物価高対策に2兆円超、LPガス補助は「推奨事業」に…低所得世帯に一律3万円
2023年03月20日
政府は新たな物価高対策として、2022年度予算の予備費から2兆円超を支出する方針を固めた。自治体の判断で対策を進める「地方創生臨時交付金」に計1・2兆円を追加し、地域の実情により柔軟に対応できるようにするのが柱だ。22日にも「物価・賃金・生活総合対策本部」(本部長・岸田首相)で決定する。

首相官邸
複数の政府関係者が明らかにした。地方創生臨時交付金は、昨年9月に物価高対策のため設けた枠組みに7000億円を追加する見通しだ。使い道は自治体が決めるが、政府が示す「推奨事業」に、LPガスや工場向けの特別高圧電力の負担軽減、飼料価格上昇で苦しむ酪農家支援などを明記する。
政府は2月検針分(1月利用分)から電気代と都市ガス代への補助金を導入したが、LPガスは対象外だった。LPガスは地方で利用世帯が多く、与党内で支援を求める声が強まっていた。
公共交通や観光事業者向けの対策、学校給食費の補助など、これまで示された推奨事業にも引き続き活用することができる。
交付金の残り5000億円は特別枠とし、住民税非課税などの低所得世帯に一律3万円を給付する。自治体の判断で、給付額を3万円より減らす代わりに対象世帯を広げるといった変更もできるようにする。
交付金とは別に、低所得の子育て世帯に子ども1人あたり5万円を給付する方針だ。新型コロナウイルス対応の病床を確保した病院を自治体が支援する「緊急包括支援交付金」も大幅に増やす。物価高の影響を強く受けている輸入小麦の政府売り渡し価格の抑制も続ける。これらの対策に計1兆円程度を計上する見通しだ。
政府は4月の統一地方選に向け、物価高対策を最重要課題に掲げている。今後、与党との調整で最終的な対策の規模がさらに膨らむ可能性もある
ロシアの中国依存浮き彫り…中ロ国境トラック大行列
2023年03月20日
習近平国家主席のロシア訪問が20日に迫るなか、中ロ国境の街では貨物トラックが大行列を作るなどロシアが中国への依存を強める姿が浮き彫りになっています。 中ロ貿易のうち、陸上輸送で取引される製品のおよそ65%が内モンゴル自治区の満州里で国境を通過します。 貿易関係者によりますと、最近はロシア向けに建設用の機械や自動車などの輸出が増え、これまでになく通関手続きに時間がかかっているということです。 貿易関係者:「(Q.ウクライナ侵攻で貿易増えた?)うーん、それは話しにくい。“敏感”な話題だから言えない」 中国政府が発表した貿易統計では、1月と2月のロシアとの輸出入総額は前年同期比で25.9%増加しています。 ウクライナ侵攻を巡り、ロシアが中国への依存を強めるなか、習主席とプーチン大統領の会談でも経済の関係強化について議論される見通しです。
「中国空母が入る要件満たす」 衛星画像で分析、基地のある国は反論
2023年03月20日
中国による軍事利用の疑いが指摘されているカンボジアのリアム海軍基地をめぐり、疑惑の指摘と反論の応酬が繰り広げられている。英メディアが最近、衛星画像の分析をもとに「中国の隠れた資産」などと報道。カンボジアのフン・セン首相は16日、「根拠のない非難だ」と否定した。 【写真】リアム海軍基地のあるシアヌークビルの繁華街。中国語の書かれた建物が立ち並ぶ 「中国が自国領外に持つ(アフリカ東部ジブチに次いで)2番目の中継施設となる。台湾をめぐる危機に際し、中国のさらなる戦力投射を可能にするだろう」 英メディア「ネーバルテクノロジー」は2月28日、米情報会社の衛星画像とともにその分析結果を報じた。新たな桟橋の建設や拡張が確認されたとし、「建設資材の輸送に必要なスペックを超え、中国の軍艦が使える要件を満たしている」と指摘。桟橋の水深などから、空母も使用できるとしている。 カンボジア南西部シアヌークビルのリアム海軍基地は、中国が海洋進出を強める南シナ海に開かれたタイ湾の入り口にある軍事的な要衝だ。米国の資金で整備されたが、昨年から中国の資金援助を受けて拡張工事が進められている
日米欧の6中銀、ドル資金供給を強化 信用不安に対応、スイスも参加
