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ビレンワークアップ
2019年05月27日
疲弊するコンビニオーナーたち。原因の1つには、過剰な出店競争がある。売上を食われるだけでなく、労働力も奪い合いになり、人を確保できなければ、オーナーの労働時間は増える。
とりわけ、同じチェーンが近隣にできるドミナント(集中出店)については、味方のはずの本部から売上を削られることになり、オーナーたちの不満も大きい。本部側は「丁寧に説明」というが、抗議しても白紙になるのは稀。損失に対する補償があるわけでもない。
●本部のアドバイザーが新店に引き抜き
「うちは深夜のスタッフが定着していたから、ドミナントされても売上が多少落ちるかな程度にしか思っていなかったんです」——。
通り沿いに同じチェーンの新店舗ができると聞いても、長くコンビニを続けてきたオーナー夫妻はあまり動じなかったという。もちろん売上は減る。それでも十分生活できると思っていた。ある事件が起こるまでは…。
「深夜スタッフが引き抜かれたんです。その子が周りの同僚にも声をかけ始めました」
裏で手引きしていたのは、本部の経営相談員(OFC/SV)だったという。味方だと思っていたのに、「敵」に塩を送っていたというわけだ。本部からすれば、加盟店はすべて「ファミリー」かもしれない。しかし、加盟店にとっては他チェーン同様「ライバル」だ。
コンビニ加盟店ユニオンが5月13日に都内で開いた勉強会では、チェーンの枠を超え、およそ20人のオーナーらがドミナントの実態などを報告した。
●ドミナントの影響、はっきり教えてもらえない
東日本のあるオーナーも、もうすぐ近隣に同じチェーン店ができるという。本部に不満を訴えたが、予定は撤回されなかった。
「店は住宅地にある。努力して住民と関係を築き、売上を伸ばしてきた。ドミナントが不安だと相談しても、本部の担当者は『売上が減る可能性はゼロではない』としか言わない」
少なくとも短期的には売上が減るだろう。加盟店が知りたいのはいくら減るか、いつまで減るかだ。しかし、担当者は何も教えてくれないという。
西日本のオーナーもこの春、ドミナントの計画を聞かされた。本部にどんな見通しで出店するのか、詳細を尋ねたが回答を拒否されたという。「既存のオーナーは尊重されていない」と怒りを隠さない。
別のオーナーの店の近くでも、新店の計画が進んでいる。十数年前にドミナントされたときは、日販が10万円以上落ちたといい、影響を心配している。
新店の候補地そばには、別チェーンのコンビニもある。「うちだけでなく、他のチェーンにも被害が及ぶ。何としても阻止しないといけない」。無論、他のチェーンのオーナーたちにも生活がある。
●陣取り合戦の駒にされるオーナーたち
地域をドミナント(支配)するには、他チェーンのコンビニを撤退に追い込めば良い。表面上は大企業間の「陣取り合戦」だが、その「駒」の多くは零細商店主であるコンビニオーナーだ。
たとえば、今年3月末で閉店したセブンイレブン東日本橋1丁目店(東京都)は、2010年にオープンすると、ローソンやファミリーマートなど、他チェーンを撤退させた。
しかし2013年、そのローソン跡地に同じセブンが出店し、経営難に陥った。両者は直線距離で100mも離れていなかった。
店のオーナー齋藤敏雄さんは5月20日に都内で記者会見を開き、「(同じチェーンなら)同じ商品が置いてある。客は近い方に行く。共食いになる」と話した。
齋藤さんによると、オープン後、担当OFCに言われるがまま大量の廃棄を出していたという。多く捨てることをいとわず、多く仕入れる。品揃えの良さが他店舗を撤退させる原動力にもなった。
一方で、コンビニでは廃棄のほとんどはオーナー負担(セブンは原価の85%)。店の利益が少なく、経営基盤がぜい弱だったことが、ドミナント後の苦境の一因になったと自己分析していた。
齋藤さんの経営力不足は否めない。しかし、チャージという形で経営指導料を得ている本部の方も未熟なオーナーを指導できていたと言えるだろうか。セブンのオーナー募集ページでは「未経験でも大丈夫」として、OFCが頼りになる存在として描かれている。
齋藤さんは閉店の経緯についても納得しておらず、本部からの一方的な通告があったと主張。裁判も視野に今後の対応を検討しているという。
●赤字確定の低日販店にドミナント
ドミナントについては、弁護士ドットコムニュースのLINE@にも、さまざまなチェーンのコンビニ加盟店から体験談が寄せられている。
たとえば、関東のあるオーナーは最近200mほど先にドミナントされ、売上が10%以上落ちた。計画は水面下で進められており、オーナーが問いただしたことで、やっと本部が説明に来たそうだ。「自分たちのノルマと本部の利益しか考えていないと改めて実感しました」
