政府の助成金を使って「コロナ解雇」を回避してほしい 声を上げ始めた労働者たち
2020年04月07日
新型コロナウイルスの感染拡大による自粛要請に伴い、観光業界や飲食業界などで解雇が広がっている。特に中小企業では、その影響は致命的だ。
確かに、経済全体が停滞する中ですべての雇用を維持することは難しいだろう。しかし、政府は「雇用調整助成金」を大幅に拡充し、解雇を回避するように経営者に呼び掛けている。
それにもかかわらず、私が代表を務めるNPO法人POSSEには、「会社が政府の助成金を利用せずに解雇されている」という相談がいくつも寄せられている。
(尚、NPO法人POSSEとその連携団体には、3月5日18時現在で413件のコロナ関連相談を受けている。末尾に無料労働相談窓口一覧)。
参考:「倒産する」「業務進まぬ」などで在宅勤務を拒否 従業員から不満の相談相次ぐ
そんな中、解雇された労働者たちが、会社に政府の助成金を利用するように求める動きも各所で出始めている。
大相撲無観客、上野動物園閉園の影響で…草加せんべい製造会社で解雇
4月4日、コロナウイルス対策の営業自粛の影響によって、勤めていた会社から解雇通告を受けた40代の男性正社員Aさんが、個人加盟の労働組合・総合サポートユニオンに加入し、解雇撤回を求めて同社に団体交渉の申し入れを行った。
Aさんが勤めていたのは、草加せんべいの製造・販売を行っている埼玉県内の会社である。同社では、両国国技館や上野動物園などの都内有数の観光施設に売店を構えており、力士や動物をかたどった草加せんべいを製造・販売していた。
Aさんはこの工場で、草加せんべいの記事を乾燥させるという「中心的」な業務を担っていた。しかし、大相撲は3月の春場所が無観客開催となり、夏場所に至っては中止も検討されている。上野動物園も臨時休園が2月末から始まっており、ゴールデンウィーク開けまでこの状態が続くことが発表されている。
春休みどころか当面の間、多くの観光客が集まる大口の販売先の見通しが立たず、同社の工場の稼働は大幅に削減したという。営業自粛の影響を大規模に受けている観光業界の中でも、より深刻な打撃に見舞われている中小企業の象徴的な事例と言っていいだろう。
しかし、労働者からすれば、解雇は生活の破綻を意味する。Aさんは3月中旬に退職勧奨を受け、40代という年齢からしても再就職は容易ではないため、退職を拒否していたのだが、「退職しないなら4月で解雇になる」と迫られていた。
「コロナだから解雇は正当」ではない! 鍵を握る雇用調整助成金
法的な観点から言えば、コロナウイルスの影響を理由として、解雇が無条件に認められるわけではない。解雇には正当性が求められるのだが、特に整理解雇の場合は、4つの要件によって判断される。
(1)人員削減は本当に必要なのか、(2)解雇を回避するための努力を尽くしたか、(3)解雇される対象者が合理的に選ばれているか、(4)説明や協議を尽くしているかという4点を満たさなければ、正当な解雇とは言えず、解雇は無効となるのである。
具体的には、解雇する前に、企業の預貯金や借入金はどうなっているのか、役員報酬を削減したのか、それらをちゃんと労働者と話し合っているのかなどの条件が問題になる。これはコロナウイルスの感染拡大についても、変わらない原則なのである。
ここで、整理解雇に当たって企業が解雇を回避するために果たすべき努力の一つとして、今回のコロナウイルス問題で挙げられるのが、冒頭で述べた厚生労働省の雇用調整助成金の特例措置である。
この助成金は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経営悪化を原因として、今年1月24日から6月30日の期間、会社が労働者に対して解雇をせずに、休業補償を支払った場合、その支払った金額のうちの9割・上限1日8330円(中小企業の場合)を国が助成するという制度である。
厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大」
この制度を使わず、あるいはその利用を真剣に検討せずに、コロナ問題を理由として解雇をしているのであれば、その整理解雇は違法なものと判断される可能性がある。
