英首相、重ねた「嘘」で信頼失墜 外交では存在感
2022年07月08日
英国のジョンソン首相が就任約3年で退陣に追い込まれることになった。英世論の支持を受けて欧州連合(EU)離脱を実現し、世界での影響力拡大を目指して掲げた「グローバル・ブリテン」戦略を実践。独特の風貌やユーモアある言動で聴衆をひき付け、存在感を発揮してきたが、首相官邸をめぐる不祥事や最近の物価高騰への抜本的な対策をとれず、政権の求心力は急速に低迷した。 ジョンソン氏は2019年7月、EU離脱への道筋をつけられず辞任したメイ前首相の後任として首相に就任した。離脱派として知られていたジョンソン氏は、極めて困難と予想された離脱条件に関する協定案をめぐりEUとの交渉に成功。国内では、離脱路線に反発する野党の動きを封じ込めるため、議会を休会する前代未聞の措置に踏み切るなど「予想のつかない戦略」(英メディア)を繰り出し、2020年末でEUの完全離脱を実現させた。 ジョンソン氏を知る与党・保守党の元議員は「交渉相手をリラックスさせる『人たらし』ともいえる振る舞いがEUを軟化させる一方、強引な手法は国内の統制をとるために役立った」と分析する。EU離脱に向けた交渉では、緊張関係にあったフランスのマクロン大統領と19年8月に会談した際、ジョンソン氏がいたずらっ子のようにテーブルに足を乗せて冗談を交わす姿が話題になった。 ジョンソン氏は離脱後、「グローバル・ブリテン」構想を表明。EUの規制から英国を解き放ち、軍事や経済で世界への影響力を拡大させることに成功した。 ジョンソン政権は昨年3月、今後10年間の外交や安全保障などの政策を定めた「統合レビュー」を公表し、インド太平洋地域への関与強化を明記した。同年には、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を核とする空母打撃群をインド太平洋に向けて派遣。日本にも寄港し、日英の防衛協力の進展につながった。昨年6月には環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入にむけた交渉も開始した。 ロシア軍の侵攻を受けたウクライナへの兵器支援やロシア内部の情報収集でも存在感を発揮した。ジョンソン氏退任後の国際社会の結束には、懸念も残る。 一方、国内の経済政策について評価は芳しくなかった。EU離脱後、移民受け入れを制限したことで労働力が不足し経済が低迷。ウクライナ危機に伴うガソリンや食料の価格高騰に抜本的な対策をとれなかった。 そうした中、ジョンソン氏は国民や議員に対して度重なる噓をつき、自身の信頼を地に落とした。英国の首相官邸で新型コロナウイルス対策の行動規制下にあった時期にパーティーが開かれていた不祥事では、自身が参加したにも関わらず議会で「コロナ規制は守ってきた」などと発言した。 保守党のピンチャー院内副幹事長が6月末、男性への痴漢行為を報じられたことを受け辞任した不祥事をめぐっては、ピンチャー氏が過去に同様の問題を起こしたことを把握しながら知らないふりをし、官邸も説明を二転三転させた。 ジョンソン氏の不誠実な対応は保守党全体の信頼低下につながり、5月の統一地方選では保守党の議席が大幅に減少。6月下旬の議会下院の補欠選挙でも議席を失った。ジョンソン氏は保守党の価値を下げる「最大の負債」(英マンチェスター大のフォード教授)と指摘された。
ロシア幹部「我々も愛していない」 ジョンソン英首相辞意を歓迎
2022年07月08日