2023年03月20日
米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀など日米欧の6中央銀行は日本時間20日、米ドルの資金供給を毎日実施する拡充策で協調することを決定した。 【写真】経営危機に陥ったクレディ・スイスと同社を買収するUBS 米シリコンバレー銀行などの破綻に端を発した信用不安の連鎖に対応し、銀行のドルの資金繰りを支援する。同日から開始し、少なくとも4月末まで続ける予定だ。 FRBと日銀のほか、欧州中央銀行(ECB)、カナダ銀行、英イングランド銀行が参加。スイス金融最大手UBSによる同業のクレディ・スイス買収を発表したスイス国立銀行も加わる。 FRBなどの発表によると、中銀からドル資金を借りた金融機関が1週間後に返す「1週間物」の資金供給オペレーション(公開市場操作)の回数を、週次(週1回)から日次(毎日)に増やす。「グローバルな資金調達市場の緊張を緩和する」ことで、銀行が家計や企業に対する融資を行いやすくするのが狙い。
クレディ・スイス買収合意 UBSが救済、4300億円 金融危機回避へ当局主導
2023年03月20日
スイス金融最大手UBSは19日、経営危機に陥った同業クレディ・スイスを30億スイスフラン(約4300億円)で買収することで合意したと発表した。 【写真】UBSとクレディ・スイスのロゴ クレディ・スイスの破綻がスイス発の金融危機に発展しかねないとの懸念が強まる中、UBSは当局主導でライバルの救済に踏み切る。 米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の破綻をきっかけとした金融市場の混乱は、世界有数の巨大金融機関の再編へと一気に進んだ。ただ市場の動揺が収束するかは不透明だ。 合意によると、UBSはクレディ株を1株当たり0.76スイスフラン(約108円)で取得する。UBSは当初提示したと伝えられた同0.25スイスフランから引き上げたが、17日のクレディ株の終値(1.86スイスフラン)をなお大きく下回る。買収は年内に完了する見通し。 合意を受け、スイス国立銀行(中央銀行)は2社に最大1000億スイスフラン(約14兆円)の流動性支援融資を行うと表明。またスイス政府はUBSに90億スイスフラン(約1兆3000億円)の政府保証を提供する。ケラーズッター財務相は記者会見で、今回の合意は「(クレディ・スイスの)救済ではなく商業的な解決策だ」と説明した。
FRB、利上げの継続か一時停止かで難しい判断に直面-今週FOMC
2023年03月20日
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局は今週、インフレ抑制のための利上げを続けるか、米地銀の経営破綻の連鎖を受けた市場の混乱を背景に利上げを一時停止するかという、過去数カ月で最も困難な判断に直面する。
今年初めの時点で当局者が考えていたよりも米経済の力強い様子が一連の指標で示されたことで、シリコンバレー銀行(SVB)破綻とその影響波及の前の段階では、21、22両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.5ポイントの追加利上げが見込まれていた。
しかし、その後の金融市場のボラティリティーの高まりを踏まえ、FRBウオッチャーの多くは今週の会合での利上げ幅が0.25ポイントになると予想しているほか、当局が利上げを一時停止するとの観測も一部で浮上している。
16日に政策委員会を開いた欧州中央銀行(ECB)は0.5ポイント利上げを決定。ラガルド総裁は記者会見で、銀行を巡る緊張を注意深く監視する姿勢を示す一方、ECBとしてインフレ退治に引き続きコミットしていると述べた。
金利政策決定以外に今回のFOMC会合で注目を集めるのは最新の四半期経済予測と、会合後のパウエル議長の記者会見だ。銀行セクターの混乱を受けて、会見ではSVBおよび苦境にある他の銀行に対する連邦準備制度の監督を巡り記者団からの質問が想定される。
