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日本の出生率と出生数の実情をさぐる(2019年公開版)

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2019年12月13日

漸減する出生数

日本では高齢化と少子化が進んでいるが、大きな影響を与えるのが子供の出生数。その実情を厚生労働省の定期調査「人口動態調査」の調査結果「人口動態統計」の公開値から確認する。

まずは単純な出生数。

↑ 出生数(万人)
↑ 出生数(万人)
↑ 出生数(万人)(2001年以降)
↑ 出生数(万人)(2001年以降)

戦前はほぼ横ばいで推移。戦後になり、戦地から帰還した人たちによる第一次ベビーブーム、そしてその時期に生まれた子供達が成人化した上での第二次ベビーブーム(その間に丙午(ひのえうま)による減少、1966年の落ち込みも確認できる)、その後の急速な減少と、前世紀の終わり頃からの減少度合いの緩やかさへのシフトが見て取れる。直近2018年は91万8400人で前年比はマイナス2万7746人。記録が確認できる1918年以降では、2016年以降3年連続しての100万人割れである。

一時期増加に転じた合計特殊出生率

続いて「一人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数」を示す合計特殊出生率。単純計算でこの値が2.0なら、夫婦2人から子供が2人生まれるので(男性は子供を産まない)、その世代の人口は維持されることになる。計算の際には各年齢(世代)の女性の出生率を合計して算出される。実際には多様なアクシデントによる減少があるため、人口維持のための合計特殊出生率は2.07から2.08といわれている(これを「人口置換水準」と呼ぶ)。

↑ 合計特殊出生率
↑ 合計特殊出生率
↑ 合計特殊出生率(2001年以降)
↑ 合計特殊出生率(2001年以降)

確定値の限りでは1925年には5.11、1930年には4.72との値が確認できる。戦前最後の1940年は4.12人。その時代の出生率が維持されれば、女性は一生で4人強の子供を産む計算になる。

戦後になると第二次ベビーブームの1970年代がほぼ2.1台で推移し、人口置換水準2.08を割り込む年もあったが、その後は盛り返しを見せていた。しかし1974年に人口置換水準2.08を割り込んだ以降は漸減が続いている。最近になってやや上昇傾向を見せ始めていたが、直近となる2018年は前年2017年から減少し、1.43。2017年に続き前年比でマイナスの動きとなり、再び減少傾向の気配を見せている。

昨今の上昇傾向に関しては色々な原因があるが、そのもっとも大きなものが、高齢出産の増加。次のグラフは過去8年間にわたる各年齢階層別合計特殊出生率の推移を示したものだが(各年齢階層の値を全部足すと、その年の合計特殊出生率となる)、「25~29歳」までの年齢階層が漸減し、それ以降の層が漸増している様子が分かる。ただし2016年以降は30~34歳層、2018年では35~39歳層でも前年比で減少に転じており、これが合計特殊出生率の減少につながっている。

↑ 合計特殊出生率(女性年齢階層別)
↑ 合計特殊出生率(女性年齢階層別)

高齢出産化の原因は晩婚化の進行、医療技術の進歩、価値観の変化などによるものだが、母胎の負担をはじめ多様なメリット・デメリットがあり、今でも賛否両論があることを記しておく。

少子化の原因は多様におよび、複数の要因が複雑に絡み合った結果である(一つの事象が一つのみの原因に帰することなど滅多にない)。晩婚化、未婚化、女性の高学歴化、住環境の問題、経済状況の悪化、社会風土の変化などが個別の理由として挙げられている。

この「少子化問題」を解決するには、まずは一つひとつの絡み合った要因を解きほぐし、その上で出来ることから解決していかねばならない。同時に社会全体のさまざま問題を解決していくための、(他の方面にひずみを起こし得る)安易で短視的な手法ではなく、中長期的な戦略眼の上での対策が求められよう。

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日本の高齢出産の実情をさぐる

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

 

 

