サケ・マス、出漁できず 日露交渉停滞 北海道の漁業者「祈るだけ」

カテゴリー/ フリースペース |投稿者/ ビレンワークアップ
2022年04月11日

日本の200カイリ内に出漁するサケ・マス流し網漁が10日に解禁される予定だったが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で日露政府間の漁業交渉が開かれず、漁業者が出漁できない状況にある。漁業者からは「一日でも早く出られるよう、ただ祈るだけ」とため息が漏れる。【本間浩昭】 【写真特集】焼け焦げた戦車や装甲車 キーウ近郊は今…  9日、北海道根室市の歯舞漁港。例年であれば、脂の乗ったシロザケやカラフトマスを求めて出漁する小型サケ・マス漁船が、大漁旗や日の丸を掲げて10日午前0時を「いまや遅し」と待ち受ける光景がある。だが、今年は岸壁にサケ・マス漁船の姿はなく、漁港の外れで陸にあげられたままだ。  日本の200カイリ内で操業するのにロシアとの漁業交渉が必要なのは、生まれた川を有する国に管轄権がある「母川国主義」による。春先から初夏にかけて日本の排他的経済水域(EEZ)内に回遊して来るサケ類の9割以上は、ロシアの川で生まれたものとされる。1992年以降は、日本200カイリ内の小型サケ・マス漁もロシア側に漁業協力費を支払う形で行われるようになった。  漁業協力費や漁獲割当量などの操業条件は原則として毎年春、操業に先だつ漁業交渉で決められてきた。新型コロナウイルス感染拡大により過去2年はオンライン会議となったが、今年は開催のめどすら立っていない。ロシアによるウクライナ侵攻が、戦場とは遠く離れた日本での出漁を阻んでいる形だ。  水産庁の神谷(こうや)崇長官は3月7日の参院予算委員会で「交渉を実施すべく調整する」と答弁したが、ロシア側から前向きの回答は「ない」とされる。太平洋小型さけ・ます漁業協会(札幌市)の菅原豊専務は「情報がなく、やきもきしているが、とにかく早期に交渉してほしい。漁期を逃せば魚はいなくなってしまう」と焦る。  交渉を行うべく調整が行われているとの報道もあるが、仮に交渉に入れたとしても、相手は日本を「非友好国」に指定したロシアだ。政府も8日に、在日ロシア大使館の外交官らに国外退去を求めている。こうした情勢下で「漁業交渉が開けるのか」と懐疑的な声も漏れる。盛漁期となる4月下旬に間に合うかどうかさえ見通せない。  サケ・マス漁はここ数年、不漁が続いている。昨年操業した小型船も満足な漁獲がなかった。小型船は最盛期には172隻を数えたが、今年は昨年より12隻少ない19隻が出漁を予定するのみだ。  出漁準備をほぼ整えているという根室市内の漁業者の一人は「4~6年に1度、どんと取れる年もあり、今年あたり豊漁かもしれないと期待していた」とこぼす。「日本の200カイリ内で操業するのに、漁業協力金を払わなければならないというのは腑(ふ)に落ちなかったが、当時はその分、多く水揚げすれば何とでもなった。でも、不漁続きの近年は違う。本当に魚がいないんだ」と遠い目をした。  そして、「それにしても、遠く離れた地での戦争の影響だよ。とんだとばっちりだ」と、うなだれた。

 
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