パウエル議長はフェデラルファンド(FF)金利の今後の道筋についても慎重な発言を求められそうだ。銀行問題が浮上する前には、FF金利の誘導目標を今年5%を上回る水準に引き上げて、インフレ率が2%の当局目標に向けて鈍化するペースとなるまでその水準に維持する必要があるとの見解を金融当局者は示唆していた。
米金融当局による急ピッチの利上げキャンペーンと米国債利回りへのその影響で銀行の自己資本を巡る状況は悪化し、そうした問題が経済全体にどの程度のインパクトを及ぼすか高度の不確実性があることから、先行きの大幅な金融引き締めの余地が制限される可能性もある。
「ジョブ型」雇用、電機大手から導入の動き…年功色を維持した「日本風」が主流
2023年03月20日
日本企業で、社員ごとに職務内容を明確にして処遇を決める「ジョブ型」雇用を活用する動きが広がってきた。国際的に人材の獲得競争が激化し、年功序列型の賃金などを特徴とする従来の雇用制度では対応し切れなくなっているためだ。競争力の強化につなげるには、働き手の理解や意識変革を促すことも欠かせない。 【一覧】ジョブ型人事制度を取り入れている主な企業
ジョブ型は2023年春闘でも多くの企業で議論され、企業向けシステムを手がけるパナソニックコネクトは4月から導入すると決めた。NECは23年度から幹部層で導入し、24年度に全社員に広げる方針だ。
ジョブ型は職務を特定して従業員を雇用する仕組み。欧米の企業では主流だ。人材の流動化を促し、生産性向上や、優秀な人材の賃上げにつながるとされ、経団連が活用を呼びかけている。
特に電機大手で導入が進む。社会のデジタル化が進み、世界で異業種を含めて、IT人材の獲得競争が激化していることが背景にある。
日立製作所は22年7月、国内の全従業員約3万人を対象にジョブ型の人事制度を導入した。研究、営業など職種と階層ごとに職務内容や責任などを定めた約450種類の「職務記述書」を作成し、必要な技能や経験も設定。24年には全世界の37万人に広げる計画だ。富士通は22年度から、全従業員の9割に拡大させた。
他の業界でも活用は進み、JR東日本は24年度の新卒・中途採用から「開発・不動産」「データマーケティング」などで導入する。金融業界では、SOMPOホールディングスが23年4月から管理職以外にも広げる。
だが、ジョブ型を全面的に採用すると、年功序列型の賃金制度や終身雇用制などの大転換につながる可能性がある。現状では、導入した企業でも年功色が強い賃金制度を維持した「日本型ジョブ風制度」(労組関係者)が主流だ。高度な技能を持つ一部の人材や、専門的な職種の賃金を上積みする仕組みにとどまっているケースも多い。
従業員側の意識が追いついていない例もみられる。三菱ケミカルは20年からジョブ型を導入し、部長などのポストを社内公募に切り替えたが、昨年末までに募集した2700件への応募は約半分にとどまるという。
労働政策研究・研修機構の浜口桂一郎所長は「ジョブ型を定着させるには個社の取り組みだけでは難しい。新卒一括採用を前提とする大学教育から変えることが必要となる」と指摘する。
NHK受信料、4月から始まる「割増金」って何だ? 未払いに厳しい姿勢
2023年03月20日
NHK受信料をめぐるトピックスはいつも注目を集めるが、4月1日から新たな仕組みが動き出す。改正された受信規約が施行され、受信料未払い者に対して「割増金」が課されることになった。 【写真】「NHKの番組撮影中です」尾瀬の木道でスタッフが観光客を足止め NHKを視聴可能な機器を設置したにもかかわらず、規定の期間までに受信契約を結んでいない者に対して、「支払いを免れた放送受信料に加え、その2倍に相当する額である割増金を請求する」ことが可能になったのだ。 若者を中心に、テレビ受信機をもたない、もっていたとしてもほとんどテレビ放送を見ない「テレビ離れ」が進んでいる中、新たに規定された「割増金」とはいったいどのようなものなのか。 ●そもそもなぜ受信料を払うのか? NHKの受信契約については、放送法64条1項に、NHKを受信することのできる受信設備を設置した者はNHKと受信契約を結ばなければいけないと規定されている。