別のオーナーは他チェーンを閉店に追い込んだところにドミナントされ、売上が落ち込んだ。「(売上を)育てた途端に本部に横取りされた」と怒りを隠さない。
「このままじゃ、もう生きていけません」と言うのは、ある地方のオーナー。車ですぐのところに近々、同チェーンの店がオープンするという。
「本部の言う通りに発注していたら、500万円ほどあった貯金がなくなってしまいました。オープンから5年以上たち、売上はようやく平均に近づいてきましたが、人件費が上がり、自分がシフトに入りっぱなしでもギリギリの生活です」
今度のドミナントで赤字は間違いないという。しかし、本部に抗議しても生活費を下げろと言われるだけだという。学齢期の子どもがおり、将来の不安は募るばかり。
「日販が高い店の近くにドミナントするならともかく、それほど高くない店の近くにもう1店舗出したらどうなるかは分かっているはずなのに…」
●ドミナントには記録やシミュレーションで対抗
ドミナントの計画を伝えられたとき、加盟店に成すすべはないのだろうか。
コンビニ加盟店ユニオンの顧問で、長年コンビニの問題に取り組んできた中野和子弁護士は、5月13日の勉強会でドミナントを回避できた事例を紹介し、記録やシミュレーションの重要性を指摘した。
中野弁護士が知るドミナントを回避した店舗は、駅から住宅地への途上にあったという。駅近くの出店計画が持ち上がり、客を奪われる恐れが出てきたそうだ。
そこでオーナーは、店に地図を置いて、客がどこからやってきたか、シールを貼ってもらったという。店の「商圏」を具体的に把握するためだ。そうすると、新店舗ができたとき、売上がどのくらい減るかの推計ができる。これが本部との交渉材料になったという。
「ドミナントの話が出てきたら、本部の話をきちんと録音するようにしてください。その上で自分の商圏を調べる。本部に新店の商圏がどこなのかを聞くことも大事です」
とはいえ、中野弁護士が知る事例はこの一件だけ。実際にドミナントを回避するのは困難かもしれない。
そこで中野弁護士は、ドミナントされたら前後の客数や数字など、売上への影響をきちんとまとめておくべきだと指摘する。
「減った売上を回復するため、本部は補償しないのか。コンビニのロイヤリティーは宣伝や、システム・商品の開発のためだけではなく、経営指導料も入っている。指導して儲けさせるという契約でもある。数字の回復を求めていくことも必要だ」
この場合も重要なのは、できるだけ正確な記録だ。
ちなみに韓国など、フランチャイズのドミナントについて距離や利益減の幅などで一定の制約をかけている国や地域も一部存在するという。
(弁護士ドットコムニュース)
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2019年05月27日
今年に入り収束に向かいつつあると見られていた米中貿易戦争は、トランプ米大統領が5月6日、延期していた中国からの輸入品2000億ドル相当分に対する10%の関税を25%に引き上げる方針を突然表明し(10日に発動)、中国が13日に報復関税措置を発表したことで(発動は6月1日)、再び激化した。
米国側の説明によれば、中国側がこれまでの合意の一部を白紙に戻したことが原因とされている。23日に米国株は大きく下落し、ドル円は米中長期金利の低下とともに109円台へ下落した。今後想定される3つのシナリオごとの、米国株・金利、ドル円、中国人民元の見込みは次の通りとなる。
【シナリオ1】
中国が歩み寄り
=人民元、米株、ドル円が上昇
このシナリオは、米中貿易戦争の激化の中で、相対的に悪影響が大きい中国が、米国によるさらなる関税措置(第4弾、対中輸入の残り約3000億ドル程度に対する25%の関税賦課)を怖れ、米国の要求を飲むというものだ。この場合、6月にかけて複数回の米中閣僚級通商協議が行われ、6月28〜29日に大阪で開催されるG20首脳会議の際に米中首脳会談が開催され、最終合意に至る。結果として追加関税措置は行われず、これまで引き上げられた関税は引き下げ、もしくは撤廃されるだろう。投資環境としてはベストシナリオとなる。
このシナリオの場合、これまで売り圧力が最もかかっていた中国・人民元や中国株、豪ドルなど資源国通貨、そして、中国経済の悪影響を受けやすいと同時に中国と輸出市場で競合するアジア諸国の通貨は反発するだろう。米国でも、事業環境の不透明感が後退することから米国株が上昇し、利下げ期待も後退するため中長期金利が上昇するだろう。ドル円相場は、米株高、米金利上昇の両面で下支えされ、113円程度への上昇もあり得る。
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2019年05月23日
