韓国首相、事故の釈明140分 外国の批判に危機感
2022年11月02日
外国人26人を含む150人以上が死亡した韓国ソウル・梨泰院(イテウォン)の雑踏事故で、韓悳洙(ハン・ドクス)首相は1日、海外メディア向けの緊急記者会見を開き、「政府が無限の責任を負い、再発防止に努める」と述べた。予定時間を大幅に超えて140分間の質疑に応じ、韓国政府の対応を批判する海外報道に危機感を示した。 【写真】多数の若者らで混み合うソウル・梨泰院の狭い坂道。この後事故が起きた 会見で「警察当局の安全対策が消極的だった」との指摘が相次ぐと、韓氏は1980年代まで軍事政権が続いた国内事情を挙げ、「韓国では政府が先んじて市民の自由を制限することへの拒否感が強い」と説明。今後は「移動の自由を多少制限しても、安全を最優先に管理をするのが政府の方針だ」と訴えた。 海外では事故に対し、「より多くの警察を配置すべきだった」(米ニューヨーク・タイムズ)などと批判が拡大している。会見は「海外メディアの批判が想定を超えて強まっている」(韓国外務省関係者)として、急遽(きゅうきょ)設定された。 韓氏は「質問が尽きるまで席に残る」と強調。会見途中からは韓国語の質問にも英語で応じるなど、欧米メディアを意識した釈明を続けた
韓国雑踏事故「押せ、押せ」の声引き金か 犯人捜し過熱
2022年11月02日
韓国・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)の路地で150人以上が犠牲となった雑踏事故で、特定のグループが「押せ、押せ!」とあおり立てたことが事故につながったとの見方が出ている。多数の若者らの命を奪った凄惨(せいさん)な事故だったこともあり、ネットでは特定人物に責任を転嫁しようとする「犯人捜し」が過熱している。 【写真】多数の若者らで混み合うソウル・梨泰院の狭い坂道。この後事故が起きた 韓国メディアによると、事故を巡っては「『押せ、押せ』という声が聞こえ、周りの人たちが押されてドミノみたいに倒れた」といった証言が相次いでいる。 ネットに動画を投稿するユーチューバーで、現場にいたという女性は交流サイト(SNS)で、後ろから「押せ、俺らが勝とう」という声がし、「突然、強い力が加わった」と振り返った。ウサギの耳の形をしたヘアバンドの男性ら5、6人が「押せ」と言って押し始めたとの証言もある。 当時は人の波を統制しようと、「後ろに下がって」と呼びかける声も複数上がっていたという。韓国語で「押せ」を意味する「ミロ」と「後ろへ」の「ティロ」は発音が紛らわしく、「後ろへ」との呼びかけを聞き違えて周囲の人が「押せ」と叫んでしまったとも指摘されている。 他にも、現場近くのナイトクラブに逃れようとした人の立ち入りを拒んだとされる警備員に対しても、処罰を求める声がネット上で上がっている。 警察は、事故に巻き込まれた人々が撮影した動画や防犯カメラ50台以上の映像を確保し、事故原因を調べているが、今のところ、犯罪容疑の適用を検討するほどの対象はいないという。 人を故意に押したことが事故を招いたとすれば、未必の故意による殺人罪が適用できるとの指摘もあるが、現実的には「押せ」との声と大規模な転倒との因果関係を立証するのは困難だ。 だが、高校生ら300人以上が犠牲となった2014年の旅客船セウォル号事故当時と同様に、標的を捜しだして、非難の矛先を向けようとする世論の過熱が収まる気配はない。 ウサギの耳形ヘアバンドをして現場周辺にいたことから、ネット上で写真を公開され、個人攻撃を受けた男性もいる。男性は1日、SNSで事故前には別の場所に移っていたと説明。「魔女狩りはもうやめてほしい」と訴えた。
ソニーG通期営業益を上方修正、音楽など好調 ゲームは下振れ
2022年11月02日
