“サラリーマン漁師”水揚げゼロでも…給料&ボーナス 県外から移住「生活面は安定」
2023年03月13日
旬のサバやブリが水揚げされる高知県室戸市では、移住若手漁師が“大量”にデビュー。そこには、“不規則”で“不安定”という負のイメージを払拭した、「サラリーマン漁師」という働き方がありました。 しけなどで水揚げがゼロでも、固定給とボーナスが確実。さらに、有休や手厚い手当もあります。 高齢化や担い手不足が深刻な日本の漁師の世界を救う一手となるのか?“新しい働き方”を追跡しました。 ■熱意伝え…女性初「サラリーマン漁師」に 舞台は、高知県室戸市。「ユネスコ世界ジオパーク」に登録されている、自然豊かな町です。 土佐湾と太平洋に囲まれた漁場。旬のサバやブリなどが水揚げされる、この漁師町では今、漁師の「新しい働き方」が注目を集めています。 漁師:「昔は組合員やったけど、今は(全員)会社員」「給料はカッチリしとるし」「福利厚生もしっかりしとるし、会社員と一緒。生活面は、安定できるわな」 20人の漁師が所属する、三津大敷株式会社。去年、「組合」から「会社」に変わり、漁師は全員が“社員”として雇用されている「サラリーマン漁師」です。 勤務時間は、きっちりタイムカードで管理。天候などに左右されず、毎日決まった時間に出社します。 午前6時15分、出港。美しい朝焼けを眺めながら、きょうの漁場へ“通勤”します。 岩田梅佳さん(23):「(Q.朝日すごくキレイなんですね)そうですか?私、興味ないんで別に…ハハハハ。きょうは、どんな魚がいてるかなぐらいで」 絶景よりも、魚に興味アリの岩田さん。3年前、和歌山県から移住した、女性初の「サラリーマン漁師」です。 岩田さん:「(船酔い大丈夫?)私は(最初から)全然ないです」 漁の手法は、大型定置網漁。魚の回遊するポイントに、あらかじめ仕掛けていた網を引き揚げ、そこに掛かっていた魚を大きなタモですくい上げていきます。 網上げには、機械も導入されているとはいえ、かなりの重労働ですが…。 岩田さん:「海の上で仕事をして…というカッコ良さ。海と魚に触れられる仕事で、最初に思い付いた漁師になろうと」 当初、採用は男性限定だったものの、この会社に何度も熱意を伝え、受け入れてもらったといいます。 三津大敷 漁労部長 山本幸生さん(66):「『あの子は、すぐ辞めるだろう』というのが普通の考え。頑張っています、あんな華奢(きゃしゃ)なのに」 ■水揚げゼロでも…「給料とボーナス」保証 およそ1時間の漁を終えると、港へ戻り、種類や大きさで魚を選別します。 漁で使う道具の整備などをして、午後3時前には、すべての仕事が終わります。 岩田さん:「どかすか獲れない日もあったり、獲れた日もあったり。ホンマに、日によって色々」 山本さん:「ダメです。ホンマに量がないわー」「(Q.赤字?)赤字、赤字」 水揚げ量が少ないことや、海が荒れ漁に出られない日も避けられないのが、漁師の宿命。でも…。 山本さん:「固定給とボーナスが確実にある。水揚げ関係なくて、それが一番の違い」 たとえ水揚げがゼロでも、給料が保証されているのが「サラリーマン漁師」のメリットです。 三津大敷は去年、全国展開する水産会社に加盟しました。そこから、資金や設備の援助を受けることで、より効率的な漁が可能になったのだといいます。 岩田さんは、週6日勤務で、基本給23万円。他に食事手当1万2000円、住宅手当など、合わせて月26万7000円。年に2回ボーナスもあり、収入面での不満はないといいます。 岩田さん:「すべてと言っていいくらいのお給料が…」 余暇の過ごし方は、大好きなアイドルのライブを見ることです。 岩田さん:「大阪とかまで有給をもらって行く」「(Q.有給がある?)サラリーマン漁師です」 有給のほか、年末年始やゴールデンウィーク、お盆などが休み。