貿易赤字、なぜ拡大 資源高と円安、長期化懸念
2022年05月17日
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の赤字が膨らんでいる。資源価格の高騰に加え、円安による輸入コストの増大が要因だ。ロシアのウクライナ侵攻で原油などのエネルギー価格は一段と上昇しており、貿易赤字は長期化する恐れがある。 【図解】貿易収支の推移 ―なぜ赤字が拡大しているのか。 新型コロナウイルス感染拡大で停滞していた経済活動が世界的に再開し、原油などのエネルギー消費が高まり、それに伴って価格が上昇しているためだ。日本は資源や食糧を海外に依存しており、円安も輸入額膨張に拍車を掛けている。 ―貿易赤字の規模は。 財務省が発表した2021年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、赤字額は5兆3749億円。過去4番目の大きさで、東日本大震災後に原発が稼働を停止し火力発電用の燃料輸入が増えていた14年度以来、7年ぶりの水準。月ベースでは今年3月まで8カ月連続で赤字となっている。 ―輸出はどうなの。 海外経済の回復を反映し、21年度の輸出額は過去最高を記録したが、輸入額の伸びには追い付いていない。コロナ禍による部品供給の制約で、輸出の柱の自動車が減産を強いられていることも逆風だ。円安は輸出品の値下がりにつながり、海外で日本製品の競争力を高める。ただ、企業は生産拠点を海外に移しており、恩恵が出にくい。 ―赤字は解消されるのか。 貿易収支の改善は見通せない。欧米の中央銀行が金融引き締めにかじを切る一方、日銀は大規模な金融緩和策を堅持する方針だ。この結果、内外金利差が拡大し、利回りの高い外貨が買われて円は売られ、円安傾向が当面続くとみられる。ウクライナ危機の長期化で、エネルギーなどの需給は逼迫(ひっぱく)し、価格も高止まりしそうだ。 ―経済への影響は。 輸入が輸出を上回れば、海外への所得流出につながる。企業は支払いに充てるドルなどの外貨を調達する目的で円を売るため、貿易赤字は円の下落を招く。円安を通じた輸入原材料費の上昇は企業の利益を圧迫する。ガソリンや食料品などの値上がりが進んで家計への打撃も懸念される。
中国経済、悪化が鮮明 V字回復に不透明感
2022年05月17日
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う中国経済の悪化が、16日に公表された主要経済統計から一段と鮮明になった。 【図解】中国のGDP成長率の推移 中国当局は厳格な「ゼロコロナ」政策を続けることで早期に感染を収束させ、経済をV字回復させるシナリオを描くが、先行きには不透明感が漂っている。 国家統計局が公表した4月の小売売上高と鉱工業生産は、いずれも前年を下回った。両指標がともに前年割れとなるのはコロナ流行初期の2020年3月以来2年1カ月ぶり。自動車生産台数が落ち込み、日用品や宝飾品の販売が減るなど、影響が経済全体に及んだ。 中国では3月に入り感染が急拡大し、上海市など主要都市で相次いでロックダウン(都市封鎖)が導入された。4月下旬以降は首都の北京市でも外出規制が強まっており、5月以降に景気がさらに悪化するとの見方も出ている。 ただ、中国は流行初期に、感染が拡大した湖北省武漢市の人流を徹底的に抑制し、経済を回復させた「成功体験」がある。 第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは、政策変更に伴う政治的な負担なども踏まえると「中国当局が(ゼロコロナの)戦略転換に動く可能性は極めて低い」と予想。当局は当面、感染抑制に向けて人流抑制策をさらに強化するとともに、インフラ整備といった経済政策などをフル活用し、さらなる景気の悪化を食い止める「二正面作戦」を展開していくものとみられる。
新幹線耐震化、JRに前倒し要請へ…運賃への転嫁を容認
2022年05月17日
今年3月の福島県沖の地震による東北新幹線の長期運休を受け、国土交通省は、JR各社に新幹線の耐震補強計画の前倒しを要請する方針を固めた。耐震化はJR東日本の東北、上越、JR東海の東海道、JR西日本の山陽の4新幹線で進められており、工事促進のため、費用を新幹線の乗車代金に上乗せし、利用者に転嫁することを認める方針だ。5月中にも有識者会議を設置して検討を始める。 【図表】各新幹線の耐震化の状況
国交省は1995年の阪神大震災を機に、震災前の「旧基準」で建設された新幹線の耐震化を各社に要請してきた。しかし、その後、補強の対象範囲を拡大したこともあり、25年以上が経過した今も完了しておらず、国交省は、各社に任せてきた計画の前倒しを求める必要があると判断した。特に今回の地震で高架橋の被害が出た東北と上越の耐震化率は、高架橋が66%、電柱が11%と遅れている。
工事費の負担が対策の遅れの要因の一つとされることから、費用捻出も支援する。各社が算出する今後の耐震化に必要な費用を、乗車代金に上乗せして賄うことを認めることを検討する。
