経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」
2022年10月31日
「禁じ手には禁じ手で返した」。 自民党の政策責任者・萩生田光一政調会長は、総合経済対策を巡る財務省との攻防をこう表現した。与党四役の一人を怒らせた、財務省の“禁じ手”とは一体何だったのか。 29兆1000億円の巨額予算を巡る“仁義なき戦い”の舞台裏を追った。 【写真を見る】経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」
■会議中に入った岸田総理からの電話
10月26日午後、東京・平河町の自民党本部9階の会議室。物価高や円安などに対応するための総合経済対策をテーマにした会議を取り仕切っていた、萩生田政調会長の携帯電話に着信が入る。電話の主は岸田総理だった。 「これで了承しているのか」 岸田総理が電話で確認したものは、総合経済対策の総額だった。その直前、総理官邸を訪れた鈴木財務大臣から「25兆円」との報告を受けていたが、昨年並みの「30兆円規模」を求めてきた萩生田氏らが納得する数字だとは到底思えなかったのだ。 「今、議論しているところで、了承はしていません」 「そうか、ごめんな」 萩生田氏の返事に、岸田総理は思わず謝った。自民党内での会議が佳境を迎えているタイミングであることを把握していなかったからだ。 決定に進んでいた総合経済対策がこの電話で一気に振り出しに戻った。 「規模は大事」と言い続けていた総理も「これでは足りない」との認識を示したという。
■「責任取るのはあなたたちじゃない」静かな怒りに青ざめる財務官僚
与党の国会議員たちが総合経済対策の検討を重ねている最中に、総理にその全体像の報告を行う財務省の姿は、与党の議論をまるで無視するかのように映る。萩生田氏にとっては、まさに掟破りの“禁じ手”そのものだった。 岸田総理との電話を終え、会議室に戻った萩生田氏は憮然とした表情でマイクを握った。居並ぶ国会議員や官僚らを前に、岸田総理との電話のやり取りを明かしたのだ。 「党で経済対策の中身について議論をしている最中に財務省はマナー違反だ」 抑制的ではあるが、明らかな怒りが込められた言葉に会場は騒然となったという。 安倍政権を官房副長官として支えた経験のある萩生田氏にとって、総理と一対一で行った会話の内容を公表することもまた“禁じ手”であった。あえて、その“禁じ手”を使ったのは、経済対策を巡る財務省との戦いに決して負けないとの決意の表れだった。 「政策の責任をとるのはあなたたちじゃない、国民に選挙で選ばれた我々なんだ。結果の責任は我々が問われるんだ」 参加者によると、会議に出席していた財務官僚はそう指摘されるとみるみる顔色が青ざめていったという。 自民党政務調査会のメンバーからも「財政民主主義を破壊する行為だ」「財務省はおかしいぞ」などと批判の声が上がっていった。
元自衛隊員の日本人義勇兵が語る「なぜ私がロシアと闘うのか」
2022年10月31日
「忍者小隊」と名付けた部隊で戦闘を繰り広げた 潤沢な装備で攻めてくる敵兵にライフルで応戦

義勇兵の山田大樹氏(仮名)。礼儀正しく風貌も穏やかだが、戦場での体験談は想像を絶するものだった 撮影・文:横田 徹
「留学中にロシアのウクライナ侵攻が起きました。最初は傍観していましたが、多くの同級生が義勇兵としてウクライナへと向かいました。ロシア国内に住む友達も反戦デモに参加していた。自衛官として軍事訓練を受けた経験がある自分も、ウクライナのために何かしないといけないという気持ちになったんです」 【閲覧注意】ブチャを超える遺体の数…悲惨さを極めるイジュームの光景 山田大樹氏(仮名)が陸路で国境を越えてウクライナに向かったのは、3月12日のことだった。まず国境近くにある外国人部隊募集所で義勇兵として登録し、西部のヤヴォリウにある基地に配属される。ここには欧米諸国を中心に南米やアジアなどさまざまな国籍の義勇兵が集まっていた。