から人材がどんどん流出し、日本経済は立ち行かなくなるので、本当に真剣に賃金の水準に関しては考えないといけない時期に差しかかっていると思います」(同前)
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