元農水次官に懲役8年求刑 長男殺害 東京地裁

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2019年12月13日

東京都練馬区の自宅で長男=当時(44)=を殺害したとして、殺人罪に問われた元農林水産事務次官の熊沢英昭被告(76)の裁判員裁判の論告求刑公判が13日、東京地裁(中山大行裁判長)であり、検察側は懲役8年を求刑した。

 判決は16日。

 検察側の冒頭陳述によると、1人暮らしをしていた長男英一郎さんは体調を崩し、5月25日から熊沢被告とその妻と同居。被告は翌26日、同居前に住んでいた家のごみ処理を話題にしたことに立腹した英一郎さんに暴力を振るわれ、「長男を恐れ、殺害を考えた」とした。

 検察側はその上で、被告が妻宛てに「他に方法がないと思っている。どこかで死に場所を探します。英一郎も散骨してください」などとつづった手紙を書き、インターネットで「殺人罪」「量刑相場」などと検索したと指摘した。

 弁護側は、英一郎さんが事件当日、「殺すぞ」と言ったと主張。「被告は5月26日の暴行を思い出し、とっさに事件に及んだ。発達障害だった長男を必死に支えてきた」と反論していた。

 熊沢被告は被告人質問で、「殺されるという恐怖に支配され、刺し続けた。息子に寄り添ってきたつもりだったが、つらい人生を送らせてしまった」などと語った。 

 

 

2年半で130万人集めた六本木の「スヌーピーミュージアム」が自然あふれる南町田にお引越ししたワケ

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2019年12月13日
神奈川出身者が思う「南町田」の辺鄙さ

 世界的人気キャラクター、スヌーピーの魅力が詰まった展示施設「スヌーピーミュージアム」(町田市鶴間)が2019年12月14日(土)、東急田園都市線・南町田グランベリーパーク駅から徒歩4分のところにオープンします。

【画像】どれが欲しい? かわいいスヌーピーグッズ、オープン記念の限定ぬいぐるみも

 この「スヌーピーミュージアム」、もとは2016年4月に六本木で開館したもの。スヌーピーファンの「聖地」として知られる米国カリフォルニア州・サンタローザの「シュルツ美術館」世界初の公式分館として、国内外から数多くのファンが訪れました。

 しかし、当初から2年半という期限付き営業だったために18年9月でいったん閉館を迎えました。別れを惜しむファンの声に応える形で、このたび南町田で待望のリニューアルオープンを果たしたのです。

 それにしても、六本木から南町田へという移転は一体なぜでしょうか。都心中の都心の超一等地から田園都市線の終点に近い、1日平均乗降客数約3万人の駅へというのは、その落差に「え、なぜ?」と思わずにいられません。ましてや、かの世界的人気キャラクター、スヌーピーの世界初の公式分館が南町田にオープンするのです。

 なぜ南町田――? ミュージアムのリニューアルに際して一番気になるのは、展示される作品群やかわいいスヌーピーグッズよりもその点。町田にほど近い神奈川の辺地に育った身としては、「町田」という地名に漂うそこはかとない「辺鄙(へんぴ)さ」を敏感に感じ取ってしまうからなのです(もちろん、同じ地元民としての親近感を持って)。

 新生スヌーピーミュージアムは、2019年11月13日(水)にオープンしたばかりのショッピング施設「南町田グランベリーパーク(GBP)」に隣接しています。12月12日(木)に開かれた内覧会には、広々とした1階ホールが満杯になるほどの関係者が押しかけ、関心の高さを物語っていました。

 建物の背後に広がるのは、7ha超に及ぶ鶴間公園です。冬の寒風にすっかり葉を落とした雑木林が静かに林立し、いかにも自然に抱かれたミュージアムという風情。六本木の旧館は再開発を待つ都心ど真ん中の空き区画に暫定で建てられていたことを考えると、今回のリニューアルは館のコンセプトそのものから練り直されたということがおのずとうかがえました。