配属された日の夜は「夜間の空襲に対する訓練がある」と告知されていた。 「爆音がしてガラスが割れたので『ウクライナ軍の訓練は本格的だな』と呑気(のんき)に構えていました。しかし、周囲の様子が慌ただしく、ミサイルが基地に30発ほども着弾して『本当の攻撃なんだ!』と慌てて建物から逃げ出しました。この時、死亡したり、腕がもげたりした人も多く見かけました」 現実のミサイル攻撃で多くの義勇兵が怯(おび)えて逃げ出したが、山田氏は不思議と恐怖感を抱くことはなかったという。そのまま部隊に留(とど)まり、東部の最前線に配属された。 「義勇兵の中にはゲーム感覚で参加する人がいて、そういう人たちは長続きしませんでした。ここでは砲兵戦が多くて元米軍兵士も今まで経験したことのない戦いに自信をなくして帰国します。本当にウクライナを助けたいという者だけしか残りませんでした」 4月24日、山田氏は敵陣の偵察と狙撃という任務を任せられ、東部ハルキウ州のモロドバ村という激戦地に投入される。ロシア軍の榴弾砲や迫撃砲といった潤沢な武器に対して山田氏らはライフルやマシンガン、せいぜいグレネードランチャーのみという装備で戦った。 「最初からロシア軍に包囲されて、次から次へと攻め込まれ、散々な目に遭(あ)いました。部隊が後退することになり、私を含む3人が撤退を援護するために最後まで戦いました。そんな危機的な状況下でなぜか『麻婆豆腐』が頭に浮かび、そのことだけを考えていました」 それだけ尋常ではない心理状態だったということだろう。ロシア軍からの砲撃は想像を超え、山田氏たちは地面に掘った塹壕(ざんごう)に身を隠した。 「自衛隊にいた時は『こんな時代遅れの訓練をして実戦で役に立つのか?』と思っていました。しかし、今回の戦争はアフガニスタンやイラクのような対テロ戦ではなく、正規軍同士の砲撃を中心とした、まるで第二次大戦中のような戦い方でした。なので、陣地の構築など、自衛隊で訓練したことが役に立ったんです」 ウクライナ軍から支給されたライフルでロシア兵を狙撃したという山田氏。遠距離からの砲撃とは違い、スコープで相手の顔を目視し、ライフルの引き金を引く。その心境、そしてウクライナ人を助けるためとはいえ、ロシア人を殺すことに葛藤はなかったのだろうか。 ◆「忍者小隊」の創設秘話 「敵とはいえ、彼らにも親や友達がいて、さまざまな人生を送ってきた者をたった一発の銃弾で命を奪ってしまいます。それは敵も同様で、それを承知でこちらを攻撃してくるのだと意識しています。戦場で敵を殺すことについて、モラルを考えては駄目だと思います」 その後、外国人部隊に日本人の義勇兵も参加するようになり、山田氏は広報目的で小隊長に「忍者」という部隊名はどうかと提案したところ承諾された。10月現在、「忍者小隊」には2人の元自衛官の日本人義勇兵が在籍しており、ハルキウ州東部の最前線で戦っているという。 山田氏は5月下旬に留学先の卒業手続きで、一度ウクライナを離れたが、すぐに前線に舞い戻った。その頃、EU圏でビジネスを展開する民間企業から仕事のオファーを受けた。 「その仕事は私以外に適任者がおらず、もし私がオファーを断ると30人のウクライナ難民が職を失うことになるので就職を決めました。今は前線を離れましたが、外国人部隊との連絡は密に取り続けています。個人装備や活動費の不足を補うために個人的に支援をしたり、募金活動を行うなど忍者小隊を支えています」 8月中旬に民間企業に就職した山田氏は、現在もEU内でウクライナ難民と共に働いている。 山田氏によると、義勇兵としての月給はウクライナ正規軍と同等で、後方勤務だと日本円換算で3万円ほどだが、前線任務をフルで行うと40万円になるという。現在、ウクライナで戦う日本人義勇兵は10人を上回るというが、日本政府はウクライナ全土に退避勧告を発し、渡航を控えるように発表しており、日本人義勇兵に関する情報収集を行っているという。もし判明した場合はパスポートの強制返納の可能性もある。 「日本に帰国したら、パスポート没収や、最悪の場合、逮捕などをされる可能性もある。それを受け入れる覚悟で戦いに参加しています。まずはこの戦争を早く終わらせて、世界に戦争を飛び火させたくないという気持ちで戦っています」 9月にウクライナ軍による反転攻勢が行われ、終わりが見えない情勢だ。山田氏に今後どうするのかを聞いてみた。 「早く戦争が終わって、ウクライナの人々が安心して暮らせるようになってほしいと願っています。もし部隊から人手が足りないから戻ってほしいと頼まれたら、再び前線に行く覚悟はあります」