休日出勤をした場合の手当も支給されます。 ■給料に驚き「こんだけもらっても…」 その待遇や休日などの安定に魅力を感じ、「サラリーマン漁師」に転職した人もいました。 河野清隆さん(32)は、5歳の息子と3歳の娘の2児のパパ。6年前まで、食品工場で製造を担当していました。 河野さん:「最初、『こんだけもらっても、いいものか』ビックリした」「(Q.以前より、お給料良くなった?)もう、はるかに」 去年、副船長に抜擢(ばってき)された河野さん。頑張れば評価され、昇給もある環境にやりがいを感じているといいます。 2年前、念願だった5LDKのマイホームも建てました。 午後3時には仕事が終わるため、子どもと過ごせる時間が増えたことが、何よりの幸せだとか…。 「共働き」の妻を助けるうちに、料理の腕もみるみる上達しました。 妻・愛さん:「私より上手。すごく助かっています。ほとんどやってもらってばっかり。お迎えもご飯も」 ■漁師の確保…行政もバックアップ 室戸市では漁師の後継者不足を解消しようと、今では4つの定置網漁の漁業者が「サラリーマン漁師」制度を導入しています。 去年兵庫県から移住 藤田美優さん(21):「雰囲気は良いです。優しい人が多くて。思っていた以上に働きやすい」 ベテラン漁師:「だいたい女性やったら、こういう仕事はかっぱで長靴…イヤやろ?若い子やったらオシャレもしたいし、本人は好きなんがよね、この子は」 藤田さん:「全然、肌とか気にしな~い」 過去4年で、30人以上が県外から移住してきました。 ベテラン漁師:「(漁業を)絶やさんために、県外から来た人でも受け継いでもらえたら。世代交代。今から先、若い子の力じゃないと」 漁師の確保を行政もバックアップ。室戸市では、移住を検討する人が、家財道具がそろった施設を格安で利用することができます。 室戸市移住促進室:「急に漁師になるより、研修制度をはさんで自分に合うか見極められる時間がある。移住してくる人も、ストレスなく室戸に来れるのでは…」 ■“海の男”憧れ…県外の若者が研修に この日も、県外から研修に訪れた若者がいました。 奈良県に住む寺島悠さん(18)。テレビで見た“海の男”に憧れ、3カ月前に続き、2度目の研修なのですが、この日は、あいにくの雨で海も荒れ模様。寺島さん、大丈夫でしょうか? 意外な大漁に、沸き立つ船上! 漁師:「引いてくれ」 先輩たちの足を引っ張らないよう、必死に食らいつきます。 およそ1時間、悪天候と闘いながらも水揚げは上々。先輩たちは、「船酔いしなかっただけで立派」と評価していました。 山本さん:「最近の若い子は、しっかりしている。受け答えも何も。なかなか良い子と思います」 寺島さん:「立ち姿とか、かっこいいなって。まだまだですけど、頑張っていきたいと思います」 寺島さんは来月、サラリーマン漁師としてデビューすることに決めました。
トルコ大地震から1カ月 被災者146万人がテント生活 大量のがれき撤去も課題
2023年03月06日
トルコとシリアで合わせて5万2000人以上が死亡した大地震から6日で1カ月になります。被災地ではテント暮らしを余儀なくされている人が146万人余りいて、政府の対応の遅れを批判する声も上がっています。 トルコ大地震では、国内だけでも21万棟以上の建物が倒壊もしくは大きく損傷し、家を失った被災者の支援が課題となっています。 トルコ政府によりますと、家を失った159万人余りが避難生活を送っていますが、仮設住宅が割り当てられたのは4万人余りにとどまっていて、ほとんどの被災者がテント暮らしを余儀なくされています。 エルドアン大統領は1年以内に住宅を提供することを約束していますが、進まない復興に政府の対応を批判する声も上がっています。 一方、被災地で大量に発生したがれきの処理も悩ましい課題となっています。 国連は倒壊した建物などをすべて取り壊した場合、最大で約2億1000万トンのがれきが発生すると推計しています。 これは1メートルの高さで100平方キロメートルの面積が必要になる量です。 集積場所の確保の問題とともに、専門家はがれきの中に、人体に悪影響を及ぼすアスベストが含まれている恐れがあると警告します。 がれき撤去を巡り、スピードと安全性のどちらを優先させるのか、被災地は難しい課題に直面しています。
