米中首脳が電話協議 台湾問題で習氏けん制「身を滅ぼす」
2022年07月29日
バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が28日、電話で約2時間20分にわたって協議した。中国が軍事的圧力を強める台湾を巡って応酬となり、習氏は「火遊びは身を滅ぼす」と米国の干渉をけん制した。一方、両首脳は気候変動対策や感染症対策など協力できる分野では対話を継続することで一致した。 【中国のウイグル族「再教育施設」内部資料が流出】 両首脳の対話は、3月にオンライン形式で会談して以来となった。米政府高官は協議後、両首脳が対面での会談実現に向けて調整をするよう事務方に指示したことを明らかにした。 米ホワイトハウスの発表によると、バイデン氏は米国の台湾政策に変更はないと表明。そのうえで、中国を念頭に「現状を変更したり、台湾海峡の平和と安定を損なったりしようとする一方的な試みに強く反対する」と述べた。 一方、中国外務省によると、習氏は「外部勢力の干渉に反対する」と表明し、台湾への関与を強める米国をけん制。「中国の国家主権と領土保全を断固として守るというのは、14億を超える中国人民の確固たる意思だ」と強調し、バイデン氏に警告した。 台湾を巡っては、ペロシ米下院議長が8月に訪問を検討していると英紙が報道。下院議長は大統領死亡時などの継承順位が副大統領に次ぐ要職で、現職下院議長が訪台すれば25年ぶりになる。台湾を領土の一部とみなす中国政府は猛反発して中止を要求している。米政府高官は協議後、「台湾に関する両首脳の会話は直接的で正直なものだった」と説明したが、議長の訪台を巡るやりとりがあったかどうかは明らかにしなかった。 この高官によると、バイデン氏は協議の中で、中国の不公正な経済慣行に対する懸念を表明した。バイデン政権が検討しているトランプ前政権が発動した制裁関税の引き下げについては、両政府とも発表で触れなかった。 中国側の発表によると、習氏は協議で「世界が混乱する中、国際社会は中国と米国が主導的な役割を果たすことを期待しており、これは中米両大国の責任だ」とバイデン氏に呼びかけた。一方で「中国を(国際秩序への)最も深刻で長期的な挑戦と見なすことは、誤った判断であり、両国民と国際社会を誤解させることになる」と強調し、対中姿勢の見直しを求めた。バイデン氏は「米国は中国との対話を維持し、相互理解を深め、誤解や誤った判断を避け、利害が一致する分野での協力を模索することを望んでいる」と述べたという。 両氏はウクライナ危機についても意見交換した。中国外務省は、習氏が「原則的な立場を重ねて伝えた」と発表した。中露の連携を警戒してロシアを支援しないよう求めるバイデン氏に対し、一方的な対露経済制裁に反対すると表明したとみられる
ロシア側死傷者7万5000人超、ウクライナ侵攻で 米下院議員
2022年07月29日
米下院議員らは27日、バイデン政権の当局者から、ウクライナ侵攻開始以降のロシア側の死傷者が7万5000人を超えたとの説明を受けたと明らかにした。ロシア軍は疲労しており、ウクライナ側は冬の到来前に南部で反攻に出ようと追加の支援を望んでいるとも伝えられたという。 下院軍事委員会の委員を務める民主党のエリッサ・スロットキン下院議員(ミシガン州選出)は投入されたロシア陸軍のうち「80%以上が行き詰まり、疲労しているとの説明を受けた」と述べた。ただ「それでも彼らはロシア軍だ」とも付け加えた。 欧米の当局者はウクライナが南部で反攻に出る今後数週間が重要とみている。ウクライナは3月以降ロシア軍の占領下にある南部ヘルソン市の奪還を目指しているとみられる。 スロットキン氏によると、27日の状況説明の際には、米国が今後3~6週間で実施すべきウクライナ支援が主な論点となった。長距離ミサイル「ATACMS」の供与には民主・共和両党から支持が表明されたという。同ミサイルの射程は280キロあまりで、既に供与されている高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の78キロ超の射程を超えるため、ウクライナ側は数カ月前から提供を要望していた。 ただ、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は先週の国際会議で、ATACMSはロシア領への攻撃に利用可能で、戦争の拡大を招く可能性があり、供与の予定はないと発言した。
ロシア、東部で主導権喪失か 英報道、ドネツク州制圧は困難
2022年07月29日
英PA通信は27日、西側当局者の話として、ウクライナ東部ドンバス地域(ルガンスク、ドネツク両州)でロシアが戦闘の主導権を「決定的に失った」と報じた。ドネツク州全域を今後数カ月で制圧する可能性は一層低くなったと指摘。南部でロシアの補給路となっていた橋をウクライナが攻撃したことも痛手になっているとの見方を示した。 【写真】損傷した南部ヘルソン州のアントノフ大橋 露側は「ハイマース」が使われたとみられると主張