ブラジル大統領選
2022年10月31日
ブラジルの大統領選挙の決選投票が行われ、接戦のすえ左派で元大統領のルラ氏が勝利しました。 30日に行われたブラジル大統領選挙の決選投票で、左派で元大統領のルラ氏が現職で右派のボルソナロ氏に勝利したと選挙管理当局が発表しました。ルラ氏は2003年から2010年に二期務めて以来の大統領復帰となります。 ルラ氏は国営石油会社をめぐる汚職問題で裁判中ですが、前回大統領だった際に実施した貧困対策や福祉政策をアピール。選挙序盤から優位に進めていました。 一方、現地メディアによりますと、ボルソナロ氏は選挙前、負ければ政界を引退する意向を示していたということです。
梨泰院雑踏事故「息子はどこに…韓国語もあまりできないのに」気を揉む外国人たち
2022年10月31日
「梨泰院惨事」の翌日、死傷者たちが運ばれた病院と行方不明者受付には連絡がつかなかった家族と知人を探そうとする外国人たちが次々と現れた。韓国語があまりできない人たちは「どこに行けば行方不明者情報が分かるのか」と困っている様子だった。 30日午後、行方不明者の受付が設けられたソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)の住民センターを訪れた50代のヒロメン・アビーさんは、「息子が梨泰院のクラブで働いているが、朝まで帰ってこなかった。心配で警察に相談すると、ここに行くように言われた。とりあえず、行方不明届を出した」と語った。18年前、コートジボワールから息子と2人きりで韓国に移住した彼女は、「家族は私たち2人だけなのに、今何をどうすればいいのか分からない。どこに行けば息子の安否が確認できるのか教えてほしい」と涙ながらに訴えた。 同日午前、ソウル順天郷大学病院を訪れたオーストラリア人のAさんは、「友達を探しているが、どこにいるのか分からない。何の情報も見つからなかった。私の詳しい情報を病院に伝えたのに、何の情報もくれない」と涙声で語った。同日午前、友人が事故に遭ったという知らせを聞いて、ソウル新村セブランス病院の葬儀場を訪れた外国人女性2人も号泣し、困り果てた様子だった。延世大学の韓国語学堂に通うノルウェー出身の外国人学生も、今回の事故で死亡したことが確認された。亡くなった外国人学生と前日の夜に梨泰院を訪れたオーストリア同胞のKさんの身元はまだ確認されていない。 中央災害安全対策本部(中対本)は同日午後1時現在で死亡者151人のうち141人の身元を確認したと発表した。前日(29日)に発生した「梨泰院惨事」の死亡者のうち、外国人死亡者は19人、負傷者は16人(30日午後1時現在)であることが確認された。外国人死亡者は午前6時には2人と集計されたが、中国人など韓国人と外見が似た死亡者の身元が確認され、19人に増えた。イラン、ウズベキスタン、ノルウェー出身の中でも死者が出た。米国人はいないことが確認された。外交部はハロウィン行事で発生した人命事故状況を点検するための対策会議を開催し、死傷者の国の駐韓大使館に緊急通知するよう指示した。 ソウル市は同日午後2時30分から、外国人も行方不明者届の受付を円滑に進められるように、日本語、中国語、ベトナム語、英語の4カ国語を120茶山コールセンター(02-2199-8664~8678、02-2199-5168、02-120)を通じて支援する。法務部も外国人死傷者の身元確認と遺族入国などを支援すると発表した。ソウル出入国外国人庁も非常対策班を構成し、外国人死傷者の身元確認、遺族・保護者入国および滞在、通訳などを支援する計画だ。