習氏3期目、一極化が加速 側近起用で異論排除 中国
2023年03月06日
5日開幕した中国全国人民代表大会では、習近平国家主席(共産党総書記)の3期目を支える政府の新体制が決まる。 【写真】中国共産党序列2位の李強・政治局常務委員 習氏は主要人事を側近で固める見通しで、異論排除と権力集中が一層進む。しかし、習氏が誤った判断をしたときに歯止めをかける人物は不在。体制の危うさはかえって増している。 5日の開幕式では「一強」を体現するかのように、満足げにうなずきながら入場する習氏の後ろを、数人分の間隔を空けて新旧最高指導部メンバーが続いた。今回の全人代で退任する李克強首相は政府活動報告で、習氏の名前に14回言及し、忠誠を誓った。昨秋の党大会を経て3期目入りした習氏は、地方勤務時代からの側近を中心に気心の知れた人材を新指導部に多数登用してきた。 象徴的なのが、首相の交代だ。習氏との路線の違いが指摘されてきた李克強氏の後任には、党序列2位、李強・政治局常務委員が11日に選出される見通しだ。浙江省を中心にキャリアを積んだ李強氏は、習氏が同省トップだったときに知遇を得た。李強氏が中央政府で勤務するのは初めてで、巨大な官僚機構を操縦できるのか手腕が危ぶまれている。 しかも、昨年まで上海市トップを務めていた李強氏は約2カ月間の都市封鎖(ロックダウン)を強行し、経済停滞を引き起こした。厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策は習氏の肝煎りで始まった。市民の不満の声は早い段階で届いていたが、習氏に忠実な李強氏はなかなかロックダウンの解除に踏み切らなかった。 ゼロコロナは昨年末に突然撤回されたが、経済と社会の混乱の影響は今も続いている。それにもかかわらず、5日の政府活動報告では、感染症に適切に対処したとして「決定的な大勝利を収めた」と自画自賛した。 習氏が後継となる人材を意識的に育ててこなかったことも、体制の不安定要素だ。昨秋の党大会では、「ポスト習」となる幹部が最高指導部入りしなかっただけでなく、次世代の指導者候補である1970年代生まれの若手も党トップ200人の中央委員に入らず、「習の次は習」と指摘される状況が続いている。 中国の改革派知識人は「一極化が強まれば周りの能力はどんどん低くなり、忠誠を誓う人しかいなくなる」と危機感をあらわにする。「誰が(首相ら高官に)なっても同じだ。今後10年は何も変わらない」と語った。
楽天モバイル、詐欺事件の実損100億円 元部長、水増し請求主導か
2023年03月06日
楽天モバイルの元部長らが同社に約300億円を不正に支払わせていたとされる詐欺事件で、同社の実質的な損害が100億円近くに上ることが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、元部長が水増し請求額の算定に関与して事件を主導したとみている。 【画像】悪夢を見ている気持ちになった上司からの突然のLINE 楽天モバイル事業で怒りの声 捜査関係者によると、元部長の佐藤友紀容疑者(46)らが不正に請求した総額は、2021年12月までの2年余りで約300億円に上る。