当局者は、ウクライナでの戦闘は一進一退の状態が続いていると説明。ロシアには状況に応じて戦術を変更する能力があり、ドンバス地域の攻略が難航しても撤退する見込みはないと述べた。
北朝鮮、核抑止力動員の「準備整う」 金総書記が演説で米韓けん制
2022年07月29日
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、核戦争抑止力を動員する万全の態勢が整っており、米国とのいかなる軍事衝突にも対応する用意があると表明した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が28日伝えた。 また、韓国の尹錫悦大統領が北朝鮮の安全保障と自衛権を脅かしていると初めて名指しで非難し、先制攻撃を試みれば厳しい報復を受け「全滅」することになると警告した。 朝鮮戦争の休戦協定締結から69年を迎えた27日の演説で述べたという。 金総書記は、自国の核戦争抑止力について「正確かつ迅速な使命遂行に最大能力を動員する万全の態勢が整っている」とし、「米国とのいかなる軍事衝突に対しても完全に準備が整っていることを改めて明確にする」と語った。 米との対立によって自衛力強化という「歴史的緊急任務」を果たす必要が生じており、核の脅威がもたらされたと主張した。 米韓両政府の当局者らは、北朝鮮が2017年以来初となる核実験の準備を整えたと分析している。 韓国の統一相は26日、休戦協定締結の記念日前後に核実験が行われる可能性があると述べたが、軍当局者は差し迫った兆候はないとした。 金総書記は演説で、米国は北朝鮮軍の定例活動を全て「挑発」や「脅威」と呼んで誤解を生み出す一方で、大規模合同軍事演習を実施して北朝鮮の安全保障を深刻に脅かす「二重行動」を見せており、この結果、「両国関係は対立状態の後戻りが難しい局面を迎えた」と主張した。 韓国の尹政権については「主戦論者」や「悪党」が対立的な軍事活動に執着しているとし、韓国による兵器開発や米核戦略資産の再配備に向けた動き、同盟国との軍事演習などを非難。北朝鮮に対する「極悪非道な対決政策」と「卑怯な裏切り行為」が朝鮮半島情勢を戦争寸前に追い込んでいると述べた。 韓国国防省報道官は、北朝鮮の脅威への対応力を高めるため、自国の防衛力や「核の傘」を含む米国の拡大抑止を引き続き強化すると述べた。
22年6月の有効求人倍率「1.27倍」 6か月連続で上昇も原材料の高騰で一部求人は減少も
2022年07月29日
今年6月の「有効求人倍率」は6か月連続で上昇し「1.27倍」でした。ただ原材料価格の高騰などで一部の産業では求人を減らす動きも見られます。 厚生労働省によりますと、仕事を探している人1人に対し何人分の求人があるかを示す、今年6月の有効求人倍率は「1.27倍」でした。前の月から0.03ポイント増え、6か月連続の上昇です。 ただ原材料価格の高騰などで、一部の産業では求人を減らす動きも見られ、6月の新規求人倍率は前の月から0.03ポイント下がった「2.24倍」でした。 厚労省は「雇用の状況はコロナ前の水準にはまだ戻りきっておらず、今後は"第7波"の影響も注視していく必要がある」としています。
日米が国際秩序構築を主導、行動計画策定へ…経済版2プラス2
2022年07月29日
日米両政府は、ワシントンで29日に初めて開催する外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)に合わせ、行動計画を策定する方針を固めた。「国際秩序」「威圧への対抗」「インフラ」「サプライチェーン(供給網)」の4本柱を設定し、対中国を念頭に経済安全保障を巡る協力の着実な推進を図る。 【写真】2プラス2の主な議題案
本紙が入手した行動計画案の概要によると、国際秩序については、米主導の新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の推進などを通じ、日米でルールに基づく国際的な経済秩序作りを主導する方針を明確にする構えだ。
ロシアのウクライナ侵略の影響で世界的な課題となっているエネルギー安全保障での協力の拡大や、中露などの関与が指摘されるサイバー攻撃に備えた防御の強化を共同で進めることも盛り込まれる見込みだ。
威圧への対抗に関しては、インド太平洋地域の国々に経済的な圧力を高める中国の存在を踏まえ、G7(先進7か国)など友好国での連携を通じた対抗姿勢を鮮明にする。インフラでは、華為技術(ファーウェイ)など中国企業に対抗するため、高速・大容量通信規格「5G」の海外展開や、米国とアジアとの間の海底ケーブル敷設でも協力する。サプライチェーンを巡っては、インフレ(物価上昇)の一因となっている供給混乱の収束に向け、半導体確保に関する作業部会を通じた協力の深化を図る。