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米研究機関「北の“重大な実験”成功した」

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2019年12月12日

北朝鮮が東倉里のミサイル発射施設で行ったとする「重大な実験」について、アメリカの政策研究機関は11日、「液体燃料によるエンジン実験で、実験は成功した」との分析を発表した。

政策研究機関「CSIS」は11日、実験翌日の8日に撮影された東倉里の衛星写真を公開、「行われたのはロケットエンジンの実験で、液体燃料によるもの」と分析した。

エンジン試験台には大きな損傷が見られない一方、排気装置近くに生えていた植物が焼き払われていることから、「実験は成功した」としている。

また、これまでよりも事前準備の動きが抑えられ、実験の兆候がとらえにくくなっていると指摘している。

 

 

75歳以上「2割」22年度から 医療費負担、低所得者は1割維持

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2019年12月12日

政府・与党は、75歳以上の後期高齢者医療費の窓口負担について、一定の所得がある人を2022年度から2割に引き上げる方針だ。低所得の人は現在の1割のままとする。政府の「全世代型社会保障検討会議」(議長・安倍晋三首相)が今月中旬にまとめる中間報告に方向性を盛り込む。

 公的医療保険制度では、医療費の自己負担は70歳未満が3割、70~74歳が原則2割、75歳以上は原則1割と年齢ごとの区切りがある。75歳以上でも、現役並み所得(年収383万円以上)があれば3割負担だが、今は2割負担の人はいない。

 政府は、団塊の世代が75歳になる22年を見据え、急増が見込まれる社会保障費の抑制策を検討している。高齢者医療は現役世代の保険料で支えられている面があり、中間報告では「年齢ではなく負担能力に応じた負担を徹底する必要がある。中長期的に受益と負担のバランスを確保する努力を継続する」と明記。75歳以上でも一定所得がある人に限り、2割負担に引き上げる方向性を示す。

 20年から厚生労働省の社会保障審議会で2割負担の対象となる所得範囲など制度の詳細を議論し、同年夏までに枠組みを固める方針だ。法案提出の時期は来年の通常国会は見送り、臨時国会も視野に入れる。対象となる人を巡っては新たに75歳に達する人のみならず、既に75歳以上の人まで含める案が浮上している。

 外来受診時に一定額を上乗せする「ワンコイン負担」は与党や日本医師会が反対しており、政府は導入可否の判断を先送りする。代わりに、紹介状なく大病院を受診した際に初診で5000円以上の追加負担を義務付ける制度について、22年度以降に負担額を増額する案などを検討する。厚労省は来年度、制度の対象病院を現在の400床以上から200床以上に拡大する。

 

 

北海道と東北、猛吹雪警戒 北陸も海上は大しけ 気象庁

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2019年12月12日

気象庁は12日、東北地方では夕方まで、北海道では昼前から13日明け方にかけて、日本海側を中心に猛吹雪や暴風に警戒するよう呼び掛けた。

 
 海上は北陸では12日昼前から夕方、東北では昼すぎから夜遅く、北海道では昼すぎから13日昼すぎにかけ、大しけになるとみられる。高波に警戒が必要。

 北海道北方沖にある低気圧が急速に発達しながら北東へ進み、13日にかけて冬型の気圧配置が強まる見込み。北海道では同日午前6時までの24時間降雪量が、日本海側の多い所で30センチと予想される。 

 

 

国・数の記述式見送り、文科省が表明へ 大学共通テスト

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2019年12月12日

2020年度から始まる大学入学共通テストで導入される国語と数学の記述式問題について、文部科学省は、来週にも実施の見送りを表明する方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。採点者の質の確保や自己採点の不一致率の高さなどが課題となっており、現状のままでは実施できないと判断した。

