伊賀の「忍者ドライブイン」、55年の歴史に幕 感謝セール開催へ
2022年01月14日
三重県伊賀市大内の「名阪上野ドライブイン」が3月31日で閉店することになった。運営する三交興業(亀山市)が12日発表した。「忍者ドライブイン」の愛称で親しまれ、休憩や飲食、観光の拠点だったが、利用客の激減や老朽化などのため、55年の歴史に幕を下ろす。 【写真】3月末で閉店する名阪上野ドライブイン=2022年1月12日午後4時29分、三重県伊賀市大内、江湖良二撮影 同ドライブインは1966年9月、名阪国道大内インターチェンジのそばに開業。約1万7千平方メートルの敷地に延べ床面積約4千平方メートルの2階建ての建物があり、土産物店やフードコート、レストランなど十数店舗が営業している。 同社によると、新名神高速道路の整備など道路環境や旅行形態の変化などを背景に利用客が減少。大型バスの利用が90年度は約8万台あったが、2018年度は約1万4千台に減った。12年に建物を改装し、マスコットキャラクター「忍にゃん」を導入するなどリニューアルしたが、コロナ禍が利用客減に追い打ちをかけた。閉店後は建物を撤去し、再開発が検討されているという。 今月22日から「閉店感謝セール」が開催される。「55」にちなんだ550円や1550円の特設商品や、伊賀牛ステーキの割引などを検討。マルシェやキッチンカーが集結するイベントも計画中だ。同社の藤田尚史総務部長は「55年のご利用ありがとうございました。感謝セールにはぜひ来ていただきたい」と話している
対中国「現代版ココム」に発展も…先端技術の輸出規制で日米が新たな枠組み検討 1/10(月) 5:00配信 419 この記事についてツイート
2022年01月10日
日米両政府が、先端技術の輸出を規制する新たな枠組み作りを検討していることが明らかになった。価値観を共有する欧州の有志国と連携することを視野に入れている。民間の先端技術を活用して軍事力を高める「軍民融合」戦略を進める中国への輸出を食い止めることが念頭にある。

中国軍の戦闘機などが展示される中国国際航空宇宙博覧会(21年9月、広東省珠海で)=片岡航希撮影
複数の関係者が明らかにした。
規制する具体的な対象は調整中だが、半導体製造装置や量子暗号、人工知能(AI)に関連する技術などが含まれる可能性がある。米国のバイデン政権はすでに、人権侵害に悪用される懸念のある技術について、多国間で輸出を管理する意向を表明しているが、これとは別の枠組みとなる。
日米両政府は、中国が他国から輸入した製品などを自国の技術開発に生かし、経済力や軍事力を強化することを警戒している。米議会などからは、米国の半導体設計ソフトが中国の兵器開発に利用されているとの批判が出ている。日本やオランダからの半導体製造装置の輸出が、中国の生産力強化につながっているとの見方もある。

中国国際航空宇宙博覧会で披露された中国軍機の編隊飛行(21年9月、広東省珠海で)=片岡航希撮影
多国間の輸出規制の枠組みとしては、通常兵器と関連用品や技術の輸出を管理する「ワッセナー・アレンジメント」という国際的な枠組みがある。ただ、日米やロシアなど40か国以上が参加し、利害関係も異なることから、対象品目を決めるまでに時間がかかる。日米両政府は、先端技術を抱える少数の有志国による新たな枠組みを設けて、輸出管理を迅速に進める体制を築きたい考えだ。
米政府はこれまで、中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)など多くの中国企業への輸出を厳しく規制してきた。ただ、米国だけの取り組みには限界があり、他国を巻き込んだ枠組み作りが必要だと判断したとみられる。
日本政府も、同等の技術を持つ国同士による新たな枠組みが効果的だとみている。輸出規制の協議に日本が主体的に関与することで、日本企業への影響を予測しやすくする思惑もありそうだ。
西側諸国は1949年、旧ソ連など共産圏諸国の軍事力強化につながる技術の流出を防ぐため、「対共産圏輸出統制委員会(ココム)」を設立した(94年に解散)。新たな枠組みは、中国の台頭を踏まえた「現代版ココム」に発展する可能性もある。
JNN世論調査、まん延防止措置「対象広げるべき」が50%
2022年01月10日
