バブル期超え過去最高に 首都圏マンション平均価格6360万円
2022年04月19日
2021年度に発売された首都圏の新築マンションの価格がバブル期を超え、過去最高を記録しました。 不動産経済研究所によりますと、2021年度に首都圏で発売された新築マンション、1戸当たりの平均価格は6360万円となりました。 バブル期の1990年度の平均価格、6214万円を100万円以上、上回り過去最高を記録しました。▼都心部の地価が上昇していることや、▼建築資材価格などの高騰による工事費の上昇、▼都心の開発が進み、マンションに適した広い用地が少ないことなどが要因とみられています。 不動産経済研究所は今後の見通しについて「低金利が続く限り、コロナ禍でテレワークが広まったことなどによる住宅需要は今後も堅調に続くだろう」としています。
家賃も安いし意外とアリ? 洗濯機置き場が“室外”の物件の住み心地
2022年04月19日
駅チカ、高層階、日当たり良好……。自らの理想に近い物件を見つけても、家賃との折り合いがつかないケースは少なくない。譲れない条件を残しながら、何かを妥協する際の判断基準は人それぞれだろうが、そのうちのひとつとして挙げられるのが「洗濯機の設置場所」。もちろん「室内」にこだわる人は多いだろうが、ベランダや共用廊下など「室外」の物件もあり、相対的に家賃も安くなりがちだ。では、実際の住み心地や使い勝手はどうなのか。洗濯機を外置きするタイプの物件に住んだことがある人たちに、話を聞いた。 ベランダなどに設置する外置き洗濯機の場合は、洗濯する時間などにも配慮が必要
急ぎならコインランドリーに行けばいい
「最初は私も、先入観から『洗濯機置き場が外なんてありえない!』と思っていましたが、案外住み心地は良いですよ」
そう語ってくれたのは、IT企業に勤務する20代女性・Aさんだ。築40年のレトロなマンションに惹かれたが、唯一気になったのは洗濯機置き場が「室外」だったことだ。
「築年数は古いですが、室内はきれいにリフォームされていて、マンションの外観もレンガ調のタイルがかわいい。でも、洗濯機が外置きタイプの物件だったので、かなり悩みました」(Aさん)
その物件は、家賃や間取り、駅までの距離など、洗濯機置き場以外は理想的。迷うAさんの背中を押したのは、不動産屋の「案外慣れますよ」という一言だった。
「確かに、現実に住んでいる人はたくさんいるわけで……。最初は、『天気が悪い時に洗濯できない』とか、『洗濯機がすぐダメになりそう』とか、いろいろ考えちゃいましたが、そもそも昔なら、天気が悪い日は洗濯機を回さないのが当たり前だったんですよね。急ぎならコインランドリーに行けばいいだけだと割り切りました。洗濯が終わった時の終了音が聞こえにくいのは室外ならではですが、洗濯機と物干しの位置が近いので、洗濯が終わったらすぐに干せるのはメリットです」(Aさん)
ちなみにAさんの部屋は4階。「さすがに1階だと、洗濯物を外に干したくないので、洗濯機置き場が室外の物件は慎重に考えるかもしれません」(Aさん)と言う。
ウクライナ大統領、IMF専務理事と「戦後復興」巡り協議
2022年04月18日
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事と電話会談し、ウクライナの金融安定確保や「戦後復興への準備」について話し合ったとツイッターへの投稿で明らかにした。 【動画】ウクライナ軍、マリウポリの「降伏期限」後もロシア軍に抵抗 その上で「われわれには明確な計画があり、見通しも描けている。IMFとウクライナの協力が今後も有意義であり続けると確信している」と述べた。 ウクライナのシュミハリ首相はこれより先、ワシントンで今週開かれるIMFと世界銀行の会合に出席し、さらなる金融支援を要請する考えを示している。
ウクライナ側「まだ陥落してない、最後まで戦う」
2022年04月18日