セブン&アイ・ホールディングスは23日午前、東京都内の本社で定時株主総会を開いた。傘下のコンビニエンスストア最大手セブン—イレブン・ジャパンでの24時間営業をめぐる加盟店とのトラブルに関し、井阪隆一セブン&アイ社長は「大変申し訳ない状況で、経営トップとして反省している」と陳謝した。
企業イメージやビジネスモデルを揺るがす事態に発展し、株価は約3割下落。井阪氏は出店の厳格化や省人化投資などを通じて加盟店支援を強化する考えを示した。
質疑では、株主から「24時間営業問題を早く解決して株価を上昇させてほしい」との声や、本部と加盟店とのコミュニケーションの充実を求める意見が出た。
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2019年05月23日
北京の天安門広場で開かれた軍事パレードに登場した中国の中距離弾道ミサイル「DF-26(東風26)」(2015年9月3日撮影、資料写真)。(c)ANDY WONG / POOL / AFP〔AFPBB News〕
(北村 淳:軍事アナリスト)
昨年(2018年)末にトランプ政権はINF条約廃棄を決定した。この決定により、ロシアとアメリカは互いに気兼ねすることなく射程距離500〜5500kmの地上発射型ミサイル(短距離弾道ミサイル、準中距離弾道ミサイル、中距離弾道ミサイル、長距離巡航ミサイル)を製造し保有することが可能になった(以下、本稿ではINF条約で規制されていた上記の地上発射型各種ミサイルを「INFミサイル」と呼称する)。
米国で高まる中国INFミサイル脅威論
INFミサイルを手にできる日が近づくに伴って、アメリカのシンクタンクなどでは、「アメリカが手にしてきた東アジア地域での覇権を失わないために、世界最大最強(アメリカ国防情報局の表現)とも言える中国のINFミサイルの脅威に対する真剣な抑止策を固めるべきである」といった意見が論じられるようになっている。
例えば、次のような論調だ。
「中国ロケット軍が保有している高性能INFミサイルは、東アジア各地に設置されているアメリカ海軍基地と航空基地を正確に攻撃し、大打撃を加えることができる。また対艦弾道ミサイル(これもINFミサイルに含まれる)も航行中の米海軍空母をはじめとする大型艦を撃沈することができる。ところが、米軍はそれらミサイル攻撃に対する有効な反撃手段を持ち合わせていないのが現状だ。
もし米中が戦闘状態に突入した場合には、日本に確保してある航空基地や海軍施設が中国ロケット軍の反撃を受けて壊滅的打撃を受け、米軍機や米艦艇は補給や修理のためにグアムまで退かなければならない。しかし、中国軍のミサイルはグアムも壊滅させることができるため、ハワイまで前進補給拠点を下げざるを得ない。これでは、中国軍と戦闘を交える最前線の米軍部隊が勝利を収めることは至難の業だ。
それよりもさらに深刻な想定は、中国が極東米軍に対して奇襲先制攻撃を実施した場合だ。この場合、中国の各種ミサイルによって日本の航空基地に駐機している米軍機の大半は飛び立つことなく地上で粉砕され、日本の軍港に係留してある数多くの米軍艦も港湾内で撃沈されてしまうことになる。このようにして、何十億ドルもの予算を投じた高価な兵器だけでなく、多数の米軍将兵の命をも、あっという間のうちに失うことになってしまうのだ。
もし中国軍の強力なミサイル戦力の脅威から退避するために、米軍を日本からハワイのような安全地域に後退させて迎撃態勢を固めようとするならば、いくら巧妙な口実を造り出したとしても、日本側は不信感を抱くであろう。アメリカベッタリの日本の指導者たちといえども日米同盟に深刻な疑問を抱くことは必至だ。これこそ、中国が狙っているアメリカの同盟態勢の分断であり、アメリカが東アジアから追い出されることを意味するのだ」
今になって中国ミサイルに対抗しようとする理由
主として日本や台湾を「短期激烈戦争」によって壊滅させることができるほど強力な中国のINFミサイルの脅威については、数年前より少なからぬ米海軍関係者が警鐘を鳴らしており、本コラムでも取り上げてきた(本コラム2014年2月27日「『中国軍が対日戦争準備』情報の真偽は?足並み揃わない最前線とペンタゴン」、2015年9月17日「中国軍が在日米軍を撃破する衝撃の動画」、拙著『巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』など参照)。それにもかかわらず、米軍当局や多くのシンクタンクはそのような警告には耳を貸そうとはしなかった。
ところが、アメリカ自身が各種INFミサイルを自由に製造し手にすることができるようになると、たちまち「中国のINFミサイルによる深刻な脅威」が取り沙汰されるようになった。それはなぜか?