ソニーグループは1日、2023年3月期の連結営業利益見通し(国際会計基準)を従来の1兆1100億円から1兆1600億円(前年比3.5%減)に上方修正した。為替の円安効果のほか、音楽分野や画像半導体などが好調に推移すると見込む。一方、ゲーム事業は利益見通しをさらに引き下げた。 IBESがまとめたアナリスト25人のコンセンサス予想の平均値は1兆1780億円。 純利益の見通しは400億円増額し、同4.8%減の8400億円に上方修正した。売上高は円安で1000億円上積みし、同16.9%増の11兆6000億円に引き上げた。 事業部門別では、音楽分野が円安のほか収⼊増により利益を押し上げる。上半期では6年ぶりにアルバムを発表したビヨンセに加え、新人アーティストによるヒットが貢献。音楽配信大手スポティファイの週次ランキングでは、上位100曲に平均して48曲(前年通期実績は36曲)がランクインしたという。 画像半導体は円安に加えて、高価格帯スマートフォン向けのカメラセンサーの高画質化などの恩恵を受けた。ただ、十時裕樹副社長は、23年1─3月期は景気後退で需要低迷の可能性があるとして「保守的な収益見通しにしている」と説明した。米国による対中半導体輸出規制の影響は軽微で、業績に織り込み済みという。 ゲーム事業は、前回7月予想から300億円下振れる。同事業は⽶ドル建てでのコスト⽐率が高いため、円安は営業利益にマイナス要因になる。 家庭用ゲーム機プレイステーション(PS)の総利用時間は、7─9月期に前年同期から10%減。ソフトの販売は過去タイトルの販売が減少する一方、新作の大型タイトルが堅調に推移しており、「ユーザーが支出の抑制を背景に、タイトルをより絞り込んでいることがうかがわれる」(十時副社長)という。 ハードウェアのPS5については供給制約に緩和がみられるため、通期販売計画の1800万台からの上積みを目指す。 同時に発表した22年4─9月期の連結営業利益は、前年同期比8.8%増の6510億円だった。音楽分野や画像半導体、金融分野の増益が寄与し、売上高、営業利益ともに7─9月期、上半期として過去最高となった。金融分野では、昨年発生したソニー⽣命の⼦会社での不正送⾦にかかる資⾦回収で221億円の増益効果があった。
トヨタ、売上高が過去最高を更新 原材料高騰で純利益は23.2%減
2022年11月02日
トヨタ自動車が1日発表した2022年9月中間決算(国際会計基準)は、急速に進んだ円安の効果などで売上高が前年同期比14・4%増の17兆7093億円に達し、過去最高を更新した。一方、最終的なもうけを示す純利益は23・2%減の1兆1710億円となった。本業のもうけを示す営業利益は34・7%減の1兆1414億円。原材料価格の高騰などが重荷となった。 【画像】葬儀に駆けつけた13台のNSX 妻に残した愛車と道標 23年3月期の業績見通しは、売上高が前年比14・7%増で過去最高の36兆円になりそうだとし、従来予想から1兆5千億円分、上方修正した。しかし、同時にコストの膨張も避けられないとみて、純利益は前年比17・2%減の2兆3600億円を予想し、8月に上方修正した水準に据え置いた。 トヨタは1年間に国内生産する約300万台のうち6割を輸出しており、円安になると競争力が高まり売り上げ・利益が伸びやすい。また、海外事業のもうけも、円換算で膨らむ。 ただ、鉄・アルミなどの資材費や、電気代などのエネルギー費の高騰が重くのしかかっており、円安による利益の上ぶれを打ち消した。原材料高に苦しむ仕入れ先部品メーカーへの支援費用なども響いた。 コロナ禍の混乱からの生産回復も、思い通りにいっていない。半導体不足が続いていることから、23年3月期の世界生産計画をこれまでの970万台から920万台に引き下げた。通期の生産計画の下方修正は、2年連続となる。
ジブリパーク、お会計200万円超えの人も 限定品「大人買い」
2022年11月02日