「ここで転んだら…」 ソウル雑踏事故直前の現場 腹部圧迫声も出ず
2022年10月31日
ソウル市内の繁華街・梨泰院(イテウォン)で29日夜に発生した雑踏事故。150人以上が犠牲となり、その中に日本人女性2人が含まれていたことが30日に判明した。「女性の悲鳴や大きな声が聞こえた」。事故発生の少し前に現場付近を歩いていたソウルに住む50代の日本人男性は、当時の状況をこう話す。 【動画】衝撃的な事故の瞬間 目撃者が提供 事故の現場は、飲食店などが集まる「世界の食文化通り」と梨泰院駅の出口がある通りを結ぶ道だ。同駅に向けて緩やかな下り坂で、道幅は約3メートル。そばに建つホテルと飲食店に囲まれた裏道だという。男性が現場を通ったのは、事故から約2時間前の午後8時ごろ。人は多いものの、まだ歩ける状態だった。 しかし、その約1時間後、男性が「世界の食文化通り」を現場となる坂道の方へ歩いていたところ、人の流れが止まり、坂道の方から女性の悲鳴や大きな音が聞こえてきたという。前方から「戻れ」という声があがり、戻ろうとしたが、通りを歩いてくる人々と向かい合う形になり、もみくちゃになった。「ここで転んだら死ぬんだろうな」。腹部や肋骨(ろっこつ)が圧迫されて痛みを感じ、話すことができない時間もあったという。 男性は、その後どうにか群衆を抜けることができ、午後9時半ごろに梨泰院を離れた。友人から「今日(梨泰院に)行くって言っていたけど大丈夫なの?」と電話があり、事故を知ったという。「楽しそうに遊んでいる若者や私がカメラを向けるとポーズを取ってくれた子たちが巻き込まれていたらと思うと、悲しいし、やるせない」 「もともと梨泰院は(日本の)六本木みたいな街で、欧米人が遊ぶ街という感じだったが、ハロウィーンや(梨泰院を舞台にした)ドラマもあり、若者に一気にはやりだしたイメージ」と男性は話す。新型コロナウイルスの影響から停止されていた日本国民のビザなし渡航が再開され、日本人観光客も増えていたという。男性は「ここまでの人数が集まり、仕方ないという面もあると思うが、少なくとも前日の夜も同じ状況だったはず。そこで警察や自治体が動いて何かしら対応しないといけなかったのでは」と振り返った
ハロウィーンのにぎわい一転 予感した人も ソウル事故
2022年10月31日
仮装した人々がパニックに陥って逃げ惑う。歩道で必死の応急処置が試みられる中、仮設の覆いの下に次々と遺体が並べられていく──。ハロウィーンを祝おうと集まった若者たちでにぎわっていた韓国ソウルの繁華街・梨泰院(Itaewon)で29日夜に起きた惨事の様子を、現場にいた人に聞いた。 【写真14枚】ソウル雑踏事故、現場は狭い路地 事故では路地に殺到した人々が折り重なるようにして倒れ、約150人が犠牲となった。原因はまだ解明されていない。 梨泰院地区にはかつて米軍駐屯地が隣接。バーやクラブが軒を連ね、外国人も多く訪れるソウル屈指の人気スポットだ。2020年に大ヒットした韓国ドラマ「梨泰院クラス(Itaewon Class)」の舞台としても有名で、大通りの両側の地区は曲がりくねった急坂の路地が入り組んでいる。 29日は新型コロナウイルスの流行に伴う行動規制の大半が解除されてから初めてのハロウィーンの週末とあって、夜になっても手の込んだ仮装姿の若者を中心に、数万人が繰り出していた。 事故発生時、現場付近のバーにいたチョン・ガウルさん(30)は、「友人に外で何か恐ろしいことが起きているみたいだと言われて『何の話だ』ということになって店を出てみたら、通りのあちこちで心肺蘇生が行われていた」とAFPに語った。 事故が起きる前から「大変なことになるのではないかと思っていた」という。「大勢が押し合いへし合いしていた。私自身、人混みに巻き込まれてなかなか抜け出せなかった」 ■居合わせた人も蘇生手伝う 現場はハミルトン・ホテル(Hamilton Hotel)近くの細い路地。 