ロシア軍が包囲するウクライナの南東部マリウポリをめぐり、ロシア国防省は抵抗を続けるウクライナ軍に投降するよう要求し、応じない場合には「全員殺害することになる」と警告しました。 【図解】マリウポリ陥落なら……「ドネツク州北部」での戦いがカギ ロシア軍勝利なら専門家「早くて冬にキーウへ」 ロシア国防省は16日、マリウポリのイリイチ製鉄所を制圧したほか、市街地からウクライナ軍を完全に排除したと発表しました。 別の製鉄所で抵抗を続けるウクライナの戦闘員については、日本時間の17日午後7時までに投降すれば命は保証するとしていました。 ロシア国防省は17日、「さらに抵抗を続ければ、全員殺害することになる」と警告し、マリウポリの完全制圧に向け攻勢を強める構えです。 一方、ウクライナのシュミハリ首相は17日、アメリカのABCテレビの番組で「マリウポリはまだ陥落していない。我々の部隊は最後まで戦う」と強調しました。 ゼレンスキー大統領は、部隊が全滅した場合、停戦協議の継続が難しくなるとの考えを示しています。 ゼレンスキー大統領「マリウポリで我々の軍を壊滅させることは、全交渉にピリオドを打つことにつながります」 こうした中、第二の都市ハルキウでは17日、ロシア軍の攻撃で住宅などが燃え、地元当局によりますと、5人が死亡、少なくとも20人がケガをしました。 また、首都キーウ周辺では15日から3日連続でミサイルによる攻撃が行われ、ロシア軍は17日、キーウの東に位置するブロバルイの弾薬工場をミサイルで破壊したと発表しました。 ブロバルイの市長は「市のインフラ施設がミサイルで攻撃された。電力供給や上下水道などに問題が起きる可能性がある」としています。 市民や民間施設へのさらなる被害が懸念されます。
ロシア「抵抗なら全滅させる」 マリウポリで投降拒むウクライナに
2022年04月18日
ロシア国防省は16日、ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部の要衝マリウポリで「都市部全域からウクライナ側の戦闘員を一掃した」と発表し、残る戦闘員に投降を呼びかけた。マリウポリ当局が17日に投降を拒否することを表明すると、露側は「これ以上抵抗を続ければ全滅させる」と警告した。露軍が包囲してきたマリウポリでの攻防は最終局面を迎えている。 【写真】大阪の桜に重ねる祖国 ウクライナから避難のモデル「戻りたい」 ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナメディアのインタビューで「自国の領土や国民を取引の対象にはしない」と述べ、あくまでも徹底抗戦を続ける構えを見せた。さらに「我々の軍部隊が全滅させられた場合、(ロシアとの)全ての交渉は終わる」と語った。 インタファクス通信によると、露国防省のコナシェンコフ報道官は16日、マリウポリの情勢について、都市部からウクライナ側戦闘員を一掃した上で「残存部隊を(市内の)アゾフスタリ製鉄所敷地内に閉じ込めている」と説明。「武器を捨てて降伏するのが自らの命を守る唯一のチャンスだ」と投降を求めた。タス通信によると、露軍は16日、モスクワ時間の17日午前6時(日本時間17日正午)から午後1時までの間、製鉄所内に残るウクライナ側戦闘員の投降のために一時停戦することをウクライナ側に提案した。 これに対し、米CNNによると、マリウポリの市長顧問は17日、「防衛を続ける」と投降を拒否する姿勢を通信アプリ「テレグラム」で表明。部隊を製鉄所内に閉じ込めたとする露軍の主張を「事実ではない」と否定し、製鉄所から5キロ離れた場所で戦闘が続いていると主張した。露国防省は「(ウクライナ政府が)降伏に関する交渉を禁じたと無線で傍受した」として「さらに抵抗すれば全滅させる」と表明した。 ゼレンスキー氏は16日夜、テレグラムに演説の映像を投稿。露軍による降伏要求には触れなかったものの、露軍は「マリウポリにいる全ての人を破壊しようとしている」として「解決の道を見つけることはとてつもなく難しい」と主張した。 ウクライナのベレシチューク副首相は17日、戦闘地域から民間人が避難するための「人道回廊」についてロシアと合意できず、「今日は設置できない」と明らかにした。 露軍の攻勢はマリウポリを含むウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州が中心になっている模様だが、首都キーウ(キエフ)近郊や西部リビウ州へもミサイルによる攻撃が続いている。
支援、死と隣り合わせ ウクライナ派遣の日本人医師
2022年04月18日