沖縄など3県に「まん延防止等重点措置」が適用される中、重点措置の対象を「もっと広げるべき」と答えた人が50%だったことが最新のJNNの世論調査で分かりました。 岸田内閣を支持できるという人は、先月の調査から2.7ポイント上昇し66.7%でした。一方、支持できないという人は先月と変わらず29.0%でした。支持率は政権発足後、3か月連続で上昇しています。 続いて、政府の新型コロナ対策についてです。沖縄など3県で9日からまん延防止措置が適用されていますが、対象範囲について聞いたところ「もっと広げるべき」が50%、「適切」が40%、「もっと狭めるべき」が7%でした。また、緊急事態宣言を出すタイミングについては、政府分科会が定めた「指標に達する前」が45%、「指標に達した時」が43%、「出す必要はない」が8%でした。 緊急事態宣言やまん延防止措置が出た場合、去年と比べ行動制限をするか聞いたところ、「去年より厳しく」が19%、「去年と同じ程度」が71%、「去年ほどしない」が9%でした。感染拡大が続くオミクロン株について、去年デルタ株が流行した時と比べ脅威を感じるかについては、「感じる」が32%、「同じ程度」が35%、「感じない」が31%でした。 また、アメリカ軍基地で感染が拡大していることについて日本政府の対応を聞いたところ、アメリカ側に対し感染拡大の防止策の強化を「もっと強く求めるべき」が73%に上りました。GoToトラベルの再開時期については、「再開するべきでない」が44%で、前の月から11ポイント増加しています。
感染症法改正案 通常国会への提出見送りへ 岸田首相が明言
2022年01月10日
岸田総理は、けさ出演した民放の報道番組で新型コロナ対策の病床確保強化に向けた感染症法改正案について、通常国会への提出を見送る考えを示しました。 感染症法改正は、病床を確保するため国や自治体の権限を強化する内容ですが、岸田総理はけさ出演した民放の報道番組で「まずは今用意したものをしっかり稼働させることに集中したい」として、今月17日から始まる通常国会には提出しない考えを示しました。そのうえで「6月までに中長期的な課題を洗い出したうえで、法改正を考えていく」と述べました。 また、きょうから「まん延防止措置」が適用される沖縄県で、飲食店の認証店より非認証店の方が給付金が高く設定されていることについて、「改善の余地がないか考えたい」と見直す姿勢を示しました。
まん延防止初日、客足鈍る 観光地や繁華街「厳しい」 新型コロナ
2022年01月10日
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、9日から「まん延防止等重点措置」が適用された広島、山口、沖縄の3県。 【図解】人口10万人当たりの感染者数が多い府県 観光地や繁華街は連休にもかかわらず人出が少なく、休業する店も。「厳しい」「またか」と影響を懸念する声が聞かれた。 世界遺産の厳島神社がある宮島(広島県廿日市市)。土産物店を経営する佐々木健一さん(44)は「正月休みが短かった分、この3連休に期待していたのに」と落胆した様子。観光支援事業「Go To トラベル」も再開されず、「『またか』という思いが強い。(政府には)支える政策をやってもらわないと」と危機感をあらわにした。 島の対岸にある安芸グランドホテル(同市)でも、修学旅行や新年会の予約キャンセルが相次いだ。支配人の三池和道さん(44)は「対策は仕方ないが、繁忙期の春休みまで長引かないといい」と心配そうに話した。 山口県岩国市では、9日に予定されていた成人式が延期に。観光名所の錦帯橋で家族と記念撮影していた女性(20)は「同窓会も中止になった。もう少し早く分かっていれば」と残念そう。米軍岩国基地に近い繁華街で喫茶店を営む山根茂男さん(73)は「誰が悪いとかじゃないけど、厳しい」と肩を落とした。 那覇市中心部の繁華街は人影もまばらで、シャッターを下ろした店も目立つ。時短営業の要請に応じた沖縄料理店の女性経営者(49)によると、年末年始には回復していた客足が急速に遠のいた。女性は「休ませている店員4人の給料は払わねばならず、貯金を切り崩す生活が続く」と表情を曇らせた。 感染対策の基準を満たした認証店に支給される協力金の額が非認証店よりも少なくなるため、県内では認証を辞退する店も出ているという。女性は「不満を言っても仕方ないが、飲食店仲間は皆不満を口にしている」と明かした。
沖縄で宿泊キャンセル相次ぐ 観光業打撃
2022年01月10日
