駆け込み消費は本当におトク? 増税前に知っておきたい「消費税10%対策」4つのポイント
2019年09月04日
9月4日(水)5時30分 文春オンライン
ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。消費税率は10月から10%に引き上げられる予定です。消費税が現在の8%から2%引き上げられるとどれくらい家計にインパクトがあるのでしょうか。駆け込み買いも多くなる消費増税まであと少しの今、知っておきたい「消費税10%」4つのポイントをお伝えします。

(1)そもそも消費増税の影響はどれくらいある?
総務省の家計調査(平成29年度)のデータを参考に月の消費支出別に負担がどれくらい増えるのか試算したところ、消費税が2%上がると多くの家庭では月3000から5000円程度の負担増が予測されます。例えば、1ヵ月の消費支出(貯金や貯蓄型の保険を除く)が31万3057円の家計の場合、消費税が10%時には月4888円の負担増になりそうです。消費税は国内でモノやサービスを購入する際に、家賃や住宅ローン、保険料、健康保険の対象となる医療費や出産費用など政策的な配慮のある一部の支出を除いてはほとんどのケースでかかるからです。
2%増税すると、10万円以上の商品だと、2000円以上の差が出てきます。それでは、値段が崩れにくく、購入予定があるものは前倒しをしたほうがよいのではないかと思われるかもしれません。しかし、今回は軽減税率があるため単純ではありません。飲食料品や一定の新聞などは8%。ただし、テイクアウトや宅配等を除く、酒類や外食やケータリング等(一部を除く)は10%になるなど、注意が必要です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/05.pdf
ただ、10%になっても店舗やカードによっては、キャッシュレスによる2%、5%還元を受けられるかもしれません。
(2)「最大5%」キャッシュレス決済のポイント還元が活用できる
10月の消費増税に合わせて始まるキャッシュレス決済のポイント還元制度で、クレジットカード大手のJCB、クレディセゾン、三井住友カード、三菱UFJニコス、ユーシーカードの5社が、金額請求時にポイント還元分の金額を差し引く、実質上の値引きで対応することが、8月26日に発表されました。実質値引きは消費者にとってはありがたい運営です。
ただし、消費者に最大5%が還元される「ポイント還元制度」(2020年6月までの期間限定)には、キャッシュレス決済にすると、5%、2%、還元なしの3種類が混在しているので注意が必要です。
例えば、中小企業や個人が経営する小売、飲食、宿泊などは5%還元になります。コンビニ、外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンは2%、大手スーパーや百貨店などの大手は還元なし(自社負担で還元する場合もある)などです。
ネットショップなどでも個人事業主が出店している場合は還元を受けられる可能性が高く、どのお店が対象になるのかはポスターなどでパッと見て分かるようになる予定です。また、経済産業省のウェブサイトにも登録加盟店のリストが発表されています。
ポイント還元対象となるキャッシュレス決済は、指定のクレジットカードや電子マネーやQRコードになります。金券、自動車、住宅などの一部の商品はポイント還元の対象外となります。
(3)「クレカ決済」か「QR決済」で還元率が変わってくる
また、QR決済のキャンペーンも盛り上がっており、期間や店舗限定、上限額を設定するなどで5%や10%のポイント還元キャンペーンをしている会社もあります。消費増税前から増税後にかけてキャンペーンを行なっている会社もあるために駆け込み消費に活用できる可能性もあります。
QR決済のペイサービスとは、決済の仕組みはスマホの対応アプリの画面上でQRコードを読み込んで支払う形です。お金のチャージはクレジットカードやデビットカードなどと連携させたり、銀行口座などからお金を振り込んだりすることで行えます。スマホさえ持っていればお財布がいらなくなるので便利なサービスです。楽天ペイ、PayPay(ペイペイ)、LINE Pay(ラインペイ)、d払い、Origami Pay(オリガミペイ)などが代表的なサービスです。
標準的なポイント還元率は提携カードにすると1.5〜3%還元など還元率は高めに設定されています。請求額からの値引きではなく、貯まったポイントを対象店舗で利用する方式が一般です。
消費者としては、毎回買い物の際に、クレジットカードかQRかどちらで買った方がトクなのかの判断が必要になります。クレジットカードのポイント還元の方は増税後のタイミングで始まりますが、QRのキャンペーンは増税前から始まっている会社もあるのでそれぞれペイサービスのアプリやホームページで確認をしたいところです。「2%還元」「5%還元」の他にも各社ペイサービスが実施するキャンペーンもあるので還元率が異なってくるからです。
海外ではペイサービスのキャンペーンやクレジットカードの還元などが独自にあるので毎回複数のカードとペイサービスからどれが一番トクなのかを考えさせられます。決済をした後に「しまった」と思うこともたまにありますが、日本でもしばらくは混乱が起きるかもしれません。
(4)駆け込み消費に要注意! キーワードは「引き渡し時期」
この夏に駆け込み旅行をしたという話も聞きますが、国際線の航空券代金など消費税の対象外取引があることも考慮に入れなければなりません。
例えば、住宅や自動車も中古だと消費税は一般にかかりません。また、メルカリなどの個人間売買も一般にかかりません。ただし、消費税の対象外の取引の場合も国内で発生する代理店への手数料などは課税される場合もあるので注意が必要です。
また、駆け込み消費の際には「引き渡し時期」に注意すべきです。引き渡しが2019年9月30日までに完了すれば、消費税は8%となりますが、引き渡しが2019年10月1日以降の場合は消費税が10%になるからです。つまり、住宅などは今からだとかなり物件は限られるということです。住宅に限らず、自動車や家電も在庫がないと引き渡し時期が遅れる可能性もあります。そのために9月30日ギリギリに駆け込むよりも少しスケジュールにゆとりを持たせたいものです。
さて、2014年4月の消費増税前には駆け込み消費をする人も多かったですが、今回は本当に買うべきものはあるのでしょうか。「ポイント還元制度」があるために買うべきものはかなり絞られると言えます。例えば、還元の対象外の大手百貨店で、定価で購入するブランド品や化粧品などセールになりにくい物などは考えてもよいのかもしれません。また、増税前から始まっているペイサービスで使えそうなキャンペーンがあればそれを活用して必要な物を買っておくのも一つでしょう。
(花輪 陽子)
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