豆腐とラムネ、意外な共通点 「懐かしの味」守る46年前制定の法律【けいざい百景】
2023年03月06日
冷ややっこや鍋物など幅広い料理に使われる豆腐と、夏祭りの屋台で爽やかな味を楽しむラムネ。この二つが意外な共通点を持つことはあまり知られていない。いずれも「夏によく売れる」は分かりやすい特徴だが、これでは意外とは言えない。では、豆腐とラムネの意外な共通点とは―。 【図解】中小企業分野調整法による「調整」の仕組み 実はいずれも大企業が事実上製造できない商品だということだ。かつては食品大手や飲料大手が新規参入を試みたこともあった。しかし、最終的には46年前に制定されたある法律の存在が大きく、結局、断念に追い込まれ、今も中小企業がその味を守り続ける。ラムネなどの「昔と変わらぬ懐かしの味」には理由があったのだ。(時事通信経済部 新井拓真) ◇国は「指定せず」 その法律は中小企業分野調整法だ。分野調整法は、中小企業が多い事業分野への大企業の参入について、国が「調整」を行って問題を解決するための規定を設けている。 調整とはこの場合、大企業と中小企業の間に入って仲裁役となり、事業分野のすみ分けなどを勧めることだ。同法は、両者の話し合いによる自主的な解決を重視しながらも、解決に至らない場合は、大企業への強制力を行使する仕組みとなっている。 誤解されることが多いが、分野調整法は、対象となる事業分野について「指定をしているわけではない」(中小企業庁取引課)。指定する品目を客観的に選ぶことができないなどの問題があるためで、実際には業界団体が対象品目を挙げる形で「指定」が行われている。 全国清涼飲料協同組合連合会(清協連)など2団体は、中小企業が長年取り扱ってきた6品目を「中小企業分野宣言製品」として選定し、各方面に協力を求めている。 具体的には、ラムネのほか、クリスマスパーティー定番の飲み物「シャンメリー」(正式な指定名称は「シャンパン風密栓炭酸飲料」)、冷凍して二つに折って食べる「チューペット」などの「ポリエチレン詰清涼飲料」、安く飲みたいサラリーマンの味方「ホッピー」や「ハイサワー」などの「焼酎割り用飲料」がある。他にも「びん詰コーヒー飲料」や「びん詰クリームソーダ」が対象だが、現在は知る人も少ない。 一方の豆腐について、全国豆腐連合会(全豆連)は、飲料業界のような品目指定を行っていないと説明する。ただ、業界として大企業の新規参入に反発してきた経緯もあり、一般に対象品目として受け止められているもようだ。 分野調整法と業界の意向が一体となって効果を発揮するこの複雑な仕組みについて、事情に詳しい関係者は「実際には、法律を後ろ盾に『手荒なことはしたくない』とけん制し、話し合いで解決するためのものだ」と解説する。 しかし、なぜ中小企業に対してこのような手厚い保護を行っているのか。その謎を解くには法律が制定された当時の歴史を振り返らなければならない。 ◇「福祉優先」の時代 分野調整法が制定された1970年代。国内景気は、高度経済成長に終止符を打った73年の第1次石油危機によって急減速していた。74年の経済成長率はマイナスに陥り、物価上昇率は前年比23.2%に達し「狂乱物価」との言葉が生まれた。 大企業は経営の安定化を図るため、新たに中小企業の多かった事業分野にも進出し、かまぼこなどの業界で紛争が相次いだ。中小企業の間では、従来の行政指導による紛争解決でなく、強制力のある法律の制定を求める声が高まる。
「何故FENDIのはぎれを売ると書類送検されてしまうのか?」