草加せんべい製造・販売会社のAさんが加盟した総合サポートユニオンでは、団体交渉を同社に申し入れた際、この助成金についてあまり理解していなかった経営者に対して、解雇の撤回要求と同時に、この制度の概要を説明し、利用を優先するように求めている。
「まだ詳細はわからない」!? 4月5日時点でも不明点ばかりの助成金
とはいえ、企業側が雇用調整助成金を使いあぐねているのにも理由がある。実は、この制度が厚生労働省によって公式発表されたのは今年3月末で、現在はホームページにも概要は公開されているのだが、4月5日時点で、まだ詳細が明らかになっていないのだ。
私たちがハローワークや、厚生労働省の雇用調整助成金コールセンターに電話で確認してみると、「厚労省からまだ正式な通達が来ていないので、詳細は答えることができない」と回答されてしまった。
申請から支給まで、どの程度の期間がかかるのかもわからない。中小企業からすればこれは死活問題であり、数ヶ月などではなく、申請後に一刻も早い支給が望まれる。
また、実際に会社が労働者に休業補償を支払ってからでないと助成金は支給されないのかについても、私たちが取材したハローワークの担当者は把握していなかった。
これでは経営者が「助成金の存在は知っているが、それを頼りにできるかわからない」と考えてしまっても無理はない。助成金の詳細がわからないということを理由として、既に解雇に踏み切ってしまった会社も少なくないだろう。
厚労省による、助成金受給についての詳細発表と、労働者の休業補償がなされやすい制度設計が、大至急求められている。
関連記事:緊急事態宣言で「休業手当」が出なくなる? 厚労省の見解に波紋
労働組合と飲食店が、全額補償付き休業計画を協議する例も
最後に、今回のコロナウイルス感染問題によるシフト削減を受けて労働組合に加入した労働者たちが、企業に対して雇用調整助成金の利用を継続的に協議しているという画期的な事例を紹介しよう。
都内を中心に20~30店舗の居酒屋などの飲食店を展開する会社で、今年2月末から3月頭、コロナウイルスの影響による売り上げ悪化を理由とした給与補償なしのシフト削減が一方的になされた。
そこで、6名のホールスタッフアルバイトが、個人加盟の労働組合・飲食店ユニオンに加入し団体交渉を行っている。
ユニオンの団体交渉で、同社のシフト削減は全面撤回され、それまでの通常シフトに戻された。また、すでになされたシフト削減分については全額補償金が支払われた。
さらにその後、3月末から、コロナウイルスのさらなる感染拡大によって売り上げの悪化に拍車がかかり、感染防止対策も迫られる中、ユニオンは新たに、雇用調整助成金を活用した給与補償付きの休業を提案したという。
現在は労使で相談しながら、休業実施の準備をしている。その休業の内容も、原則全額の給与補償を行いながら、休業や時短勤務を行い、その計画をユニオンと会社が実施前に相談するというものだ。
確かに経済危機で経済的なコストとリスクが経営者にのしかかっている。だがそれを、一方的に労働者おしつけるのはアンフェアだ。例えば、コロナで縮小した需要に対し、製品やサービスを共同してつくる「取引先」に対し、一方的に解約してリスクを押し付けることは許されないだろう。
同じように、労働者も「労働契約」を結んだ対等な契約当事者だ。しかも、経営者は「経営権」があるために経営上のリスクを第一義的に引き受ける責務がある。だからこそ、解雇の前に行政の施策を最大限活用することは、「当然の義務」だと考えられるのだ。
飲食店ユニオンの事例は、労働者が行動を起こすことで、経営者に雇用維持の努力を促すことができることを示している。またそれは、「政府の政策を有効に機能させるための方法」でもある。
コロナウイルスの猛威の前に、特にダメージの大きい観光や飲食行界の中小企業では、自分の解雇撤回を要求することに萎縮してしまっている労働者多いと思われる。
しかし、労働者が自分の持つ権利を主張しなければ、積極的に国の制度も利用せず、安易な解雇に流れてしまう企業も少なくないのが現実である。
世界的な危機においても、労働者の命や生活を守るために、労働組合が重要な役割を果たせることを、ぜひ知っておいてほしい。
英首相、集中治療室に 新型コロナ症状悪化
2020年04月07日
