世間が知らない「ブルーカラーが夏に長袖を着る理由
2022年08月26日
「マスクが汗で濡れて息ができない」、「外気温との差90度で服薬」、「夏でも長袖長ズボンに腕まくりNG、シャツはイン」。
ブルーカラーの夏の現場には、世間が知らない多くの苦労があるーー。
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炎天下の野外や無風の倉庫などで体を動かし働くブルーカラーにとって、夏は非常につらい季節。特に今年の夏は暑かった。
「時期外れの湿気を感じた。朝からエアコン入れなきゃダメっていうのは今までなかった気がする。ガソリンが減って仕方ない。財布が縛られ飯減らしています」(30代個人事業主ドライバー)
「今年は運転席が暑すぎ、空調付きの作業服を着て運転する日も。例年よりエアコンの効きが悪く、燃費も悪かったです。マイクロバスは窓が多いのでカーテンやフィルムを貼るなどしないと、子どもたちが暑さに耐えられない」(40代幼稚園バスドライバー)
「第7波のピークに40度近い日の連続。感染対策でマスクして積み降ろし作業すると汗で濡れて息ができなくなった」(30代中型地場雑貨系輸送)
しかし、こうした暑い中で作業をするにもかかわらず、彼らの中には「長袖に長ズボン姿」で仕事をしている人たちがいる。実際、外を歩いていると暑苦しい格好をしている作業服姿の人を見かけたという人も少なくないだろう。
その理由を各ブルーカラーたちに聞くと、現場ごとに様々な事情があることがよく分かる。
本稿では、トラックドライバーをはじめとする各ブルーカラーの苦労を紹介しながら、その理由を紹介していきたい。
1.冷蔵倉庫で外気温差「90度」
2.「汗で汚いから出禁」
3.「半袖の下の長袖」の偏見
4.袖まくり禁止・シャツはイン
5.「空調付き作業服」現場の評価は

1.冷蔵倉庫で外気温差「90度」
トラックという乗り物には実に様々な種類の車両があるが、食品や医薬品、美術品などを運ぶ際によく使用されるのが「冷蔵冷凍車」だ。
我々が生鮮食品を「生鮮」のままスーパーで購入できるのは、荷台部分に冷凍機を搭載したこのクルマの存在より他ない。
そんな冷蔵冷凍車のドライバーには、夏になると多くの苦労が生じる。
今回の取材で一番聞こえてきたのは「冷気の逃げ」。トラック荷台の冷気は、一度逃げてしまうと再度冷やすのに時間がかかるのだ。
「要冷蔵品ばかり運んでいるので、荷台の温度は気を使います」(50代長距離大型食品系)
「地場のバラマキ(何か所も回っての積み降ろし)なので、荷物を降ろすごとに庫内温度が上昇。冷えが戻らないまま次の納品先へ。冷凍品なのにプラスの温度で降ろしたことも」(40代4トン地場冷凍車)
こうしてトラックによって運ばれた生鮮食品や冷凍品を保存しておくのが「冷蔵倉庫」だ。巨大な倉庫内は-30度、中には-60度というところもある。
「低温の冷蔵倉庫から外に出ると、眼鏡がくもって何も見えなくなります。階段などは注意できますが、5cmほどの段差は見えずにつまずく。足元を見て歩くので、2トン車のミラーに頭をぶつける人も」(50代大型長距離)
この冷蔵倉庫を行き来するドライバーやそこで働く作業員のなかには、「外気温との差」によって体調を崩す人もいる。
「以前、冷蔵倉庫でフォークリフトの運転手をしてたんですが、真夏は35度の外と-60度のマグロ用超低温冷蔵庫の往復で血管伸縮しまくり。体壊を崩して今でも薬を服用してます」(30代元リフトマン現トラックドライバー)
「夏に冷蔵倉庫を出入りしてると羨ましがられることがありますが、とんでもない。汗をかいて‐30度の倉庫内で作業。40度近くまであがった今夏、その差70度にもなり自律神経がイカれました。僕らが長袖を着る大きな理由は、他でもない『現場が寒いから』です」(20代4トン中距離食品系)

2.「汗で汚いから出禁」
