街の除雪と「働き方」どう両立 長時間労働規制を建設業も適用へ 悩む雪国長野県の業者
2023年03月06日
長時間労働の是正を図る改正労働基準法が建設業でも2024年4月から適用されるのを前に、道路の除雪業務をどう請け負うか、県内業者が頭を悩ませている。人材不足が続く一方で、日中だけでなく深夜や早朝の作業も多く、従業員の労働時間が基準内に収まりにくいためだ。迅速な除雪は暮らしや経済に欠かせず、規制の例外とするよう求める声もあるが、働き方を改善する流れに逆行しかねない。先行きは流動的だ。
深夜・早朝の勤務、人手不足、作業量は天候次第………近年は撤退も
2月21日午前2時半ごろ、飯山市静間の市道。20センチほど積もった雪を大栄開発(飯山市)の除雪車がかき分けていった。担当する約4キロ区間の作業は同7時ごろ終了。オペレーターの男性従業員(40)は自宅で1時間ほど休憩し、その後はいつも通り車両の修理などの業務をこなした。 同社は土木工事などを手がけ、冬場の業務は除雪関連が中心。今冬は県道や市道などの約20路線、計約50キロ区間を担当する。「積雪が多い地域。除雪作業はインフラを維持する大切な業務の一つだ」。大熊孝博社長は力を込める。 市は市内を12ブロックに分け、業者に除雪などの業務を委託。積雪が10センチを超えたら出動する取り決めだ。夜間の降雪時は朝の交通が乱れないよう、午前7時までに作業を終えるよう求めている。 このため同社では従業員約40人が除雪車のオペレーターと助手の2人一組で班をつくり、除雪は午前2時ごろから作業を開始。日中、道路脇に寄せた雪を大型ダンプで運ばなければならない時もある。 ただ、人手は潤沢ではない。雪が多く降った昨年1月や2月は時間外労働(残業)が月100時間を超える従業員も出た。2024年の残業規制強化後は、基準に触れる水準だ。今冬は雪が少ないが、24年の冬へ「どう対応すべきか」。大熊社長は腕を組む。 伊那市の国道や県道、市道の14路線、計約50キロ区間の除雪を今冬請け負う宮下建設(伊那市)は、約40人の従業員が班を編成。当番制で凍結防止剤の散布などに当たる。県北部とは異なり雪はそれほど多くなく、冬期間も変わらず土木・建築事業を請け負う。 だが2月10日の大雪では市内でも多いところで30~40センチほどの雪が積もり、従業員らは終日、除雪作業に追われた。除雪で残業してもらった場合も、予定していた通常業務の量は抑えがたい。「自然に左右されるため、労働時間の管理が難しい」。同社舗装課の中谷邦広課長は悩む。 国土交通省や県によると、県内の国道や県道では今冬、427路線の計約5460キロ区間で業者に除雪などを委託している。一方、県内の建設業許可業者数は1999年の1万930社をピークに減少傾向が続き、21年は7534社=グラフ。「きつい、汚い、危険」といったイメージから慢性的な人材不足が続き、高齢化も進む。 南信地方の業者は、除雪業務を今後も請け負えるか「10年後は分からない」と漏らす。伊那市は今冬、25社に市道の除雪などを委託しているが、長年担ってきた業者の撤退も近年出てきている。県道路管理課にも、現状のまま残業規制が強化されても対応は難しい―との声が寄せられているという。
時間外労働の上限規制
働き方改革関連法のうち、2019年4月施行の改正労働基準法で時間外労働は原則月45時間、年360時間と規定された。繁忙時など特別な事情がある場合は月100時間未満、年720時間以内、2~6カ月の月平均80時間を超えない範囲で認められる。違反した場合は6月以下の懲役か30万円以下の罰金が科される。建設業では、労働環境をすぐに改善するのが難しいとして5年間の猶予期間が設けられ、24年4月から適用される。
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