「暴挙には高い代償が伴うことを示す」日本もSWIFTからのロシア排除の取り組みに参加 岸田総理が表明
2022年02月28日
岸田総理は27日夜、「ウクライナへのロシアの侵略により、ロシアとの関係をこれまで通りにしていくということはもはやできない。日本はG7各国、国際社会ともにさらに厳しい制裁措置を取る」と述べ、「けさ発出された欧米諸国からの表明では、SWIFTからのロシアの特定銀行からの排除をはじめ、ロシアを国際金融システムや世界経済から隔離させる措置を講ずるとされている。欧米諸国から声明への参加要請があり、日本も取り組みに加わる。他のG7諸国からも強く歓迎する意向が示されている」とした。 【映像】「ロシアの戦車を止めようと」道路にひざまずく男性 また、プーチン大統領を含むロシア政府関係者への資産凍結のなどの制裁を措置を取るほか、ウクライナに対し1億ドルの緊急人道支援を行うことも表明した。こうした決定について遅れをとっているのではないかとの質問には「遅れたとは認識していない。日本はこれまでもG7をはじめとする国際社会と連携して対応してきており、その立場は変わらない」と答えた。
習近平氏、米欧制裁巡り「ロシア支援」指示…軍事侵攻には態度表明せず
2022年02月28日
ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、中国の習近平(シージンピン)国家主席が、態度表明は留保しつつも、米欧の制裁についてはロシアを支援するように指示していたことが27日、わかった。中国政府関係者が明らかにした。習政権は、中長期的に続く米国との対立をにらみ、対露連携を維持するためにロシア寄りの姿勢を強めている。 【写真特集】ロシア軍、首都キエフ中心に迫る
関係者によると、中国共産党は24日、ウクライナ侵攻を受け、王毅(ワンイー)国務委員兼外相や国家安全相、商務相、軍幹部らを集めた緊急会合を開いて対応を協議した。習氏は「ロシアは台湾の武力統一に支持を表明したことはないので、(ウクライナへの軍事侵攻については)当面は態度を示さない」との方針を示したうえ、「違法な米英の制裁下にあるロシアを経済・貿易面で支援する」よう指示したという。
習氏は会合翌日の25日、プーチン露大統領と電話で会談し、「各国の合理的な安全に関する懸念を重視、尊重する必要がある」と述べ、ロシアの立場に理解を示した。王氏も25~26日に英仏独や欧州連合(EU)の外相らと個別に電話会談し、「ロシアの安全に関する要求の適切な解決」や「武力行使や制裁を可能とする国連憲章7章に基づく決議には一貫して反対」などを強調した。
中国税関総署は23日の公告で、病害などを理由に一部禁止していたロシア産小麦の輸入を全面解禁した。北京で今月4日に行われた中露首脳会談でも、自国通貨での決済拡大や中国への天然ガスの追加供給で合意するなど、ロシアが米欧による制裁の影響を相殺できるように下支えする動きを見せている。
25日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、ロシア軍の侵攻前、米側は複数回にわたって王氏ら中国政府高官に対し、侵攻を思いとどまるようにロシアを説得するよう要請したが、中国側は取り合わなかったという。
在北京の外交筋は「ロシアは中国が反対に回ることはないと確信して侵攻に踏み切った。中国がロシアの背中を押しているようなものだ」と語った。
ウクライナ、ロシアと協議で合意 前提条件なしと外相
2022年02月28日
ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ロシア側交渉団との協議をベラルーシ国境で前提条件なしで行うと明らかにした。 【動画】欧米などがSWIFTからロシアを締め出し、その効果とは ゼレンスキー大統領はベラルーシ大統領との電話会談後に声明で、「ウクライナの代表団は、ロシア代表団との協議を、プリピャチ川近くのベラルーシとの国境で前提条件なしに行うことで合意した」と述べた。 ロシアは当初、ベラルーシ領内での協議を提案。ロシア軍がベラルーシからウクライナに侵攻したこともあり、ゼレンスキー大統領は交渉を拒否するとともに、他の場所で協議することを提案していた。 ウクライナのクレバ外相は、協議が続いている間は戦争に関与しないとベラルーシから保証を得たと説明。「ロシアが何を話すか聞いてみよう」と語った。ロシアは軍事作戦の後退を余儀なくされて、前提条件をつけてこなかったとも述べた。 一方で同外相は、プーチン大統領が核戦力の部隊を高度の警戒態勢に置いたことに関しては、交渉に圧力をかけようとしていると分析した。
EU、全空域でロシア航空機の飛行不可に…国営メディアの報道も禁じる
2022年02月28日
欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は27日、ロシアのウクライナ侵攻を受けた制裁として、ロシアの航空機に対し、EUの全空域を閉鎖すると発表した。 【写真特集】 破壊された街、立ち尽くす人々