一方、炎天下で作業するブルーカラーたちにとって一番つらいのは、やはり「暑さ」だ。
厚生労働省のデータからも分かる通り、熱中症死傷者の多くを占めるのは「ブルーカラー職」。今年も現場からは、搬送・死亡の知らせやその苦労の声が相次いだ。

「今夏、自分の現場で50代のベテラン作業員が熱中症で倒れ亡くなりました」(40代建設作業員)
「次の仕事の予定が決まっており、暑くても施工は中止にはできないので休憩をこまめに取らせています。異常な暑さが続くなら、夏は作業時間を短縮しても収益が出る設計単価にしていかないと、職人の体ももたない」(50代道路舗装企業社長)
上記データで3番目に熱中症死傷者数が多いのが「運送業」だ。
「車内にいるのになぜ」と思われるかもしれないが、トラックドライバーの仕事は「運転」だけでなく「荷物の積み降ろし」もうちの1つ。時には数千個の荷物を1つ1つ手で積み降ろしせねばならないこともある。
さらに現場によっては、数時間もの待機の際に「アイドリングストップ」を求められ、車内のエアコンが使えないケースも。
「日陰があればいいですが、日向しかない場合、日光と車体の向きを考えて停めます」(30代大型建設系ドライバー)
「以前、同じ納品先で待っている他社ドライバーは停めたトラックの下にできる影で寝てました。交通事故でひかれたみたいな状態でした」(50代中距離7トン)
「冷蔵冷凍車に乗っているウチの会社のドライバーには、暑さ対策として荷台の箱の中で寝てる連中がいっぱいいます。運転席はアイドリングストップで暑くても、荷台は冷蔵車だから当然涼しい」(40代コンビニ配送)
暑ければ、人間いやでも出るのが「汗」だ。
ましてや体を動かすブルーカラーにとって、汗をかかない工夫はほぼ不可能に近い。そんな彼らが対峙させられるのが「汗によるクレーム」である。
「積荷の仕分け作業中、ヘルメットから流れ落ちた汗が荷物にかかって水濡れ事故に」(40代電気自動車部品輸送 管理職)
「積み降ろし作業の時に『荷物に汗を垂らすな』と言われた現場がありましたね。ダンボールケースにシミができるからと。10年くらい経ちますが今はもっと厳しいのでは」(40代一般雑貨輸送)
「汗だくで配達に行って汚いから出禁とかよく聞きますね。汗拭いても配達先へ行くまでにまた汗かくって」(40代24年目宅配ドライバー)

3.「半袖の下の長袖」の偏見
しかし、これらのトラックドライバーや外仕事をする作業員たちは、たとえ35度以上の猛暑日でも、前出の冷蔵庫作業者と同様に「長袖長ズボン」を着用している人たちが目立つ。
その主たる目的は「身体の保護」にある。
「制服は夏はベストで、下に自前の長袖を着ています。段ボールでの擦り傷から身を守るためですが、日焼けするとキツイってのもあります」(30代個人事業主ドライバー)
「ウチの女性ドライバーが半袖で冷凍便を受け取って、ドライアイスで凍傷になりました。痕が残りそうで気の毒です」(40代大型中距離)
「生ごみを収集していると匂いが体中についたり、回転板にごみ袋が挟まって破裂したりする。真正面にいる収集員はモロに中身を浴びることに。また、竹串などが袋から飛び出ていることもあるので、やはり真夏でも長袖長ズボン、マスクが必須です」(30代ごみ収集員)
特に、危険物の運搬に携わる場合は、現場から長袖長ズボンの着用を求めらえることが多い。
「薬品関係の工場は長袖指定のところがある。長袖でバラ仕事(1つ1つ手で行う積み降ろし作業)するドライバーさんはキツイと思います」(50代大型長距離)
「産業ガスローリー(液化ガス)は、触ると低温やけどするんで長袖必須でした」(50代 大型定期便)
「毒物とか劇物とか引火物扱ってる所は長袖指定が多いですね。リフトマン死にそうな顔で仕事してます」(50代7トンウィング・現二次配達)
彼らが身に付けるもので「長い」のは、何も作業服だけに限らない。