ロシア軍がウクライナ東部マリウポリ制圧に向けて攻勢を強める中、戦地に取り残された民間人への人道支援が急務となっている。医療機関が爆撃の標的とされ、医療物資の供給もままならない。3月下旬から約2週間、現地に派遣された日本人医師が産経新聞のオンライン取材に応じ、死と隣り合わせの過酷な日常を打ち明けた。(本江希望) 【写真】「ロシアは侵略国家だ」放送事故か…局員が国営テレビ生放送に乱入 「1週間ずっと地下にいたんだ。靴を脱ぐこともできなかった」 ロシア軍の包囲攻撃が続くマリウポリから北西に約300キロ離れたドニプロに逃れた男性は、避難所の診療所で足の痛みを訴えた。治療したのは国際医療援助団体「国境なき医師団」(MSF)の救命救急医、門馬(もんま)秀介さん(48)。ロシアの侵攻後、日本からウクライナに派遣された最初の医師だ。 東部の要衝であるドニプロにはマリウポリのほか、北東部ハリコフなどから避難民が押し寄せている。ドニプロも空港が破壊されるなど散発的に攻撃にさらされているが、医療体制は維持され、MSFが支援活動を行っている。 3月23日に現地入りした門馬さんは、約30人のチームとともに活動。地元医師らに戦線が拡大して多数の負傷者が出た場合に備え、緊急度や重症度に応じて治療の優先順位を決める「トリアージ」の方法などを指導したほか、避難所で避難民の診療を行った。 避難民らは戦争の恐怖に向き合いながらも気丈に振る舞っていた。「北方領土は大丈夫か」。祖国の危機を差し置いて、日露関係を気遣う人も多かった。そんな中で精神的に追い詰められ、突然泣いてしまう人や黙り込む人、食事を取れなくなる人もいた。 ■病院への攻撃続く 一方、激戦地のマリウポリでは産科病院や住民が避難していた劇場が空爆を受け、民間人2万人以上が犠牲になったとされる。いまだに約10万人が取り残されているともいわれる。 戦闘が本格化して以降、MSFを含め、ウクライナ国内で人道支援を行う国際機関や非政府組織(NGO)はマリウポリには入ることができていないとみられる。爆撃の中、退避したMSFの現地スタッフからは「水も薬もない状態だった」と伝えられた。 ロシア軍の攻撃は東部や南部で激しさを増し、南部ミコライフでは今月初旬、2日間で3つの病院が爆撃されるなどの被害が出た。また、支援活動中のMSFのスタッフが攻撃を目撃したことも報告された。 ■「切れ目ない支援を」 2日にドニプロを離れた門馬さんは「日常のすぐそばに戦争があった。医療物資を提供するにも死と隣り合わせ。輸送中に爆破される可能性もあり、簡単なことではない」と激戦地での支援の難しさを振り返る。 それでも必要とされるなら再びウクライナで支援活動を行いたいと力強く語り、「状況に応じた切れ目のない支援をしていかなければならない」と訴えた。
ウクライナ軍の弾薬切れの懸念強まる、米政府当局者
2022年04月18日
米政府当局者は16日、ウクライナ情勢に触れ、激しい地上戦の発生も今後数日内に予想されるなか、ウクライナ軍が保持する弾薬が尽きることへの懸念が強まっているとの戦況分析を示した。 特に砲門用の砲弾の不足への危惧があり、より迅速に供給する必要性があるとした。 バイデン米政権は最近、ウクライナへの追加の軍事支援を発表。155ミリ榴弾(りゅうだん)砲の18門、砲弾4万発の提供も盛り込んだ。ただ、この砲弾数は数日内に使い切ってしまう可能性もあり、ウクライナ軍が弾薬不足に遭遇する事態もあり得るとした。 同当局者によると、以前に起きた激戦でウクライナ軍は1日で数千発の砲弾を使用したこともあったという。 米国は今後の戦況について、ロシアの戦略はおそらく兵器や部隊を北方からウクライナ東部へ移し、東部に展開するウクライナ軍部隊を囲み、補給網などを切断して孤立化させることを狙うものとみている。 このなかでオースティン米国防長官や米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は連日、ウクライナ周辺国家の関係者に電話し、より多くの兵器と補給物資を出来るだけ早くウクライナへ引き渡すことを促しているという。 米国防総省は先週には、大手の軍事企業8社の最高経営責任者(CEO)を集めてウクライナの戦闘能力の強化を図る方途を話し合う会合も開いていた。
政権交代目前の韓国、検察の「政治報復」封じる法改正案…検事総長は反発し辞表
2022年04月18日
韓国のキム・オス検事総長が17日、法相に辞表を提出したと明らかにした。左派の与党「共に民主党」が5月10日の政権交代を目前にして、検察の捜査権をほぼ全面的に警察などへ移管する法改正案を国会で強行採決しようとしていることに反発したものだ。