警視庁が精査したところ、このうち100億円近くが架空の保管料や輸送費など実態のない業務を水増しした請求で、楽天モバイルが受けた損害となるとわかった。残りの約200億円は取引の対価だったが、取引自体が不正と判断されたという。 水増し請求は、楽天モバイルが進めていた携帯電話基地局整備事業の物流業務を委託された「日本ロジステック」が楽天モバイルに対して行っていたとされる。佐藤容疑者は、日本ロジが業務を再委託した物流会社「TRAIL」の社長、浜中治容疑者(49)に実態のない請求書を提示。請求元は自身の妻が代表の法人で、TRAILとの取引を装って不正に得た金を還流させていたという。 警視庁は5日、佐藤、浜中の両容疑者と、同じく詐欺容疑で逮捕された日本ロジの元常務、三橋一成容疑者(53)を送検した
ロシア侵攻前に値下がり 中国需要増で高騰再燃も 原油相
2023年03月06日
ロシアのウクライナ侵攻で跳ね上がった原油相場が落ち着きを取り戻している。 【図解】WTI原油先物相場の推移 世界的な景気後退への懸念や欧州の暖冬が需要を抑え、価格は侵攻前の水準に下がった。ただ、景気回復が進む中国の需要拡大で、原油高が再燃するリスクもくすぶる。 原油価格の代表的指標である米国産WTI先物価格は、足元で1バレル=70ドル台後半で推移している。昨年2月に主要産油国のロシアがウクライナに侵攻を始めると、供給不安から一時130ドルに高騰。日本を含む各国の燃料価格を押し上げ、インフレに拍車を掛けた。 その後は、景気が後退するとの見方から原油需要が低迷。国際エネルギー機関(IEA)は「今年前半は供給が需要を上回る」と分析する。 ただ先行きは不透明だ。米欧諸国はロシア産原油の輸入を原則停止し、価格に上限を設定する制裁を発動。ロシア産原油への依存度が高かった欧州は、調達先を米国などに切り替えている。一方でロシアは、インドや中国への輸出を強化し、世界の原油供給の流れは大きく変わった。 米石油大手エクソンモービルのウッズ最高経営責任者(CEO)は「(原油を巡る)混乱が市場にどう影響を与え、短期的に(供給網の)断絶がどうなるかが問題だ」と、強まる不確実性を警戒。世界の供給網が安定するには、時間がかかるとの見方を示した。 中国の動向も原油相場のカギを握る。IEAは、厳格な新型コロナウイルス感染防止策を解除した中国で経済活動が活発化し、航空燃料需要が膨らむと予想。「(世界的な)需要回復とロシアの生産次第で直ちに供給不足に陥る」と、再び原油高に直面する恐れがあると警鐘を鳴らしている。
「ホテルニューアカオ」負債は100億円超…熱海・老舗ホテル再建の苦難
2023年03月06日
今回のテーマは、「ニッポンの温泉地が激変!~あなたの知らない令和の熱海~」。 国内の人気温泉地ランキングで9年連続1位となった熱海。一時はハネムーンや団体旅行の減少で苦境に立たされたが、若者たちの人気を集め、V字回復を遂げたことで話題となった。 その熱海に、今、アメリカや中国など、海外資本のホテルが相次いで参入している。従来の温泉旅館とは一線を画す豪華なサービスとは。 「昭和の温泉地」から「令和のリゾート」へ変貌を遂げ始めた熱海の舞台裏に、番組が独占密着した。
「熱海名物」の巨大ホテルが蘇る!?「アカオ」復活を目指す経営再建のプロ

“経営再建のすご腕”として知られる中野善壽さん