先月末に新型コロナウイルス感染の診断を受けていたボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相(55)が6日、症状悪化に伴い集中治療室(ICU)に移された。英首相官邸が発表した。
政府報道官によると、ジョンソン氏はドミニク・ラーブ(Dominic Raab)外相に対し「必要な部分について」首相代行を務めるよう要請した。
ジョンソン氏はこれに先立つ5日夜、せきと発熱が続いたことを受け、検査のためロンドンの病院に入院。翌6日の昼ごろにはツイッター(Twitter)に、「私は元気だ」と投稿していた。
だが英首相官邸の発表によると、ジョンソン氏はその後、容体が悪化し、午後7時(日本時間7日午前3時)ごろにICU病棟に移された。現在意識はあり、ICUへの移送は人工呼吸器が必要になった場合に備えた予防措置だとされる。
政府報道官は、「首相は素晴らしいケアを受けており、国民保健サービス(NHS)職員全員の努力と献身に感謝している」と付け加えた。
米、「戦時国債」発行を検討 高官、コロナ対策費を捻出
2020年04月07日
クドロー米国家経済会議委員長は6日、新型コロナウイルスの悪影響を和らげる経済対策の費用を賄うために「戦時国債」の発行を検討していることを米CNBCテレビで明らかにした。米連邦準備制度理事会(FRB)が再導入した事実上のゼロ金利政策による低金利環境を活用し、国債増発で資金を調達すべきだとの認識を示した。
クドロー氏は、戦争など非常事態に伴って発生する巨額の支出の財源に充てる「戦時国債」発行を「素晴らしい考えだ」と強調した。家計や企業を支援する資金を捻出するために「今が国債を売るべき時のように思う」と語った。
イタリアの死者数、一転して大幅増に 新型コロナ
2020年04月07日
イタリアで6日、新型コロナウイルスによる1日の死者数が、前日から大幅に増加した。前日の死者数はここ2週間余りで最低となっていた。当局は、同国で続く封鎖措置緩和の可能性について慎重な姿勢を強めている。
イタリア国家市民保護局(DPC)によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による1日の死者数は6日、636人に増加。5日の死者数は525人で、4日の681人から23%減り、3月19日以降で最低となっていた。
イタリアの主要保健当局者らは、5日の死者数減少を重要なデータと指摘し、同国で1か月続いている厳しい封鎖措置の緩和につながる可能性があると述べていた。しかしDPCのアンジェロ・ボレッリ(Angelo Borrelli)局長は6日、データは今も慎重な評価が続いており、最終的な判断は時期尚早だとの考えを示した。
NY州などでコロナ危機安定の兆候も、全米死者は1万人突破
2020年04月07日
米ニューヨーク、ニュージャージー両州の知事は6日、新型コロナウイルス危機が安定期に差し掛かりつつある可能性を示す初期の兆候が見られると述べた。しかし、全米での新型コロナ感染症による死者は1万人を突破し、予断を許さない状況が続いている。
ニューヨーク州のクオモ知事によると、同州の新型コロナ感染症による死者が前日から599人増え4758人。前日の死者増加数は594人、前週3日は630人だった。感染者は過去24時間で7%増加し13万0680人に達した。
同時に、クオモ知事は人工呼吸器を利用するために必要な挿管や集中治療室(ICU)の利用の減少と共に入院も減少しているとし、新型コロナ死者に関する「曲線が平坦化しつつある可能性」を示唆していると指摘。ただ、死者数は依然深刻で、同州が確実に危機を脱したわけではないとし、「曲線が平坦化したとしても、高水準での平坦化だ」と、くぎを差した。[nL4N2BU3J2]
さらに、不要不急の事業や学校閉鎖を4月29日まで2週間延長する方針を示したほか、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)規定の違反者に対する罰金を1000ドルに倍増したと発表した。
米国内でニューヨーク州に次ぎ新型コロナ感染者・死者数が多いニュージャージ州のマーフィー知事も、新型コロナ感染の「曲線平坦化に向けた取り組みが奏功し始めている」と述べ、ソーシャル・ディスタンシングや手洗いに関する指針の重要性をあらためて強調した。
