新国家安保戦略、中国をアジア安保への「挑戦」と位置づけへ…米欧と足並みそろえる方向
2022年11月21日
政府・与党は、年末までに改定する国家安全保障戦略で中国の覇権主義的な動きについて、日本やアジア地域の安全保障への「挑戦」と位置づける方向で調整に入った。米国や北大西洋条約機構(NATO)も中国の動向を「挑戦」としており、足並みをそろえる。台湾問題にも言及する方針だ。 【動画】LCACや水陸両用車両で離島に上陸…日米共同演習「キーン・ソード」

尖閣諸島周辺海域で、中国海警局の船(奥)を監視する海上保安庁の巡視船=同庁提供
複数の政府・与党関係者が明らかにした。国家安保戦略は今後10年間程度の外交安保政策の指針となる。2013年に決定された現行の戦略は、中国の動向を「我が国を含む国際社会の懸念事項」としている。習近平(シージンピン)政権下で、周辺国への威圧を強める中国への認識をどのように表現するかが改定の大きな焦点となっている。
政府・与党は、中国海警局の船が沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に相次いで侵入するなど、一方的な現状変更の試みが深刻化していることから、戦略で中国への危機感を明確に示す方針だ。
ただ、日中は経済的な結び付きが強く、17日には約3年ぶりに日中首脳会談が行われるなど、政治レベルの対話も本格的に再開した。

(写真:読売新聞)
一方、米国のバイデン政権は10月に公表した国家安保戦略で、中国を「最も重大な地政学的挑戦」と規定した。6月に採択されたNATOの「戦略概念」も中国を安保上の挑戦とした。
このため、政府・与党内では、日米同盟で中国を抑止しつつ、「建設的で安定的な関係」を目指す日本としても、中国の動きを「挑戦」とすることが妥当だとの意見が大勢となっている。
中国が軍事的な圧力を強める台湾に関しては、「台湾海峡の平和と安定」の重要性を戦略で強調し、中国による台湾の武力統一を容認しない姿勢を示す考えだ。ロシアと「あらゆる分野で協力を進める」とした現行の認識はウクライナへの侵略を踏まえ、抜本的に見直す。弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮は引き続き、「脅威」とする見通しだ。
国家安保戦略などの改定に向けた自民党の提言は、中国を「重大な脅威」と記述したが、公明党は「脅威」との表現は「強すぎる」との立場をとる。政府は与党内の議論を踏まえ、来月上旬にも文言を決める予定だ。
「辞任ドミノ」直撃、揺らぐ足元 首相の求心力低下、火種なお 寺田総務相更迭
2022年11月21日
岸田文雄首相は20日、「政治とカネ」の疑惑を抱える寺田稔総務相を更迭した。 山際大志郎前経済再生担当相、葉梨康弘前法相に続き、1カ月足らずで3人の閣僚が相次ぎ辞任に追い込まれる「辞任ドミノ」が現実となり、政権への打撃は拡大。内閣支持率の低迷に苦しむ首相の求心力が一段と低下するのは必至だ。 【図解】自民党岸田派(宏池会)を巡る問題 「どうだろうか」。東南アジア歴訪から帰国して一夜明けた20日、日本を1週間以上離れていた首相は近しい議員に次々に電話し、寺田氏の進退を巡る国内の空気感を探った。閣僚経験者の一人は「強気でやらないといけない」と助言した。 松野博一官房長官らとの協議も経て、首相は同日夜、寺田氏を首相公邸に呼んで辞表を受理。その後、テレビカメラを前に「相次いで閣僚が辞任し、深くおわびする」と頭を下げた。 寺田氏を巡っては、自身の後援会の政治資金収支報告書に故人を会計責任者として記載していた問題などが発覚。昨年の衆院選で公職選挙法が禁じる運動員買収を行った疑惑も浮上し、野党だけでなく、自民党内からも「辞めさせた方がいい」(幹部)との声が強まっていた。 相次ぐ閣僚の交代に、自民党関係者は「通常なら首相を続けるのが難しくなるほどの事態だ」と危機感を募らせる。野党は勢いづいており、立憲民主党の泉健太代表はコメントで「人事管理力のなさと任命責任が問われる」と非難した。 