韓国では、強大な捜査権を持つ検察が政権交代後、大統領経験者や側近を捜査してきた歴史がある。次期大統領で、検事総長も務めた尹錫悦(ユンソクヨル)氏は2月、大統領就任後に文在寅(ムンジェイン)政権の不正を捜査する意向を表明している。今後検察が、文氏や、大統領選候補だった李在明(イジェミョン)前京畿道(キョンギド)知事らの捜査に着手するとの観測がでていた。
今回の法改正案は、検察の捜査権を事実上、完全に奪う内容で、共に民主党が「政治報復」を封じるために先手を打つ狙いとみられている。キム検事総長は17日の声明で、国民に影響を与える刑事法体系の改革には「世論や与野党の合意が必ず必要」と批判した。
共に民主党は15日、検察庁法で定めた経済犯罪や公職者犯罪、選挙違反などの捜査権と、刑事訴訟法で定めた検事の一般的な捜査権をなくす二つの改正案を国会に提出。国会(定数300)で172議席を持つ同党は法案を4月中に成立させる構えで、尹氏側は「悪法」と猛反発している。キム検事総長の辞意表明で、文政権や与党に対する世論の反発が強まることも予想される。
プーチン政権逃れイスラエルへ ロシア人の移住相次ぐ
2022年04月18日
ロシア軍の戦車がウクライナに侵入してきた瞬間、映画制作者のアンナ・シショワボゴリュボワ(Anna Shishova-Bogolyubova)さんとドミトリー・ボゴリュボフ(Dmitry Bogolyubov)さん夫婦は、祖国ロシアを去らなければならないことを悟った。 【写真】「プーチンに祖国奪われた」と語るロシアの言語学者、オリガ・ロマノワさん 「次は私たちの番だ」と夫婦は感じた。ボゴリュボフさんによれば、ロシアでは「外国の代理人」に指定されると、「自己検閲や、遅かれ早かれ刑務所送り」の人生に直面する。今は、イスラエルの閑静な町レホボト(Rehovot)でアパートを借りて暮らしている。 ボゴリュボフさんは2019年、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が地方圏で自身の権威を高めるため、ナチス・ドイツ(Nazi)との戦いを引き合いに出す様子を描いたドキュメンタリー作品『Town of Glory(原題:栄光の町)』をドイツの資金で制作した。 しかしロシア政府は、国際的な孤立が深まる中、外国資金で制作された映画やドキュメンタリー作品に疑いの目を向けるようになった。ボゴリュボフさん夫婦も例外ではなかったという。 「ここ数年、脅威を感じていた。特にここ数か月は当局の監視が張り付き、映画のセットも写真を撮られていた」と、シショワボゴリュボワさんは話した。 夫婦はロシアで仕事を続ける一方、ユダヤ系であることを利用し、万が一に備えてイスラエルの市民権を取得した。イスラエル帰還法では、祖父母のうち一人でもユダヤ人がいれば市民権の付与が認められる。 ■戦争反対 イスラエル移民当局によると、ロシアのウクライナ侵攻後、イスラエルに逃れたウクライナ人は2万4000人近くに上る。ロシア人も「都市部の中所得層に属する若い大卒者」を中心に約1万人がイスラエルに逃れた。 モスクワ生まれの言語学者オリガ・ロマノワ(Olga Romanova)さん(69)は、プーチン大統領が2014年にクリミア(Crimea)半島を併合した後、「ロシアでは何かがおかしくなってきている」と感じ、イスラエルのパスポートを申請した。 もともと、イスラエルに住む子どもたちの元へいずれ移住しようと考えていた。だが、侵攻が始まった2月24日の朝、「一刻も早く出国しなければならないことが証明された」と語る。 「ウクライナでの戦争は、私の考え方や道徳観とは相いれない。気分が悪くなる」。ロマノワさんは、エルサレム(Jerusalem)郊外の息子の家で孫たちの写真に囲まれながら、涙をこらえた。 ■永住か、仮住まいか ここ7週間にウクライナとロシアからイスラエルに流入した移民の数は、ソビエト連邦の崩壊によって1990年代初頭に起きた大規模移住以来の多さとなっている。 「ここなら安心してゆっくり眠ることができる」とシショワボゴリュボワさん。「でも、この先ずっとここで暮らすかは分からない。仕事次第だ。今はただこの瞬間を生きて、気持ちを落ち着かせたい。後のことはそれから考える」 市民権を取得した人たちにとっても、イスラエルは未知の土地だ。ロシアへの郷愁は隠せない。 「私は祖国を失った。盗まれてしまった。プーチンとKGB(旧ソ連国家保安委員会)の悪党たちに奪われたのだ」と、ロマノワさんは物憂げに語った