愛知県長久手市に1日オープンした「ジブリパーク」。園内の土産ショップには、ここでしか買えない限定グッズを求め、初日からジブリファンらが長い列を作った。 【コスプレ勢も登場】ジブリパーク開園時の様子 ひときわにぎわいを見せていたのが、メインエリア「ジブリの大倉庫」2階のショップ「冒険飛行団」。 宮城県から親戚と来たという50代の女性は大きな紙袋を手に店から出てきた。ジブリパーク限定のお菓子(木の実のラングドシャ1404円)3箱や、小物など計約2万3000円分を購入したという。 「私よりもっとすごい人がいる」と見せてくれた写真には、売り場レジの画面に「233万8000円」と表示されていた。前列に並んでいた人の会計に驚き、思わず撮影したそうだ。 「子どもを連れてはとても並べない。お土産を買うのは諦めました」。2歳の娘を抱えた愛知県犬山市の片山華穂さん(26)は、こう嘆いて店を後にした。片山さんによると、レジを待つ客の列は店の外まで続き、購入するのに「30分以上」はかかりそうだったという。 運営するジブリパーク社によると、ショップでは100万円を超える腕時計など高額商品も扱っている。愛知県の大村秀章知事は「足りなくなったらすぐにグッズを運べるよう近くに倉庫も用意しており準備万端だ。どんどん補給し満足して帰っていただけるようにしたい」と話した
経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」
2022年10月31日
「禁じ手には禁じ手で返した」。 自民党の政策責任者・萩生田光一政調会長は、総合経済対策を巡る財務省との攻防をこう表現した。与党四役の一人を怒らせた、財務省の“禁じ手”とは一体何だったのか。 29兆1000億円の巨額予算を巡る“仁義なき戦い”の舞台裏を追った。 【写真を見る】経済対策を懸けた仁義なき戦い 萩生田政調会長を激怒させた財務省の“禁じ手” 「責任を取るのはあなたたちじゃない」
■会議中に入った岸田総理からの電話
10月26日午後、東京・平河町の自民党本部9階の会議室。物価高や円安などに対応するための総合経済対策をテーマにした会議を取り仕切っていた、萩生田政調会長の携帯電話に着信が入る。電話の主は岸田総理だった。 「これで了承しているのか」 岸田総理が電話で確認したものは、総合経済対策の総額だった。その直前、総理官邸を訪れた鈴木財務大臣から「25兆円」との報告を受けていたが、昨年並みの「30兆円規模」を求めてきた萩生田氏らが納得する数字だとは到底思えなかったのだ。 「今、議論しているところで、了承はしていません」 「そうか、ごめんな」 萩生田氏の返事に、岸田総理は思わず謝った。自民党内での会議が佳境を迎えているタイミングであることを把握していなかったからだ。 決定に進んでいた総合経済対策がこの電話で一気に振り出しに戻った。 「規模は大事」と言い続けていた総理も「これでは足りない」との認識を示したという。
■「責任取るのはあなたたちじゃない」静かな怒りに青ざめる財務官僚
与党の国会議員たちが総合経済対策の検討を重ねている最中に、総理にその全体像の報告を行う財務省の姿は、与党の議論をまるで無視するかのように映る。萩生田氏にとっては、まさに掟破りの“禁じ手”そのものだった。 岸田総理との電話を終え、会議室に戻った萩生田氏は憮然とした表情でマイクを握った。居並ぶ国会議員や官僚らを前に、岸田総理との電話のやり取りを明かしたのだ。 「党で経済対策の中身について議論をしている最中に財務省はマナー違反だ」 抑制的ではあるが、明らかな怒りが込められた言葉に会場は騒然となったという。 安倍政権を官房副長官として支えた経験のある萩生田氏にとって、総理と一対一で行った会話の内容を公表することもまた“禁じ手”であった。あえて、その“禁じ手”を使ったのは、経済対策を巡る財務省との戦いに決して負けないとの決意の表れだった。 「政策の責任をとるのはあなたたちじゃない、国民に選挙で選ばれた我々なんだ。結果の責任は我々が問われるんだ」 参加者によると、会議に出席していた財務官僚はそう指摘されるとみるみる顔色が青ざめていったという。 自民党政務調査会のメンバーからも「財政民主主義を破壊する行為だ」「財務省はおかしいぞ」などと批判の声が上がっていった。
