中国・習近平が頭を抱えるヤバい不良債権問題~取り付け騒ぎも起きた
2019年07月08日
中国経済の先行きが不安だ。最大のリスクは債務問題である。中国の銀行をはじめ、事業法人、地方政府など様々なセクターで不良債権問題が深刻化している。債務問題というダムに亀裂が入り、ところどころ水が漏れ始めているようだ。中国政府は、景気刺激策と金融緩和によって当面の経済活動を支えざるを得ない。
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問題は、いつまでその政策が人々に信用されるかだ。
わが国の金融政策の歴史を見ればわかる通り、中央銀行がどれだけ金融の緩和を行い、景気を支えると主張し続けても、人々がそれを信じ続けるとは限らない。国家資本主義の体制強化を目指す中国にとって、政府が人々に信用され続けるか否かは、最も重要な問題だ。
足もと、中国経済は減速している。50を境に景気の強弱を示すと考えられるPMI(購買担当者景況感指数)の推移をみると、製造業PMIは50を下回った。背景には、米中の通商摩擦によるマインドの悪化がある。加えて、各国の企業がサプライチェーンの再編を進め脱・中国の動きが増えていることも見逃せない。
それに追い打ちをかけるように、中国ではアフリカ豚コレラの影響から豚肉の供給が落ち込み、消費者物価が上昇している。世界的に物価が上昇しづらい中、中国の物価上昇率は顕著だ。雇用環境が悪化している中で食料品を中心にモノの値段が上昇する状況が続くと、消費者の不満は高まってしまう。
その中で、中国では債務問題が深刻化している。特に、足もとでは地方銀行の資金繰りがかなり厳しい。5月には、政府が内モンゴル自治区の包商銀行の経営を管理下に置いた。同地域では鉱工業の企業業績が急速に悪化している。多くの人々が同行の窓口に押し寄せ、我先に預金を引き出そうとする“取り付け騒ぎ(バンク・ラン)”が起きた。
これは氷山の一角に過ぎない。6月に入り、中国人民銀行は錦州銀行の債券保有者に対して信用リスクをヘッジする措置を導入するなど、中小の銀行経営のリスクが波及することを食い止めにかかっている。年初来、中国では社債のデフォルトが急増している。中小規模の銀行を中心に、不良債権問題の深刻化が見込まれる
今後、中国経済は景気の減速を食い止めるために減税や補助金政策を強化する可能性が高い。すでに、中国では付加価値を創出できるだけのインフラ投資案件が見当たらず、公共投資に大きな効果は期待できない。減税などによって個人消費を支えつつ、政府は金融の緩和や金融機関への資金供給を進め、社会心理の安定を目指したい。
ただ、この対応措置は債務問題の一時的な延命にはなるが、解決にはならない。むしろ、不動産のバブルが残る中で過剰な流動性が経済に供給されことにより、債務問題が一段と深刻化する恐れのほうが高いのではないか。すでに企業が借り入れによって利益をねん出することは困難だ。政府の資金供給は潜在的な不良債権予備軍を増大させかねない。
この状況が続くと中国は、1990年代の半ば以降にわが国が経験したような深刻な金融システム不安に陥る恐れがある。問題は、それがいつ起きるかがわからないことだ。現時点で言えることは中国にとって構造改革が難しいほど、債務問題は深刻化している。中国の人々は、「お金を守らなければならない」との危機感を強め、社会心理は悪化するだろう。
中国は国家資本主義体制を強化したい。そのためには、人々が政府を信じ、従うことが欠かせない。ただ、債務懸念が上昇し続けると、政府の信用は徐々に低下する。加えて、中国政府は社会への監視を強めている。中国が国家資本主義を追求すると同時に、経済の持続性を実現することができるか、先行き不透明感は増している
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