その大きな理由は、上記の脅威論とともに浮上してきた、次のような対抗策から読み取ることができる。
「中国の強力なINFミサイル戦力に対抗し抑止するためには、アメリカ自身が強力なINFミサイル戦力を作り上げ、同盟国にINFミサイル部隊を配備するべきだ」
すなわち、中国のINFミサイルの脅威から同盟国を防衛するために、これまでINF条約で製造も保有も禁止されてきた地上発射型短距離弾道ミサイル、地上発射型準中距離弾道ミサイル、地上発射型長距離巡航ミサイル(いずれも非核弾頭搭載)をアメリカ軍が装備して、東アジアの同盟国、主として日本に多数配備する、というアイデアである。
これによって、地上発射型弾道ミサイルシステムや地上発射型長距離巡航ミサイルシステムに関連するアメリカの防衛産業は特需景気で潤うことになるのだ。なんといっても、中国ロケット軍のINFミサイル戦力を抑止するだけの強力な戦力を構築するためには、数千基の弾道ミサイル、それより多数の長距離巡航ミサイル、加えてそれらの発射装置、制御装置、それにレーダー装置などを大量に製造する必要がある。中国のINFミサイル戦力の“脅威”によって、アメリカの防衛産業は大きな利益を得るというわけだ。
課題は接受国の確保
このように「アメリカ軍が地上発射型INFミサイルを同盟国領内に展開させて、中国ロケット軍のINFミサイル戦力を抑止する」という方策は、すでにアメリカ地上軍の先鋒部隊である海兵隊関係者からも提示され始めている。
先進的兵器で身を固めている中国軍に対して、海兵隊は強襲や襲撃といった伝統的な水陸両用作戦を実施することが不可能になりつつある。そこで海兵隊にとっては、前方展開ミサイル部隊に新たな存在価値を見出す必要に迫られているのだ。
もっとも、地上発射型ミサイルシステムを装備した部隊を展開させる同盟国といっても、そのような外国軍隊の地上部隊を自国の領域内に多数配備させることを容認する可能性があるのは、アメリカの言うことは何でも聞く安倍政権くらいのものである。ただし、政権が代わったらどうなるかはわからない。
そのため、地上発射型ミサイルを同盟国に配備するというアイデアにとって最大の課題は、多数の地上発射型INFミサイルを装備した米軍地上ミサイル部隊を受け入れてくれる接受国を確保する作業ということになる。
筆者:北村 淳
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2019年05月23日
サイクルショップ大手のハードオフコーポレーションが5月9日に発表した3月期決算で、連結経常利益が前期比16.6%減だったことに見られるように、ここへ来てリサイクルショップ業界が苦しい状況にあるという。
「帝国データバンクの調べによれば、2018年のリサイクルショップの倒産は30件となり、前年度と比べ2倍にまで増えています。原因は“フリマアプリ”にあると見られ、国内No.1フリマアプリの『メルカリ』は、スタートから5年で流通額が1兆円を突破している。アプリとなると自宅で手軽に出品・購入でき、商品の取扱量もリサイクルショップとは比べ物になりませんからね」(経済評論家)
普段、フリマアプリを利用する人たちがリサイクルショップを利用しない理由についてSNS上を覗いてみると、《リサイクルショップは買取価格が安くて販売価格は高いから、フリマアプリに流れるのは当然》《わざわざリサイクルショップまで足を運んでも欲しいものが置いてあるとは限らない》《リサイクルショップは相場が似たようなものだがフリマアプリにはとんでもない値での買い取りや掘り出し物があったりする》などの意見が出てくる。
「ただ、安くて便利で掘り出し物もあるフリマアプリですが、利用には注意も必要です。買ってみたら写真とは違った、ニセモノや壊れた商品が届いた、いつまで経っても金が振り込まれないなどのトラブルが続出していることも事実。国民生活センターの調べでは、17年のフリマアプリに関するトラブルの相談件数は3330件で15年から倍増していますが、これが氷山の一角にすぎないことは明らか。厳しい状況のリアル店舗のリユース業界ですが、アプリでは埋めきれない安心と信用を前面に出していくしかありません」(業界関係者)
果たして、勝ち目はあるのか。
(小林洋三)
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2019年05月23日