元自衛隊員の日本人義勇兵が語る「なぜ私がロシアと闘うのか」
2022年10月31日
「忍者小隊」と名付けた部隊で戦闘を繰り広げた 潤沢な装備で攻めてくる敵兵にライフルで応戦

義勇兵の山田大樹氏(仮名)。礼儀正しく風貌も穏やかだが、戦場での体験談は想像を絶するものだった 撮影・文:横田 徹
「留学中にロシアのウクライナ侵攻が起きました。最初は傍観していましたが、多くの同級生が義勇兵としてウクライナへと向かいました。ロシア国内に住む友達も反戦デモに参加していた。自衛官として軍事訓練を受けた経験がある自分も、ウクライナのために何かしないといけないという気持ちになったんです」 【閲覧注意】ブチャを超える遺体の数…悲惨さを極めるイジュームの光景 山田大樹氏(仮名)が陸路で国境を越えてウクライナに向かったのは、3月12日のことだった。まず国境近くにある外国人部隊募集所で義勇兵として登録し、西部のヤヴォリウにある基地に配属される。ここには欧米諸国を中心に南米やアジアなどさまざまな国籍の義勇兵が集まっていた。配属された日の夜は「夜間の空襲に対する訓練がある」と告知されていた。 「爆音がしてガラスが割れたので『ウクライナ軍の訓練は本格的だな』と呑気(のんき)に構えていました。しかし、周囲の様子が慌ただしく、ミサイルが基地に30発ほども着弾して『本当の攻撃なんだ!』と慌てて建物から逃げ出しました。この時、死亡したり、腕がもげたりした人も多く見かけました」 現実のミサイル攻撃で多くの義勇兵が怯(おび)えて逃げ出したが、山田氏は不思議と恐怖感を抱くことはなかったという。そのまま部隊に留(とど)まり、東部の最前線に配属された。 「義勇兵の中にはゲーム感覚で参加する人がいて、そういう人たちは長続きしませんでした。ここでは砲兵戦が多くて元米軍兵士も今まで経験したことのない戦いに自信をなくして帰国します。本当にウクライナを助けたいという者だけしか残りませんでした」 4月24日、山田氏は敵陣の偵察と狙撃という任務を任せられ、東部ハルキウ州のモロドバ村という激戦地に投入される。ロシア軍の榴弾砲や迫撃砲といった潤沢な武器に対して山田氏らはライフルやマシンガン、せいぜいグレネードランチャーのみという装備で戦った。 「最初からロシア軍に包囲されて、次から次へと攻め込まれ、散々な目に遭(あ)いました。部隊が後退することになり、私を含む3人が撤退を援護するために最後まで戦いました。そんな危機的な状況下でなぜか『麻婆豆腐』が頭に浮かび、そのことだけを考えていました」 それだけ尋常ではない心理状態だったということだろう。ロシア軍からの砲撃は想像を超え、山田氏たちは地面に掘った塹壕(ざんごう)に身を隠した。 「自衛隊にいた時は『こんな時代遅れの訓練をして実戦で役に立つのか?』と思っていました。しかし、今回の戦争はアフガニスタンやイラクのような対テロ戦ではなく、正規軍同士の砲撃を中心とした、まるで第二次大戦中のような戦い方でした。なので、陣地の構築など、自衛隊で訓練したことが役に立ったんです」 ウクライナ軍から支給されたライフルでロシア兵を狙撃したという山田氏。遠距離からの砲撃とは違い、スコープで相手の顔を目視し、ライフルの引き金を引く。その心境、そしてウクライナ人を助けるためとはいえ、ロシア人を殺すことに葛藤はなかったのだろうか。 ◆「忍者小隊」の創設秘話 「敵とはいえ、彼らにも親や友達がいて、さまざまな人生を送ってきた者をたった一発の銃弾で命を奪ってしまいます。それは敵も同様で、それを承知でこちらを攻撃してくるのだと意識しています。