国際テロの「魔女」逮捕、20年目の真実 刑期満了で2022年に出所へ

カテゴリー/ フリースペース |投稿者/ ビレンワークアップ
2020年11月17日

激動の20世紀最後の年となる2000年11月8日、大阪府高槻市の路上で1人の女が逮捕された。空港での銃乱射やハイジャックなど、1970年代に数々の国際テロを起こして世界を震え上がらせた「日本赤軍」のリーダーで、「魔女」とも呼ばれた重信房子(75)だった。逮捕から20年。執念で魔女を追い詰めた捜査員たちは今、何を思うのか。2022年に迫った刑期満了を前に、支援者らはどのような気持ちで出所を待つのか。(共同通信・杉山修一郎) 【写真】逮捕の日「今も思い出す」「20年も前!」手紙で重信房子受刑者

重信房子が潜伏していた大阪市西成区内のマンション=2000年11月

 ▽氏名不詳の女  「一体誰だ」。2000年夏、大阪市西成区の住宅街。日本赤軍関係者のアジトとみられるマンション一室を監視していた捜査員の目が、1人の中年の女にくぎ付けになった。大阪府警は国内にいる関係者の顔と名前を全て把握していたが、該当者はいない。「氏名不詳の女」の素性を明らかにするため、徹底した尾行が始まった。  10月ごろ、日本赤軍の活動から遠ざかっていたはずの男が、兵庫県芦屋市の駅で女を送り迎えする姿を確認した。  日本赤軍との関与を復活させ、さらに送り迎えまでさせる大物―。「まさか重信か」「日本に戻っていたのか」。捜査員の間に動揺が広がった。まぶたに焼き付けていたのは若い頃の写真。目の前の女に、その面影はなかった。  ▽現場の意地  府警は態勢を組み、逮捕に備えた。マスコミに漏れないよう、情報共有は公安3課を中心とする精鋭数人と警察庁の一部の人間に限った。  結果を急ぐ警察庁幹部からは「海外に飛ばれたら一巻の終わりだ。職務質問して任意同行しろ。革命家の自負から『自分は重信だ』と認めるはずだ」と指示が飛んだ。しかし、府警は現場の意地で激しく抵抗した。「黙秘されたらどうするんですか。物証を固めて逮捕します」

重信房子の逮捕当時を振り返る高橋清孝・元大阪府警警備部長=20年9月28日、東京都千代田区で撮影

 捜査員らは、ほぼ24時間態勢で監視を続け、女が出したごみの空き缶から指紋採取に成功する。元捜査員は「見失うわけにはいかないが、深追いして気付かれたら終わり。常に極限の判断が求められていた」と話す。こうして11月8日未明、指紋の一致が判明した。  ▽逮捕に歓声と拍手  同日午前、大阪府高槻市のホテルから出てきたところを逮捕することが決まった。オランダのフランス大使館が武装占拠された、1974年のハーグ事件に関与した容疑だった。府警警備部長として捜査を指揮したのは、後に警視総監を務める高橋清孝(63)。朝から公安3課幹部と共に、現場の報告を待った。  だがチェックアウトの時間を過ぎても女は現れなかった。周囲で息を潜める捜査員の間に重苦しい空気が漂う。「一分一秒がこんなに長く感じたことはなかった」と元捜査員。  ようやく姿を見せたのは午前10時半ごろ。捜査員が近づき「奥平(おくだいら)か」と偽装結婚後の姓で問い掛けると、女は「うん」とうなずいた。偽造旅券を使用して入国していた。

 
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