税制大綱 たばこ、土地、ベビーシッター…暮らしどうなる?
2019年12月13日
令和2年度の与党税制改正大綱がまとまった。今年10月に消費税増税が行われたことなどから、個人の税負担が大きく増えるような大規模な見直しは見送られたが、一部で生活に影響しそうな改正も行われた。私たちの暮らしはどう変わるのかシミュレーションしてみた。
「ベビーシッターも消費税がかからなくなるんだ」
年明けに出産予定の貴子さんは、出産後も仕事を続け、子育てとの両立を考えている。税制改正ではベビーシッターの利用料にかかる消費税が非課税になることが決まった。残業で帰りが遅くなることも多く、保育園のお迎えに間に合わない場合など、ベビーシッターを多用するつもりだっただけに大喜びだ。
非課税になることで浮いたお金は、投資に回すつもりだ。「少額投資非課税制度(NISA)」の見直しも行われ、つみたてNISAはこれまで、毎年1年ずつ投資期間が短くなる制度だったが、今回の改正で、令和5年までは20年間の投資期間が確保されることになったからだ。
その頃、夫の充さんは親戚(しんせき)の田中さん宅にいた。以前から気になっていた質問をぶつける。
充さん「おじさん、この家の土地、誰の?」
田中さん「知らん。遠い親戚の土地みたいだな」
「やっぱり」。充さんの不安は的中した。田中さんは豪快で面白い人だが、脇が甘いところがある。充さんが「今後は土地所有者が不明の場合、使用者に納税義務が生じる可能性があるんだ」と忠告すると、田中さんは増税が決まった葉巻の一種、リトルシガーに火を付け、うなだれた。
その日の夜、充さんは仕事で世話になっている、吉田さんと会食していた。
会社からは接待を控えるように言われている。資本金100億円超の大手企業は交際費の一部を非課税にする特例措置が廃止されることになったからだ。
「今日は割り勘でも良いですか?」と切り出すと、吉田さんが「今日はこれで払うよ」と自慢げにポケットから取り出したのは今年買ったばかりのスマートフォンだ。
アナログ人間の吉田さんが、キャッシュレス決済を始めていたことに驚くと、「これからは5G(第5世代移動通信システム)の時代だから思い切って買ったんだ。設備投資を促進する税制もできたからね」
帰宅後、貴子さんからその日の病院の健診で知り合った裕子さんの話を聞かされた。裕子さんは妊娠発覚後に交際相手の男性と連絡が取れなくなっており、シングルマザーになってしまったのだという。唯一の救いは未婚の一人親も、寡婦(寡夫)控除の対象になったことだ。これで所得税などが軽減される。
「制度が拡充されて本当に良かった。でも、私たちはずっと一緒よね?」。貴子さんがそう言うと、充さんは大きくなったおなかに手をやりうなずいた
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