戦場で敵を殺すことについて、モラルを考えては駄目だと思います」 その後、外国人部隊に日本人の義勇兵も参加するようになり、山田氏は広報目的で小隊長に「忍者」という部隊名はどうかと提案したところ承諾された。10月現在、「忍者小隊」には2人の元自衛官の日本人義勇兵が在籍しており、ハルキウ州東部の最前線で戦っているという。 山田氏は5月下旬に留学先の卒業手続きで、一度ウクライナを離れたが、すぐに前線に舞い戻った。その頃、EU圏でビジネスを展開する民間企業から仕事のオファーを受けた。 「その仕事は私以外に適任者がおらず、もし私がオファーを断ると30人のウクライナ難民が職を失うことになるので就職を決めました。今は前線を離れましたが、外国人部隊との連絡は密に取り続けています。個人装備や活動費の不足を補うために個人的に支援をしたり、募金活動を行うなど忍者小隊を支えています」 8月中旬に民間企業に就職した山田氏は、現在もEU内でウクライナ難民と共に働いている。 山田氏によると、義勇兵としての月給はウクライナ正規軍と同等で、後方勤務だと日本円換算で3万円ほどだが、前線任務をフルで行うと40万円になるという。現在、ウクライナで戦う日本人義勇兵は10人を上回るというが、日本政府はウクライナ全土に退避勧告を発し、渡航を控えるように発表しており、日本人義勇兵に関する情報収集を行っているという。もし判明した場合はパスポートの強制返納の可能性もある。 「日本に帰国したら、パスポート没収や、最悪の場合、逮捕などをされる可能性もある。それを受け入れる覚悟で戦いに参加しています。まずはこの戦争を早く終わらせて、世界に戦争を飛び火させたくないという気持ちで戦っています」 9月にウクライナ軍による反転攻勢が行われ、終わりが見えない情勢だ。山田氏に今後どうするのかを聞いてみた。 「早く戦争が終わって、ウクライナの人々が安心して暮らせるようになってほしいと願っています。もし部隊から人手が足りないから戻ってほしいと頼まれたら、再び前線に行く覚悟はあります」
ブラジル大統領選
2022年10月31日
ブラジルの大統領選挙の決選投票が行われ、接戦のすえ左派で元大統領のルラ氏が勝利しました。 30日に行われたブラジル大統領選挙の決選投票で、左派で元大統領のルラ氏が現職で右派のボルソナロ氏に勝利したと選挙管理当局が発表しました。ルラ氏は2003年から2010年に二期務めて以来の大統領復帰となります。 ルラ氏は国営石油会社をめぐる汚職問題で裁判中ですが、前回大統領だった際に実施した貧困対策や福祉政策をアピール。選挙序盤から優位に進めていました。 一方、現地メディアによりますと、ボルソナロ氏は選挙前、負ければ政界を引退する意向を示していたということです。
梨泰院雑踏事故「息子はどこに…韓国語もあまりできないのに」気を揉む外国人たち
2022年10月31日
「梨泰院惨事」の翌日、死傷者たちが運ばれた病院と行方不明者受付には連絡がつかなかった家族と知人を探そうとする外国人たちが次々と現れた。韓国語があまりできない人たちは「どこに行けば行方不明者情報が分かるのか」と困っている様子だった。 30日午後、行方不明者の受付が設けられたソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)の住民センターを訪れた50代のヒロメン・アビーさんは、「息子が梨泰院のクラブで働いているが、朝まで帰ってこなかった。心配で警察に相談すると、ここに行くように言われた。とりあえず、行方不明届を出した」と語った。18年前、コートジボワールから息子と2人きりで韓国に移住した彼女は、「家族は私たち2人だけなのに、今何をどうすればいいのか分からない。どこに行けば息子の安否が確認できるのか教えてほしい」と涙ながらに訴えた。 同日午前、ソウル順天郷大学病院を訪れたオーストラリア人のAさんは、「友達を探しているが、どこにいるのか分からない。