静岡・熱海市。昭和30年代は新婚旅行先としてブームとなり、その後は社員旅行で団体客が押し寄せ、にぎわいをみせた。 海にせり出す20階建ての巨大な建物「ホテルニューアカオ」(客室数250)ができたのもこの頃だ。 今年で誕生50年を迎え、熱海のランドマークと称されてきた「ニューアカオ」だが、老朽化が進んだ上、時代とともに団体客から個人旅行へと旅の形が変わり、宿泊客は減少。 2018年には、台風の高波によって海に面したレストランの窓が大破。そこへコロナ禍が追い打ちをかけ、負債は100億円超に。そして、2021年に営業を終了した。 そんな「ニューアカオ」の再生を託されたのが、”経営再建のすご腕”として知られる中野善壽さん(79)。中野さんは、伊勢丹など百貨店業界で活躍後、2012年に老舗倉庫会社「寺田倉庫」の社長に就任。個人が低価格で利用できる収納サービスや新事業を次々と打ち出し、業績をアップさせた。 さらに中野さんは、倉庫だった建物を店舗やイベントスペースなどに変え、それまで無縁だった若者たちを呼び込み、品川区・天王洲の倉庫街を人気スポットに一変させた。

「ニューアカオ」で世界中の芸術家を呼び寄せたアートイベントを開催
2021年10月、中野さんは「アカオ・スパ&リゾート」のCEO(最高経営責任者)に就任。「ニューアカオ」「ロイヤルウイング」を含む、東京ドーム約14個分の敷地の運営を依頼された。 しかし、「ニューアカオ」の改修には、巨額の費用が必要だ。 「数字を見てびっくりして、躊躇どころじゃなかった。どうしろと言うんだと。ただ、行きもしないで断るのも良くないと思って来てみたら、熱海ってすごいんだね」と中野さん。その魅力を知り、賭けてみる気になったという。 その後は、「ニューアカオ」で世界中の芸術家を呼び寄せたアートイベントを開催。15万人を集めるなどし、中野さんの新たな取り組みは大きな注目を集めた。 中野さんがどう熱海を変えてくれるのか。期待は大きくなるばかりだが、「ニューアカオ」は、2年前に営業を終了して以降、ほとんど使われていない。
街の除雪と「働き方」どう両立 長時間労働規制を建設業も適用へ 悩む雪国長野県の業者
2023年03月06日
長時間労働の是正を図る改正労働基準法が建設業でも2024年4月から適用されるのを前に、道路の除雪業務をどう請け負うか、県内業者が頭を悩ませている。人材不足が続く一方で、日中だけでなく深夜や早朝の作業も多く、従業員の労働時間が基準内に収まりにくいためだ。迅速な除雪は暮らしや経済に欠かせず、規制の例外とするよう求める声もあるが、働き方を改善する流れに逆行しかねない。先行きは流動的だ。
深夜・早朝の勤務、人手不足、作業量は天候次第………近年は撤退も
2月21日午前2時半ごろ、飯山市静間の市道。20センチほど積もった雪を大栄開発(飯山市)の除雪車がかき分けていった。担当する約4キロ区間の作業は同7時ごろ終了。オペレーターの男性従業員(40)は自宅で1時間ほど休憩し、その後はいつも通り車両の修理などの業務をこなした。 同社は土木工事などを手がけ、冬場の業務は除雪関連が中心。今冬は県道や市道などの約20路線、計約50キロ区間を担当する。「積雪が多い地域。除雪作業はインフラを維持する大切な業務の一つだ」。大熊孝博社長は力を込める。 市は市内を12ブロックに分け、業者に除雪などの業務を委託。積雪が10センチを超えたら出動する取り決めだ。夜間の降雪時は朝の交通が乱れないよう、午前7時までに作業を終えるよう求めている。 このため同社では従業員約40人が除雪車のオペレーターと助手の2人一組で班をつくり、除雪は午前2時ごろから作業を開始。日中、道路脇に寄せた雪を大型ダンプで運ばなければならない時もある。 ただ、人手は潤沢ではない。雪が多く降った昨年1月や2月は時間外労働(残業)が月100時間を超える従業員も出た。2024年の残業規制強化後は、基準に触れる水準だ。今冬は雪が少ないが、24年の冬へ「どう対応すべきか」。大熊社長は腕を組む。 伊那市の国道や県道、市道の14路線、計約50キロ区間の除雪を今冬請け負う宮下建設(伊那市)は、約40人の従業員が班を編成。当番制で凍結防止剤の散布などに当たる。県北部とは異なり雪はそれほど多くなく、冬期間も変わらず土木・建築事業を請け負う。 