サポーターに立ちはだかる宿不足 0泊3日「弾丸ツアー」も、ワールドカップ

カテゴリー/ フリースペース |投稿者/ ビレンワークアップ
2022年11月26日

日本代表の大金星で盛り上がりを見せるサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で懸念されているのが宿泊施設の不足だ。販売済の約300万枚の観戦チケットに対し、提供可能な宿泊施設は1日で十数万室。滞在費は高騰傾向にあり、歴史的な円安の中で日本サポーターにも影響は広がる。とはいえ、ファンにとってW杯は4年に1度の夢舞台。中には試合日に合わせて入国し、24時間以内に日帰りする0泊3日の「弾丸ツアー」を企画した旅行会社もある。 【写真】ドイツ戦の試合後、会場で清掃活動を行う日本人サポーター ■砂漠で土地限られ 大会組織委員会などによると、今大会は8つのスタジアムが首都ドーハから約1時間圏内に集中。地下鉄でのアクセスが良好な「史上最もコンパクトなW杯」を掲げる。 一方、開幕前から不安視されていたのが宿泊施設の不足だ。10月時点でチケットが300万枚近く販売されたが、1日に提供できる宿泊施設は十数万室にとどまるとされる。 そもそもカタールは国土の大部分が砂漠で、宿泊施設を建設できる場所が限られる。カタール側もクルーズ船の客室を3食付きで提供するなどして宿不足解消を目指すが、数が限られる上に、こうした宿でも宿泊費が高騰している。 影響は旅行会社も直撃する。サッカー観戦を中心とする旅行会社セリエ(東京)は、1998年のW杯フランス大会以降全てのW杯でツアーを企画。だが徳田仁社長(61)は「今回のツアー客は前回大会の半分の約250人にとどまっている」と明かす。 新型コロナウイルス禍に伴う航空券代の高騰も悩みの種といえる。感染拡大の前後で比較した場合、燃油代を含めて往復11万円ほどだった日本からカタールへの直行便は、現在は3倍近くも値上がりしている。 こうした事情を踏まえセリエが企画したのは、0泊3日の「弾丸ツアー」。日本からの直行便でカタールに入って1試合観戦し、宿泊せずに24時間以内に出国する内容だ。チケット代や航空券などを含めて52万円がかかるが、1次リーグ初戦のドイツ戦では30人の予約枠が埋まったという。 徳田社長は「金額面では厳しいが4年に1度しかないW杯。カタールに行く人は、行きたくても行けない人の分まで日本代表を応援してほしい」と話した。 日本代表は23日のドイツ戦で劇的な逆転劇を見せ、決勝トーナメント進出への期待が高まっている。 観戦チケットに食事やホテル紹介といったサービスを付与した商品を販売するジャパン・スポーツ・ホスピタリティ(東京)にはドイツ戦の翌日、決勝トーナメントに進んだ場合の日本戦のチケットに関する問い合わせが十数件あった。望月傑(すぐる)代表は「顧客の反応は敏感で、すぐに問い合わせがあった。在庫はもう残りわずかしかない」とうれしい悲鳴を上げる。 1次リーグのチケット保有者向けツアーを企画した西鉄旅行(福岡)にも同様の問い合わせが相次いだ。ただ「カタールのホテル代が高騰し青天井の状態。流動的な決勝トーナメントに合わせたツアーを組むのはキャンセルのリスクが大きい」と同社の担当者。決勝トーナメントに向けたツアー販売は行わないという。 ■1泊3万円…「コンテナ施設」が物議 W杯開催に合わせ、宿不足が指摘されるカタール側が急ピッチで用意したコンテナ型やテント型などの宿泊施設「ファンビレッジ」が物議をかもしている。ドーハ中心部の豪華ホテルに比べて安価だが、それでも日本円で1泊約3万円だ。 ドーハ近郊のアルワクラにあるファンビレッジには、コンテナ型の宿泊施設が軒を連ねている。最寄りの地下鉄から徒歩数分の場所にあり、競技場へのアクセスは抜群といえる。 ファンビレッジにはスーパーや飲食店などもある。屋外の大型ビジョンには試合が放映され、多くの観光客がソファ型のクッションにもたれながらパブリックビューイング(PV)を満喫。新潟市から来た会社員の高島直也さん(35)は「急いで作られた感じではあるけど、各国の代表ユニホームを着た外国人たちと一緒にPVを楽しめて、まさにW杯を感じる」と話す。 一方、「シャワーから泥水が出た。お湯も出ない」「空調の効きが悪く、床に作業員の足跡が付いていた」との不満も相次ぎ、否定的に報じる海外メディアも。英国出身のアフマド・アッシュさん(35)は「値段の割に整備は行き届いていない」としながら、「『地獄のよう』と表現する人もいるが、快適さを求めるなら自宅でテレビ観戦すればいい。W杯を現地観戦できる喜びに比べれば、大した問題ではないよ」と話した。

 
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