コロナ禍に逆風のスーツ業界 復活に向けたヒントは何か
2021年07月05日
三度目の緊急事態宣言が発せられた4月下旬。東京・新宿のデパートはシャッターを下ろしていた。そんな最中にスーツ販売の新店舗をオープンさせたオアシススタイルウェア(東京都港区)。靖国通り沿いにブランド名である「WWS(Work Wear Suit)」というロゴがひと際目立っていた。こんな時期に新店オープンというのは逆風では? と、代表取締役の中村有沙さんに尋ねると意外な答えが返ってきた。
「2020年度の売上は前年度比400%アップで9.3億円を達成した。毎日洗うことができるスーツというコンセプトがコロナ禍で、これまで以上に支持されたのだと思う」
コロナ禍で加速する“スーツ離れ”
在宅勤務をする人が増える中でなぜスーツの売上を増やすことができたのだろうか。実はWWS、水道工事を本業としたオアシスソリューション(東京都豊島区)が、アパレル業界に新規参入して生み出したスーツなのだ。 東京大学経済学部出身の中村さんは、「もともとベンチャー志望だった」と、両親の反対を押し切って、オアシスソリューションに入社した。営業部を4年、人事部で3年を過ごしたあるとき、社長の関谷有三さんから創業10周年記念プロジェクトのアイデアを出してほしいという要望が全社員に出された。中村さんは、「スーツみたいなスタイリッシュな作業着を作ることができないか?」と提案した。 というのも、水道工事業界では技術職を採用しようとすると、50歳以上の応募が多く、若手からの応募が少なかった。若い人に興味を持ってもらいたいという気持ちからの提案だった。 「スーツと作業着の境目をなくせば職業観を変えられるかもしれない」という関谷社長の決断でプロジェクトはスタートした。着心地が良く、ストレッチ性があって、撥水性もあり、さらには毎日洗える。既存品ではそんな生地はなかったため、新しい生地をメーカーと共同で制作することにした。プロジェクト開始から丸2年、スーツに見える作業着が完成した。まずは社員が着用していたが、思わぬところから「うちでも使わせてほしい」という依頼が舞い込んできた。水道工事のクライアントである三菱地所から、自社の物件管理者用のユニホームにしたいというものだった。これによって事業化が決定、オアシススタイルウェアという新会社が設立され、中村さんが代表取締役に抜擢された。17年12月のことだ。 「物流ドライバー、内装業者、冠婚葬祭、結婚式場のカメラマンなど、言われてみれば、という業界の方々に購入していただけた」と、中村さん。 スーツを着たいけれども、仕事の最中に動きやすいスーツがなかった。そんな思いを持った人を中心に爆発的に売れた。まさに潜在需要を掘り起こして成功したのがWWSだといえる。
「フィリピン南部で軍用機墜落、45人死亡 住民巻き添え、5人不明」
「東京メトロ上場へ、国と都が保有株の半分売却を…専門委答申受け準備本格化」