「安全靴は短い方が涼しく、作業も運転もしやすいですが、カゴ車(台車)を押して歩く時にスネに当てて足首が死ぬので、安全靴も長靴を使用しています。足首は固定しすぎると動きにくいので完全には縛っていません」(30代中距離地場)
しかし、こうして彼らが重装備をしている理由を知らない人たちからは、夏場に長袖を着ていると勝手な思い込みをされることもあるとの声も聞こえてくる。
「会社指定の作業服は半袖。けが防止のために下に自前の長袖を着たら刺青を隠してると誤解され、脱いで証明させられた。ちなみに僕の友人のドライバーは、刺青が入ってても無事故無違反で働いてます」(30代大型ダンプ)
「半袖ポロのインナーに長袖着たら『”入って”ます?』と言われ、その着方が禁止に。現場を知らない方々からすれば、とにかく見た目が悪いとダメみたいです」(50代中距離兼運行管理者)

4.袖まくり禁止・シャツはイン
この長袖や長ズボン着用においては、さらに、袖や裾をまくったり折り上げたりすることを禁止しているところもある。
「積み降ろしの時は腕まくりはしてません。大きな工場で禁止されてます。鉄骨などを積む際に腕を怪我しないため」(20代長距離7tユニック一般貨物)
「現場の制約としてあるのは『ズボンの裾をまくること』。肌の露出は暑くても危険なので最小限にするように言われてます。鋼材の仕事では長袖着用、安全靴は長靴がルールでした」(50代地場大型)
また、先に紹介した「汗垂れ」を防ぐために必須の「タオル」も、首にかけることを使用を禁止しているところがある。
「首にタオルを掛けることは禁止です。回転工具などに巻き込まれるのを防止するため」(50代自動車電気装置整備士)
「端をシャツの首の中へ入れていれば気にも留められませんが、首タオルはかけっぱなしでヒラヒラさせておくのはNG」(50代引越し業)
さらにはこの炎天下の中でも、安全面から「シャツの裾をズボンから出してはいけない」というルールがあるところも少なくない。
「ルールはポロシャツの裾は必ずズボンにインせよ、です。暑くてズボンの裾をまくるとムッとされます」(40代男性地場集配4トンウイング)
「ケガ防止や備品・商品損傷の防止の為にシャツインが推奨されてる所は多いかと思います。洋服がフックやラッシングなどに引っ掛かり、ケガの恐れがありますからね」(40代長距離大型冷凍食品)
しかし、こうした正当な理由で禁止にしているところがあるだけでなく、現場によっては「見た目が悪いから」という理由で禁止しているところも。
「荷主の工場内での作業は汗垂れ防止のために首にタオル巻きたいところですが、見た目が悪いからダメと聞きました」(40代電気自動車部品輸送 管理職)
「荷台に大きく社名背負って走ってるんだからと、作業時だけでなく常に『シャツイン』を指示されています。暑い日は本当にこれが辛い」(30代地場配送)

5.「空調付き作業服」現場の評価は
夏の暑さが深刻化していくなか、昨今、ブルーカラーの間で浸透し始めているのが「空調付き作業服」だ。今夏は特にその姿を目にすることが多かった。
そのバリエーションも定番の「長袖の作業服」から、半袖ベストタイプ、フード付き、さらには空調付きズボンなど多岐に及んでいる。

今回、その着心地について各分野のブルーカラーたちに聞いてみたところ、
「僕はもうこの服無しでは生きていけません。食わず嫌いな方も多いと思いますが、エアコンが効いた車内で過ごした後、いきなり外気温での荷扱いは熱中症一直線です」(製造業兼農家)
と、高く評価する人もいたが、それぞれの現場にマッチしたアイテムとしてはまだまだ発展途上なのか、今回は不便さを指摘する声のほうが多かった。
「ファンが腰の位置に付いてるとずっと付けていると冷えるので腰痛もちにはつらいかも」(40代工場経営者)
「自分のの気化熱で冷やしてるので汗かいてないとただの熱風」(50代自動車電気装置整備士)
