「ギャルは絶滅」渋谷109のセシルが下した決断
2019年12月25日
東京・渋谷のシンボルであるSHIBUYA109は、開業40周年の今年、館内をリニューアルした。これにあわせて、長年同館の売り上げナンバーワンだった「セシルマクビー」はブランドコンセプトを大胆に変更した。“セシル”に何が起きたのか、経済ジャーナリストの高井尚之氏が運営会社に話を聞いた――。
【写真】11月9日にリニューアルオープンした「セシルマクビー渋谷109店」
■かつてマルキューの代名詞だったブランドは今
東京・渋谷では、2019年の秋、商業施設の開業やリニューアルオープンが相次いだ。
11月1日には210以上の店舗が入る「渋谷スクランブルスクエア」がオープン。約3年休業していた「渋谷パルコ」も11月22日にリニューアルした。
この2つの間にあたる11月9日、かつて一世を風靡(ふうび)した人気店がリブランディング(ブランド再生)を行い、リニューアル店舗がオープンした。今年開業40周年を迎えたSHIBUYA109を長らく牽引してきた「セシルマクビー」(セシル。運営会社はジャパンイマジネーション)だ。 かつては“マルキュー”の顔で、2000年から2013年まで14年間も同館売り上げナンバーワンの座にあった。今も「上から5位以内」(同社)だと聞くが、当時ほど勢いはない。
「セクシーカジュアル」の代名詞として、渋谷のギャルを魅了したブランドは、いまどんな状況にあるのか。“ユニクロ以外はアパレル総崩れ”と言われるなか、現状を探った。
■コンセプト転換はマルキューから持ち掛けられた
「なんか、すごく変わりましたね」
SHIBUYA109店に同行した、担当の女性編集者(1991年生まれ)は開口一番、こう話した。
福岡県生まれの当人にとって、「セシルは高校時代のカリスマブランド」。当時は「天神コア店」(福岡市中央区)に通ったそうで、マルキューに来たのは大学時代以来だという。
驚くのも無理はない。品ぞろえは、かつての黒×白ではなく、パステルカラーの服も増え、チェック柄もある。雑貨類も充実した。イヤリングなどファッション小物だけでなく、防犯ブザーもあった。大音量だった音楽も控えめで「昔より静か……」と編集者はつぶやく。
視察したのは平日の午前中。店内を回るうちに女性客が増えた。20歳前後が多いようだ。
「新コンセプトとして『今の私にちょうどいい』を掲げました。顧客層は18歳から23歳の等身大の女性で、販売資料のペルソナ(顧客像)も横浜市や川崎市の公立高校生に設定。品ぞろえはワンピースを36%(従来は30%)、雑貨も20%(同14%)に高めています」
CECIL McBEE営業部次長の手塚邦洋氏(営業統括リーダー兼商品統括リーダー)はこう話し、今回の舞台裏を明かす。以前はSHIBUYA109店のチーフやパルコ池袋店店長も務めた。
手塚氏によると、コンセプトを変えるきっかけとなったのは、SHIBUYA109が40年の節目に大幅リニューアルしたことだったという。
同館は地下2階にフードエリアを新設。若い女性から熱烈な支持を得ている韓国グループ・BTS(防弾少年団)のポップアップストアを29日まで開催している。長年盟友関係にあった同館からリブランディングを持ち掛けられ、検討を進めた。
「かつてはカリスマ店員に憧れて、上から下までセシルでそろえ『私を見てほしい』というお客さまも目立ちました。でもSNS時代の現在は『自分の存在を多くの人に共感してほしい』という意識。お客さまが楽しめる売り場にしようと、このように変えたのです」
■「モテ服」路線を掲げたが迷走気味に…
実は、セシルは2年前の2017年にもブランドコンセプトを変えた。当時は「モテ服ナンバーワン」を掲げ、ブランドのキーカラーをブラックとホワイトからホワイトとピンクに変身。乃木坂46の白石麻衣さんを起用して、「トレンドを反映した大人のモテ服」で訴求した。
だが後述するが、もともとセシルがブレークしたのは1990年代後半。セクシーな肌見せスタイルが「ガングロギャル」にも支持された。当時より露出が控えめになったとはいえ、ギャルイメージのセシルが「大人かわいい」を掲げたため、イメージとのギャップが埋まらなかった。セシルファンから見れば「どこに行っちゃうの」感があったのだろう。
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