露国境のフィンランド住民、暗黒時代振り返り不安な日々
2022年04月18日
ロシアと国境を接するフィンランド東部イマトラの国境検問所は、かつて旅行客でごった返していたが、今は人けが無い。ロシアのウクライナ侵攻以来、この街の住民は巨大な隣国に不安な目を向けながら暮らしている。 人口2万6000人のイマトラは、全長1300キロメートルに及ぶ陸の国境に9カ所設けられた検問所の1つがある場所だ。 コロナ禍前、この検問所はショッピングやスパ旅行、友人や親戚を訪ねるといった目的でフィンランドを訪れるロシア人を毎週何千人も迎え入れていた。 しかしロシアがウクライナに侵攻してからというもの、イマトラは「穏やかでない客」の到来を恐れるようになっている。フィンランドが、安全保障政策の一大転換点となる北大西洋条約機構(NATO)加盟を検討するようになったのは、そうした懸念が契機だ。 「少し怖い」と語るのは、81歳のマリヤ・リーサ・カントキビさん。第二次世界大戦中に旧ソ連がフィンランド侵攻を試み、同国が領土の約1割を失った時、国境の向こう側から避難してイマトラに住むようになった。 「私の住まいはここから2、3キロのところ。彼ら(ロシア)の方向からやって来ると、最初に通るアパートよ」 フィンランドは長らく、ロシアと友好関係を保つために対立を避けてきた。しかしマリン首相は13日、同国がNATO加盟を検討し始めた今、ロシアからのあらゆる反応に備えなければならない、と述べた。NATO加盟申請については数週間以内に結論を出すとしている。 ロシアの安全保障高官とメドベージェフ前大統領は14日、NATOがフィンランドとスウェーデンの加盟を認めるなら、軍事バランスを修復するためにバルト海に核兵器を配備する可能性があると述べた。 <消えた観光収入> コロナ禍が襲う前の2019年、イマトラ一帯への外国人観光客の訪問は190万回に及んだ。TAKトラベル・リサーチ・カンパニーのデータでは、観光客はほぼ全員がロシア人で、3億1000万ユーロ余りの収入をこの地域にもたらした。 地域最大の都市、ラッペーンランタのキンモ・ヤルバ市長は「こうした交流が途絶えたことで、今では毎日100万ユーロ前後(の収入)が失われている」と語る。ウクライナ侵攻以来、ロシアとの関係はすべて断ったという。 イマルタにはウィンドーの中が空っぽの店がいくつかある。国境をロシア側に渡ったところの街、スベトゴルスクのバス停から、まだ雪をかぶった検問所を越えてお知らせのアナウンス音声が漂ってくる。 1944年まで、スベトゴルスクはエンソと呼ばれ、フィンランド最大の工業地帯の心臓部だった。その中心を成す製紙工場は第二次大戦後、ロシアに明け渡された。1970年代にフィンランド人らが製紙工場に戻り、旧ソ連のために改修を行った。 ロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を併合し、西側との関係が急速に悪化すると、フィンランドに足場を築くロシア人も現れた。 アンナさんとアレクサンドルさんはロシア第2の都市、サンクトペテルブルク出身だが、今はイマトラに住んでいる。ラッペーンランタで画廊も営む。 アンナさんは移住を決断した理由について、フィンランドの「ピュアな」自然が「力を与えて支えてくれる。寺院のよう」と語った。ウクライナでの戦争には深い悲しみを抱いているという。 フィンランド南東部にはロシア語を話す住民が何千人もいるが、取材に応じてくれる人はほとんどいない。アンナさんとアレクサンドルさんからも、ロシアに行った時に問題が起こるかもしれないとして、記事には姓を出さないよう頼まれた。 「フィンランドでの暮らしは天国のようだ」とアレクサンドルさん。「朝目覚めて、たばこを一服するために外に出る。まるで何も変わっていないように感じるが、全世界が変わってしまったのが現実だ」と沈痛な表情を浮かべた。 同じくイマトラに住むカトリさんは、1991年まで旧ソ連の一部だったエストニアで幼少期を過ごした。言論の自由が無かったと振り返るが、その口調は慎重だ。 国境沿いに住んでいることへの不安はぬぐえない。「急にここを離れなければならなくなるかもしれない、という事実を覚悟しておくべきなのかもしれない」と話した。