同州でこれまでに確認された感染者数は4万1000人超、死者は1000人超。しかし、感染者の増加ペースはこの日12%と、3月30日時点の24%から大幅に鈍化した。
国内での死者はこの日、1万0297人に達し、イタリア、スペインに次いで世界3番目の水準となった。
全米50州とワシントンDCのうち8州を除き、自宅待機令が発令され、90%超の国民が対象となっている。
ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策本部メンバー、ブレット・ギロイル医師はABCのテレビ番組「グッド・モーニング・アメリカ」で、「入院やICU、そして残念ながら死者数でもピークとなる週を迎えるだろう」と指摘。特にニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、デトロイトに警戒するよう呼び掛けた。[nL4N2BU361]
米ワシントン大学のモデル分析によると、8月4日までの米国内での死者予測は8万1766人と、先週末時点での予想から約1万2000人減少した。
カリフォルニア州は、医療機器の不足が深刻なニューヨーク州などを支援するため、連邦政府が管理する備蓄システムに人工呼吸器500台を貸し出すと表明した。
カリフォルニア州でも来月には人工呼吸器の不足が予想されるが、ニューサム州知事は当面は州内に確保している分で賄えるとしている。
ニューヨーク市では、デブラシオ市長が医療機器以上に医療従事者の不足が深刻化していると指摘し、4月いっぱいを乗り切るために、さらに4万5000人の医療スタッフが必要だと述べた。
市長は、手術用ガウンを製造する工場の前で「こうした医療物資も必要だが、それを着るヒーローが必要だ」と訴えた。
ニューヨーク市ではこれまでに3100人以上が死亡している。市の衛生当局者は、公園内に一時的に死者を埋葬しなければならない可能性があるとし、秩序と尊厳のある方法で行うが、市民には受け入れ難いことになるかもしれないと述べた。
*内容を追加しました。
NYでは非常事態宣言から1カ月 「医療崩壊」は現実に 新型コロナ
2020年04月07日
7日にも新型コロナウイルスの感染拡大に備えて東京や大阪などで緊急事態宣言が発令される日本では、その効力に期待が集まるが、感染が米国で最も深刻ですでに1カ月前に非常事態宣言が出されたニューヨーク州では、「医療崩壊」が現実のものとなりつつある。(ニューヨーク 上塚真由)
ニューヨーク州で初めて感染が確認されたのは3月1日。非常事態宣言が出された同7日時点では感染者が89人で、死者はゼロだった。それが約1カ月がたった4月5日時点で、同州の感染者は12万人を超え、死者は約4100人に達している。
感染拡大のスピードに「医療体制は限界を超えている状態」(クオモ知事)。同州の病院には計約5万3000床あったが、ピーク時に必要となる病床は14万床と予測。また、重篤患者の生死を左右する人工呼吸器は約4000台を保有していたが、最大で3万~4万台が必要と確保を急ぐ。
臨時病院の設置などで病床不足は解消の見通しが立つが、問題なのは人工呼吸器だ。同州はすでに1万2000台以上を確保し、1万7000台を中国に発注。だが世界的な需要急増で生産が追い付かず、2週間以内で同州が入手できるのは約2500台にとどまるという。
医療物資の生産、製造は中国に依存してきたのが現状で、これを各州と連邦政府が競って入手を図り、価格競争も招いている。クオモ氏によると、人工呼吸器は通常2万ドル(約218万円)だったが、5万ドルまで価格が高騰。58セントだった医療用マスクは約13倍の7・5ドルとなっているという。
経済協力開発機構(OECD)によると、米国は人口千人当たりの病床数が2・77と、加盟国平均(4・7)と比べて少なさが際立つ。また、医療スタッフも不足し、全体の17%を移民に頼っているという実態がある。ニューヨーク州では退職者らを対象に医療ボランティアを募っているほか、今春卒業予定の医学生を即座に現場に投入する措置にまで踏み切った。