対露強硬派としてウクライナへの軍事支援に積極的だったジョンソン英首相の辞意表明を受け、ロシアの政権幹部からは辞任を歓迎する声が相次いだ。 【写真特集】プーチン氏の裸めぐりジョンソン氏ら非難合戦 タス通信によると、ペスコフ大統領報道官は7日、「ジョンソン氏は我々を全く愛していないし、我々もそうだ」と指摘し、「対話を通した問題解決の合理性を理解する、よりプロフェッショナルな人々がいつか英国の政権に就くことを望む」と述べた。 露上院のマトビエンコ議長は「西側諸国は違法な対露制裁を科した際、自分の市民の意見を考慮せず、(インフレなどにより)多大な損害を与えた。ジョンソン氏もウクライナに最大限の武器を送り、米国などと一緒に膨大な予算を費やした」と指摘。「我々は自分の国益を考慮に入れない無思慮な政策の結果を見ている」とジョンソン氏の辞任と対露制裁を結びつけた。 前首相のメドベージェフ安全保障会議副議長も「ウクライナの最良の友人が去る。(ウクライナの)勝利が危うくなっている」と通信アプリに投稿。「英国の厚かましさと凡庸な政策の当然の結果だ」と皮肉り、「ドイツやポーランド、バルト3国からのニュースも待っている」と他の欧州諸国でも政局が起こるとの見方を示した。露外務省のザハロワ情報局長も「リベラル体制は深刻な危機に陥っているのは明らかだ」と訴えた。 英BBCは英国がウクライナへの軍事援助で米国に次ぐ第2の国だったことを指摘。ジョンソン氏の辞任で「少なくとも西側諸国のウクライナへの援助の努力は弱まる」とする軍事専門家の意見を紹介し、西側諸国の支援の決意が揺らぐ可能性に言及した。
西武池袋線で運転見合わせ 西武有楽町線、豊島線も パンタグラフに飛来物
2022年07月08日
日午前7時50分ごろ、東京都西東京市の西武池袋線保谷駅で、停車していた小手指発新木場行きの準急電車のパンタグラフに飛来物がひっかかっているのが確認された。 西武鉄道によると、この影響で西武池袋線は池袋駅と飯能駅間の上下線、西武有楽町線、豊島線は全線で運転を見合わせている。 運転再開は午後1時以降を見込んでいるという。
スリランカ経済危機 紅茶の輸出は継続
2022年07月08日
スリランカが深刻な経済危機に陥る中、紅茶の輸出は継続の方向性が示された。 日本紅茶協会によると、スリランカティーボード(スリランカ紅茶局)のニラジ・デ・メル(Niraji De Mel)会長は7日、輸出継続の声明を発表した。 関係筋の話では、スリランカ政府は外貨獲得の手段として輸出産業を優遇。輸出産業に優先して燃料や電気などを供給していることから、7日時点では供給への懸念材料はないという。 スリランカの2021年輸出量は28万2905t(出典:セイロンティーブローカーズ)。 輸出先の上位5カ国は、トルコ9580t(1位)、イラク7210t(2位)、ロシア6750t(3位)、アラブ首長国連邦(UAE)4240t(4位)、イラン2690t(5位)となっており、これらの国々への輸出は現在も支障なく行われている模様。 日本の21年紅茶輸入量は1万7627t(出典:日本紅茶協会)。このうち最多の40%を占めるのがスリランカ紅茶(セイロンティー)となる。 紅茶飲料でトップシェアを握る「午後の紅茶」を販売するキリンビバレッジは7日「調達について影響はないが継続して注視していく」と回答。 ただし、キリンが取り組んでいるレインフォレスト・アライアンス認証の取得支援については「経済危機がスリランカ紅茶農園の方々の生活を直撃し支援活動の継続が困難な状況になっている」とした。 同認証は、自然と作り手を守りながらより持続可能な農法に取り組むと認められた農園に与えられるものとなっている。
セブン、売上高10兆円超へ 国内小売業初、23年2月期
2022年07月08日
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は7日、2023年2月期の連結業績予想について、売上高に当たる営業収益を9兆6530億円から10兆4130億円に上方修正した。円安効果で海外事業の営業収益が押し上げられると見込んだ。SMBC日興証券によると、国内小売業で売上高が10兆円を超えるのは初めて。 【写真】セブンカフェ最大20%上げ
セブン&アイは21年に米コンビニ大手スピードウェイを買収。北米での事業規模が拡大しただけでなく、最近の急速な円安進行で海外からの営業収益の円換算額が膨らむ見通しとなった。
旅行支援、予定通り実施を 「地域経済復活の切り札」 旅行業協会長
2022年07月08日
