刺身に高圧電流で「アニサキス」撲滅 苦節30年、社長の執念が実った開発秘話
2022年06月15日
魚介類にひそむ寄生虫「アニサキス」による食中毒被害が相次いでいる。胃を突き刺すように侵入し、下腹部の激しい痛みや嘔吐を引き起こすとされる。この食中毒を防ぐため、創業以来30年以上に渡り、アニサキスと戦い続けてきた水産加工会社がある。「日本の生食文化を守りたい」との一心で試行錯誤を重ね、昨年6月、切り身に高圧電流を瞬間的に流してアニサキスを殺虫する画期的な装置を開発した。開発秘話を社長に聞いた。 【画像6枚】刺身に大電流で「アニサキス」撃退!世界初の装置 「暗闇の中で一筋の光が差したような気持ちでした」 開発の成功をこう振り返るのは、福岡市の水産加工メーカー、ジャパンシーフーズの井上陽一社長だ。同社は1987年設立。主にアジやサバの生食加工品を手掛け、スーパーマーケットや飲食店に卸している。アジの生食用加工食品で国内トップシェアを誇る。 ジャパンシーフーズが熊本大学などと連携し開発した「アニサキス殺虫装置」は、切り身に100メガワットの電流を瞬間的に流すことで、アニサキスを殺虫する仕組みだ。一度に3キロのアジの切り身を6分で処理できる。 開発までには、血のにじむような試行錯誤の連続だったと井上社長は明かす。
アニサキス加熱報道で売り上げ8割減も
近年、盛んに話題に上るアニサキス食中毒だが、この食中毒自体はかつてから存在する。アニサキスは、サバやアジのほか、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生。白色で少し太い糸のような見た目をし、長さは2~3センチ、幅は0.5~1ミリと目視できる大きさだ。もともと魚介類の内臓に寄生しているが、魚介類が死亡し時間が経つと、内臓から筋肉に移動することが知られている。 厚生労働省がまとめた21年の食中毒発生件数は717件。新型コロナウイルス対策による衛生意識の向上などで、発生件数は過去20年で最少となったが、このうち半数近い344件が、アニサキスによるものだ。次いで、カンピロバクター(154件)、ノロウイルス(72件)と続く。食中毒の発生件数は、アニサキスを原因とするものが18年以来、4年連続1位となっている。 17年にはお笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さんがサケイクラ丼を食べ、8匹のアニサキスが胃に入り、激しい腹痛に襲われたというニュースが盛んに報じられた。 こうしたアニサキス食中毒をめぐる盛んな報道で、消費者の生食への警戒感が高まり、ジャパンシーフーズの売り上げは一時、80%近く落ちたこともあったという。 「生食をやめて、すべて冷凍にする必要があるかもしれないという思いが常に頭をよぎっていました。そうなると、売り上げも落ち、何より日本の食文化である刺身がなくなってしまいます」 井上社長は、そんな危機感が常にあったと振り返る。
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