2022年度第2次補正予算案は、衆参両院本会議で鈴木俊一財務相の財政演説と各党の代表質問が21日に行われ、衆院予算委員会での実質審議が24日に始まる見通しだったが、寺田氏の辞任でこうしたスケジュールにも狂いが生じそうだ。野党は首相に経緯の説明を求める構えで、政府・与党の目指す月内成立は極めて厳しい情勢だ。 首相は山際、葉梨両氏の更迭でも「後手」批判を浴びた。今回はさらに、東南アジア歴訪の直前に葉梨氏、直後に寺田氏を更迭する形となり、自民党内からは「外遊前に2人とも辞めさせるべきだった」(幹部)と不満が渦巻く。葉梨、寺田両氏とも岸田派所属で、「首相は身内に甘過ぎる」(閣僚経験者)との批判も広まりそうだ。 寺田氏が辞任しても、幕引きとなるかは不透明だ。野党は、同様に「政治とカネ」の疑惑を抱える秋葉賢也復興相を次の「標的」に据え、追及を強める方針。自民党幹部は「まるでモグラたたきだ」と嘆いた。 反転攻勢に向け、首相周辺では来年1月の通常国会前に内閣改造・党役員人事に踏み切る選択肢もささやかれ始めた。ただ、自民党内からは「奇策はやめた方がいい」(関係者)との声も漏れる。
「大学全入時代」到来へ…コロナ禍で“家計ひっ迫” “少子化”影響も
2022年11月21日
もはや、浪人は珍しい時代となりそうです。 ■“浪人生活”つづり…毎年1000部以上売り上げ 東京大学多浪交流会代表・杉山太一郎さん:「高校までは、すごく視野が狭くなって、何もできなくなるタイプだったけど。めちゃくちゃ視野が広まって、多少のことじゃ動じなくなった」 こう話してくれたのは、4年間の浪人生活の末、東京大学に入学した杉山太一郎さん。2年以上、浪人生活を送った学生で作るサークルの代表です。 この週末に開催された学園祭で販売していたのは、ずばり「東大多浪」。自分たちの浪人生活や、その後の大学生活についてつづったもので、毎年1000部以上を売り上げるといいます。 実際に購入した人は、次のように話します。 高校2年生:「浪人する勇気は僕にはないので、そうやって努力できるのはすごい」 高校2年生:「勉強しかできない環境のなかで、1年間もう1回頑張ろうと思えるのは、むしろすごいなと思う」 中学2年生の子を持つ親:「本人がやりたいことがあればいい。浪人に対しては、悪いイメージはない。(浪人は)努力と精神力のたまもの」 ■遅くとも数年で…“大学全入時代”到来へ しかし、今、浪人生の数は急速に減少しています。 要因の一つは、コロナ禍による家計の逼迫(ひっぱく)で、受験生の現役志向が高まったこと。加えて、大きな要因と考えられるのが…。 河合塾研究開発本部・近藤治主席研究員:「早ければ、次の2023年入試。遅くとも2024年とか2025年、ここ数年のうちには、全入時代が訪れる」 少子化の影響で、理論上、志願者全員が大学に入れる「大学全入時代」がすぐそこまで迫るなか、浪人してまで希望の大学に入る必要はないと考える受験生も少なくないとみられ、大手予備校の中には、すでに浪人生向けのコースを減らす動きがあります。 一方、こうした状況に対して、杉山さんたちは「浪人も悪くないよ」とエールを送ります。 杉山さん:「どうにもならなくなる時って、勉強だけでなく何でもあると思うが。そこに対して、別に大丈夫と思う範囲が、ものすごく広くなったというのは、結構大きくて。ある程度、(浪人が)浸透してもらえたら、本当の意味で自分の希望をかなえられる人というのが、増えるんじゃないかなとは思います」
国連安保理は「重要な措置を」 G7、ICBM発射の北朝鮮に
2022年11月21日
先進7カ国(G7)の外相は20日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮に対し、国連安全保障理事会が「一段の重要な措置」を取ることを求める共同声明を発表した。 【写真】北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)とされる画像 安保理は21日、北朝鮮による18日のICBM発射を巡り緊急会合を開く予定。 声明は北朝鮮に対して「安保理による一段の重要な措置を含め国際社会が団結して強力な対応を取る必要がある」と強調。すべての国に対し「安保理の措置と制裁を完全かつ効果的に実施」するよう求めた。