「結構な音がする。外から事務所に入ったら声のトーンが上がる。そして電池が1日もたないので作業中に電池が切れた途端ダウンジャケットに様変わり」(50代土木建築系管理職)
「重機に座ると後ろのファンが少し邪魔。中腰作業の時は、チャックの所があごに当たって『できもの』ができてから、暑くてしんどい時以外は着てない」(50代資源リサイクル重機オペレーター)
「フード付きはヘルメット内まで冷えて良いらしいですが、ヘルメットの表面に書いてある会社名や苗字が見えなくなるのが欠点」(50代下請け業社現場代理)
さらに、こんな声も。
「スイッチを入れたままトイレに行ってはいけません……。外の空気を服の中に取り込み、首から空気が抜けていく構造になっているので」(30代建設現場作業員)
真夏においても長袖長ズボンの着用を指示をしたり、着方に対する細かなルールを定めるのは、無論、現場の労働者の安全を守る大切な策だ。
しかし、近年の酷暑を考えると、作業内容よりも暑さによって命を落とすことも十分考えられる。
シャツの裾を出すのと入れるのとでは、4度違うという報告もある。
真夏に作業員の「見た目」ばかりを気にし、問答無用な例外なきルールをつくるのは、いつの時も冷房の利いた事務所にいる人たちだ。
ブルーカラーたちの暑さ対策は、今後より柔軟かつ多様化させていく必要があると、現場の声を聞くたびに痛感する。
※参考
「『シャツ出して』教師訴え波紋 部活伝統も…“シャツイン”4高く 熱中症リスク」(テレビ朝日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000264047.html
厚生労働省「令和3年職場における熱中症による死傷災害の発生状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25950.html
※ブルーカラーの皆様へ
現在、お話を聞かせてくださる方、現場取材をさせてくださる方を随時募集しています。
個人・企業問いません。世間に
運転手不足のなか…タクシー業界で広がる女性活用
2022年08月26日
コロナの影響による乗客の減少や慢性的な運転手不足という課題を抱えるタクシー業界で、いま女性のタクシー運転手を活用しようという動きが広がっています。女性目線を生かして「運転」と「観光」を組み合わせた新サービスを始めた会社など、各社の取り組みを取材しました。 岐阜県岐阜市。小柳美晴さん(25)は「もともと運転するのが好きだったので、運転する職業をやってみたいと思った」と、コロナ禍の2年前に地元のタクシー会社「日本タクシー」に入社しました。 この日、小柳さんは岐阜駅で客を乗せると、目的地も聞かずに走り出しました。10分後、やってきたのは岐阜公園。すると、客と一緒に歩き始めました。 「こちらに見えるのが岐阜城です。天守閣が展望台になっていて、岐阜の街を一望できます」(小柳さん) 実は小柳さん、タクシー運転手とツアーガイドを掛け持ちする二刀流です。ツアーコンダクターの資格を持っています。岐阜の観光名所や地元の人しか知らない美味しい店などをタクシーで案内するツアーで、料金は1時間7240円です。利用客からも「今コロナで団体は無理だけれど、タクシーなら自分たちだけだし、安心感もある」と好評です。 この観光ガイドツアーを始めたのは、岐阜市の「日本タクシー」です。観光バス事業も手がけるこの会社では、この夏もコロナの第7波で団体客のキャンセルが発生しています。そこで15人の女性運転手にツアーコンダクターの資格を取らせ、タクシーによる観光ガイドツアーを新たな収益源にしようというのです。 日本タクシーの山田健太郎社長は「タクシーはコロナ禍においても、少人数で動けるので観光に最適ですし、女性ならではの目線で、観光客に物腰柔らかく対応できる。観光にはもってこいだと思っている」と話します。
苦境のタクシー会社、救世主は…

葵交通では女性運転手が現在5人。女性の雇用に力を入れている