だが2月10日の大雪では市内でも多いところで30~40センチほどの雪が積もり、従業員らは終日、除雪作業に追われた。除雪で残業してもらった場合も、予定していた通常業務の量は抑えがたい。「自然に左右されるため、労働時間の管理が難しい」。同社舗装課の中谷邦広課長は悩む。 国土交通省や県によると、県内の国道や県道では今冬、427路線の計約5460キロ区間で業者に除雪などを委託している。一方、県内の建設業許可業者数は1999年の1万930社をピークに減少傾向が続き、21年は7534社=グラフ。「きつい、汚い、危険」といったイメージから慢性的な人材不足が続き、高齢化も進む。 南信地方の業者は、除雪業務を今後も請け負えるか「10年後は分からない」と漏らす。伊那市は今冬、25社に市道の除雪などを委託しているが、長年担ってきた業者の撤退も近年出てきている。県道路管理課にも、現状のまま残業規制が強化されても対応は難しい―との声が寄せられているという。
時間外労働の上限規制
働き方改革関連法のうち、2019年4月施行の改正労働基準法で時間外労働は原則月45時間、年360時間と規定された。繁忙時など特別な事情がある場合は月100時間未満、年720時間以内、2~6カ月の月平均80時間を超えない範囲で認められる。違反した場合は6月以下の懲役か30万円以下の罰金が科される。建設業では、労働環境をすぐに改善するのが難しいとして5年間の猶予期間が設けられ、24年4月から適用される。
何故FENDIのはぎれを売ると書類送検されてしまうのか?
2023年03月06日
「ダイソーが高級ブランド”FENDI”のロゴ入り“はぎれ”を無断販売?女性社員”仕入れ先から大丈夫と”」というニュースがありました。100均ショップのダイソーが販売する裁縫用のはぎれセットの中にイタリアの高級ブランドFENDIのロゴが書かれていたものがあったことで、商標権侵害の疑いにより、仕入担当のダイソー社員と企業としてのダイソーが書類送検された(逮捕ではありません)という事件です。
FENDI社(伊FENDI S.r.l)は「織物」を指定商品に含む、”FENDI”という文字商標登録(たとえば、2141386号)の権利者になっていますので、FENDIと書かれた布を業として販売することが、少なくとも形式的には商標権侵害になることに疑いの余地はありません。
冒頭の記事によると、「布はもともとFENDIが発注していたが、検品ではじかれたものが出回り、ダイソーの店で売られていたという」ということなので、まったくのパチモノというわけではなさそうですが、はぎれがFENDIの正規商品ではない以上、商標権侵害になることに変わりはありません。
考え方としてはちょっと前にあった(それ以前からもちょくちょくあった)ブランドジーンズを改造してバッグにし、商標が付された状態で販売した人が、商標権侵害により逮捕されてしまった事例と同様です(関連過去記事)。
ただ、書類送検(あるいは、逮捕)となると、単に民事上の差止めや損害賠償という話ではなく、刑事事件です。商標権侵害を刑事事件化するためには、「故意」という要件が必要です(過失商標権侵害罪といったものはありません)。今回のケースが故意にあたるかどうかは微妙だと思います。冒頭記事でも、ダイソーの社員の方は「仕入れ先から大丈夫と言われ、確認をしなかった」と述べているようで、仮に過失はあったとしても故意とまでは言いにくいでしょう。
商標権侵害は非親告罪なので、制度的にはFENDIの告訴がなくても起訴は可能ですが、おそらくは不起訴になるのではと思います。これは想像でしかないですが、検察の運用としては海外高級ブランドの商標権侵害事件はまず立件するということなのかもしれません。また、今回のケースで言えば、はぎれを流出させたサプライヤーの方の責任が重い(FENDIとの契約違反の可能性が高いでしょう)と思われますので、そちらの捜査を進めるためにまずは書類送検という話なのかもしれません。