北朝鮮「最強のICBM保有国に」 核兵器強化継続を表明
2022年11月21日
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は20日、北朝鮮が18日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験に成功し、「名実ともに核強国、最強の大陸間弾道ミサイル保有国」になったと宣言した。 同紙はICBM保有国になったことで「核の先制攻撃権が米国の独占物ではないことを世界に実証した」と主張した。核兵器を「戦争防止用」に使用するだけでなく、必要な場合は先制攻撃に使う考えも示した。 さらに、「次世代のために核兵器を質・量的に強化し続ける」と表明。「核には核で、正面対決には正面対決で」と警告した。 専門家の一部からは、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)がICBM発射に娘を同行させたことについて、国内に向けた「核は次世代の安全保障」とのメッセージとの見方も出ている。金正恩氏の娘が公の場に登場するのはこれが初めて。
ザポロジエ原発に砲撃か ロシア侵攻で市民8300人超犠牲 ウクライナ
2022年11月21日
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は20日、声明を発表し、ウクライナ南部ザポロジエ原発で19~20日、砲撃によるとみられる十数回の爆発が起きたと明らかにした。 【地図で見る】ウクライナ戦況マップ 放射能漏れは起きていないという。一方、ウクライナ政府高官は、ロシアの軍事侵攻による民間人の死者が8311人、負傷者が1万1000人超に上ったと表明した。 IAEAによると、爆発は原発敷地内とその周辺で発生した。原子炉の安全に影響はないものの、いくつかの建物や設備が損壊。グロッシ氏は「まったく受け入れられない」と述べ、「実行者が誰であれ、直ちにやめるべきだ」と強調した。
スナク英首相がゼレンスキー大統領と初会談 83億円の防空支援表明
2022年11月21日
英国のスナク首相は19日、首相に就任後初めてウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。スナク氏はツイッターに動画を投稿。雪が舞うなか、建物の外で出迎えたゼレンスキー氏と固く握手した。 【写真一枚で分かる人物像】超エリートで国王よりもお金持ち、スナク首相はこんな人 スナク氏は「英国は、自由のために戦うことの意味を知っている。私たちはずっとあなたたちとともにいる」と投稿した。 ゼレンスキー氏もSNSに「戦争が始まった当初から、ウクライナと英国は最強の同盟国だった。本日の会談では、両国にとって、また世界の安全保障にとって最も重要な問題について議論した。力を合わせれば、より強くなり、望ましい結果を得られる」と投稿した。 スナク首相は、新たな防空支援を提供することを表明した。英首相府の発表によると、125門の対空砲や数十台のレーダー、対無人機(ドローン)設備など、総額5千万ポンド(約83億円)に上る。今月初めに発表した1千発以上の新しい対空ミサイルの支援に続くものだという。 英政府はこのほか、発電機や避難所、水道施設の修理、移動診療所の整備などに対する資金提供を申し出た。ウクライナ軍には数万個の極寒用防寒キットを送るという。
ワールドカップ史上初、中東開催の総額が半端ない!ケタ違いの大会総額31兆円に驚きの声続出「国家予算だ」「富豪感すごい」
2022年11月21日