すなわち、テレビを設置した者にとって、受信契約を結んで受信料を支払うことは法律に規定された義務なのだ。 NHKは国民が支払う受信料によって運営されている。NHKの調べでは、2021年度末での受信料の推計世帯支払率は78.9%で、約2割の世帯が未払いの状態だ。受信料の公平負担を徹底するというのがNHKにとって課題となっている。 ●単純な未払いの場合「3倍」が求められることに そこで今回、新設されたのが「割増金」だ。 新規約の12条には、「不正な手段により放送受信料の支払いを免れたときは、当該放送受信契約者に対し、支払いを免れた放送受信料に加え、その2倍に相当する額である割増金を請求することができる」と明記されている。 割増金の対象となるのは、受信契約の解約に不正があったとき、受信料免除に不正があったとき、受信機設置の翌々月の末日までに受信契約書を提出しなかったとき、地上契約からBSが視聴可能な衛星契約に変更するといったように、料額が高い契約種別へ変更したにもかかわらず変更後の契約種別の放送受信契約書を提出しなかったときだ。 いずれも、NHKは未払いの受信料あるいは差額の受信料に加えて、その2倍に相当する割増金を請求することができる。単純な未払いの場合、「3倍」になる。 「受信機設置の翌々月の末日まで」という期限についても、今回の規約改定で明文化された。受信料を不正に支払っていない人に対して、より厳しく支払いを求める。 ●受信料値下げとセットで「アメとムチ」はうまくいくか この規約改定が発表されたのちにNHKに対して寄せられた意見を、NHKが発表している。 「国民を脅すようなやり方で強制的に受信料をとっても、さらに反発を受けるのではないか」「割増金が2倍になるまでの移行期間を設けるべきではないか」「ある種の『罰金』と捉えられかねない危うさがある。安易な運用によって、視聴者のテレビ離れ、さらには放送制度全般に対する信頼を損なうことになれば本末転倒だ 」などさまざまな意見が見受けられる。 これらの意見に対しNHKは、「NHKの価値や受信料制度の意義に共感していただき、納得してお手続きやお支払いをいただくという、これまでのNHKの方針に変わりはない」「丁寧な説明に基づき、公平負担に取り組んでまいりたい」と回答している。移行期間は設けずに周知広報を丁寧に行っていくとした。 また、今年1月に就任した稲葉延雄会長は、就任記者会見で割増金について尋ねられた際、「割増金についても、一律に条件に該当するからといって請求するというのではなく、お客様の個別の事情を総合的に勘案しながら運用していくという姿勢にあると聞いております」と回答した。 今年10月からは、地上契約・衛星契約ともに受信料が1割値下げされることも発表されている。アメとムチの「ムチ」といえる割増金制度が、余計にテレビ離れを促すものではなく、「受信料の公平性の確保」のために機能するか、NHKの運用が注目される。
「ロッテリア」はどこでしくじったのか 売却に至った3つの理由
2023年03月20日
ロッテホールディングス(ロッテHD)傘下のロッテリアが運営するハンバーガーチェーン「ロッテリア」のゼンショーグループ(以下ゼンショー)への売却が決まった。 【画像を見る】ロッテリアの売り上げ推移と1号店の写真、一部店舗で限定販売中の「コアラのマーチ焼」、ゼンショーのロッテリア買収発表の詳細(全18枚) 「『ロッテリア』って久しぶりに聞いた」「しばらく行ってない」──。そんな人も多いのではないか。無理もない。店が少ないのだ。ロッテリアの店舗数は、ピーク時の524店から大幅に減り、今や358店。マクドナルドの「8分の1」(2月末時点で2960店舗)、モスバーガーの「3分の1」(2月末時点で1274店舗)にも満たない。 近所に店がないから行かない。客が来ないから閉店せざるを得ない。「負のサイクル」の繰り返しで、競合との差は大きく開いた。かつては「マクドナルド」に次ぐ存在だったはず。凋落したのはなぜか。マクドナルドばかり見ていたからだ。
強すぎたマクドナルドへの対抗意識