ロシアの航空会社や個人のプライベートジェットなどは、EU上空の飛行や、EU域内の空港の利用ができなくなる。領空の管理権限は各国にあり、すでに多くのEU加盟国が、ロシアの航空機の領空飛行を禁じる措置を取っている。
また、「プーチン露大統領の戦争を正当化し、EUを分断させるため偽情報を広めている」として、ロシア国営メディア2社のEU域内での報道を禁じる。ロシアを支援しているベラルーシに対しても、たばこやセメント、鉄鋼などの輸入を停止する新たな制裁を導入する。
EUは27日に外相理事会を開き、ロシアとベラルーシへの制裁導入や、ウクライナ政府への武器の購入資金の援助などで合意する見通し。
ウクライナ難民、36万人以上に 国連
2022年02月28日
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は27日、ロシアによる侵攻を受けて、36万8000人以上がウクライナから国外に逃れたと明らかにした。ウクライナを脱出する人の数は増え続けているという。 【写真特集】ロシアのウクライナ侵攻 15万6000人以上はポーランドに避難した。国境警備隊によると、26日だけで7万7300人増加したという。 難民は車や列車、徒歩でポーランド入りしている。行く当てのない人は、ボランティアやNGOの支援を受けられる。 モルドバやハンガリー、スロバキア、ルーマニアに避難する人もいる。
英BP、ロスネフチ株売却 ロシアから事実上撤退
2022年02月28日
英石油大手BPは27日、保有するロシアの石油大手ロスネフチの全株式を売却すると発表した。ロシア国内で手掛けてきたロスネフチとの合弁事業も終える。ロシアからの事実上の事業撤退で、他の企業でも同様の動きが広がる可能性がある。 【写真】攻撃受け炎上する露の装甲車 ウクライナ高官「露軍が兵士4300人失った」
ヘルゲ・ルンド会長は声明で「ロシアによる軍事行動で根本的に状況が変わった。ロスネフチ株の保有はBPの戦略と合致しなくなった」と表明した。 バーナード・ルーニー最高経営責任者(CEO)はロスネフチの取締役を辞任。BPはロスネフチ株の19.75%を取得していた。
世界最大の輸送機がキエフ近郊で焼ける 世界に1機、宇宙船の運搬用
2022年02月28日
ウクライナメディアなどは27日、首都キエフ近郊の空港に駐機していた世界最大の航空機「アントノフ225ムリーヤ」が焼けたと報じた。1980年代、旧ソ連時代のウクライナで宇宙船の運搬用に開発され、世界に1機しかなかった。 【画像】中部空港から飛び立つアントノフ225ムリーヤ ムリーヤの詳しい損傷状況などは報じられていないが、駐機していたとされるキエフ北部の空港は、ロシア軍からの攻撃を受けていた。 ムリーヤはウクライナ語で「夢」という意味で、全長84メートル、全幅約88メートル。旅客機のエンジンは左右に1基ずつしかないことが多いが、ムリーヤは3基ずつ搭載していた。本体の重量は約175トンで、総重量が最大600トンでも離陸できた。 2010年にはタイから日本の中部空港に、給油目的で初飛来。20年5月にも、新型コロナウイルスに対応するための医療物資をカナダへ運ぶため、中部空港に寄航していた。
ロシア一部銀行のSWIFT排除で合意、米欧が追加制裁
2022年02月28日
米国、英国、欧州、カナダは26日、ロシアの一部銀行を国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意した。ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの新たな制裁措置の一環。 共同声明は、欧州委員会、フランス、ドイツ、イタリア、英国、カナダ、米国の首脳が署名。制裁にはロシア中央銀行の外貨準備に関する規制も含まれ、数日中に実行する。 声明は「われわれはロシアに(ウクライナ侵攻の)責任を取らせる。この戦争がプーチン(大統領)にとって戦略的な失敗に終わるよう、共同で取り組む所存だ」とし、「われわれはきょう発表した措置に加えて、ロシアにウクライナを攻撃した責任を取らせるため、さらなる措置を講じる用意がある」とした。 欧州委のフォンデアライエン委員長は「ロシア軍がキエフやその他のウクライナの都市を攻撃する中、われわれはロシアに巨額のコストを科し続けることを決意している。そのコストとは、ロシアを国際金融システムとわれわれの経済からさらに孤立させるものだ」と述べた。 SWIFTから排除されたロシアの銀行は、世界での金融取引の大半ができなくなり、ロシアの輸出入を効果的に止めることになると説明。「これらの銀行は国際的な金融システムから切り離され、世界で事業を展開する能力が損なわれるだろう」とした。 具体的にロシアのどの銀行がSWIFTから排除されるのかは、現時点では明らかになっていない。 フォンデアライエン氏は、ロシアが「軍資金を使うのを」阻止するとし、中銀の取引を凍結し資産を換金できないようにすると述べた。 さらに「ロシアの新興財閥がわれわれの市場で金融資産を使うことを禁止する」とした
露SWIFT排除、影響日本にも 原油、小麦価格上昇で値上げさらに