何の情報も見つからなかった。私の詳しい情報を病院に伝えたのに、何の情報もくれない」と涙声で語った。同日午前、友人が事故に遭ったという知らせを聞いて、ソウル新村セブランス病院の葬儀場を訪れた外国人女性2人も号泣し、困り果てた様子だった。延世大学の韓国語学堂に通うノルウェー出身の外国人学生も、今回の事故で死亡したことが確認された。亡くなった外国人学生と前日の夜に梨泰院を訪れたオーストリア同胞のKさんの身元はまだ確認されていない。 中央災害安全対策本部(中対本)は同日午後1時現在で死亡者151人のうち141人の身元を確認したと発表した。前日(29日)に発生した「梨泰院惨事」の死亡者のうち、外国人死亡者は19人、負傷者は16人(30日午後1時現在)であることが確認された。外国人死亡者は午前6時には2人と集計されたが、中国人など韓国人と外見が似た死亡者の身元が確認され、19人に増えた。イラン、ウズベキスタン、ノルウェー出身の中でも死者が出た。米国人はいないことが確認された。外交部はハロウィン行事で発生した人命事故状況を点検するための対策会議を開催し、死傷者の国の駐韓大使館に緊急通知するよう指示した。 ソウル市は同日午後2時30分から、外国人も行方不明者届の受付を円滑に進められるように、日本語、中国語、ベトナム語、英語の4カ国語を120茶山コールセンター(02-2199-8664~8678、02-2199-5168、02-120)を通じて支援する。法務部も外国人死傷者の身元確認と遺族入国などを支援すると発表した。ソウル出入国外国人庁も非常対策班を構成し、外国人死傷者の身元確認、遺族・保護者入国および滞在、通訳などを支援する計画だ。
「ここで転んだら…」 ソウル雑踏事故直前の現場 腹部圧迫声も出ず
2022年10月31日
ソウル市内の繁華街・梨泰院(イテウォン)で29日夜に発生した雑踏事故。150人以上が犠牲となり、その中に日本人女性2人が含まれていたことが30日に判明した。「女性の悲鳴や大きな声が聞こえた」。事故発生の少し前に現場付近を歩いていたソウルに住む50代の日本人男性は、当時の状況をこう話す。 【動画】衝撃的な事故の瞬間 目撃者が提供 事故の現場は、飲食店などが集まる「世界の食文化通り」と梨泰院駅の出口がある通りを結ぶ道だ。同駅に向けて緩やかな下り坂で、道幅は約3メートル。そばに建つホテルと飲食店に囲まれた裏道だという。男性が現場を通ったのは、事故から約2時間前の午後8時ごろ。人は多いものの、まだ歩ける状態だった。 しかし、その約1時間後、男性が「世界の食文化通り」を現場となる坂道の方へ歩いていたところ、人の流れが止まり、坂道の方から女性の悲鳴や大きな音が聞こえてきたという。前方から「戻れ」という声があがり、戻ろうとしたが、通りを歩いてくる人々と向かい合う形になり、もみくちゃになった。「ここで転んだら死ぬんだろうな」。腹部や肋骨(ろっこつ)が圧迫されて痛みを感じ、話すことができない時間もあったという。 男性は、その後どうにか群衆を抜けることができ、午後9時半ごろに梨泰院を離れた。友人から「今日(梨泰院に)行くって言っていたけど大丈夫なの?」と電話があり、事故を知ったという。「楽しそうに遊んでいる若者や私がカメラを向けるとポーズを取ってくれた子たちが巻き込まれていたらと思うと、悲しいし、やるせない」 「もともと梨泰院は(日本の)六本木みたいな街で、欧米人が遊ぶ街という感じだったが、ハロウィーンや(梨泰院を舞台にした)ドラマもあり、若者に一気にはやりだしたイメージ」と男性は話す。新型コロナウイルスの影響から停止されていた日本国民のビザなし渡航が再開され、日本人観光客も増えていたという。男性は「ここまでの人数が集まり、仕方ないという面もあると思うが、少なくとも前日の夜も同じ状況だったはず。そこで警察や自治体が動いて何かしら対応しないといけなかったのでは」と振り返った