貿易戦争のエスカレートに続いて、5月15日にトランプ米国大統領が打ち出した“華為技術(ファーウェイ)殺し”が世界を動揺させている。世界の企業と市場に「米国か中国か、どちらを選ぶのか」と踏み絵を迫る意味があるからだ。
ファーウェイと取引のある企業のみならず世界経済に当面ネガティブな影響を与えることは必至だが、それが泥沼消耗戦となるのか、新な国際秩序の起点となるのか。
市場の奪い合いを超えた「世界大戦」
米商務省が公開したエンティティリストに入っているファーウェイ関連企業は中国深センのファーウェイ本社や日本法人を含め69社。輸出者が輸出許可を取得しない限り、エンティティリストに入っている外国企業との取引は禁止される。つまりファーウェイは、米国企業から部品調達はもうできない。
米企業のみならず、日本企業を含む外国企業も、米企業の技術を25%以上使った部品をファーウェイ企業に売ることはできない。それどころかファーウェイはじめ中国企業と共同研究している企業や機関、大学などは、米国の国家安全を棄損する可能性があるとして米企業と取り引きできなくなるだろう。
米国は、ファーウェイを筆頭にした中国ハイテク企業をグローバルサプライチェーンから完全に締め出そうとしている。中興通訊(ZTE)が昨年(2018年)早々、同様の禁輸措置を課されて、あわや倒産というところまで追い込まれたが、巨額罰金や米国の監視チームの受け入れ、経営者刷新といった米国側の要求全面的に受け入れることで、昨年7月に禁輸措置を解いてもらった。だが、ZTEに対する“制裁”は、米国にとっては、ファーウェイを追いつめるためのプロセスみたいなものだ。今回の禁輸措置は、たぶん本気の“ファーウェイ帝国”潰しだ。なぜならファーウェイを潰し切れば、“中国製造2025”戦略を頓挫させ、中国の通信覇権の野望を打ち砕くことができる。それは米中ヘゲモニー争いの勝敗の決定的な要素となろう。
もはやこれは経済上の摩擦でも、市場の奪い合いでもなく、戦争である。それも世界を巻き込む“世界大戦”といった見方でよいのではないだろうか。ファーウェイも中国も徹底抗戦の構えで、中国国内の報道ではかなり勇ましいことを言っている。
華為技術(ファーウェイ)創業者の任正非最高経営責任者(CEO)。スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会で(2015年1月22日撮影)。(c)FABRICE COFFRINI / AFP〔AFPBB News〕
1年分の米国製部品を備蓄?
ではこの“戦争”はどちらが勝つのか。
この予測については、目下、だれも明確な答えを出すことができない。どちらかがきれいな勝利を収める、という結末にはならないかもしれない。米中の経済規模の力量から言えば、米国の方がパワーがあり、米国が勝つ見通しの方が高かろう。だが、米国が完全勝利を収められるほどの力量差かというと、なかなか意見の分かれるところだ。
このあたりをBBC、ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズが報じている内容を総じて、見てみよう。
2018年末にファーウェイが発表した主要サプライヤー92社のうち33社がインテル、クアルコム、ブロードコムといった主に米国の半導体企業である。25社がBYDや京東方科技集団など中国の液晶、電池企業。11社が村田製作所や東芝ストレージ、ソニー、三菱電機など、主にカメラ、電子部品を供給する日本企業。10社が鴻海、TSMCなど半導体製造、スマートフォン組み立ての台湾企業。このように米国への依存度が突出し、しかもベースバンドチップ、無線チップ、ストレージといった核心的な部品を米国から調達しているのだから、そこを押さえられたらファーウェイは絶対絶命、という見方は当然ある。
ただ、ファーウェイは自前半導体を設計、生産できるメーカー、ハイシリコンを傘下に持っていることがZTEとは違う。問題は、すべてのファーウェイ製品に必要な半導体をカバーできるだけの生産ライン、生産規模をハイシリコンが目下もっていないということだ。2015年のファーウェイの半導体購入総額は140億ドル、うちクアルコム18億ドル、インテル6.8億ドル、ブロードコム6億ドル。ということは、短期的にはこれだけの額に相当する半導体が調達できず、生産に支障をきたすことになる。