新型コロナウイルスの新変異種「オミクロン株」の感染拡大が、回復途上だった観光需要に暗い影を落としている。9日から蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用された沖縄県では観光客が急減するなど、各地で感染の「第6波」襲来への警戒感が高まり、旅行消費にブレーキがかかる懸念が出てきた。 「また振り出しに戻った」。沖縄県のホテルでは宿泊予約のキャンセルが相次いでおり、帰省客らでにぎわった年末年始とは一転した様相を見せている。 「せっかく宿泊客が戻ったのに…」。那覇市のホテルの担当者はこう漏らす。 県内で感染者が急増し始めた5日には、早くもキャンセルの連絡が予約件数を上回った。前回の緊急事態宣言が明けた昨秋ごろから客足が戻り始め、年末年始には客室稼働率がコロナ禍前の水準に近づくこともあったという。それだけに感染再拡大を受けた顧客離れに肩を落とした。 全国では感染状況が落ち着いていた昨年後半から隣接県など近場の旅行から観光需要が戻り、ある大手旅行代理店では今回の年末年始の利用者数が前回に比べ首都圏や近畿圏は約3倍に達したという。ただ、離島の沖縄は約1・5倍にとどまり、担当者は「需要が戻るのはこれからだったのに状況が変わった」と話す。 早ければ今月下旬とされた政府の観光支援策「Go To トラベル」の再開の行方も不透明となった。斉藤鉄夫国土交通相は7日の閣議後会見で「再開に当たっては感染状況が落ち着いていることが大前提だ」と述べた。 政府はトラベル事業再開までの代替として、都道府県による旅行割引の費用を支援。観光庁によると、6日時点で38道府県が「県民割」を実施しており、うち30の自治体が隣接県にまでエリアを広げた。国内全体でみれば、感染対策を徹底した上で旅行を楽しむ観光需要は底堅く、JTBなど旅行大手は10日までの三連休を含め「大きな影響は出ていない」という。ただ、オミクロン株の感染者は各地で急増しており、感染拡大が続けば観光業への打撃は避けられそうにない
ドコモ、7月から社内カンパニー制 非通信事業で
2022年01月10日
NTTドコモが、金融決済サービスや動画配信などの非通信事業について7月から社内カンパニー制を導入する方針を固めたことが9日、分かった。既に井伊基之社長が社内に通知した。ドコモは新規契約が頭打ちの携帯電話以外の生活関連事業を強化する方針を掲げており、独立採算で事業をより機動的に進めることができる社内カンパニー制の下で、成長を加速させる狙い。これにより令和7年度に生活関連事業の収益の倍増を目指す。 社内カンパニー制を導入する生活関連の「スマートライフ事業」は、スマートフォン決済「d払い」などの金融決済事業や動画配信の「dTV」などのエンターテインメント系事業からなる。3年3月期の売り上げに当たる事業収益は約6200億円だった。 社内カンパニー制ではサービスの企画や開発、提供までの決裁を各事業の現場に近い「カンパニー長」が行うため、より迅速な意思決定が可能になる。 一方で、主力の携帯事業の収益に頼ることはできなくなるため、各事業を連携して顧客の利便性を高める統合的なソフト「スーパーアプリ」の提供など目玉となるサービスの開発が急務となる。そのため、人事面でも中途採用を強化するなど競争力強化を図る。 ドコモは、1月に子会社化したNTTコミュニケーションズを中核とした法人事業やスマートライフ事業を強化する方針を昨年10月に発表。法人とスマートライフ両事業の合計の収益比率を、7年度には会社全体の収益の50%以上に引き上げる目標を示している。 携帯大手は、料金値下げなどで通信事業の収益環境が厳しく、各社とも金融など携帯以外の事業の収益拡大に取り組んでおり、今後は非通信分野のサービス競争が激しさを増しそうだ。
収束見えないコロナ禍、人気の求人条件は 7千万件の求人を調査
2022年01月10日
収束の見通しが立たないコロナ禍で、「日払い」のアルバイトを求める企業が増えている。「日払い」はコロナ禍前から、求人情報の検索でよく使われるキーワードだったが、最近は募集する側が日払いを条件に掲げる傾向が目立つ。背景に何があるのか。 【写真】ウーバー配達員、タワマン敬遠 「自由な働き方」の一方で 求人情報を分析するITベンチャー「ゴーリスト」(東京)と朝日新聞が、2019年11月~21年11月の2年間、五つの主要な求人サイトに毎週月曜日に掲載されていたアルバイトとパートの求人、延べ約7千万件を調査。昨年の月間検索数ランキングのトップ10に5回以上登場した10単語のうち、コロナ禍前後で変化が見られた「日払い」など三つの単語について分析した。 その結果、国内で初めて緊急事態宣言が出た20年4月以降、「日払い」という単語が含まれる求人件数が徐々に増加。第1週目で比較すると、同月は約5万6千件(全体の6・7%)だったが、20年11月には約6万3千件(同10・8%)に増えた。