FRB、利上げの継続か一時停止かで難しい判断に直面-今週FOMC
2023年03月20日
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局は今週、インフレ抑制のための利上げを続けるか、米地銀の経営破綻の連鎖を受けた市場の混乱を背景に利上げを一時停止するかという、過去数カ月で最も困難な判断に直面する。
今年初めの時点で当局者が考えていたよりも米経済の力強い様子が一連の指標で示されたことで、シリコンバレー銀行(SVB)破綻とその影響波及の前の段階では、21、22両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.5ポイントの追加利上げが見込まれていた。
しかし、その後の金融市場のボラティリティーの高まりを踏まえ、FRBウオッチャーの多くは今週の会合での利上げ幅が0.25ポイントになると予想しているほか、当局が利上げを一時停止するとの観測も一部で浮上している。
16日に政策委員会を開いた欧州中央銀行(ECB)は0.5ポイント利上げを決定。ラガルド総裁は記者会見で、銀行を巡る緊張を注意深く監視する姿勢を示す一方、ECBとしてインフレ退治に引き続きコミットしていると述べた。
金利政策決定以外に今回のFOMC会合で注目を集めるのは最新の四半期経済予測と、会合後のパウエル議長の記者会見だ。銀行セクターの混乱を受けて、会見ではSVBおよび苦境にある他の銀行に対する連邦準備制度の監督を巡り記者団からの質問が想定される。
パウエル議長はフェデラルファンド(FF)金利の今後の道筋についても慎重な発言を求められそうだ。銀行問題が浮上する前には、FF金利の誘導目標を今年5%を上回る水準に引き上げて、インフレ率が2%の当局目標に向けて鈍化するペースとなるまでその水準に維持する必要があるとの見解を金融当局者は示唆していた。
米金融当局による急ピッチの利上げキャンペーンと米国債利回りへのその影響で銀行の自己資本を巡る状況は悪化し、そうした問題が経済全体にどの程度のインパクトを及ぼすか高度の不確実性があることから、先行きの大幅な金融引き締めの余地が制限される可能性もある。
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