内臓ブルブル震える寒さ…戦火逃れて国境目指す人々、不安もピークに
2022年03月02日
ウクライナに侵攻したロシア軍の攻撃が激しさを増す中、戦火を逃れた避難民がウクライナ西方のポーランド国境に殺到している。彼らを待ち受けていたのは、疲労と寒さ、不安が襲う過酷な道のりだった。 【写真】ポーランド国境に避難民が殺到
ウクライナ西部リビウの街は静まりかえっていた。4日前までの喧騒(けんそう)がうそのようだ。2月27日朝、市中心部のホテルを出た。前日まで鳴り響いていた空襲警報のサイレンも、この日は鳴らなかった。人も車もほとんど通らない。
ロシア軍の工作員が市内に侵入しているとの情報が、数日前から飛び交っていた。警察が市内各所で車両やブロックを使って道路を塞ぎ、検問を実施していた。検問を通るたびに、身分証を入念にチェックされた。
市中心部から車で約60キロ・メートル走ったところで、3度目の検問に止められた。渋滞のため、この先は国境を越える車しか通さないという。ここでリビウ在住の運転手に別れを告げ、国境まで26キロ・メートルの道のりを歩くことにした。

ポーランド国境へとつながる道路では、荷物を軽くするために捨てたとみられる衣類やスーツケースなどが散乱していた(2月27日午後2時24分、ウクライナ西部リビウ州で)
まっすぐに延びる一本道が、視界の先まで続いていた。大きな荷物を持った避難民が、一様に西を目指して車道の脇を歩いてゆく。

歩き疲れ、バス停のベンチで休む人たち(2月27日午後3時34分、ポーランド国境の手前17キロ付近で)
スーツケースを引きずる人、衣類と食料を詰め込んだビニール袋を両手に持つ人、大きな荷物を持たず、毛布にくるまりながら歩く人、猫を連れている人もいた。道端には、荷物を軽くするために捨てられたのか、スーツケースや衣類が散乱していた。
所々で休憩を挟み、互いに声を掛け合った。歩き始めて30分後、リビウの方からサイレンが聞こえた。逃げる場所はない。誰も振り返らず、歩みを止めなかった。
集落を通りかかると、村人たちが炊き出しを行っていた。物流が滞る中だというのに、お茶やスープ、パンやリンゴを惜しみなく差し出す。「プーチンくそ食らえ!」と叫ぶ人もいた。

厳しい寒さの中、たき火をして寒さをしのぐ(2月28日午前4時24分、ポーランド国境の手前3キロ付近で)
夕方、雪が舞い始めても、避難民は無言で歩みを進めた。歩き始めて9時間後の午後8時半頃、国境まであと3キロ・メートルの地点で、治安部隊が道路を封鎖していた。ここから先は150人ずつしか通行が許されない。300人以上が並んでいた。
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