欧州ではイタリアに次いでスペインで感染が爆発。両国ではすでに死者が1万人を超え、人工呼吸器が不足し、集中治療室では「患者の選別」が行われるという医療崩壊が起きた。両国とも医療体制の脆弱さは共通しており、OECDによると、千人当たりの病床数はイタリアが3・18床、スペインは2・97床と、他の先進国と比べて少なさが目立っている。
公立小中6割が授業再開へ 宣言7都府県以外では8割に 文科省調査
2020年04月07日
文部科学省は7日、全国の公立小学校の64%、公立中学校の56%が、新学期から授業を再開する見込みだとの調査結果を発表した。緊急事態宣言の対象となる東京、大阪などの7都府県を除けば、公立小の89%、公立中の78%が再開に踏み切る見通し。
調査は都道府県と区市町村などを対象に実施し、6日午後9時現在の回答を集計した。未回答の自治体も一部あるという。新型コロナウイルスの今後の感染拡大の状況によっては、対応が変わる地域もありそうだ。
公立高校は61%が再開予定。私立は小学校の69%、中学校の74%、高校の79%が再開する予定だと回答しており、総じて公立よりも高い傾向にあった。大学や高専については、約8割が授業の開始時期を延期するという。
安倍晋三首相は2月末、新型コロナウイルスの感染防止策の一環として、全国一斉の休校を要請。これを受け、多くの学校が3月上旬からの休校に踏み切った。政府はその後、新年度からは全国一斉で休校する必要はないとの考え方を示し、学校再開については各自治体に判断を委ねている。臨時休校していた学校の一部では6日に入学式や始業式が行われ、新学期が始まった。
きょう「緊急事態宣言」通勤客らの反応は
2020年04月07日
緊急事態宣言が出ることを受け、東京・新橋と巣鴨で街の人に感想を聞きました。
午前8時すぎ、緊急事態宣言の対象とされている東京にある新橋では、普段通り通勤をする人の姿が見られました。
会社員(50代)「ようやく(緊急事態宣言が)出るかって感じですかね。学校のほうは休校みたいなので子たちの健康面が心配」
新入社員(20代)「新卒で働いてるんですけど働き方とかどうなるのかなって思いました」
女性(50代)「あす以降は完全な在宅に変わってしまいます」
また、お年寄りに人気の町、東京・巣鴨にある商店街では…。
買い物客「外に行かれないと思った。だから今日のうちに買い物して、あすからはうちにいます」
緊急事態宣言は、東京都を含む7都府県に7日、出される予定です。
「外出自粛、基準が曖昧」「子どももストレス」「いつまでしのげるか…」宣言秒読み、戸惑う市民
2020年04月07日
感染拡大に終息の気配がない新型コロナウイルスを巡り、政府の緊急事態宣言は大阪府と兵庫県も対象とする方針が固まった。これまで通り強制力はないが、今後は法的根拠に基づいて自粛ムードが高まる。感染防止対策の切り札ともされる宣言は生活にどんな影響を及ぼすのか。市民からは不安や戸惑いの声が相次いだ。
大阪・ミナミの繁華街。大阪市内の女性会社員は6日、高校へ今春入学する長女の学用品を買いに訪れた。長女の高校は休校延長が決まっているが、「緊急事態宣言で学校再開の時期がさらに変更になるかもしれない。自分の仕事にどんな影響が出るのか予想もできない」と不安げ。外出自粛要請について「基準が曖昧で、どう動いたら良いか分からず混乱する。自粛の内容をもっと具体的に示すべきだ」と訴えた。
高校生と中学生の子ども計3人を持つ大阪市の女性会社員(49)は「都市封鎖になると誤解され、食料品などの買い占めが起きないだろうか。学校は休校中で、子どももストレスを抱えている。宣言が出ても行政には教育面で手厚い支援をしてほしい」と語った。
書店を営む男性(85)は、落ち込む客足に追い打ちをかけるような宣言の発令方針に「売り上げの落ち込みは今後も続くだろう」と嘆く。食料品店を経営する男性(62)も「宣言が出たからといって、これ以上悪くなるとは思えない。それだけ今が大変」と悲壮感を漂わせ、「コロナの影響をいつまでしのげるか、全く見通せない」と話した。
大阪府内へ仕事に通う人たちの心境も複雑だ。奈良県生駒市から東大阪市に通勤する建設業の男性社長(45)は「建設現場に人が集まらなければ、仕事にならない。宣言が出ても生活のためには仕事内容を変えることはできない。政府はテレワークや時差出勤を呼びかけるだけでなく、それが難しい業種はどうすれば良いか指針を示してほしい」と求めた。
