札幌中心部に高級ホテルが続々、外資系を中心に群雄割拠…市は要人が訪れる国際都市化狙う
2023年06月01日
札幌市中心部で、富裕層向けの高級ホテルが相次いで建設される。これまで冬の観光客が少なかったが、2030年度末予定の北海道新幹線の札幌延伸で一年を通して集客が見込めるためだ。外資系を中心に群雄割拠となり、市は国内外の要人が訪れる国際都市化を狙う。(宮下悠樹) 【写真】インターコンチネンタル札幌の完成イメージ
要人需要行政期待
「札幌市では初となる、最上位クラスのラグジュアリーホテルです」。5月18日に札幌市内で開かれた記者発表会。不動産投資会社の代表は高らかにうたいあげた。

「インターコンチネンタル札幌」の入る複合ビルの記者発表会。開発するアクサグループ役員(右2人)のほか、(左から)秋元市長、鈴木知事も駆けつけた(18日、札幌市中央区で)
中央区の中島公園近くにできる14階建て複合ビルの目玉は、25年秋開業予定の外資系「インターコンチネンタル札幌」だ。最も狭い部屋でも42平方メートルで、スイートは159平方メートル。計149室あり、プールやフィットネスジムも備える。
行政側も期待する。国際会議や展示会のための施設を札幌市が誘致するエリアに隣接しており、国内外の要人や経済人が泊まるニーズがあるためだ。記者発表会には秋元克広市長と鈴木知事が参加した。
「道内最高」をうたうのは、JR北海道が手がける2棟目のJRタワー。札幌駅南側に建設中で、道内で現在最も高い1棟目(173メートル)を上回る245メートルとなる。43階建てで、35~40階に外資系「マリオット・インターナショナル」が運営するホテル(約200室)が入る。
集客のカギは、30年度を予定する新幹線の札幌延伸だ。海外の富裕層にパウダースノーが人気のニセコエリアには、すでにマリオットグループが進出。現在は在来線で約2時間かかるが、新幹線なら25分で行ける。JR北の担当者は「ニセコの高級ホテル宿泊者が札幌へ来て、泊まるようになる。滞在する価値を高めるレストランなどを設けたい」と話す。
日本企業も

(写真:読売新聞)
大通付近では、建築家・隈研吾さんがデザインを監修する地上34階の大型複合ビルの建設計画がある。ホテルブランドは未定だが、「上層部に国際水準のハイグレードホテルが入る」(開発主体の平和不動産)。札幌駅の北側では、通信販売大手で、不動産業も展開するベルーナ(埼玉県上尾市)が、訪日外国人客も狙った計605室のホテル建設を進めている。
「スマホ製造、国内勢風前のともしび FCNT破綻」