国交省の通達では、乗車代金の値上げは、鉄道事業全体の収支が赤字の時に限ると定めているため、これを緩和する。鉄道事業法では、乗車代金の上限の設定・変更は事業者が申請して国が審査する認可制で、実際に上乗せするかは各社の判断に委ねる方針だ。
国交省は近く設置する有識者会議で、各社に求める計画の前倒し幅などを議論する。また既に設置している鉄道運賃・料金に関する有識者会議で費用の上乗せ方法について検討する。
最大震度6強を観測した3月16日の福島県沖の地震では、補強前の高架橋や電柱の損傷などで東北新幹線の福島―仙台間が29日間運休した。全面再開までの期間は2011年の東日本大震災以来の長期になった。東北新幹線は昨年2月にも地震で11日間運休した。
特別仕様のナンバープレート、万博記念でも…今年度中にも導入
2022年05月17日
政府は、2025年大阪・関西万博の開催を記念した特別仕様の自動車用ナンバープレートを今年度中にも導入し、25年頃までの期間限定で希望者に交付する方針を決めた。万博の公式ロゴマークを入れ、開催機運を盛り上げる。 【イラスト】記念のナンバープレートに採用される万博のロゴマーク
自動車用のナンバープレートは原則、数字や文字以外は使うことができないが、国土交通省は17年から、全国的なイベントなどで「図柄入りナンバー」を解禁。19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では52万枚、21年の東京五輪・パラリンピックでは524万枚の記念プレートが発行された。
25年万博でも、運営組織の「日本国際博覧会協会」が20年11月、政府に発行を要請。国交省は、万博の開催機運の醸成に役立つとして交付を決めた。既に走っている車でも、希望すれば新しいプレートに付け替えられるようにする方向だ。発行費用は通常のプレート(1500円程度)に6000~7000円上乗せした金額になる見通し。
一方、万博の開催地である大阪市では、市内で車両の登録をしているミニバイク向けに、万博ロゴの入ったナンバープレートを交付する方針だ。ミニバイクのナンバープレートは、軽自動車税を課税する市町村が図柄を自由に決めることができる。自動車用と同様に今年度中の交付を目指す。
スウェーデン与党、NATO加盟を支持 フィンランドに続き
2022年05月16日
スウェーデンの与党・社会民主労働党は15日、同国の北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持すると表明した。数十年にわたり維持してきた加盟反対の立場を転換した形で、加盟申請への道が開けた。 【写真】スウェーデンでNATO加盟反対デモ スウェーデンでは、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、NATO加盟への支持が政界と世論で高まっていた。同党は声明で「申請が承認された場合、スウェーデンは自国領内への核兵器の配備と恒久基地の設置に対して一方的な懸念を表明する」とした。 隣国のフィンランドも同日、NATO加盟申請の方針を正式に表明。同国とスウェーデンは加盟を共同申請する意向を示しており、ロシアの侵略を抑止する狙いがあるとみられている。
バイデン氏「沖縄の貢献に深く感謝」 沖縄返還50年でメッセージ
2022年05月16日
バイデン米大統領は15日、沖縄の日本復帰50年に合わせて「友好と追悼」のメッセージを発表し、「沖縄の貢献に深く感謝します」と述べた。「米国民と沖縄県民のつながりは日米関係を深化させるかけがえのない要素」と訴えた。 メッセージの全文は以下の通り。 沖縄の日本への返還から、今日で50年を迎えます。沖縄県民の皆さまに友好と追悼のメッセージを送りたいと思います。 沖縄戦は、第二次世界大戦史上最も凄惨(せいさん)な戦いの一つでした。日米両国で多くの人命が失われました。しかし、そこから数十年かけて、日米関係は戦場での敵同士から共通の目的で結ばれた同盟国へと変貌を遂げ、今では最も緊密な同盟国となりました。沖縄の返還は、日米関係の1ページが終わりを告げ、新たな関係が始まったことを意味しました。 現在、日米同盟は、共通の価値観と、自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンに基づき、かつてないほど強固なものになっています。民主主義、自由そして法の支配に対する日本の断固とした支援と、このような理念の前進に向けた沖縄の貢献に深く感謝します。 米国民と沖縄県民の間にある人と人とのつながりは、日米関係を深化させるかけがえのない要素です。今年、ハワイをはじめとする全米各地から、沖縄にルーツを持つ米国人が沖縄を訪問し、共通の遺産を祝い、双方のつながりをさらに強めていきます。日米関係の次の50年を見据える中、われわれが共有する歴史は、次世代の教育と経済機会に投資すれば、あらゆることが可能になると強く思い出させてくれるでしょう。 この重要な記念日に際し、沖縄県民の皆さまのご多幸をお祈りするとともに、日米の深い友好関係を確認するために来週日本を訪れることを楽しみにしています。