ただ、はったりかもしれないが、ハイシリコン総裁の何庭波は社員に向けた公開書簡の中で、「数年前から今回のようなすべての米国の先進的半導体やその技術を得られない事態を想定して準備していた。・・・すでに“スペアタイヤ”を持っている」としている。
さらに第一財経によれば、ファーウェイはこの危機を予見して、核心的半導体の在庫が将来1年分くらいある、とか。つまり、米大統領選までの1年くらいは頑張るつもりで、在庫も代替技術もいろいろできることは準備していた、という話だ。
BBCの記事では、特許データ統計会社のIplyticsの見解が引用されている。いわく今年4月までに、5G標準に必要な特許総量は6万件以上、うち中国企業が申請している5G特許は35%、うちファーウェイの特許は15%でトップシェアを占める。さらにファーウェイが1年分の米国製部品の備蓄を整えているというのが本当なら、「ファーウェイは短期的影響を克服できると判断する。ファーウェイが自分でコントロールできるサプライチェーンを作り出せるかは1年以上の経過観察が必要」としている。
ファーウェイは「意外に健闘」か
さらにファーウェイは非上場企業。米国サプライヤー企業はほとんど上場しているので、株価が影響を受ける。クアルコム、ブロードコムは5月16日にそれぞれ4%、2.33%下落。ファーウェイに光学部品を提供するネオフォトニックの株価は20.63%暴落で、これは創業4年以来の1日における最大暴落幅を記録した。ファーウェイに言わせれば、このファーウェイ締め出しによって、米国企業は万単位の雇用が影響を受ける、らしい。
もう1つ、米国半導体企業にとっての懸念材料は、米国の半導体企業が中国人エンジニアを雇いにくくなっていることだ。米政府はハイテク分野の中国人企業スパイを懸念して、その雇用に必要な審査や手続きが厳格化されている。だがインテルやクアルコムのエンジニアの6割が中国人であり、米国半導体業界の人材不足が深刻化しつつある。同時に、米国企業から排除されたハイテク人材が中国企業に集中して、中国の自前サプライチェーン確立にむしろ利するのでは、という考え方もある。
そう考えると、ファーウェイは意外に健闘するのではないか、とも思えてくる。
米国サイドの最大の強みは、ファーウェイを含め中国企業の半導体設備装置および検査装置、材料などがまだ内製化に至っていないことである。ただ、当たり前だが、中国は自国の半導体産業の弱点については熟知しており、製造装置や検査装置の開発は最優先で資力人力を投じている。実際、すでに2018年秋の段階で、上海微電子装備がそれなりの露光装置を完成しており、日本の専門家たちに言わせれば5年から10年もあれば中国も自前の製造設備を完成できるのではないか、という。
この5年を長いと思うか、短いと思うか。5年といえばトランプがもう一期大統領になったとして丸々の任期である。この間、中国ハイテク企業が米国主導のサプライチェーンから締め出され、地を這う経済の中での大衆の不満を力で抑え込み、苦境を生き抜き、自国主導のグローバルサプライチェーンを築いて生き残るかどうか。
いずれにしろ、米半導体企業の売り上げは大きく鈍化し、その競争力は衰えるだろうし、中国ファーウェイ帝国の影響力は大きく縮小されることになる。何のかんの言っても中国14億市場は今ファーウェイ応援一色に煽動されているので、ファーウェイが短期内に倒産に追い込まれるという感じではなさそうだ。
米中のヘゲモニー争いが世界を二分する
今後の展開としてロンドン政経学院(LSE)の金刻羽教授や香港中文大学工程学院副院長の黄錦輝教授がBBCのインタビューに答えて言うのは、世界の通信システム・インフラが二分化される状況への突入だ。
金刻羽は「このようなシステムの二分化は強大な効率の損失だ」と批判するが、実はこの二分化は、単に通信システム・インフラが米国標準と中国標準に二分されるだけではなく、鉄のカーテンで隔てられた冷戦構造のように経済・貿易・金融のみならず価値観、安全保障、秩序、ルールでも世界を2つに分けることになる。それは効率の問題ではなく、新たな国際秩序の起点という意味を持つ。
問題はうまく世界が2つに分かれるか、どちらの世界がより発展するのか、日本は勝ち組に入るのか、という点だろう。