 記述式問題をめぐっては、約50万人の受験生の答案を採点するため、民間委託で8千~1万人の採点者が動員される。短期間で正確な採点ができるか懸念があることに加え、特に国語では自己採点が難しく、受験生が実力にあった出願先を選びにくくなるなどの問題点が指摘されていた。

 受験生らの理解が得られないとして、野党が秋の臨時国会で追及。与党内にも見直しや延期を求める声が高まっていた。

 政府は11月1日に共通テストの柱だった英語民間試験の活用の見送りを表明している。もう一つの柱である記述式問題の導入見送りで、大学入試改革は振り出しに戻ることになる。(矢島大輔)

 

 

小泉環境相、石炭政策「新たな展開なし」 今以上の行動必要とも

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2019年12月12日

小泉進次郎環境相は11日、スペインの首都マドリードで開会中の国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で演説した。

【写真】国際枠組みの設立を宣言した小泉進次郎環境相

 日本が国際的に批判を浴びている石炭火力発電に関しては「COP25までに石炭政策については新たな展開を生むには至らなかった」と述べ、当面維持する考えを示した。その一方、「私自身を含め、今以上の行動が必要と考える者が日本で増え続けている」とも強調した。

 小泉環境相は、国連のグテレス事務総長が2日のCOP開幕時に、石炭火力発電への依存をやめるよう各国に呼び掛けたことに関し、「日本に向けたメッセージと受け止めている」との認識を示した。ただ、具体的な取り組みには全く触れず、石炭火力発電所の建設計画に関する環境影響評価(アセスメント)の厳格化にも言及しなかった。 

 

 

ギャンブル依存症治療に保険適用へ…集団治療プログラムなど対象

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2019年12月12日

厚生労働省は11日、カジノや競馬、パチンコといったギャンブルの依存症治療について、来年度から公的医療保険の対象とする方針を固めた。同日開かれた中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)での議論を受け、同省は、依存症患者に対する適切な医療体制の整備が急務と判断した。国内ではカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を可能とするIR実施法が昨年7月に成立し、依存症対策が課題となっている。

 ギャンブル依存症は精神疾患の一つ。世界保健機関(WHO)は、ギャンブルを頻繁に繰り返し、自分の社会・職業・家族的価値を損なうほど生活を支配する障害と定義している。

 厚労省の調査によると、ギャンブル依存症の治療を受けた患者は年々増えており、2017年度の外来患者数は3499人。ただ、治療を受けていない潜在的な患者も多くいるとみられ、17年に国立病院機構久里浜医療センター(神奈川)の研究班が行った調査では、依存症が疑われる成人は全国で約320万人に上るという推計も出ている。

 昨年7月にはギャンブル依存症対策基本法が成立したが、現状では、ギャンブル依存に特化した治療に公的保険は適用されていない。厚労省は、患者が数人から10人程度のグループで意見交換を行い、ギャンブルにのめり込んだきっかけや対処法などについて考える「集団治療プログラム」を保険の適用対象として想定している。こうしたプログラムを巡っては、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班が全国35の医療機関で患者187人に対して実施したところ、プログラムを受けた人の方がギャンブルをやめた割合が高かったという。

 ただ、ギャンブル依存症の治療への公的保険の適用には反発も予想される。11日の同協議会の会議では、保険適用に多くの委員が賛同する一方で、「ギャンブル依存症は自分の努力で回復すべきもの。安易に保険適用することで、(依存症患者が増えるなど)逆の方向に向かうかもしれない」などと、慎重な検討を求める声も上がった。

 

 

高齢者施設の種類複雑「選び方分からない」 相次ぐ閉鎖、専門家「見極め慎重に」

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2019年12月12日

「高齢者施設の選び方が分からない」。京都市内にあった有料老人ホームが昨年8月に突如閉鎖し、入居一時金を入居者に返還していない問題の取材を続けている中で、こうした声を読者などから数多く聞いた。2000年に介護保険制度が始まってから施設数は急増、種類も多岐にわたり、分かりにくいと感じている人が少なくないようだ。最近は経営難で倒産や閉鎖に追い込まれる施設は全国的に増えており、施設選びにはより一層の注意が必要だ。施設の種類と最近の動向をまとめた。