会合には日本から林外相と萩生田経済産業相、米側からブリンケン国務長官とレモンド商務長官が出席する。会合後に発表する共同声明には、行動計画の実施状況を確認するため、年内に次官級会合を開催する方針が明記される方向だ。
露通商代表部職員が接触 警視庁公安部が企業側に通報し情報漏えいを未然に防ぐ
2022年07月29日
ロシア通商代表部の職員の男性が半導体関連企業などの社員に接触を図った疑いがあり、警視庁公安部が企業側に通報して情報漏えいを未然に防いでいたことが分かりました。スパイ活動が疑われる事案について摘発する前に企業側に通報するのは異例です。 捜査関係者によりますと、去年、ロシア通商代表部の職員の男性が半導体関連企業など先端技術を保有する企業の社員に対し、会社付近で道案内を頼み、接触を図った状況が複数確認されたということです。 通商代表部の職員は日本語を話し、道案内されている間に社員の連絡先を聞き出して「今度、飲みにいきませんか」などと誘っていましたが、その際、ロシア通商代表部職員という身分や目的は隠していたということです。 警視庁公安部が通商代表部職員のスパイ活動が疑われる不審な動きを把握し、企業側に注意喚起を行ったことから、実際に情報が漏えいすることはありませんでした。 スパイ活動が疑われる事案について、摘発する前に企業側に通報するのは異例で、経済安全保障の必要性が高まる中、警察当局は企業側への注意喚起を強化しています。
解熱鎮痛剤「カロナール」コロナ感染急拡大で“限定出荷”
2022年07月29日
新型コロナ第7波の急速な拡大。その勢いのすごさは、肝心要の薬の世界にまで影響を及ぼしています。 子どもや妊娠中の女性が熱を出した時に医師から処方される代表的な薬、解熱鎮痛剤の「カロナール」。アセトアミノフェンを主成分としています。 この薬、現在、需要に対し生産が追い付いていないというのです。 製造販売元の「あゆみ製薬」によると、「カロナール錠200・300・500」について厚生労働省と限定出荷に向けた調整に入ったということです。 先週半ばからカロナールの注文が前年同月比で3倍にまで急増する日もあり、原薬は調達できていても製品化する工程が追い付かない状態だというのです。 他社の製品でアセトアミノフェンが含まれた市販薬もドラッグストアで販売されてはいますが、カロナールの不足が何らかの影響を及ぼすことも考えられます。 あゆみ製薬は「イブプロフェンやロキソニンなどほかの主成分による代替薬の周知などに努めていく」ことも検討しているということです。
東京電力の電気料金が「上限」に到達 25年ぶり
2022年07月29日
燃料価格の高騰が止まらず東京電力の電気料金が上限に到達しました。 電力大手10社が発表した9月の電気料金では東京電力と中部電力の2社が値上げします。 使用量が平均的な家庭で東京電力では9126円、中部電力では9111円で、いずれも1年前と比べて2000円以上の値上がりです。 東京電力では現行の制度で決められている料金の「上限」に到達しました。 1997年以来、25年ぶりだということです。 ウクライナ情勢などの影響で燃料価格の高騰が続きこれで、大手10社のうち9社が上限に到達し、これを超える分は電力会社が負担することになります。
中華料理店のナメクジ騒動 元従業員会見「改善を」
2022年07月29日
仙台市太白区にある中華料理店「大阪王将 仙台中田店」の衛生管理のずさんさが指摘されている問題で、退職直後にツイッターで告発した元従業員の男性(23)が28日、市内で記者会見し、同店の運営会社に対し「残った従業員のために衛生面や待遇を改善してほしい」と訴えた。 男性は平成30年、同店をフランチャイズ経営する飲食サービス会社「ファイブエム商事」(同市若林区)に入社し、同店で昨年12月から働いていたという。 男性によれば、同店の調理場は清掃が徹底されておらず、ナメクジやゴキブリ、コバエなどの害虫は駆除が追い付かないほど発生していた。店長や同社幹部に改善を求めても反応は消極的だったという。豆腐など腐りかけた食材を使った料理が提供される場面を目撃したこともあったという。 男性は今月24日の退職直後、店内の不衛生な状態を画像とともにツイッターに投稿すると、同社や大阪王将への批判コメントが殺到。男性はネット上での反響について「汚い店では料理を食べたくないという当然の考えに加え、ブラック企業で(経営側に)何も言えずに辞めていった人たちの賛同もあったのではないか」と語った。 ファイブエム商事は男性が告発した内容について調査しており、25日に同社ホームページで「結果と対応について改めて情報発信する」とコメントした。仙台市保健所は25日に同店の立ち入り検査を行い、清掃が行き届いていない部分について改善を指導した。