「FIFA ワールドカップ カタール 2022」の開会式が日本時間11月20日に行われ、そのド派手な演出に注目が集まっている。過去最高と言われる大会費用はなんと31兆円。驚きの金額に視聴者たちが「国家予算だ」と盛り上がる一幕があった。 【映像】大会総額31兆円!ド派手な開会式 開幕戦となるカタール対エクアドルに先駆けて、カタールW杯の開会式が行われた。会場には、世界的音楽グループ『BTS』のジョングクやラッパーのリル・ベイビー、女優兼ダンサーのノラ・ファテヒらが登場。俳優のモーガン・フリーマン氏はスピーチを行った。 そのほか、過去のW杯で使用されたテーマ曲メドレーや大会マスコットが勢揃いするなど盛り上がりを見せると、極め付けはド派手な花火の演出だ。会場となったアルバイト スタジアムの屋根の上から無数の花火が打ち上げられ、開会式のフィナーレを盛大に飾った。 ピッチ解説を務めるヴィッセル神戸の槙野智章も「これはすごいですよね。素晴らしい雰囲気ですね」と興奮。実況の寺川俊平氏も「ものすごくお金をかけて作られた大会」との印象を口にした。 実際に今大会は過去最高となる31兆円の費用がかかっている。これまでの最高は2014年のブラジル大会で、2兆1000億円。今大会のあまりにもケタ違いな金額にABEMAのコメント欄は「オイルマネーやばいな」「ケタ違いすぎで笑える」「金持ちすぎるだろw」「過去の全大会の予算足しても31兆にならん」「国家予算じゃんw」「富豪感すごい」といった言葉が並んだ。
高価格帯でも激売れ! トヨタ「アルファード」はなぜ人気? 高級志向増えた? 幅広く支持される理由とは
2022年11月21日
高級ミニバン「アルファード」が人気の理由は
トヨタの高級ミニバン「アルファード」は、日本の新車市場を代表するミニバンであるとともに、新車販売台数ランキングでも上位に位置するなど高い人気を誇ります。 しかし、ほかの販売台数上位車よりも高価格帯にも関わらず、堅調な販売台数を誇る理由とはどのようなものなのでしょうか。 【画像】全長6m超え「アルファードトラック」が凄い! さらに1500万円の「アルファードロイヤルラウンジ」を見る!(29枚)

なぜ高価格帯のトヨタ「アルファード」は支持されるのか?
3代目となる現行モデルは2015年に登場しました。 全体的に高級志向がさらに強められており、フロントマスクにはメッキ加飾の大型フロントグリルがあしらわれているほか、内装も杢目が強調された上質なデザインが採用されています。 また、リアにはダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用したことで、制振性や走行安定性がさらに向上しています。 そんなアルファードの価格は、エントリーモデルの359万7000円から775万2000円と、国産車としては決して安価な価格帯ではありません。 しかしながら、なぜ数ある新車のなかで販売台数上位に位置することが出来るのでしょうか。 実際にユーザーが評価する部分について、首都圏のトヨタ販売店の担当者は以下のように話します。 「アルファードが人気である理由のひとつには、なんといっても快適な室内空間にあります。 ミニバンというボディタイプを活かした広大な室内空間は、2列目はもちろん、3列目も余裕を持って乗車することができます。 また、高級感のある内外装はフォーマルな場面でも活用できるため、法人のお客さまからのお問い合わせも多い、まさに万能の1台といえます。 人気のグレードは、個人のお客さまでは装備と価格のバランスが良い『S“C パッケージ” 』、法人のお客さまでは最上級グレードの『Executive Lounge』です。 どちらもハイブリッド車のほうが人気が高い印象ですが、納期やコストパフォーマンスの関係からガソリン車も一定の人気があります」 また関西圏のトヨタ販売店の担当者は次のように話します。 「いまのアルファード人気は、やはり『アルファードブランド』が確立されたことが大きいです。 かつて『いつかはクラウン』というキャッチコピーがあったように、最近では『アルファードに乗りたい』と考えていらっしゃるお客さまが多い印象です。 実際にクラウンからアルファード、ノアからアルファードというように乗り換える人もおります」 さらに中部圏のトヨタ販売店の担当者は次のように説明しています。 「新車を購入されるお客さまの傾向として、一概にはいえないものの『せっかく買うなら良いものを』という考えの人はいらっしゃいます。 そのため、同じクルマでも装備の良い仕様(高いグレード)が人気になる傾向となり、その最たる例が高級志向のアルファードが支持される人気なのではないかと思います」 ※ ※ ※ 現在、アルファードの直接の競合となるモデルはほとんど存在していません。 長年ライバル関係であった日産「エルグランド」も販売台数ではアルファードを大きく下回っており、ホンダ「オデッセイ」も生産終了となっていることなどから、アルファード一強の状態となっています。