駆け付けた救急隊は、犠牲者の多さを目の当たりにし、居合わせた人々に応急処置や心肺蘇生を手伝うよう要請した。大勢が搬送された近くの順天郷大学病院(Soon Chun Hyang University Hospital)前には、数百台の救急車が列をなした。 立ち入り禁止のテープが張られ、赤色灯に照らされた路地には、現場検証を進める間も何軒かのバーの店内音楽が流れ続けていた。道端にぼうぜんと座り込んで携帯電話をチェックする人や、肩を抱き合って慰め合う人たちの横を、事の重大さに気付かず、ハロウィーンを楽しむ人々が通り過ぎていく。 「いつも混んでいるが、こんなことは初めてだ」。梨泰院でバーテンダーをしているチュ・ヨン・ポサマイさん(24)は、「韓国でハロウィーンパーティーは何度も経験しているけれど、梨泰院でこんなことが起きるとは思いもしなかった」と話した。【翻訳編集】
ロシア、穀物輸出合意の履行停止 「テロ」理由に国際社会揺さぶり
2022年10月31日
ロシアのプーチン政権は29日、ウクライナ南部クリミア半島を拠点とするロシア黒海艦隊が「テロ攻撃」を受けたとして、黒海経由のウクライナ産穀物輸出を巡る合意の履行を無期限停止すると発表した。 【図解】ウクライナとロシアの戦力比較 ウクライナ側は関与を否定。ロシアは合意に不満を抱き「離脱の口実を準備していた」(米シンクタンクの戦争研究所)とされ、食料危機を再びあおって国際社会を揺さぶる心理戦に出た可能性がある。 プーチン政権は最近、放射性物質をまき散らし広範囲を汚染する「汚い爆弾」の使用準備をウクライナが進めていると根拠を示さずに訴えた。東・南部の戦場で苦戦を伝えられているロシア軍は、情報戦を交えたハイブリッド戦に力を入れ始めたとみられる。戦争研究所は「ウクライナ軍が無人ボートでフリゲート艦を攻撃したようだ」と報告したが、敵の仕業と訴え責任をなすり付ける「偽旗作戦」説もくすぶる。 ロシア国防省の説明によると、2014年に一方的に併合したクリミア半島の軍港セバストポリが29日未明、無人機と無人ボートによる攻撃を受け、掃海艇などが損傷した。ただ、フリゲート艦には触れていない。背後に「英軍事顧問」がいると非難し、9月に発生した天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の破壊工作にも英軍事顧問が関与したとやはり根拠を示さず主張している。 国防省はさらに、掃海艇は穀物輸出合意に基づく安全確保を担っていたと指摘。ロシア政府は、合意の履行を「無期限停止する」と国連などに通告した。 一連のロシア側の発表について、ウクライナのクレバ外相は「(輸出阻止に向けた)取って付けたような口実」と批判。英国防省も「途方もないうそ」と否定した。「汚い爆弾」を巡っても、ショイグ国防相から電話を受けた米英仏が外相の共同声明で「見え透いた虚偽の主張」と一蹴し、国連安全保障理事会でもロシアの言い分は相手にされなかった経緯がある。 ロシア国防省は今月8日、ウクライナ侵攻を統括するスロビキン総司令官の任命を発表した。現場トップの交代は、ハイブリッド戦重視への移行にも影響したとみられる。
ANA 羽田の国際線4割増便 “水際緩和”で需要急増
2022年10月31日
水際対策が大幅に緩和されたことなどで国際線の需要が急増していて、全日空が30日から羽田空港の発着便を4割増やしました。 全日空は30日からダイヤを変更し、羽田空港を発着する北米やハワイ便など国際線を4割増やしました。 水際対策の大幅な緩和で、羽田からのビジネス利用が増え、新型コロナ感染拡大前の2019年のおよそ5割にまで回復しています。 ただ、ゼロコロナ政策を続ける中国への便やロシア上空を通過できないヨーロッパ便の回復は遅れています。 また、全国旅行支援もあり、東海道新幹線の需要も感染拡大前の2018年の94%まで回復しています。
相次ぐ中古CDの買取り終了…様変わりする存在価値、CDが復権する可能性は?