豆腐とラムネ、意外な共通点 「懐かしの味」守る46年前制定の法律【けいざい百景】
2023年03月06日
冷ややっこや鍋物など幅広い料理に使われる豆腐と、夏祭りの屋台で爽やかな味を楽しむラムネ。この二つが意外な共通点を持つことはあまり知られていない。いずれも「夏によく売れる」は分かりやすい特徴だが、これでは意外とは言えない。では、豆腐とラムネの意外な共通点とは―。 【図解】中小企業分野調整法による「調整」の仕組み 実はいずれも大企業が事実上製造できない商品だということだ。かつては食品大手や飲料大手が新規参入を試みたこともあった。しかし、最終的には46年前に制定されたある法律の存在が大きく、結局、断念に追い込まれ、今も中小企業がその味を守り続ける。ラムネなどの「昔と変わらぬ懐かしの味」には理由があったのだ。(時事通信経済部 新井拓真) ◇国は「指定せず」 その法律は中小企業分野調整法だ。分野調整法は、中小企業が多い事業分野への大企業の参入について、国が「調整」を行って問題を解決するための規定を設けている。 調整とはこの場合、大企業と中小企業の間に入って仲裁役となり、事業分野のすみ分けなどを勧めることだ。同法は、両者の話し合いによる自主的な解決を重視しながらも、解決に至らない場合は、大企業への強制力を行使する仕組みとなっている。 誤解されることが多いが、分野調整法は、対象となる事業分野について「指定をしているわけではない」(中小企業庁取引課)。指定する品目を客観的に選ぶことができないなどの問題があるためで、実際には業界団体が対象品目を挙げる形で「指定」が行われている。 全国清涼飲料協同組合連合会(清協連)など2団体は、中小企業が長年取り扱ってきた6品目を「中小企業分野宣言製品」として選定し、各方面に協力を求めている。 具体的には、ラムネのほか、クリスマスパーティー定番の飲み物「シャンメリー」(正式な指定名称は「シャンパン風密栓炭酸飲料」)、冷凍して二つに折って食べる「チューペット」などの「ポリエチレン詰清涼飲料」、安く飲みたいサラリーマンの味方「ホッピー」や「ハイサワー」などの「焼酎割り用飲料」がある。他にも「びん詰コーヒー飲料」や「びん詰クリームソーダ」が対象だが、現在は知る人も少ない。 一方の豆腐について、全国豆腐連合会(全豆連)は、飲料業界のような品目指定を行っていないと説明する。ただ、業界として大企業の新規参入に反発してきた経緯もあり、一般に対象品目として受け止められているもようだ。 分野調整法と業界の意向が一体となって効果を発揮するこの複雑な仕組みについて、事情に詳しい関係者は「実際には、法律を後ろ盾に『手荒なことはしたくない』とけん制し、話し合いで解決するためのものだ」と解説する。 しかし、なぜ中小企業に対してこのような手厚い保護を行っているのか。その謎を解くには法律が制定された当時の歴史を振り返らなければならない。 ◇「福祉優先」の時代 分野調整法が制定された1970年代。国内景気は、高度経済成長に終止符を打った73年の第1次石油危機によって急減速していた。74年の経済成長率はマイナスに陥り、物価上昇率は前年比23.2%に達し「狂乱物価」との言葉が生まれた。 大企業は経営の安定化を図るため、新たに中小企業の多かった事業分野にも進出し、かまぼこなどの業界で紛争が相次いだ。中小企業の間では、従来の行政指導による紛争解決でなく、強制力のある法律の制定を求める声が高まる。
「お通しの砂糖菓子と思った」驚きも 「圧縮おしぼり」飲食店にじわり浸透、人気の背景を探った
2023年03月06日