その後この伸びはいったん落ち着いたが、2度目の宣言が東京で解除された21年3月以降に再び増え始め、11月には約8万4千件(同12%)となった。 コロナ禍以前の19年11月に「日払い」の単語を含む求人件数は、20年11月とほぼ同数の約6万3千件だったが、全体に占める割合は4ポイントほど少ない7・2%だった。コロナ禍で求人が落ち込んだ一方、日払いのアルバイトを求める企業の割合は増えていることになる。 職種では「物流・配送」の求人件数が最も多く、21年11月には約3万3千件。「日払い」を含んだ求人の約4割を占めた。続いて「飲食」が約1万7千件、「販売・接客」が約9500件だった。 多様な働き方についての調査・研究をする「ツナグ働き方研究所」(東京)の平賀充記所長は、「小売りや飲食と比べて、日払いと親和性の高い物流や倉庫業務といった業種がコロナ禍の中で活況だったことが要因」と分析する。
「ちょっといいビール」を 減税追い風に復権の缶製品 大手が相次ぎテコ入れ
2022年01月10日
20年10月の酒税率引き下げの恩恵により、久々の活況を呈している缶ビール。この10年ほど新ジャンル(第3のビール)に押され気味だったが、21年の市場は113%と2ケタ増を記録した。このチャンスに、大手は相次ぎテコ入れに乗り出す。 発売から36年目にして初の全面リニューアルを実施するのが「アサヒスーパードライ」だ。中身とともに缶体のデザインにも磨きをかけ、2月中旬製造分から順次切り替える。 インテージの調べによれば、全消費財のうちでも「スーパードライ」は圧倒的ナンバー1の販売規模を誇る日本最大のブランド。誰もが知る超定番だけに「フルリニューアルは私たちにとっても簡単にはできない決断だった」と、アサヒビールの松山一雄専務は語る。 「発売当時は皆が同じ社会的成功に向けてステップアップしていく時代だったが、今は成功の定義が多様化。自分らしく前に進んでいく時代だ。それに重ねて、時代とともに歩んでいくブランドにしたい」(松山氏)。 スーパードライといえば「辛口」。だが同社の消費者調査では、この概念が誤解されていることが分かった。 「『辛口』のイメージを聞いたところ最も多かったのは『苦い』という回答。だが私たちが考える辛口とは、飲みごたえとその後のキレの落差。そこが正しく理解されていなかった」(同)。 製法の進化だけでなく、処方変更にまで踏み込んだ。「だが味が変わるのかといえばノーだ。SDが辛口でなくなれば一般のビールと同じ。辛口から、新辛口へ。SDらしさを失わないようにしつつ、飲んだ瞬間にさっと消えるキレのよさにチャレンジした」。 発売に合わせ、同社史上最大規模の広告投資を実施。また昨年4月に発売し今も品薄が続く「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」も泡立ちをさらに高めて刷新するとともに、生産量を5倍に増やす計画だ。

キリンのクラフトビール「スプリングバレー 豊潤〈496〉」
キリンビールは、昨年3月発売のクラフトビール「スプリングバレー 豊潤〈496〉」をリニューアル。新たに日本産ホップを使用し、味わいや香りのバランスを高めた。同社では24年までにクラフトビール市場を全ビール類の2%超とすることを目指す。 「21年はビールカテゴリーが再成長に向けて動き出した年。酒税改正をきっかけにこれまでビールを手にしてこなかった人々もトライアルするようになり、缶市場は増加傾向だ。フラッグシップ『一番搾り』への注力とともに、『豊潤496』の成長にも拍車をかける。ビールを魅力あるものにして、市場を活性化させたい」(キリンビール 堀口英樹社長)。
デフレのはずが…日本で起きる「長期的」物価上昇 88品目が年率2%超値上がりで家計圧迫
2022年01月10日
日本経済低迷の病巣として物価上昇の鈍さが問題視されてきたにもかかわらず、食品を中心とした生活に身近な品目では長期的な物価上昇が続いている。総務省が先月発表した昨年11月の消費者物価指数を品目別にみて10年前と比較すると、サンマやイカは2倍超に値上がりした。牛肉、豚肉なども加えた88品目の価格が日本銀行が示す物価上昇率目標である年率2%を上回るペースで上がっており、家計を圧迫している。直近の動きをみても食品や燃料価格は値上がり傾向で、生活者の暮らしには逆風が吹く。頼みの綱である賃上げも大幅アップは期待薄で、消費の冷え込みが不安視される。 