全国の旅行会社でつくる日本旅行業協会の高橋広行会長(JTB会長)は7日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にあることを受けて政府内で観光需要喚起策「全国旅行支援」の延期論が強まっていることについて、「地域経済を復活させる切り札だ。延期されれば極めて残念だ」と述べ、予定通り7月前半に実施すべきだとの考えを示した。 【詳報】新型コロナウイルス 国内の状況 全国旅行支援は、都道府県ごとに実施している「県民割」の旅行先を全国に拡大するもの。高橋氏は、5月の大型連休では多くの人々が旅行したもののコロナ感染者は大きく増加しなかったと強調。支援策が延期されれば旅行が感染拡大に直結する印象を与えかねず、観光需要の回復に水を差す懸念があると訴えた。一方で、「最終的には政府の判断に従わざるを得ない」とも述べた。 ANAホールディングスの芝田浩二社長も同日の記者会見で、欧米では感染者が増加しても行動制限をしていないケースがあると指摘した上で、日本の旅行支援についても「早期に実現できればいいと期待している」と語った。
中野サンプラザ、2023年7月2日に閉館決定 「記念コンサート」「回顧展」なども検討
2022年07月08日
JR中野駅前の複合施設「中野サンプラザ」(東京都中野区)が2023年7月2日で閉館することが、中野区議会の資料により明らかになった。再開発事業による建て替えのためだ。閉館にあたって「閉館記念コンサート」や「中野サンプラザ回顧展」などの実施を検討する。 【写真】中野サンプラザ建て替え後の施設 ■新施設は2028年度竣工目指す 中野サンプラザは1973年6月に開館。白い三角形の形をした建物が特徴的で、2000席を超えるホールやホテル、レストランなどが入居している。 ホールでは演歌、ロック、アイドルなど幅広いジャンルのコンサートが行われ、音楽好きから親しまれてきた。「Runner」などのヒット曲を生み出したロックバンド「爆風スランプ」のボーカル・サンプラザ中野くんが、自身の芸名のモチーフにしたことでも知られる。 21年5月には野村不動産などによる再開発事業の内容が発表され、現施設を解体の上、最大7000人収容のホールやホテルなどを複合した新施設を整備するとしていた。22年度末の都市計画決定、28年度の施設竣工を目指すとしており、現施設の動向に注目が集まっていた。 22年6月30日に行われた中野区議会総務委員会第2回定例会の資料によると、5月27日に実施された施設運営者の株式会社中野サンプラザと施設所有者の株式会社まちづくり中野21の両取締役会で、施設の閉館が23年7月2日に決定。ホールを除く営業は同年6月末で終了するとした。 閉館にあたっては、中野サンプラザの「レガシーを記憶に残す取り組み」として、「閉館記念コンサート」や「ホールバックステージツアー」、「中野サンプラザ回顧展」などの実施を検討。施設見学会など区民向けのイベントも検討しているとした。
ワークマンがカジュアル靴市場に本格参入、真逆戦略で「靴の大手」へ急浮上を狙う裏側
2022年07月08日
“3強”の牙城を崩す旋風を巻き起こせるのか。 作業服チェーンのワークマンが6月16日、靴専門業態「ワークマンシューズ」の池袋サンシャインシティアルパ店を開業した。2022年4月に大阪の商業施設で出店を開始した新業態で、池袋の店舗が2店目となる。 【図表】作業靴も含めた履物カテゴリの売上高では、国内の靴小売り企業で4位に躍り出る 一般消費者にも訴求したワークマンのカジュアル衣料はこの数年で人気が加速度的に広まったが、商品数が少ない靴はそこまで大きな存在感を見せてこなかった。今後は専門業態で婦人パンプスやサンダルなど主に女性向けのカジュアル靴の幅を広げ、靴業界への本格参入に打って出る。