全国ハイヤー・タクシー連合会の調べによれば、全国のタクシー運転手はおよそ24万人。そのうち女性は9470人と、わずか3.9%にとどまっており、長年、女性の雇用が進んでいませんでした。 東京・杉並区の「葵交通」では、コロナ禍による乗客の減少で収入が減り、160人いた運転手がこの2年で20人以上も退職。深刻な人手不足に陥っていました。そこでいま、女性運転手の雇用に力を入れています。 教官から指導を受けているのは、葵交通の森島由喜さん(38)。前職は貨物トラックの運転手でしたが「トラックの運転は需要が増えてきたけれども、やっぱり給料の面ですかね。ちゃんと休みを取れて、給料を稼げる仕事はなかなかない」と先月転職してきたばかりです。 貨物トラック時代は、1日12時間以上の勤務が相次ぎ、月給は18万円でした。一方、このタクシー会社なら基本給だけで30万円を稼げるといいます。 コロナ前は1人しかいなかった女性運転手ですが、今では5人になりました。先輩ドライバーの中里恭子さんは、小学2年生の子どもを育てるシングルマザーです。 「ここの職場ですと、自分の希望の休みを取れたり、小学生の娘の行事に合わせて休みを取ることができる」(中里さん) 会社は仕事と子育てが両立できるよう、夜勤がない日勤だけのシフトを新たに導入。さらに、女性専用の控え室を作りました。メイクはゆっくり時間をかけ、疲れたら、女性専用のベッドで仮眠もとれるなど性が働きやすい環境を整えています。 葵交通では将来、女性運転手を2割まで増やす計画です。 「女性の乗務員は客の満足度がたいへん高い。女性の乗務員を活用して、難局を何とか乗り切っていきたい
ドムドムハンバーガー驚異の復活 風向きを変えた「3つの出来事」
2022年08月26日
「このままなくなってしまうではないか」と悲観されていた、日本最古のハンバーガーチェーンが復活し、注目を集めている。 【画像】“攻めたメニュー”を見る(10枚) 1970年、マクドナルド日本上陸の1年前に誕生した「ドムドムハンバーガー」だ。最盛期の90年代には全国400店以上にまで拡大したものの、閉店が相次ぎ、一時は27店舗まで減少。ブランドの存続が危ぶまれていた。しかし、2020年度から最終黒字に転じ、息を吹き返している。 この復活劇の立役者として、業界から注目されているのが藤崎忍社長だ。新橋で居酒屋を2店舗経営していた手腕を見込まれ、ドムドムハンバーガーへ引き抜かれた異色の経歴の持ち主だ。
わずか9カ月で社長に就任 「熱意を買ってもらえた」
藤崎氏は17年秋に商品開発担当としてドムドムフードサービスに入社した。当時、同社はダイエーグループから事業再生に強みを持つレンブラントホールディングスに買収されたばかり。ドムドムを再生させようという機運は高かったが、実際の店舗の営業力は低い状態だったという。 入社後、新店舗の店長や東日本16店舗のスーパーバイザーを兼任していた藤崎氏。18年3月期の決算数字を知り「このままでは、事業再生できない」と強く思った。 そこで、藤崎氏は「『意見を言える立場』である役員にしてください」と上層部に掛け合った。まだ入社数カ月で、実績もないので難しい──と断られるも、彼女は諦めずに改善点を資料にまとめたり、電話で思いを語ったりと、アタックを続けた。こうした熱意が実り、わずか入社9カ月で社長に就任することになった。 「今見返すと、当時の書類はたいしたものではなく、稚拙な部分もありました。ずうずうしく『役員にしてください』と伝え続けた、その熱意を買ってもらえたのだと思います」 藤崎氏が社長に就任してから心掛けたのは、現場の従業員との密接なコミュニケーションと、原価率や人件費をはじめとする店舗の運営数字の改善だ。 「お客さまに相対しているのは現場のスタッフなので、現場の声をしっかり聞こうと考えました。本社の営業施策や商品開発の意図も、優しく丁寧にスタッフに伝えようと心掛けました。コロナ禍前はスーパーバイザーも兼任していたため、週のうち4~5日は現場に出向いていました」 こうした改善により、店舗で特に課題とされていたクレームの件数も減少。徐々に客足が増え、売り上げが改善し、従業員のモチベーションも高まっていったという。その後、20年度には、念願の最終黒字化を達成した。