2022年10月31日
アナログレコードの人気が加熱するなか、先ごろ大手レンタルビデオ店で中古CDの買取を終了することが発表された。昨今は音楽もサブスクリプションやダウンロードなどで消費されており、一部のプレミアを除くCDの価値が落ちている印象はある。かつてはCDのミリオンセールが話題になっていたが、昨今は複数の形態別だったり、特典付きのCDが登場し、個人が同じCDを複数枚持つことも当たり前の時代に変わってきている。今後CD市場はどのような道筋をたどるのか? “エコストアレコード”として全国で中古レコード・CDの買取りを担っているFTF株式会社の担当者に話を聞いた。 【写真】山下達郎、渋谷タワレコ訪問で自身の中古盤高騰に驚き
■バブル弾けた後も日本経済を支えた…90年代、絶頂期を迎えた音楽市場の象徴がCDだった
中古CD買い取り終了のニュースが流れたとき、SNSではコレクターから「我々はCDの山のなかで息絶えるんだ…」というつぶやきも。 同社担当者はこのニュースについて「寂しい」と率直な感想を語った。「音楽の聴き方自体が、20年前から変わってきていますので、今、CDが目を向けられなくなっているのは正直仕方のないことかもしれません…このニュースを聞いた時は、正直寂しかったですが、予想できうる流れではあったと思います」。 かつて1982年にCDが登場した際、レコードも同じような道を辿った過去がある。間にカセットテープなどもあったが、当時プラスティックの透明なケースに入った、角度を変える度に色が変わる円盤の姿に“未来”を感じた人も少なくないだろう。 時代もあったかもしれない。このCDはレコードと比べて圧倒的に売れた。globe、安室奈美恵、華原朋美、TRF…“小室ファミリー”と呼ばれ小室哲哉がプロデュースしたアーティストがミリオン、ダブルミリオンを連発。一方で“バンドブーム”も社会現象に。X JAPAN、LUNA SEA、L’Arc~en~Ciel、GLAYなど、日本のROCKシーンが確立され、独自の世界観で熱狂的に音楽シーンを賑わせていた。そして1995年に浜崎あゆみ、1998年に宇多田ヒカルがデビュー。特に「Automatic」「First Love」の衝撃は忘れられず、メディアがこぞって取り上げ、街のどこにいても彼女たちの曲が流れていたのは今思えば異質な状況だった。 当時、バブルはとっくに終わっていた。社会情勢を見れば、90年代は暗黒の時代。しかし、CDだけは飛ぶように売れていた。日本経済を音楽が支えていた側面があり、それを牽引してきたのがCDだったのだ。 CDがここまで売れていた理由として「手軽さもあったと思います」と同担当者は語る。サイズが小さく、持ち運びが楽。ポータブルCDプレイヤーの発展もあったほか「パソコンでもDVDプレイヤーでもプレイステーションでも聴けた。誰でもどこでも聴ける手軽さがあり、かつレコードと違って裏返す必要なく、ずっと再生し続けることも可能だった。さらにはダウンロードにはない『歌詞カード』。音楽解説が書かれていることもあり、ビジュアルブックのような体裁で、そのデザインも含めて“アート作品”として楽しめた。レコード世代にとっては、このブック形式は本当に革新的だったと考えられます」。 レコードのように割れにくい、場所も取らない、車でも聞ける、カセットテープだとテープが伸びたり温度に弱かったりもする。これらのメリット、J-POPブームもあり90年代はCDの天下だったと言っていい。そこに登場したのがiPodだ。2000代半ば頃から変化が起こり始める。
パソナの淡路島移転から2年 見えてきた成果と宿題
2022年10月31日