■靴ずれは「あってはならない」 ワークマンシューズの目玉商品が「アクティブパンプス」(税込2480円)だ。装飾などがないシンプルなデザインだが、機能にはいっさい妥協していないという。 作業靴と同じ衝撃を吸収する技術を中敷きに用いており、「見た目以上にクッション性がある」(ワークマンで靴製品の開発責任者を務める青木正志氏)。履き口にはゴムでギャザーを施し、脱げにくさにこだわった。 「パンプスを履いた女性が靴ずれして、かかとに絆創膏を貼っているのをよく見るが、ワークマンの靴では絶対にあってはならない」。同社の土屋哲雄専務は、婦人靴の開発で意識したポイントをそう語る。
建設作業現場など過酷な環境では、靴ずれが起きると危険なうえ、絆創膏を貼りに行く間の作業が中断されてしまう。ワークマン社内ではそういった考えが浸透しているため、「(婦人靴でも)デザインよりも機能性を最重視している」(同)。 実際、値付けの手法も独特だ。ワークマンは、防水やクッション性といった機能を靴に搭載することを前提に開発し、機能の種類や数に応じて販売価格を決定する。デザインを起点に開発する一般的なアパレルや靴とはまったく異なる製品開発プロセスを採用している。
この真逆の戦略こそ、ワークマンが靴市場に本格参入できたゆえんでもある。 靴はファッションアイテムであると同時に、歩行や運動機能をサポートする道具でもあり、一般的に参入障壁が高いといわれる。「靴は機能性などの付加価値が必須で、何か売りとなる機能がないと浸透しづらい」(三井物産戦略研究所の高島勝秀研究員)。 ファーストリテイリングも2009年、傘下のユニクロでオリジナルシューズの開発に参入した。しかし、カジュアルなユニクロの衣料とシューズのデザインが合わないなどの問題があり、売れ行きは伸び悩んで2年で撤退。2015年に再参入した後は機能性を強化し、ユニクロとGUで素材の柔らかさや履き心地を訴求した商品の展開に力を注いでいる。
マイナポイント、申請338万件 第2弾、開始5日で
2022年07月07日
総務省は6日、マイナンバーカードの普及促進策「マイナポイント第2弾」の申請が、全面受け付けを開始した6月30日から7月4日までの5日間で338万件あったと発表した。初日だけで99万件に上り、関連する政府のウェブサイトにアクセスが集中し、一時つながりにくくなるトラブルも生じた。 総務省は第2弾の全面開始後にカードの新規取得がどの程度増えたかも今後調べる。 第2弾は、カードを取得して「マイナ保険証」や公的給付金の受け取り口座の登録を済ませれば、買い物などで使える最大2万円分のポイントがもらえる。
「ロシア国防省はでたらめ」 調査報道で判明、戦果水増しか
2022年07月07日
ロシアの独立系メディア「プロエクト」は6月末、ロシア国防省が発表するウクライナ侵攻でのロシアの「戦果」が「でたらめ」だとの調査報道を公表した。 【図解】ウクライナとロシアの戦力比較 同省は侵攻開始以来、報道官が戦況を毎日発表。しかし、一つの集落を4回も「制圧」したことになっていたり、撃墜したとする軍用機の数がウクライナ軍の保有総数より多かったりと、戦果を水増しした形跡が明らかだという。 ロシア国防省で発表を担当するのはイーゴリ・コナシェンコフ報道官。国営メディアを通じて国民に広く知られるロシア軍の「顔」だ。軍で広報畑を歩んだとされ、2015年のシリア軍事介入で戦況報告を担当し、国内外で有名になった。侵攻開始時の階級は少将だったが、功績を認められ、侵攻さなかの6月上旬、プーチン大統領の命令で中将に昇進した。 プロエクトの記者らは、日に複数回行うこともあるコナシェンコフ氏の6月26日までの記者発表(計196回)について、内容を詳細に分析した。それによると、ロシア側はウクライナ軍が保有するヘリコプターの88%、固定翼機の108%を「撃墜」。トルコ製の攻撃ドローン「バイラクタルTB2」に至っては、135%を撃ち落としたことになっている。 戦車を含む兵器の破壊数でも矛盾が生じている。累計は数字が増えていくはずだが、ロシア側の発表では、ウクライナ軍の兵器の損失数の累計が時々減っている。 プロエクトは、今回の調査報道で「ロシア軍が撤退したり、小さな村を大きな犠牲を払って制圧したりしている時でさえ、コナシェンコフ氏は戦果を平然と報告している」と痛烈に批判。プーチン政権の戦時プロパガンダの在り方に疑問を投げ掛けている。
