全米の刑務所で新型コロナが猛威、被収容者と職員8割以上陽性の施設も
2020年05月06日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の巨大な波が、米国の世界最大の刑務所収容人口全体に押し寄せている。
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米オハイオ州マリオン(Marion)にある刑務所は、被収容者2500人近くと職員175人の80%以上が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示しており、介護施設も含めた全国の施設の中で最も感染が集中的に発生している施設となっている。
マリオン刑務所看守のブライアン・ミラー(Brian Miller)氏は先週、状況は悪化するだけだと警告した。
自身も新型コロナウイルス感染から回復途中のミラー氏は、報道陣との電話会議形式の取材に何とか応じ、これほど多くの職員が病欠している状況では、施設を消毒したり被収容者を管理したりする職員が不足していると訴えた。
刑務所は追加で1時間当たり1.85ドル(約200円)の危険手当を支払っているだけで、「スターバックス(Starbucks)(のコーヒー代)以下だ」と、ミラー氏は指摘した。
ミラー氏は「この施設では、事態が限界点を超えている」「今や地獄と化している」と話した。
全米の拘置所や刑務所で新型コロナウイルスによる死者が増加傾向にある中、過密状態の監房内では十分な対人距離を取らせることは不可能で、当局はほぼ手詰まりになっている上に、医療に携わる人員や個人防護具などの不足に直面している。
また、刑務所は衛生状態が比較的低い水準で運営されている上に、持病がある被収容者が大勢いる。
米国の刑務所収容人口230万人にとっての脅威が先週、1人の女性受刑者の死で認識された。米サウスダコタ州出身の米先住民女性、アンドレア・サークル・ベアー(Andrea Circle Bear)受刑者(30)だ。
薬物関連の罪で3月に米テキサス州の連邦刑務所に収容された時に妊娠していたベアー受刑者は、間もなく新型コロナウイルス感染症を発症して人工呼吸器を装着された。その後、帝王切開で出産したが人工呼吸器は外されないままで、数週間後に死亡した。
刑務所当局による感染予防の不十分さと対応の遅さをめぐり、米ワシントン州やカンザス州の刑務所ではすでに暴動が発生している。
■被収容者釈放で感染の危険性軽減も、権利擁護団体
大学の刑事裁判とデータ解析の専門家らで構成する研究グループ「コビッド・プリズン・データ(Covid Prison Data)」によれば、公的な報告書に基づくと、全米で被収容者1万3436人と看守5312人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示しているという。
だが、多くの州と連邦刑務所当局は、これまでに少数の検査しか実施していない。
米連邦刑務所局(BOP)のマイケル・カルバハル(Michael Carvajal)局長は「われわれには受け入れをやめる選択権もなければ、誰をいつ収容するかを選ぶ権利もない」と述べている。
被収容者の権利擁護団体によると、非暴力的な被収容者や刑期満了に近い受刑者の釈放に向けた方策は、州や連邦政府レベルではこれまでほとんど行われていないという。これらの被収容者を釈放することで、感染の危険性を軽減するとともに、施設内の空間にゆとりを作ることができると考えられる。
公選弁護人のヘザー・セスナ(Heather Cessna)氏は、カンザス州の刑務所に収容されている1万人以上のうち「これまでにわずか6人の被収容者が釈放された。6人だ」と指摘した
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