ボーイングが最新機種でも「操縦桿」を使う理由
2021年07月26日
旅行や出張でジェット旅客機に乗客として乗ったことがある人は多いでしょう。そのとき、多くの場合、2大メーカーのボーイングかエアバスの機体に乗ることになります。この2大メーカーの旅客機は、自分がお客さんとして乗る分には大きな違いを感じないかもしれませんが、パイロットの視点で見ると設計思想が大きく異なります。 エアバスの最新機種は「サイドスティック」という操縦装置を利用していますが、ボーイングは最新機種のB787でも操縦桿を採用しています。 この記事の写真を見る
今回は「ボーイングがいまだに最新機種でも操縦桿を使っている理由」について、『ジェット旅客機操縦完全マニュアル』を上梓した元航空機関士の中村寛治さんに説明してもらいます。 3次元を飛ぶ飛行機には、①補助翼(エルロン)、②昇降舵(エレベータ)、③方向舵(ラダー)の3つの舵が必要です。それらの舵面を動かすため、昔は、「ケーブルでアクチュエーター(作動装置)を制御して動かす方式」でしたが、現在は「デジタル信号に変換しワイヤ(電線)でクチュエーターを制御する方式」であるフライ・バイ・ワイヤ(FBW)が主流です。
フライ・バイ・ワイヤでは、飛行を制御するコンピュータが、他システムから取得した情報(飛行速度、飛行高度、飛行形態、エンジン・データなど)から効率的に旋回するために必要な補助翼や昇降舵などの舵角を算出して作動させます。 そのため、操縦輪を回すだけで効率よく旋回でき、操縦桿を引く操作や当て舵も必要ありません。これにより登場したのがサイドスティックです(図1)。 フライ・バイ・ワイヤには、これ以外にも多くの利点があるため現在の主流となっていますが、なぜボーイングはフライ・バイ・ワイヤを採用しても従来型の操縦桿を残したのでしょうか?
その理由の1つは、ボーイングの「パイロットの過去における訓練と運航経験を重要視する」という設計思想です。パイロットの基礎訓練では操縦桿の飛行機が多く、不測の事態に遭遇したときには訓練時代から感覚的に身についている操縦桿のほうがよいと考えているわけです。 さらに、新技術や新機能を持つ装置の導入では、「明確に機能し効率的な利点がある」「パイロットに有害な影響を与えるインタフェースではない」という考え方も影響しているようです。サイドスティックは、設置側の手が怪我などで動かくなってしまうと操縦が困難になるリスクがあります。
「昨年度予算の繰越金、30兆円超の見通し…コロナ対応補正で過去最大に」
「協力金、本当に「先払い」? ちぐはぐ対応、飲食店憤り 東京」