【画像】子が親の施設選びをする際の11か条

 特別養護老人ホーム(特養)、老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設の3種類は「介護保険施設」とも呼ばれ、介護保険サービスで利用できる公的な施設だ。いずれも入居一時金は不要で、月額料金は要介護度に応じて決まる。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など民間が主体となって運営する施設では、設備や条件によって料金体系は大きく異なり、施設選びの際はより慎重さが求められそうだ。
 京都市内の施設の定員数を種類別で見ると、今年9月末時点で、特養が6231人(100施設)と最多で、サ高住の4040人(107施設)、有料老人ホームの3352人(65施設)と続く。サ高住は2011年の制度創設以来3倍以上に伸びており、市の担当者は「建設費や改修費に対し国から補助金や税制面での優遇措置があり、民間参入が進んでいる」と説明する。
 施設選びをサポートしている一般社団法人有料老人ホーム入居支援センター(東京)の上岡榮信理事長は「施設の種類を把握しておくことは必要だが、最終的には満足できる介護サービスが受けられる施設かを見極めることが大切だ」と指摘する。

■入居率、保全措置… 重要事項説明書の熟読を

 「良い」施設と「悪い」施設を見分けるには具体的にどうすればいいのか。介護現場に詳しいNPO法人「パオッコ」(東京)代表で、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんに、民間施設を中心にポイントを聞いた。
 太田さんはまず確認すべきこととして、施設の重要事項説明書に記載されている「入居率」を挙げる。有料老人ホームでは、損益分岐点は開設後2年の時点で入居率80%程度とされ、それより低い場合は経営状態が悪い可能性がある。「逆に入居率が高ければ経営が安定し、職員確保やサービス充実につながり、それがさらなる入居希望者を呼ぶ好循環を生む」
 重要事項説明書は職員の定着率や年間の退去者数など、運営の安定度を判断する手がかりが多く記載されているという。有料老人ホームとサ高住は各都道府県や政令指定都市がホームページなどで公開しており、「必ず見てほしい」。契約時に初めて手に取る人も多く、「見学時など早いタイミングで入手してほしい」と注意を促す。
 有料老人ホームでは入居一時金が必要で、倒産や閉鎖時に一定額が補償される「保全措置」もチェックすべきという。事業者は法律上、保全措置を講じる義務があるが、守っていない事業所もあるのが実態だ。厚生労働省によると、全国の有料老人ホーム1万3354施設のうち、保全措置を講じていない施設は0・4%に当たる59施設(昨年6月時点)に上る。昨年閉鎖した京都市の施設も講じていなかった。太田さんは「最近は介護職員が十分確保できず、ケアの質を保てない事業者も存在する。早々と家や土地を売って入居するのはやめておいた方がいい」と慎重な行動を求める。
 もちろん入居後の満足度は、施設の善しあしだけで決まる訳ではない。太田さんは、地方で暮らす高齢の親を都市部に呼び寄せたものの、方言や料理の味付けの違いから施設になじめず、地方に戻らざるをえなくなったケースを数多く目の当たりにしてきた。「親が80歳ぐらいになったら本人がどうしたいかを把握してほしい。実現できないかもしれないが、どちらの方向に走ればいいかだけでもはっきりさせておくといざという時に役立つ」と強調する。
 施設選び以前に、在宅か施設かで悩んでいる人も多い。太田さんも施設介護を推奨している訳ではない。ただ、介護者が病気で倒れたり、介護離職をしたり、家族間が険悪になったりするのであれば、施設は選択肢として考えるべきだと呼び掛ける。
 「親を施設に入れることに対する罪悪感を抱く人は多いが、仕方ないケースはある。無理して在宅介護を続けてぼろぼろにならないで」

 

 
 
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