岸田首相、原発新増設へかじ
2022年08月25日
岸田文雄首相が原子力発電の本格活用に向け、原子炉の新増設や建て替えを進める姿勢を鮮明にした。 【図解】原発の稼働状況 東京電力福島第1原発事故以降の「脱原発」の流れを問い直す動きだ。一部の野党だけではなく、公明党も原発推進には慎重で、論争となるのは必至だ。 「再生可能エネルギーと原子力はGX(グリーントランスフォーメーション)を進める上で不可欠だ」。首相は24日のGX実行会議にオンラインで出席し、原発の必要性をこう力説。「次世代革新炉の開発・建設」と「運転期間の延長」を挙げ、「これらを将来にわたる選択肢として強化するため、検討を加速してほしい」と指示した。 自民党は2011年の原発事故以降、原発推進の方向へ徐々にかじを切ってきたが、新増設や建て替えは踏み越えなかった「一線」だ。首相は先の通常国会でも「再稼働はしっかり進める」としつつ、新増設や建て替えは「現時点で想定していない」と明言していた。 原発の運転期間は原則40年、最長60年とされ、現状のままなら原発はいずれなくなる。新増設や建て替え、運転期間の延長に踏み込めば、長期にわたり原発を使い続けることになる。新増設などは「エネルギー政策の大転換」(閣僚経験者)と言える。 首相の判断を後押しするのが電力需給の逼迫(ひっぱく)とウクライナ危機だ。火力発電の休廃止や異常気象が重なり、国内では数年間、電力不足が見込まれる。今夏は老朽火力発電の稼働で乗り切ったが、ウクライナ危機の影響で原油市場は混乱しており、この手法は限界が指摘される。 首相周辺は「GXに対応するためにも、エネルギー危機を乗り切るためにも、原発を最大限活用するしかない」と語る。首相は24日の会議で「足元の危機克服に万全を期す」と述べ、先に約束している今冬の原発9基の運転に加え、新たに7基の再稼働に全力を挙げる考えも明らかにした。 一方、国民の間では脱原発を望む声も根強い。各党も自民党に比べ原発推進には慎重なのが実情だ。公明党は先の参院選の公約に「原発に依存しない社会を目指す」と明記。竹内譲政調会長は24日の記者会見で「方針転換は聞いていない。(国民の原発への)不信感を取り除くことが第一歩だ」とくぎを刺した。 立憲民主党は党綱領に「原発ゼロ社会」を掲げる。同党閣僚経験者は「国民合意がない。勝手に決めていいわけがない」と述べ、国会で追及する考えを示した。同党内からは「旧統一教会問題を隠すための奇策」(ベテラン)とやゆする声も出ている。
原発再稼働「賛成」58%・「反対」39%、初めて賛否が逆転…
2022年08月25日
読売新聞社と早稲田大学先端社会科学研究所は全国の有権者3000人を対象に世論調査(郵送方式。回答率69%)を共同実施し、岸田首相のイメージを多面的に探った。有権者の50%が首相を「改憲派」とみており、「護憲派」との回答は39%だった。経済政策に関しては「分配重視」との見方が52%を占め、「成長重視」は36%。外交安保では、穏健路線の「ハト派」が66%で、毅然(きぜん)・強硬路線などを指す「タカ派」の21%を上回った。政策面で硬軟両面に通じるイメージを併せ持っていることが浮かび上がった。 【動画】福島第一原発 最前線で事故対応に当たった現場を見る
また、規制基準を満たした原子力発電所の運転再開については、「賛成」58%が「反対」39%を上回り、同じ質問を始めた2017年以降、計5回の調査で初めて賛否が逆転した。日本の防衛力強化に「賛成」は74%となり、計6回の調査で過去最高となった。