日本の取れる選択肢ははっきりいって米国サイドしかない。安全保障の観点からも価値観の観点からも、たとえ企業にとってはある程度のマイナス利益を飲むことになっても、「反日」を政権の正統性の根拠に置いている共産党体制の中国陣営に入ることはできない。だが、他の国はどうだろう。対中国に対する危機感の希薄なEUは足並みがそろえられないかもしれないし、中央アジアや中東、アフリカの部族社会は意外に中華独裁的価値観になびくかもしれない。中国秩序圏が膨張すれば、日本は米国秩序圏との境に位置する最前線にいる覚悟が問われよう。
米中のヘゲモニー争いは貿易戦争や通信覇権争いだけでなく、朝鮮半島、シリア・イラン、台湾、南シナ海あたりの様々な国際情勢の変化、双方の政権の安定性などの影響を受ける。政権の安定性からいえば、私は習近平の足元の方が、トランプよりも危ういと思っているのだが、欧米リベラルメディアの中にはトランプの足元を心配する声も少なくない。ひょっとすると新たな秩序が登場する前に、双方が消耗戦に入り、長期の混沌と消耗の世界的停滞時代を経験するかもしれない。中国の体制が経済の悪化に耐えかねて瓦解する、というシナリオだってないとはいえない。
まあ、トランプもころころ発言を変えるし、中国共産党も内部で揉めているらしい。一寸先も確定的なことは言えなくなってきた。そう遠くないタイミングで日本も選挙を迎えるのだとしたら、この難しい不確定要素の多い時代をうまく乗り越えるために必要な政治家を選ばなければいけない。
筆者:福島 香織
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2019年05月23日
アメリカ政府による中国の通信機器大手ファーウェイに対する事実上の取引禁止措置を受け、パナソニックは、ファーウェイ向けに供給している製品のうち、措置の対象となるものは取引を中止すると明らかにしました。対応を徹底するため、社内で通達を出しているということです。
パナソニックは、ファーウェイに電子部品の供給を行っていますが、「今回の取引禁止措置の対象となっていない取引については回答を控える」としています。(23日01:25)
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2019年05月23日
財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は前年同月比90・3%減の604億円の黒字だった。黒字は3か月連続となる。
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2019年05月20日
コンビニエンスストアの24時間営業が揺らいでいる。人手不足から営業短縮を求めるフランチャイズ(FC)加盟店と、現体制を維持したい各社の経営本部が対立し、問題が表面化。姫路市に店を構える酒井孝典さん(58)は、加盟店でつくる「コンビニ加盟店ユニオン」(岡山市)の執行委員長として、FC店店主の待遇改善と24時間営業の見直しを訴えてきた。酒井さん、今、業界で何が起きているんですか-。(末永陽子)
-コンビニ数は全国で約5万5千店舗に上ります。私のような1人暮らしの人にとって「冷蔵庫」といえる存在です。
「お弁当や生活用品の販売だけでなく、宅配便やクリーニングの受付、現金自動預払機(ATM)管理、さらに行政サービスを担う店もあります。災害が起これば、救援物資の確保や商品供給、帰宅難民者の支援などが加わり、役割は増えるばかり。今や立派な『社会インフラ』です。働く女性や単身高齢者の利用が増え、客層も幅広い。ただ、その便利さの裏で、私たちFC店店主は過重労働や経営悪化に苦しんでいます」
-営業時間をめぐり、大阪府東大阪市のセブン-イレブン店主と経営側が対立したニュースが広く報道されました。
「東大阪市の店主は一緒に働いていた妻が亡くなり、勤務時間が連日16時間超に。やむを得ず営業時間を短縮すると、経営本部から契約解除と違約金を求められました。報道によって業界が抱える問題が明るみに出ましたが、氷山の一角にすぎない。ユニオンには、長時間労働や過労死に関する相談が多く寄せられています」
「店主は事業主とされながら、『年中無休、24時間オープン』が定められ、営業時間の裁量はありません。売上高から商品原価を引いた粗利益のほぼ半分を経営本部に渡し、さらに人件費や光熱費、食品廃棄ロスなどを引いた分が営業利益です。場所によっては深夜の売り上げが少なく赤字になる店も。ユニオン加盟店の約4割が店主夫婦だけの勤務で年収400万円以下というデータもあります」
-長時間労働の背景について教えてください。