【表】品目別にみた10年前からの物価変化率(1~50位) ■魚介類は年3%、肉類は年2%の上昇率 「上の子が小さかった10年ほど前はイクラを食べさせることがよくあった。でも今はとても買う気にならない」。東京都内で暮らす40代の女性は子育て期間中の物価上昇を肌で感じている。 消費者物価指数で計測対象となっている全582品目の中で、2011年11月にも調査項目に含まれていた509品目のうち実質的に最も価格が上がったのはサンマで、2.5倍に値上がりした。次いでイカの2.2倍。イクラはそれに次ぐ3番手で価格は2倍になった。10年で2倍の物価上昇は年率に換算すると7.2%に相当する高騰ぶりだ。魚介類29品目をまとめた上昇率は年率3.1%に及ぶ。 価格が上がっているのは魚介類だけではない。輸入牛肉の価格は10年で1.7倍となっており、年率5.5%の上昇率。国産豚肉は年2.6%の値上がりペースで、10年で価格は1.3倍になった。比較的安価な鶏肉でさえ、年1.1%の価格上昇が続いてきた計算になる。肉類9品目としては年率2.0%の上昇だ。 消費者物価指数は消費税を含めて算出されており、指数の上昇には2014年と2019年の消費税率引き上げの影響がある。ただ、食料品を中心とした値上がりは「物価が上がらないデフレ日本」のイメージを裏切る実態だ。 また、公立高校の授業料はサンマを上回る物価上昇を記録している。民主党政権(当時)が公立高校の授業料無償化を実施していた10年前と比べ、現在は17倍の水準だ。政策変更という特殊要因の影響とはいえ、やはり家計の負担が増したことに変わりはない。 ■1年前との比較でも値上がり続々 もちろん消費者物価指数からは大きく値下がりした品目も見つかる。代表格は携帯電話の通信料で10年前より6割も安くなった。他にも4割減の冷蔵庫や洗濯機、2割減の電子レンジなど家電製品が目立つ。また、2019年10月からの幼児教育無償化の影響で、保育所の保育料も6割減少となっている。 このため品目ごとの物価の上昇と下落、さらに支出の多さなども勘案して算出する総合指数は10年前と比べて、6.3%の上昇に留まっている。年率では0.6%にあたる計算だ。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は「日本の物価は外食などのサービス価格が上がっていないことにも特徴がある。消費税率引き上げの影響が10年前との比較で5%程度あることを考えれば、全体としての物価の実体はほとんど上がっていないという結果になる」と話す。 とはいえ、政府や日銀から繰り返される「物価上昇が鈍い」との発言は、毎日の食卓に上がる魚介類や肉類の値上がりに直面する生活者の実感からは遠い。日銀が物価上昇の目安としている年率2%の物価上昇率を上回る品目は、公立高校の授業料を含めて88品目あり、決して少ない割合ではない。 しかもこのところは、生活に身近な品物の値上がりが相次ぐ。昨年11月の消費者物価指数を1年前と比較すると、マグロは14%、輸入牛肉は11%増加。また灯油は36%、ガソリンは27%上昇している。背景には不漁や新型コロナウイルスワクチン普及後の経済活動の底打ち、原油高などさまざまな事情があり、短期的な傾向で終わる可能性もあるが、過去10年の動向をみれば長期的に影響が積み重なっていく恐れも拭えない。 ■大幅な賃金底上げは期待薄 一方、物価上昇は経済活動の強まりというプラス要因の反映でもあり、無下に否定することはできない。また、企業が値上げを避けようとコストを価格に転嫁することをためらえば、収益力が落ちて従業員への賃上げもできなくなる。このため日銀の黒田東彦総裁は先月17日の記者会見で「賃金、物価が両方上がっていく中で、2%の物価安定目標が実現されることが非常に好ましい」と述べた。 ただ、近年の春闘では物価上昇にあわせて賃金を底上げする意味合いがあるベースアップ(ベア)を回避する動きが強まっている。激しい国際環境の変化にさらされる経営側が人件費の固定化を恐れていることに加え、労働組合側も雇用維持を優先して積極的に賃上げを求めてこなかったことが理由だとされる。 第一生命経済研究所の新家義貴・主席エコノミストは「物価が上がったからベアで生計費を補填(ほてん)するという賃上げは昔の話」と指摘する。今年の春闘については1.98%の賃上げを予測し、昨年の1.86%から高まると見込んでいるが、「賃上げはあくまで業績を反映する形で行われる。経営側は大盤振る舞いできるわけではない」とも分析。このところの物価上昇が個人消費回復の頭を押さえる可能性に注意を促している。