岸田内閣の取り組みで評価できるものは「とくにない」の40%が最多だった。
熟年離婚」が21.5%、過去最高の割合に 2020年
2022年08月25日
2020年に離婚した夫婦のうち、20年以上同居した「熟年離婚」の割合が21・5%に上り、統計のある1947年以降で過去最高になったことがわかった。厚生労働省が24日公表した。 【写真】最低でも年収1千万円…の婚活女性、12年後に会ったら「離婚したい」 厚労省が20年の人口動態統計をもとに集計した。それによると、同居期間が20年以上の夫婦の離婚割合は約70年間、上昇傾向にある。90年の13・9%と比べても約1・5倍に増えた。 離婚件数全体でみると、20年は19万3253組。02年の28万9836組をピークに減少傾向にある。厚労省が婚姻率も踏まえて集計したところ、結婚した夫婦の3組に1組は離婚する計算になったという。 20年の人口1千人あたりの離婚件数を示す「離婚率」は、都道府県別では沖縄県が2・36で全国最多。宮崎県(1・79)、福岡県(1・77)、北海道(1・75)、大阪府(1・73)と続いた
米大統領、1人1万ドルの学生ローン返済免除表明 4300万人に恩恵
2022年08月25日
バイデン米大統領は24日、学生ローンを抱える数百万人の借り手に対し1人当たり1万ドルの返済を免除すると述べた。2020年の大統領選挙で掲げた公約を順守する。 ホワイトハウスでの演説で「(学生ローン返済免除を)最も必要としている家庭、つまりパンデミック(世界的大流行)下で特に大きな打撃を受けた労働者や中流階級の人々のため」の措置だと指摘。高所得世帯は対象外とし、同措置に批判的な見方を一蹴した。 バイデン政権は、新型コロナウイルスのパンデミックを受けた学生ローンの返済猶予措置を年末まで延長するほか、年収12万5000ドル以下、夫婦の場合は合計25万ドル以下の世帯に対し1万ドルの学生ローンの返済を免除する。 低所得者層の約600万人の学生が該当する、ペル・グラントと呼ばれる連邦補助金の受給者に対しては最大2万ドルの免除を行う見込み。また、収入の一部を返済計画から守り、10年間の返済後にローン残高の一部を免除する新たな規則も提案するという。 バイデン政権高官は記者団に対し、学生ローン返済免除措置は最大で4300万人に恩恵をもたらし、約2000万人は債務が全額免除になるとした。 これを受け、米上院共和党トップのマコネル院内総務は、学生ローン返済免除は「犠牲を払って大学資金を貯めた全ての家庭、負債を返済した全ての卒業生、そして負債を背負わないために特定のキャリアパスを選んだり、軍隊に志願したりした全ての米国人に対する平手打ちだ」と非難。共和党のエリス・ステファニック下院議員は「無謀で違法だ」と指摘した。 米国民が抱える学生ローンは1兆7500億ドルで、そのほとんどを連邦政府が賄っている。米国では大学の授業料が他の先進国を大幅に上回っており、学生ローンの膨張につながっている。
サハリン2の「権益維持」、三菱商事もロシア側に通知へ
2022年08月25日
ロシア極東の石油・天然ガス事業「サハリン2」を巡り、三菱商事が株主としての権利や利益(権益)の維持を求める通知をロシア政府に行うことを決めたことが25日、わかった。同じく権益を持つ三井物産はすでに通知を決めており、両社は今週中にも正式にロシア側に通知する見通しだ。 【地図】サハリン2鉱区、ロシアからのLNG輸送ルート
サハリン2には三井物産が12・5%、三菱商事が10%出資している。ウクライナへの侵略でロシアでの事業の継続が難しくなる中、商社2社が権益の維持を求める通知を行うかどうかが注目されていた。
ただ、ロシア政府は通知後3日以内に株式の保有を承認するかどうかを判断するとしている。さらに、保有が認められた場合にも、その後、数か月に渡って新会社の株主間で契約の中身を詰める交渉が行われる見通しで、権益が維持できるかどうかは不透明な情勢が続く。