日本最小?「軽自動車の路線バス」が生まれたワケ 旅客定員は3人
2022年11月21日
ダイハツ・ミラがやってきた←路線バスです

観音寺市のりあいバス・伊吹線の車両。この坂を下りた先に伊吹真浦港とフェリーターミナルがある(宮武和多哉撮影)。
路線バスといえば、50~60人乗りの大型車両を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし実際には車両の種類や大きさも様々。香川県では、なんと軽自動車を使った路線バスが走っています。 運転手1名を除くと、定員は3名。おそらく「日本一コンパクトな車体の路線バス」ではないでしょうか。 【地図】軽自動車の路線バスが走る場所(+現地の写真) 軽自動車の路線バスが走っているのは、うどん出汁に使う「いりこ」(カタクチイワシを加工・乾燥したもの)の生産で知られる観音寺市の伊吹島です。 この“バス”は、島の住宅街をぐるりと一周し、伊吹真浦港のフェリーターミナルでは全便が観音寺港との定期船に接続しています。朝・昼・晩の3往復され、うち朝晩は十数分の間隔で続行便が設定されており、いったん到着した車は、慌ただしく折り返していきます。 なお“バス”車両ではあるものの、普通の自家用車(ダイハツ・ミラ)にマグネットのステッカーを貼っただけ。ナンバープレートは黄色です。このバスが軽自動車で運行されている最大の理由は、島独特の道路事情があります。
結構利用されている? “軽の路線バス”背景にある道路事情

フェリーターミナル・待合室前で発車を待つ観音寺市のりあいバス(宮武和多哉撮影)。
伊吹島の住宅街は急な斜面に張り付くように広がっており、この“バス”が走る道路は、ほぼ全区間が急な坂道です。狭隘な道路の両脇の家並みは、海風を凌ぐために頑丈な塀で守られており、見ているだけでバンパーを擦らないか心配になってきます。 かつ坂道とカーブが続くため、前方の見通しもカーブミラー頼み。一般的にはこういった場所でのバス運行には、小型バスやワゴン車(トヨタ・ハイエースなど)が充てられますが、伊吹島ではそういった車両でも難しそうです。 多くの便の始発となる「荒神社」バス停から港までは1km少々ですが、標高差が80mほどあります。この島ではクルマが通行できる道が少なく、2か所ある途中バス停は、人ひとりの歩行が精一杯という路地が何本も集結、この路地から1人、2人と利用者がひょっこり現れるのです。 運行ルートは、前方が見渡せない急カーブも多く、走行はきわめてゆっくりです。定員3名の“バス”はたまにいっぱいになるそうですが、朝晩なら前述の“次の便”があるので、待てば乗車できます。 こうした地理的条件もあり、島にはタクシー会社がなく、交通機関を整備してほしいという要望が以前からあったそうです。高齢化が進み、最盛期には4000人以上だった人口も600人ほどまで減少するなか、2006年の道路運送法改正で自治体の路線バス運営のハードルが下がった(自治体有償輸送・過疎地有償輸送が成立)こともあり、翌2007(平成19)年に「観音寺のりあいバス・伊吹線」が運行を開始しました。なかでも、坂道を上る戻り便を利用する人が多く、運行開始後の約100日間で735人もの利用があったといいます。 ちなみに、“バス車両”以外も、この島で見かけるのは軽自動車やスーパーカブといったコンパクトな車両ばかり。また小回りが効くオート三輪「ミゼット」の開発者として知られる伊瀬芳吉氏(元・ダイハツ社長)の出身ということもあって、昭和末期までは至る所で「ミゼット」が駆け抜けていたそうです。
