大半が運営店舗 コロナ時短命令は「見せしめ」の営業妨害か

カテゴリー/ フリースペース |投稿者/ ビレンワークアップ
2022年05月02日

新型コロナウイルスの改正特別措置法に基づき東京都が出した飲食店への営業時間短縮命令は、憲法が認める営業の自由の侵害に当たるか-。こんな点が争われた裁判の判決が5月16日、東京地裁で言い渡される。都を訴えた飲食チェーン側は、命令に従わない姿勢に対する「見せしめ」だったと主張。コロナ禍の外食産業への時短命令をめぐる訴訟は初めてで、司法の判断が注目される。 【表でみる】新型コロナ関連で最も倒産が多かった業種は? ■大半が運営店舗 改正特措法に基づく2度目の緊急事態宣言が東京都内に発令中の昨年1~3月。「モンスーンカフェ」「カフェ ラ・ボエム」など、首都圏を中心に41店舗を展開する「グローバルダイニング」(長谷川耕造社長)は、営業時間を午後8時までとするよう、都から要請を受けた。 緊急事態宣言について同社は「事業の維持、雇用の維持は無理だ」として、発令後も通常営業を貫くとする方針をホームページ上に掲載していた。都は「従わない場合は時短命令を出す」と通達。同社は「要請であれば従わないが、命令は法律上の義務なので、命令されれば従う用意はある」と回答した。 都は同3月18日、計27店舗に対し時短命令を出したが、このうち26店舗が同社が運営する店だった。命令の理由について都は「緊急事態措置に応じないと強く発信するなど、他の飲食店の営業継続を誘発する恐れがある」などと説明したという。 同社は命令に従い、宣言解除の同21日まで4日間、午後8時閉店としたが、「都への反論を発信したことに対する『見せしめ』だ」と反発。「コロナ施策の在り方を問う」として、命令を受けた26店舗につき各1円、日数分に当たる計104円の損害賠償を都に求めて地裁に提訴した。 ■権利侵害許されず 昨年5月の第1回口頭弁論で都側は「命令は新型コロナの蔓延(まんえん)防止が目的で、見せしめなどの違法なものではない」などとして、請求棄却を求めた。 これに対し同社側は「国や自治体からのサポートが十分でない中、生き残りをかけて大規模な借り入れを決行している。『なんとなく従え』という空気が存在するからなどといった、不合理な権利侵害は許されない」とする陳述書を提出。 小池百合子都知事や、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らの証人尋問も求めたが、地裁から却下された。 訴訟は今年3月に結審。長谷川社長は記者会見で「非常に興味を持って(判決まで)過ごしたい」と心境を語った。原告弁護団の倉持麟太郎弁護士は産経新聞の取材に対し「コロナ対策の主要は、飲食店への時短一本だった。適法性や効果が検証されていない中、(訴訟の判決は)これまでの施策への判断の指標になる」と強調した。 ■未知に対する権力 今回の訴訟について、憲法に詳しい筑波大の秋山肇助教は「施策の科学的合理性が重要になるが、新型コロナという社会に与える影響が不確実な事柄に対し公衆衛生保持のため要請や命令を出すことは、多くの人の命を守るという観点から憲法上の問題は原則ない」と指摘する。 一方で「(時短要請に)従わなかった店舗がほかにも多くある中、都が同社に対して限定的に命令を出した点には、合理的な説明が求められるだろう」とし、「自由と公衆衛生の保持という憲法上の2つの概念がぶつかり合っている。未知の現象に対する権力行使の在り方はどうあるべきか、という疑問を投げかけている訴訟だ」と話した。

 
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