2022年02月28日
ウクライナ侵攻をめぐり米欧日が国際的な決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの金融機関を排除するという〝返り血〟覚悟の制裁を決めたことで、昨年後半から値上げが続く身近な製品の更なる値上げが現実味を帯びてきた。ロシアは原油や小麦などの世界的な輸出国で、追加制裁により今後輸出が滞り、市場価格が上昇する可能性が高まったからだ。ロシアによる軍事侵攻は、約8000キロ離れた日本の暮らしにも影響を及ぼし始めている。 【写真】攻撃を受けた国境警備当局の拠点 昨年から値上げが相次いでいる主要因は新型コロナウイルス禍からの経済回復に伴う急激な需要の増加だ。特に原油や小麦などの穀物の価格上昇の影響は大きい。原油は電気料金や物流コスト、包装材など広範囲に影響がおよび、穀物も幅広い加工食品に使われる。2月に入ってからも、カップ麺や洗剤など身近な商品の値上げの発表が相次いでいる。 需要に供給が追い付かない状況に、激化するウクライナ情勢が追い打ちをかける。資源大国のロシアの動向が不透明な中、原油や穀物の安定供給への懸念が広がり、先物市場の価格も上昇傾向が続いている。 17日に家庭用食用油の「日清サラダ油」など23品目で値上げを発表したばかりの日清オイリオグループの担当者も「ウクライナ情勢悪化が食用油の原料である大豆など穀物全般の価格上昇に波及しないか心配している」と話す。同社の値上げ発表は令和3年以降で5回目だ。ただでさえ、値上げをしても数カ月後には再び値上げする異常事態で、状況の更なる深刻化に頭を抱える。 足元ではガソリン価格や電気代なども上がり続けており、みずほリサーチ&テクノロジーズの試算では令和4年は前年に比べ平均的な年収の世帯で約5万4千円の負担増になるという。試算にはウクライナ情勢の影響もある程度は織り込まれているが、嶋中由理子エコノミストは事態の悪化で「負担は試算を上回る可能性がある」と指摘。特に生活必需品の価格が上がっていることから「節約は難しく、低所得者ほど影響は深刻だ」と話す。 岸田文雄政権は、経済の好循環を生み出すため、企業に積極的な賃上げを求めているが、物価上昇に見合うだけの賃上げが実現できなければ、個人消費の落ち込みは必至だ。コロナ禍からの回復を目指す日本経済の先行きは不透明感を増している
ロシアのSWIFT排除、その威力と世界への影響
2022年02月28日
欧州連合(EU)と米国などは26日、ウクライナに侵攻したロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することなど、対ロ追加制裁を発表した。 【動画】ウクライナ大統領、ロシアのSWIFT排除を歓迎 国際銀行間の送金・決済システムであるSWIFTの機能やその重要性などをまとめた。 <SWIFTとは何か> 「Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication」の略で、国境を越えた迅速な決済を可能にし、国際貿易を円滑に行うためのシステム。このシステムに接続する銀行は、SWIFTメッセージを利用して支払いを行える。同メッセージは安全とされ、大量の取引を迅速に処理できる。 SWIFTは国際貿易における資金送金の標準的な手段となっており、2020年の年次報告によると、SWIFTプラットフォーム上では、毎日約3800万件の送金メッセージがやり取りされた。年間では何兆ドルもの資金が同システムで送金されている。 <SWIFTの誰のものか> 1970年代に設立されたSWIFTは、サービスを利用する数千の加盟機関の協同組合。本部はベルギーにあり、20年に3600万ユーロの利益を計上した。 <SWIFT排除がなぜ深刻なのか> ロシアの銀行がSWIFTから排除されると、同国は世界中の金融市場へのアクセスが制限される。ロシアの企業や個人は、輸入品の支払いや輸出品の受け取り、海外での借り入れや投資が難しくなる。 ただ、電話やメッセージングアプリ、電子メールなど、他の決済チャネルは利用できる。その場合、制裁を科していない国の銀行を経由して支払いを行うことになるが、代替手段は効率性や安全性が低い可能性が高く、取引量の減少やコスト上昇の可能性がある。 <他国への影響は> 輸出企業にとっては、ロシアへの商品販売のリスクとコストが増加する。ロシアは製造業製品の大口購入国で、世界銀行のデータによると、オランダとドイツはロシアにとって2番目と3番目の貿易相手国。 ロシア製品の買い手もより困難に直面し、代替サプライヤーの模索を迫られる。 ただ、ロシア産の石油とガスについては、代替供給国を見つけることが難しいとみられる。欧州委員会によると、ロシアはEUにとって原油、天然ガスなどの主要な供給国。 <SWIFTは経済制裁に拘束されるのか> SWIFTはベルギーと欧州連合の規則に拘束される。 EUは12年3月、イラン核開発計画を巡り制裁対象になったイランの企業や個人へのサービスをSWIFTに禁じた。対象には中央銀行や大手銀行も含まれた。