スウェーデンとフィンランド、NATO加盟進まず…トルコの要求に2国とも応じず
2022年06月11日
北欧スウェーデンとフィンランドが5月中旬に北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請をして以来、手続きが停滞している。北欧に亡命したクルド人政治活動家らの引き渡しをトルコが要求し、これに両国が応じないためだ。抑圧を受ける少数民族を人道的理由で受け入れてきた両国にとって譲歩は容易でなく、加盟の行方は混沌(こんとん)としている。(ストックホルム 池田慶太) 【一目で分かる】NATOとトルコの溝…各国の思惑とは
亡命先

反トルコの抗議デモを行うクルド系市民ら(5月28日、ストックホルムで)=池田慶太撮影
「トルコの要求に応じればスウェーデンの尊厳が失われる。絶対に受け入れてはいけない」。スウェーデン議会のアミネ・カカバベ議員(無所属)は本紙の取材にこう声を荒らげた。
カカバベ氏はイラン生まれのクルド人で、13歳でクルド人治安部隊ペシュメルガに入隊。カラシニコフ銃を手に、クルド人を抑圧するイラクやイランの軍隊との戦闘に加わった。19歳の時にスウェーデンに亡命して市民権を獲得した。国会議員として14年近く、クルド人の地位向上を目指す運動を続ける。
それだけに、トルコが北欧2か国に対し、NATO加盟を認める条件として、トルコが「テロリスト」に指定する33人のクルド人活動家らの引き渡しを求めたことに憤りを隠さない。
クルド人はトルコやイラク、シリア、イランにまたがる地域に住み、差別や弾圧を受けてきた。トルコは、分離独立を目指すクルド人組織を敵視する。
スウェーデンには移民や難民として「約5万人」(カカバベ氏)のクルド人が暮らす。少数民族に多様性の維持を認め、政治活動に寛容だったスウェーデンは、抑圧から逃れるクルド人の政治活動家や知識人らの有力な亡命先となってきた。
制裁解除
2019年にトルコがシリア北部のクルド人組織支配地域に軍事侵攻した後、スウェーデンやフィンランドを含む欧州連合(EU)加盟国はトルコへの武器輸出を禁じる制裁を発動した。トルコは今回、こうした措置の解除も求めているが、カカバベ氏は「トルコに武器を渡せば、クルド人殺害に使われる」と訴える。
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