行動制限緩和「最後の賭け」「積極的に」 紅葉シーズン控える観光地
2021年09月10日
新型コロナウイルス対策で、緊急事態宣言の期間が延長されることになった。一方で政府は実施時期は未定なものの、ワクチン接種を条件とした行動制限緩和の基本方針もまとめた。厳しい状況が続く観光・飲食業の関係者、首長らはどう受け止めているのか。 【知っておきたい】ワクチン接種で気をつけることは? 関西の奥座敷として知られる有馬温泉(神戸市北区)。温泉街の人通りはまばらで、休業する飲食店や土産物店も目立つ。 旅館の従業員や芸妓(げいぎ)ら約1900人が8月半ばまでに2回目のワクチン接種を終えており、客を迎える準備はできている。有馬温泉旅館協同組合の専務理事、下浦伸一さん(41)が経営する旅館「竹取亭 円山」では貸し切り風呂を設け、食事は個室で提供するといったコロナ対策も講じている。しかし、2021年の夏休みの宿泊客数はコロナ禍前の19年同時期に比べて7割減った。現在の宣言発令後には約30件の予約キャンセルがあったという。 政府の制限緩和方針では、宣言下でもワクチン接種済みの人には県境をまたいだ移動の自粛を求めないとしている。観光地で客足が戻ると見込まれ、下浦さんは「いつまでも制限ばかりでは商売も気持ちも持たない。緩和の議論を積極的に進めてほしい」と語った。 11月に紅葉シーズンを迎える京都有数の観光地・嵐山(京都市西京、右京区)でも、制限緩和に期待する声が上がった。五つの商店街で構成する「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」の中川新八郎幹事長(72)によると、宣言の発令や解除が繰り返される影響もあって旅館の予約も入ったりキャンセルされたりを繰り返し、「我慢の限界」にあるという。政府の制限緩和方針は実施時期が未定だが、中川幹事長は「11月を過ぎると来春まで観光シーズンがない。(緩和は)最後の賭けだ」と早期の開始を求め、「(旅行需要喚起策)『GoToトラベル』も復活してもらい、少しでも観光客に来てほしい」と切実な思いを明かした。 政府は飲食店についても酒の提供や営業時間、会食人数の制限を緩和する方針を示している。堺市の鉄板焼き店の男性店主(50)は「緩和に期待感はあるが、政府や自治体には再び感染者が増えないよう、しっかりとした対策を同時にお願いしたい」と訴える。 この店は、感染防止策を徹底していると大阪府に認められ、飲食店の第三者認証「ゴールドステッカー」を取得している。当初、ステッカーを得た店では酒の提供が認められていたが、今回の宣言で再び提供できなくなった。宣言中に休業する飲食店も多いなかで、営業時間短縮の要請にも応じて営業を続けるものの、60席ほどの店内で来客は1日10人ほど。「店を開けても赤字だが、休業すると10人の従業員に賃金を払えない。そのために営業しているようなものだ」と説明する。アルコール類は売り上げの2~3割を占めるため、制限緩和で経営が上向くかもしれない。だが、「酒を提供していないため、自粛していない他の店へ流れたお客さんもいる。再び戻ってくれるのだろうか」と不安な表情も見せた。
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「経済同友会「経済再生加速すべき」集中討議」
