米中貿易協議、「第2段階」難航必至 構造問題で中国抗戦も

カテゴリー/ フリースペース |投稿者/ ビレンワークアップ
2020年01月18日

米中両国が貿易協議「第1段階」で正式合意した。交渉は「第2段階」に移るが、中国の産業補助金や国有企業改革など国家主導の経済政策の根幹に関わる構造問題ばかりが残されており、難航は必至だ。ただ、トランプ米政権は11月の大統領選を控え、摩擦再燃は望んでいない。中国も国内の景気対策に尽力したい考えで、大統領選が終わるまでは「一時休戦」が続くとの見方が根強い。

【図解】米中貿易摩擦の主な経緯

 ◇「切り札」放さず
 「膨大な恩恵をもたらす革新的なディール(取引)」。トランプ大統領は合意文書の署名式で、成果に胸を張った。会場に集まった各界の有力者に1時間近くかけて順番に謝意を示す間、もう一人の主役である中国の劉鶴副首相は傍らに立たされたままだった。

 それでもトランプ氏は劉氏と握手を交わし、関係改善を強調してみせた。だが中国が強く求めてきた制裁関税の段階的な緩和や撤回はほとんど考慮されず、第4弾の税率だけを引き下げ、第1~3弾は据え置かれることが決まった。

 米国は関税の撤回に応じるのは「第2段階の合意後」(ムニューシン財務長官)と素っ気ない。一方、中国が第1段階の合意に違反すれば、関税圧力を高めると警告。交渉の「切り札」を手放すことなく、今後も中国に譲歩を迫っていく。

 中国が第1段階の合意を順守できるかは不透明だ。米中は合意検証の枠組みを設けるが、知的財産権保護や技術移転強要の是正はデータでの裏付けが困難。中国が確約した2年間で2000億ドル(約22兆円)の米国産品の購入拡大も、内需低迷が続く中で輸入を増やすのは「非現実的」(エコノミスト)との懸念がくすぶる。米国の対中赤字が高止まりすれば、米国の不満が再び強まる可能性もある。

 ◇野心は堅持
 中国は合意で、激しく抵抗してきた米国産品の輸入数値目標を受け入れた。弱腰批判が出たとしても、摩擦の拡大を抑え、景気失速の回避を優先した習近平指導部の危機感がうかがえる。

 ただ、ハイテク分野に多額の補助金を支給し、世界最高レベルに育成するとの野心を捨てたわけではない。今後の交渉でも米国の是正要求には徹底抗戦する構えで、「早期合意の可能性は低い」(日系証券会社)とみられている。

 米中の摩擦は貿易から技術覇権にも広がっており、米国は中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)など有力企業への締め付けを強化している。同社の問題は第2段階の交渉には含まれない見通しだが、両国のせめぎ合いはさまざまな分野で続きそうだ。

 
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