迫られる構造転換 グリーン戦略、スピード決着 脱炭素、産業界に不安
2020年12月26日
政府は25日、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「グリーン成長戦略」をまとめた。「脱ガソリン車」や洋上風力発電の主力電源化など日本の産業構造の転換を迫る野心的な目標が並んだが、検討に要した期間は菅義偉首相が10月下旬に「実質ゼロ」を表明してからわずか2カ月。対応に追われる産業界は、性急な決断に不安を隠さない。 【図解】「2050年脱炭素」のイメージ ◇「日本締め出し」危機感 首相の決断を促したのは、欧州を中心に急速に強まる地球温暖化対策を求める国際世論だ。「50年実質ゼロ」目標を掲げるのが米欧などの約120カ国・地域に達する中、日本の取り組みが遅れれば自動車をはじめ日本製品が海外市場から締め出されかねない。関係者によると「分かりやすいメッセージを発した方がいい」との首相の意向を踏まえ、今秋の政権発足当初から「実質ゼロ」表明や戦略策定に向けた調整が急速に進んだという。 ただ迅速な決定を重視するあまり、政府・与党内の議論が尽くされたとは言い難い。商工政策に詳しい自民党有力議員は公表直前まで詳細が知らされなかったと明かし、「与党は軽視された」と恨み節を漏らす。 ◇「ビジネス崩壊」 「電気自動車(EV)を作れば作るほど、この国ではCO2(排出)が増える」―。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は17日、報道各社の取材に語気を強めた。豊田氏は、EV化で電力需要が高まると火力発電が中心の日本では二酸化炭素(CO2)排出量が増大すると指摘する。 自動車各社はEVや燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)など電動車の開発を急ぐものの、走行時のCO2排出だけに焦点を当てた規制への不満が根強い。特に軽自動車は、電動化で「車体が重くなり燃費が悪化すれば、かえって全体のCO2排出は増える」と「本末転倒」を懸念する声もある。 また、ガソリン車用の部品を製造するメーカーも電動化への対応が迫られる。自動車業界は裾野が広く、雇用への影響も大きい。過度にEV化を進展させれば「自動車業界のビジネスモデルが崩壊し、雇用が下手したらゼロになる」(豊田氏)との危惧すら出ている。 ◇原発将来像なく 原発は発電時にCO2を出さない上、安定した電力を比較的安価に供給できる面があり、戦略でも「可能な限り依存度を低減しつつ、最大限活用」する方針を明記した。しかし、東京電力福島第1原発事故で高まった安全面の不安は根強く、地元の理解を得て再稼働に至ったのはわずか9基。耐用年数を考慮すれば、原発の数が今後減少していくのは明らかだ。 政府は原発の新増設に関しては「現状は考えていない」(梶山弘志経済産業相)と明確な将来像を示していない。戦略がCO2削減の柱と位置付ける洋上風力など脱炭素電源が早期に実現する保証はない。電力業界からは「脱炭素化を目指すなら原発の新増設の議論は避けられない
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