競合であるマクドナルドへの対抗意識が強すぎた。マクドナルドの銀座三越出店に対抗し、ロッテリアは1972年、日本橋高島屋に1号店を出店。84年には、マクドナルドのセットメニュー「サンキューセット」(390円)に対抗し、「サンパチトリオ」(380円)を発売した。その後、2社は激烈な価格競争に突入する。コストがマクドナルドより高いロッテリアにとって、参入してはいけない戦いだった。
漁夫の利を得た「モスバーガー」
低価格化は、ハンバーガーを敬遠していた中高年層を取り込み、市場の拡大をもたらした。漁夫の利を得たのが、モスバーガーだ。 ハンバーガーに抵抗感がなくなった中高年層は、価格競争に「参戦」しなかったモスバーガーにも訪れるように。「少し高いけどおいしい」。味が評判になり、認知度が向上する。店舗数がじわじわと増える。87年には「瞬間風速」だがマクドナルドを超えた。 一方、価格競争で疲弊したロッテリアは業績が振るわず、衰退していく。価格が高いわけではない。味が悪いわけでもない。「シェーキ」は大変な人気だったし、「絶品チーズバーガー」などヒット商品もある。だが、マクドナルドほど安くないし、モスバーガーほど高品質でもない。 「マクドナルドとモスバーガーの間の店」。いつの間にか、そんなイメージが定着してしまったハンバーガーチェーン。それがロッテリアだ。
やよい軒が“ロボ化”してまで死守した「ご飯おかわり自由」
2023年03月20日
コロナ禍でライフスタイルが変容する中、大手外食チェーンが「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開している。定食屋チェーン「やよい軒」は2006年の創業時から朝食メニューを提供しており、21年3月にリニューアルして現在に至る。メニューの開発経緯や戦略について、運営企業のプレナス(東京都中央区)に取材した。 【画像6枚】「ごはんおかわりロボ」ほか、朝食メニュー(370円~) やよい軒は全国364店舗のうち294店舗で朝食メニューを展開(23年2月末時点)しており、想定ターゲットは30代以上の男性だという。実際には通勤前のビジネスパーソンはもちろん、シニアの方や若い女性も含め、しっかりと朝食を食べたい幅広い世代が利用しているそうだ。 朝の時間帯は限られた時間で店を選び、食事を済ませる必要があるため、「一度利用して満足してもらえれば、リピートの可能性が高まる」(担当者)と考えているという。そのため和洋食の定番をそろえているほか、毎日でも利用しやすい価格帯に抑えている。
人気のメニューは?
人気のある朝食メニューは「目玉焼き朝食」(480円)、「納豆朝食」(370円)、「しらすおろし朝食」(390円)。人気の理由について担当者は、「価格の手ごろさはもちろん、多くの人に親しみやすい定番だからではないか」と話す。実際の利用者からは、注文を受けてから焼いている「焼魚の品質」も評価する声も多いという。 やよい軒ではご飯のおかわりが自由(無料)であることをご存知だろうか。朝食の利用者層についても、「しっかり食事を摂りたい」ニーズをとらえていると担当者は説明する。 コロナ前までは利用客が自身で炊飯ジャーからご飯をよそう方式だったが、感染対策が必要になったコロナ禍でも同サービスは廃止せず、20年9月に「ごはんおかわりロボ」を全ての店舗に導入して対応した。 「ロボ化」したとはいえ、コロナ前からおかわりはセルフサービスだった。あくまで感染リスクを下げるための対応で、コスト(人件費)削減を意図したものではない。なぜここまでして「ご飯おかわり自由」の継続にこだわったのか? 担当者は「やよい軒といえば『ご飯おかわり自由』という位お客様に認知していただいている」とした上で、「ご飯の残量を気にせず、好きなだけ、お腹いっぱい食べられる」ことを特に重要な提供価値と捉えているからだという。使用する米にもこだわっているそうで、1994年に自社精米を導入し、計画的に精米を行うことで鮮度の良い状態で店舗へ届ける体制づくりを構築したとのこと。 定着したブランドイメージは価格競争に巻き込まれにくいといわれているが、飲食店にとって冬の時代ともいえるコロナ禍に投資を行った背景には、こうした優位性を保つための判断だったといえるだろう。