「1つ買うと2つ無料」ごみ捨て場に廃棄されるピザ 疲弊する従業員 どこが持続可能なのか
2022年06月28日
週刊文春オンラインが、ドミノ・ピザの「デリバリーでLサイズ1枚を買うとMサイズ2枚が無料でついてくる」キャンペーンで現場が大混乱に陥っていると報じた(1)。このニュースがYahoo!トピックスでも報じられている(2)。筆者もオーサーコメントを書いた(3)。
このキャンペーンのピザが捨ててあり、ごみ収集員の方がこの売り方に疑問を持ったと話していました。
英国では脂質や砂糖の多い食品の「1つ買うと1つ無料」(BOGOF:Buy One Get One Free)は肥満を助長するため2022年4月から政府が禁止しています。
BOGOFは健康を害するだけでなく無駄を生みます。英小売テスコ(TESCO)は調査でパックサラダが最も捨てられている現状を知りバンドルパック(まとめ売り)を止めました。売上だけ考えれば多く売れた方がよくても客が廃棄するならそれはエシカルな(倫理的な)売り方でないということです。
日本の小麦の自給率は15%で米国・カナダ・オーストラリアから輸入しています。膨大なコストとエネルギーをかけ輸入した小麦で過剰に製造し、結局捨てている。従業員は疲弊しているのにあちこちでSDGsを連呼する。どこが持続可能なのでしょう。矛盾しています。(筆者オーサーコメント)
このキャンペーンのピザがごみとして捨てられていた
ごみ清掃員の方によれば、この類のキャンペーンのピザがごみとして捨てられている現場を見て、このような売り方に疑問を抱いたとのこと。
お笑い芸人でごみ清掃員の、マシンガンズ滝沢秀一さんは、ごみ捨て現場にさまざまな食べ物が捨てられている現場を、かつて取材で語ってくれた(4)。クリスマスの時期にはホール(丸型)のクリスマスケーキ、おせち料理、メロン丸ごと3個、米びつの中に米が入った状態で捨てられているなど、現場は壮絶だ。ピザがごみ捨て場に捨てられていた話も滝沢さんに教えていただいた。
英国では脂質・砂糖の多い食品の「1つ買うと1つ無料」禁止
このような「1つ買うと1つ無料」キャンペーンは、BOGOF(Buy One Get One Free)と呼ばれる。英国では成人の肥満が多く、脂質や糖分の多い食品に関するこの種のキャンペーンを2022年4月から政府が禁止した(5)。肥満を助長するからだ。
グローバル企業であれば、このような動きは当然把握しているだろうが、日本ではグローバル企業が同様のキャンペーンを大々的に広めている。そこで筆者がニュースレター(5)にこのことを書いた次第だった。前述の滝沢さんは、その記事を読んで「ピザの件でこのようなサービスに疑問を持っていたので共感した」と話してくれた。この企業は、6月7日には「#1本買うと2本目無料」というタグをつけてツイートしていた。夏場が売上の正念場で「かきいれどき」だからだろう。
英国での動きについてはGetNaviWebの記事に詳しく書かれている(6)。
BOGOFは健康被害と無駄を生む 英テスコは2014年に禁止
英国政府はBOGOFが「さらなる肥満を助長する」として、脂質や糖分の多い製品に関するキャンペーンを禁止した。だがBOGOFは健康を害するリスクがあるだけではない。必要以上に食品を入手することで廃棄されるなど、無駄を生みやすい。
英国の大手小売テスコ(TESCO)は、かつて食品ロスの調査を実施したところ、パック入りサラダが最も捨てられていることがわかった。そこで、いわゆるバンドルパックのような、複数個を一度に買わせる「まとめ売り」をやめた。このことは2013年の日経MJ(日経流通新聞)で紹介されていた。
売上だけ考えれば、まとめて買ってもらった方がよいだろう。だが、多く買いすぎて客が捨てているのであれば、それは「エシカルな(倫理的な)」売り方ではない。だからテスコは止めたのだ。
テスコは2014年に「1個買ったら1個無料」キャンペーンも中止している(7)。
日本は最大手コンビニが「1つ買うと1つもらえる」キャンペーンを展開
ひるがえって、日本を見てみると、最大手コンビニが「1つ買うと1つもらえる」プライチキャンペーンを実施している真っ最中で(8)、飲料や菓子などが対象になっている。倫理的な販売をしている英国とは20年以上差が開いている印象だ。