サハリン2を巡っては、プーチン大統領が6月末に運営会社の資産を新会社に無償譲渡するよう命じる大統領令に署名。今月5日には新会社の設立が発表され、商社2社が権益を維持するには、9月4日までに新会社の株式の保有に同意する通知を行う必要があった。
日本は調達するLNG(液化天然ガス)の約9%をロシア産に依存しており、その大半をサハリン2が占めている。
三井住友FG、米でネット銀行 来年、個人向けローン開始
2022年08月25日
三井住友フィナンシャルグループ(FG)が米国でインターネット銀行事業を始めることが23日、分かった。 【図解】企業の景況感 来年、個人向けローンを開始。その後、普通預金なども取り扱う。同社は海外市場に力を入れており、新規顧客の獲得を通じて収益基盤の拡大を目指す。近く公表する。 三井住友銀行傘下で法人向け金融を米国で手掛けるマニュファクチャラーズ銀行に新部門「ジーニアス・バンク」を設置する。既に1億5000万ドル(約200億円)を追加出資した。
日野、CJPTから除名。豊田章男社長「550万人の仲間として認めていただけない」
2022年08月25日
8月24日、CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)は、日野自動車が起こした認証試験不正を踏まえ、CJPTから日野を除名すると発表した。 【どうなる?】トヨタと日野、水素燃料大型トラックの共同開発を発表 CJPTは2021年4月の設立以降、CASEの普及を加速させることにより、カーボンニュートラル社会実現に貢献すると共に、ドライバーや作業者の皆様の負担を軽減するため、パートナーたちと現場での取り組みを進めてきた。今回、日野が起こした不正行為は、CJPTが共有する想いや目指す道とは相いれないものであり、このまま日野を含めて活動を進めることは、お客様や社会の皆様からの理解を得ることができないのではないかと、トヨタ自動車の豊田章男社長からも投げかけがあり、CJPT内での議論を経て、今回の結論に至ったという。 豊田社長は、下記のようにコメントしている。 「今回日野が起こした認証試験不正は、お客様をはじめ全てのステークホルダーの信頼を大きく損なうものであり、日野の親会社としても、株主としても、極めて残念に思います。長期間に亘りエンジン認証における不正を続けてきた日野は、550万人の仲間として認めていただけない状況にあります。CJPTは日本のCASE技術をベースに、みんなで未来をつくるプロジェクトです。現状では日野がいることで皆様にご迷惑をおかけしてしまうと考え、CJPTから日野を除名することが適当であると判断し、関係各社とも協議のうえ、今回の結論に至りました。パートナーの皆様とは引き続き、輸送業が抱える課題の解決や、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指して、プロジェクトを進めてまいります。」 また、今回の除名に関して日野は下記のリリースを発行している。 「Commercial Japan Partnership Technologies 株式会社において、認証不正問題を踏まえ当社を除名するという意思決定がなされ、本日公表されました。当社として、今回の決定を大変重く受け止めています。 当社はこれまで、社会課題の解決への貢献を掲げ、様々な取り組みを進めてまいりました。しかし、エンジン認証において長期にわたる広範な不正を行ったという事実に鑑みると、そのスタート地点にさえ立てていなかったと言わざるを得ません。 まずは、起こした不正の深刻さおよびその真因を正面から受け止め深く反省し、正すべきを正してまいります。そして、人流や物流を支えるという商用車メーカーの原点に立ち返り、社会から再び必要としていただける企業として生まれ変わるための変革に、強い覚悟を持って取り組んでまいります。」