政府の水際対策も大幅に緩和され、外国人観光客の個人旅行も解禁された。コロナ禍で途絶えたインバウンド(訪日外国人客)需要の盛り返しに期待を寄せる観光地のひとつが淡路島だ。令和2年秋に本社機能の一部移転計画を大手人材派遣会社のパソナグループが発表してから2年が経過。以前から働いている社員を含め今では、900人を超える社員が淡路島で働いているという。変貌を遂げる淡路島のアフターコロナの展望を探った。 【写真】多くの観光客が訪れるパソナグループの「ハローキティースマイル」 ■転入が転出を上回る 「こんなに事業展開するとは思ってなかった」 パソナの誘致を働きかけた兵庫県淡路市の門康彦市長はこう振り返る。淡路市にはこれまでに三十数社が企業進出してきたが、平成20年にやってきたパソナは先駆け的存在。最初の事業は就農を目指す農業ベンチャーの支援事業だった。 その後、パソナは淡路島で多くの事業展開をしていくが、ひときわ注目を浴びたのは、本社機能の一部移転だった。同社の南部靖之代表が「テレワークが普及し地方でも仕事ができる。淡路島は自然豊かで人材育成に適した地」と言及。脱東京一極集中と地方創生事業での雇用創出を目指す考えを示したのだ。 計画では令和6年5月までに社員約1800人のうち約1200人を島に異動させる。これまでに約470人が移住。仕事はオンライン中心で行い、「ストレスから解放された職場環境と、自然や食材にめぐまれた住環境に満足している」と話す社員が多いという。 淡路市ではパソナの移転に絡み、2年から2年連続で転出より転入が上回る人口の社会増に。門市長は「税収は増え、社会人口も増加した。なによりパソナのおかげで全国的にも認知度が高まった」と喜ぶ。 課題は住居不足だ。島内の不動産業者によると、淡路市内の新築アパートなどはパソナが一棟借りするなど物件不足が深刻で、家賃も2~3割アップした。洲本市や南あわじ市の物件にも及び、一般入居者への影響も出ているという。 ■本物志向のクールジャパン パソナは、淡路島でレストランやアニメパークのニジゲンノモリ、人気キャラクター「ハローキティ」の世界観が満喫できる施設のほか、大自然の中で禅体験ができる「禅坊靖寧」などを相次いでオープンさせ、いまや島の一大観光事業者となった。 急速な事業展開が注目されたのか、新たな飲食店やグランピングなどでの宿泊事業者も相次いで進出。島観光への相乗効果も生んでいる。 パソナの観光事業の特徴は「クールジャパン」の本物志向。ニジゲンノモリでは人気アニメ「クレヨンしんちゃん」や「NARUTO」、映画「ゴジラ」、人気ゲーム「ドラゴンクエスト」などの制作会社とタイアップし、マニアならずとも一度は足を踏み入れたくなる施設づくりにこだわる。 同社広報は「アニメやキャラクターの世界観を体験できる内容。島の自然や食、文化の魅力も合わせて楽しめるよう企画している」と自信を見せる。 中心ターゲットはそのファン層。例えばハローキティは欧米、クレヨンしんちゃんはアジア系から人気が高いという。 ■コロナ禍の打撃 しかし、コロナ禍の打撃は想像以上に大きかった。今年5月期決算によると、島での事業を含む「地方創生ソリューション」の売上高は44億2600万円で、営業利益はマイナス26億1200万円。島の事業だけでは赤字で、本業からの補塡(ほてん)が行われているとされる。 同社の伊藤真人常務執行役員もこうした事実を認めたうえで、「コロナ禍は目標の半分程度。ただ淡路島はコロナ禍でも比較的観光客が来ていたので、もしこれがなければ2~3割だったのでは」と打ち明ける。 ニジゲンノモリは入場料は無料だが、アトラクションごとに料金がかかる。3000~4000円台の料金設定で、来場者に話をきくと、「内容は満足したが料金が高かった」と不満を持つ人もいた。 伊藤氏は「地元にも還元できるサービス価格帯に設定している。(パソナの施設が)価値あるものと分かってもらえるよう、努力したい」と話していた。 期待されるのがインバウンドの復調だ。政府は10月11日から水際対策を緩和し、「Go To トラベル」に代わる「全国旅行支援」もスタート。同社がターゲットとするインバウンドの来場に見通しが立ってきた。 3年後の大阪・関西万博も見据え、さらに新たな事業展開を計画しているという。同社担当者も「これから反転攻勢に出たい」と意気込んでい