NY州銃乱射で10人死亡 白人至上主義主張の犯行声明
2022年05月16日
アメリカ・ニューヨーク州で黒人の買い物客ら10人が死亡した銃乱射事件で、事件の前に白人至上主義を主張する犯行声明が出されていたことが分かりました。 地元警察などによりますと、ペイトン・ゲンドロン容疑者(18)は14日、ニューヨーク州バファローのスーパーマーケットで13人を銃撃し、10人を殺害した疑いで訴追されました。 ゲンドロン容疑者とみられる人物が事件の2日前に白人至上主義を主張する180ページに上る犯行声明をネットに投稿していたということです。 事件に巻き込まれた13人のうち11人が黒人で、容疑者は無罪を主張しています
上海、16日から段階的に商業活動再開
2022年05月16日
新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)が続いている上海市の当局は15日、ショッピングモールの営業など商業活動を16日から段階的に再開させると発表した。3月下旬に封鎖措置が始まってから1カ月半が過ぎたが、封鎖前の状況に完全に戻るにはまだ時間がかかるとみられる。 上海市によると、16日からスーパーやコンビニエンスストア、薬局、理髪店などの店舗営業を段階的に再開させる。飲食店は、宅配サービスから営業を始める。再開にあたっては厳格な防疫措置の実施を求めている。 上海ではここ数日、1日当たりの新規感染者が無症状も含めて1千人台で推移。4月に1万人超の水準が連日続いていた感染者数は低下傾向にある。長引く封鎖で上海市民の不満が高まっている中、段階的に再開を進めていく考えとみられる。 ただ、居住区から外出ができない住民も多いとみられ、中国の交流サイト(SNS)では「どうやって店まで行けばいいのか」といった投稿がみられた。再開がどこまで順調に進むのか不透明感もある。
レオパレスが債務超過を解消 3月期決算、純損益は黒字
2022年05月16日
賃貸アパート大手のレオパレス21は16日、2022年3月期連結決算を発表し、施工不良問題などの影響で陥っていた債務超過を解消したと明らかにした。純損益は118億円の黒字(前期は236億円の赤字)に転換した。人件費などのコストを削減し、接客や内見の電子化の取り組みで入居率向上を図ってきた。 売上高は前期比2.6%減の3983億円だった。レオパレスは13日に予定していた決算発表を「監査法人に通報があり、決算内容を調査確認する」として延期していたが、決算に影響を与えないと判断。16日公表した。
食品などの値上げ止まらず、家計にしわ寄せ、消費の冷え込みも
2022年05月16日
生活に身近な商品の値上げラッシュが止まらない。食品や外食で値上げ表明が続出しているほか、他の分野にも同様の動きが広がっている。企業にとっては原材料費や輸送費の高騰を受けたやむを得ない対応とはいえ、実施されれば家計に大きな負担がのしかかる。消費者が生活防衛意識を強め、購入や利用を見送ることで、消費全体が冷え込む恐れもある。 【表で見る】4月以降の主な値上げリスト 「経験したことのないスピードで(コスト増が)進んだ」 11日に行われたハウス食品グループ本社の決算記者会見。浦上博史社長は、苦渋に満ちた表情で商品の値上げに踏み切る理由を説明した。同社はこの日、主力の「バーモントカレー」を含む家庭用と業務用のカレールウやレトルト製品など479品目を、8月15日納品分から約5~10%値上げすると発表した。 企業による値上げの動きは昨年から続いてきたが、新年度に入っても一向に収まる気配がない。人気の駄菓子「うまい棒」を販売するやおきん(東京・墨田)は、昭和54年の発売以来、初めて税抜き10円から12円に引き上げた。回転ずしチェーン「スシロー」を展開するフード&ライフカンパニーズは9日に値上げを発表。1皿の最低価格(税込み)は、最も安い郊外型店舗で110円から120円に上がり、59年の創業以来守ってきた「税抜き1皿100円」は姿を消す。 他の分野でも、ソニーグループが国内向け家電製品の出荷価格を引き上げたほか、日本航空はエコノミークラスの普通運賃などを値上げした。近鉄グループホールディングス傘下の近畿日本鉄道は、27年間据え置いていた運賃の改定を国土交通省に申請中だ。 ファストフード「ケンタッキーフライドチキン」を運営し、6日に値上げを打ち出した日本KFCホールディングスの判治孝之社長は「企業努力だけでは(原材料費などの上昇は)解決できない」と苦渋の選択であることを強調する。 デフレマインドが強い中での値上げは、顧客離れを招く恐れがある。食用油大手のJ―オイルミルズは、5回の値上げに踏み切った令和4年3月期の営業損益が、販売減のために平成16年の会社発足以来、初めて赤字に転落した。しかし同社は「コスト上昇に追いついていない」として4月に再度引き上げ、7月にも実施する方針だ。 円安ドル高による輸入コストの上昇や、ロシアのウクライナ侵攻に伴う小麦や原油の価格高騰など、まだ価格に反映しきれていない要因もある。先行きの不透明感も強まる中、値上げラッシュは収束どころか、加速する恐れもある。