「人手不足が深刻です。時給を上げて求人を出しても人材が集まらない。店舗の増加や他業種との競争激化で売上高は変わらないのに、人件費の高騰で利益は圧迫されています。個人的には24時間営業を続けたいですが、利益が残らない。借金を抱えて廃業に追い込まれる店主もいる。選択制の導入など柔軟な対策が必要です」
「私自身、1カ月の労働時間は平均で350時間。経費削減のため、週に3~4日早朝までの夜勤に入っています。2003年に店を開いてから、まともに休めた日は一日もありません。全国で約80万人の非正規労働者の受け入れ先とされるコンビニの存在意義は大きい。社会インフラとして維持するには業界の改革が必要です」
-大手コンビニ各社の間では、レジの省力化や営業短縮の実験に乗り出す動きがあります。
「抜本的な解決には至っていません。24時間営業の損失やリスクは加盟店が背負ったまま。弱い立場であることに変わりはない。24時間を前提とした生産や配送体制の見直しが必要と考えています」
-これからユニオンの運動をどう展開していきますか。
「ユニオンは09年に設立し、約100店舗が加盟しています。私たちは労働者でもなく、経営者でもないという中途半端な立場。大きな看板を背負っているものの、大半は家族経営による零細商店です。今、廃業などで加盟店は減少傾向です。経営本部との団体交渉を実現させ、現状を少しでも改善させるのがユニオンの狙いです」
「出店攻勢をかけて毎年のように過去最高利益を出している大手もありますが、加盟店は利益がほとんど残らない。本社ばかり豊かになる構造を見直さなくては。便利さを追究する戦略ではなく、命を守る経営を目指してほしい。米国や欧州にはFCビジネスを規制する法律があります。日本でもFC規制法の成立に向け、議論を深めていくつもりです」
【さかいたかのり】1960年兵庫県伊丹市生まれ。半導体メーカー勤務などを経て、2003年に姫路市でコンビニを開業。17年8月から「コンビニ加盟店ユニオン」の執行委員長を務める。
◇記者のひとこと
前日の睡眠時間が約3時間にもかかわらず、笑顔で迎えてくれた酒井さん。「接客が好きなので、仕事を辞めたいと思ったことはない」の一言に頭が下がる思い。消費者として、24時間問題と向き合い続けたい。
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ビレンワークアップ
2019年05月20日
「日本の台所」と呼ばれた築地市場(中央区)が移転し、昨年10月に開場した豊洲市場(江東区)の水産物取扱量の予想外の不振が続いている。開場から半年間の取扱量は、築地時代を7%近く下回った。全国的な不漁で品物がそろいにくく、魚の消費低迷が続いていると指摘する声もある。不振の要因を探った。【森健太郎】
都は、豊洲市場の商品の温度や鮮度の管理が徹底した「閉鎖型」施設の強みを生かし、2023年度に水産物取扱量を築地時代(17年度)の1・6倍にあたる61・6万トンまでアップさせる計画を示してきた。豊洲移転後半年間(昨年10月〜今年3月)の取扱量も、都は19万トンに乗せる見込みを立てていた。だが、実際は前年同期を6・9%下回る17・7万トンにとどまった。
水産卸売業「中央魚類」の幹部によると、全国各地で魚の水揚げが振るわず集荷に苦戦していることに加え、「魚食離れ」が進んで魚価も上がらない状況が続いている。「下げ幅は危険水域。ここまで悪いとは予想していなかった」と漏らしつつ、「施設の衛生面は格段に向上した。夏場に豊洲の本領が発揮される」と期待をつなぐ。
移転後、落ち込み幅が最も大きかったのは書き入れ時だった昨年12月で前年同月比10・1%減。今年に入っても1月が同4・4%減、2月が同7・2%減、3月が同9・8%減と築地時代からの減少に歯止めがかからなかった。半年間の取扱金額でも、同4・1%減となり、ある仲卸業者は「売り上げより利益率が下がった」と嘆く。
他の中央卸売市場は横浜や大阪が豊洲と同様に減少傾向にあるが、川崎や足立などは前年とほぼ横ばいを維持している。減少理由について、都中央卸売市場の担当者は「いろいろな要因があり一概には言えない」と話す。
市場問題に詳しい卸売市場政策研究所の細川允史(まさし)代表は「輸出などの販路拡大も大事だが、国内の消費者の『魚離れ』の流れを食い止めなければならない」と指摘する。「卸、仲卸という業態を超え、市場全体で消費回復に取り組む必要がある」と話している。