大阪と同じく、緊急事態宣言の対象地域になる見込みの兵庫県。神戸市中央区で中華料理店を経営する50代の男性は「緊急事態宣言前に閉めると廃業したと思われるので、早く宣言を出してほしかった。これで堂々と店を休める」と安堵(あんど)した。2月半ばから団体客のキャンセルが続出。3、4月は歓送迎会シーズンにもかかわらず、売り上げは例年の6分の1以下に。「今のままでは、店は7月までもつかどうか。社員の給料の半分でも政府が補償してくれれば助かるのに」とこぼした。
通学する兵庫県西宮市の大学が20日に再開予定という奈良市の大学生、大西寿続佳(すずか)さん(19)は「感染のリスクが高まっているのかと思うと、とても不安。緊急事態なら授業も再開を延期してほしい」と訴えた。一方、小学2年と5歳の女児、2歳男児の3人を育てる保健師の女性(41)=尼崎市=は「行動範囲が広い大人の活動制限につながるはずの宣言をなぜもっと早く出さないのかと思っていた。自粛中の子育てはしんどいが、命には代えられない」と宣言の発令を評価した。
中国の観光地に押し寄せる人波、リスクは依然大きいと専門家が警告
2020年04月07日
香港(CNN) 新型コロナウイルスの感染者が減少傾向にある中国で、祝日と重なった先の週末にかけ、人気観光地や主要都市に大勢の人が詰めかけた。これに対して衛生当局は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はまだ到底終わっていないと警告している。
安徽省の観光地、黄山で4日に撮影された写真には、何千人もの観光客らでぎっしり埋まった遊歩道の様子が映っていた。厳格な移動制限や都市封鎖が何カ月も続いた後、アウトドアを楽しもうと大勢の人がマスク姿で繰り出した。
国営英字紙グローバル・タイムズによると、これを受けて当局は午前7時48分、同公園の入園者数が1日2万人の上限に達したとする異例の通告を行い、それ以上の観光客は受け入れないと発表した。
一方、上海では、人通りが途絶えていたウォーターフロントの人気スポット外灘が、数週間ぶりに買い物客や観光客でいっぱいになった。わずか数日前まで閉店していた市内のレストランもにぎわっている様子だった。
首都・北京でも、地元の人などが市内の公園や広場に詰めかけた。
中国ではこの数週間で新型コロナウイルスの感染者が急減し、6日に新たに報告された症例は39例のみ。1例を除けば全て外国から持ち込まれた感染だった。これまでに確認された症例は8万2641例、死者は3335人に上る。
政府は徐々に規制を緩和しているが、中国の専門家は、まだ流行が終息したわけではないとして、引き続き慎重な行動を呼びかけている。
中国疾病対策予防センターの専門家は2日、中国の新型コロナウイルス感染について、「終わりに近づいたのではなく、新しい段階に入った。世界的流行が猛威を振るう中で、中国が終わりを迎えたわけではない」と強調した。
新規の感染者数が減る中で、中国政府は暫定的に、製造業やサービス業の再開に向けた取り組みを始めている。
しかしこの数週間は、再開を急いで流行の第2波が起きることを警戒する動きもみられるようになった。
予定されていた映画館の再開は3月下旬になって見送られ、上海の観光アトラクションの多くは再開からわずか10日後の3月31日に再び閉鎖された。
黄山が人混みでごった返す写真がSNSに投稿されると、中国共産党の機関紙、人民日報は、「集まってはいけない」と強く警告。同紙によると、黄山は観光客の受け入れ中止を発表した。
香港の専門家や当局も、中国が新型コロナウイルス関連の規制をあまりに早く緩めれば、香港でも感染の「第3波」が起きる可能性があるとして警戒を強めている。
香港では、欧州や英国から戻った市民らが引き起こした感染の第2波が3月下旬に発生。わずか2週間のうちに、感染者数は317人から900人近くまで急増した。
香港行政会議の招集人、陳智思氏は5日、公共放送のRTHKに対し、流行拡大を封じ込めるために飲食店の営業制限や市全域のロックダウンも含め、さらに厳格な措置を講じる可能性もあると語った。