砂糖菓子のように小さな「圧縮おしぼり」が飲食店などで存在感を増している。直径2センチほどの円形で、少量の水を垂らすともくもくと広がる。膨らんだおしぼりを広げると、手をぬぐうなどして使うことができる。ユニークな仕掛けだとSNSで話題になることもある。 【写真】水を含ませて膨らむと・・・ J-CASTニュースの取材に対し、実際に導入した飲食店は「お客様に喜んでもらえて好評です」と話す。 ■「お通しの砂糖菓子と思ってかじるとこだったよー」 圧縮おしぼりは2023年2月中旬、人気声優の山寺宏一さんがツイッターで紹介したことで大きな注目を集めた。山寺さんは飲食店で提供された際に驚いたようで、次のようにツイートしている。 「直径2cmのコレがおしぼりだなんてオジサン知らなかったよーお通しの砂糖菓子と思ってかじるとこだったよー」 写真には、茶托のような受け皿に載せられた小さなタブレット状のものが写されていた。この投稿は、21日までに79万7000回以上表示され、ニュースでも取り上げられた。ファンからも「ぱっと見ほんとにお菓子かと思っちゃう」「これ、おしぼりなの!!? 」などと驚く声が寄せられた。 圧縮おしぼり「MOWA」を製造する大黒工業(愛媛県四国中央市)は取材に対し、開発背景について次のように説明する。 「そもそも韓国やハワイなど海外では使用されていた商品です。日本でも圧縮タオルなどはノベルティーとして古くから使用されていました。当社は使い捨ておしぼりの加工メーカーとして、遊び心があっていいのではと圧縮おしぼりの販売を行うことにしました。発売は10年前からになります」 MOWAは、水分を含まない状態で生産される。使い捨て紙おしぼりの機械で素材となる紙を丸め、油圧式プレス機で6本ずつプレスして完成だ。飲食店向け業務用品の卸をしている問屋を中心に、年間で350万個ほど販売しているという。
実際に提供する飲食店でも大好評
大黒工業によれば、従来の使い捨ての紙おしぼりは、乾燥などを防ぐために、温めたり冷やしたりしての利用は推奨していない。また、品質維持の観点から余分な成分を添加することを控えているという。 一方で圧縮おしぼりは、使う場面に合わせて温かいお湯や冷水を含ませることが可能なうえ、レモン水を含ませるなど「様々なおもてなしにご利用いただける」という。 茨城県つくば市のカフェ「アオイオト」は22年4月から、圧縮おしぼりを採用した。取材に対し、代表の鈴木佳代子さんは「生地がしっかりしていてプラスチックのゴミも出ないので良いことだけです」と述べる。 「提供の際には必ず使い方、こちらはおしぼりになりますとご案内をします。初めて目にする方はとても感激していたり、動画に収めている方もいたり、とても喜ばれていて、提供するたびこちらも楽しい接客となっております」 アオイオトでは、鈴木さんの友人の家具職人がデザインした専用のプレートにおしぼりを添えており、店の雰囲気づくりに役立てている。今後も提供を続けていきたいという。 北海道札幌市のラーメン屋「とくいちNouilles Japonaise」は、23年2月2日のオープンと同時に圧縮おしぼりを導入した。オーナーの磯部拓也さんは、「お客様に喜んでもらえるだけでなく、場所を取らずにコンパクトにしまえて便利です」と話す。 「当店の監修に携わったフレンチレストラン『Le Musée』で提供されている圧縮おしぼりを採用しました。当店のラーメンを、洗練された料理として楽しむためお客様の心を整えていただく効果があると思います。おしぼりに含ませる水はトドマツの香りを添えており、北海道らしさを演出しています」 オープンから1か月も経っていないものの、SNSには「お上品美味しかった~ お湯かけたら膨らむおしぼりがイリュージョンみたいで楽しかったな」などの口コミが寄せられている。
