なぜ?水着姿で手招き動画、フォロワー7万人 正体はタイの「薬物の売人」だった
2022年06月17日
水着やセクシーな衣装のタイ人女性(32)が踊りながらほほ笑み、手招きする。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」には同じような動画が何本もアップされていた。どれも数十秒程度で特段目を引く映像ではないが、彼女のフォロワーは7万人を超えていた。なぜか-。 【動画】水着姿で踊る女性 実は女性は薬物の売人だった。動画を公開すれば「麻薬の準備ができた」のサイン。麻薬を欲しい人が彼女にメッセージを送ることで取引が始まる。主に郵送で薬物を送っていた。昨年9月8日、警察がタイ南部のスラートタニー県で逮捕した時、彼女の手元には12万錠もの薬物があった。 タイでは昨年、東アジアと東南アジアで最多となる覚醒剤(メタンフェタミン)の結晶22トン、その他の薬物5億9200万錠が押収された。麻薬の大量流通によって安価な薬物が広く浸透しつつある。隠語でナムケン(氷)と呼ばれる結晶の覚醒剤は過去最安値となる1グラム千バーツ(3850円)程度で取引されている。タイ麻薬取締警察によると、2019年は同2500~3千バーツで、3年で半値以下になった計算だ。 急拡大する薬物汚染。その背景を探ると、昨年2月に起きた隣国ミャンマーのクーデターが影を落としていた。 (バンコク稲田二郎)
覚醒剤「生産活動に拍車」背景にミャンマー政変
タイ、ミャンマー、ラオスの国境付近にある山岳地帯は、ケシを原料とするアヘンが大量生産され、世界最大の麻薬密造地帯「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれてきた。近年は主に覚醒剤(メタンフェタミン)の製造に移行。さらに昨年2月のミャンマー国軍によるクーデター以降、「その生産活動に拍車がかかっている」と国連薬物犯罪事務所(本部ウィーン、UNODC)は指摘する。 UNODCによると、3国のうち、タイとラオスは近年、取り締まりによって密造がほぼなくなった。しかし、継続的に麻薬が作られてきたミャンマーでは、クーデター後に政情が不安定化。当局による取り締まりが難しくなった。新型コロナウイルスの流行で軍や警察が現地に入りにくくなったことも、流通量の増加につながった。 事態を深刻にしたのが少数民族の存在だ。クーデター後、ミャンマー東部に住む15~20の少数民族勢力のうち複数が自治を求めて国軍と衝突した。村を焼かれるなど地域経済は疲弊。武器調達などのため比較的資金を手にしやすい薬物製造を加速させ、組織犯罪シンジケートへ大量に流すようになった。民主派が逃げ込んだ国境地域では薬物は密造されていないという。 UNODCによると、昨年日本を含む東アジアと東南アジアで押収された覚醒剤の錠剤は10億錠以上、172トンに上る。これは10年前の約7倍、20年前の35倍以上に相当する。結晶の覚醒剤も10年前の約8倍となる79トン押収された。タイやマレーシアで覚醒剤が過去最安値をつけている現状について、UNODCは「大量生産できているためだ。多くの中毒患者をつくろうと安売りしている」と警告する。
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