「わたしと年金」エッセイ募集が物議 金融庁報告の直後、タイミング悪く…
2019年06月07日
日本年金機構が「わたしと年金」をテーマにしたエッセイの募集を呼び掛けており、ネット上では物議を醸している。
折しも、金融庁の金融審議会が「人生100年時代」を見据えた報告書を公表し、年金だけでは老後の暮らしが足りず、資産形成が必要などと示したばかり。ネット上では、「『わたしの年金は?』ってエッセイ書きたいわ」など、さまざまな意見が飛び交っていた。
ネット「『わたしの年金は?』ってエッセイ書きたいわ」
エッセイ募集は、日本年金機構が厚生労働省と連携して実施。2019年6月3日に募集を始め、9月13日に締め切る。機構公式サイトの該当ページでは、「公的年金の大切さや意義を、皆さまと一緒に考えていきたいと思います」と応募を呼び掛け、作品については「公的年金の大切さ、社会保障としての公的年金の意義など、公的年金に関するエピソードを盛り込んだ内容であれば、なんでも結構です」とうたっている。
日本年金機構のアカウントは6月5日、エッセイ応募を呼び掛ける投稿をツイート。金融庁の報告書が3日に発表されていたため、投稿のタイミングをめぐり、ネット上では、「あんな発表して悪いのは金融庁だけど、なんだかなぁって感じだよね」「不正統計が発覚して大問題になってる時、総務省が統計標語を募集して炎上したけど、なんか自爆しないといけないルールでもあるの?」など、いぶかる声が相次いだ。
同ツイートに対し、リプライは5日夕時点で235。エッセイのテーマに絡め、
「17歳から働いて払っているけど貰える歳には有りますか?支給も70歳に引き上げるつもり?」
「わたしのおじいちゃんは若い頃、60歳になったら退職して年金で暮らすんだ、と言っていたそうです。今は65歳まで働けるように元気でいなくちゃ、と言っています。みんなが100歳まで元気でいられるように、年金の開始は100歳からにしたら良いんじゃないかと思いました。(小学生)」
など、年金制度への批判や皮肉を込めるユーザーもいる一方、
「『年金は将来得するとか損するとか、そういうものじゃないんです。仮に自分が1円も貰えないとしても、喜んで『納めさせていただく』、そういう気持ちを大切にしたい。もちろん老後の資金は自分で用意します。ありがとう年金機構。』こんな感じで書けば賞貰えますか?」
と問いかけるツイートも。エッセイのテーマにかけて、
「わたしと、じゃなくて『わたしの年金は?』ってエッセイ書きたいわ(笑)」
と発言するユーザーもいた。
担当者「毎年この時期に募集開始」
こうしたネット上の反応などについて、J-CASTニュース編集部では6月6日、機構の広報担当者に取材をし、話を聞いた。
担当者は、「当機構が設立された平成22(2010)年から、エッセイ募集の事業は継続して行っており、毎年この時期に募集を開始している」と説明。金融庁の資料公表とのタイミングが近かったことについては、「私どもは独立をしたもの。エッセイの募集はエッセイの募集として、この時期に毎年行っている」と話していた。
初年度にエッセイ募集を実施した際は、「わたしの提言」がテーマだったが、翌年からは「わたしと年金」にしたという。応募作が批判的な内容でも問題ないのかとの質問には、「執筆をされる方の表現のものによるものなので、どういった内容のものが適切である、というふうに申し上げることは致しかねる」と答えるに留めた。
なお、ネット上の受け止めについては、担当者は「ネット上でのコメントの書き込みを確認しているようなところはない」としていた。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)
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夫は知らない妻が抱えるワンオペ育児の苦悩 「深夜1時に寝て朝4時半に起きる」「トイレにこもって泣く」
2019年06月07日
日本では「夫は外で働き、妻は家事と育児」という考えが主流だったが、近年は「イクメン」という言葉が普及するなど、男性も積極的に育児参加すべきという風潮に変化しつつある。
しかし夫は平日仕事に長い時間を費やしているため、育児に携わる時間は限られる。妻が育児を一手に担う状況は、飲食店で一人の店員が何もかもをこなすことを表す「ワンオペ」という言葉を用い、「ワンオペ育児」と呼ばれる。キャリコネニュースは、ワンオペ育児をする女性に話を聞いた。
取材に応じてくれたのは、2歳の子どもを持つ専業主婦のAさん(30代)。Aさんは
「気持ちを話せる相手がおらず、精神的に参ってトイレにこもって泣くことがあります」
と、ワンオペ育児の辛さを吐露した。
毎日のタイムスケジュールはこのような感じだ。午前4時半に夫の弁当作りのために起床。日中は子供の散歩や買い物をし、子どもが昼寝中に掃除や夕食の準備をする。夕食後は子どもの寝かしつけをし、洗濯や翌日の弁当準備などをすませる。床に就くのは深夜1時を回ってからだ。家事と育児に追われ、1日の中でのんびりした時間はほとんどない。Aさんは「ゆっくりお風呂に入りたいです」と漏らす。
たとえ体調を崩しても、育児は休むことができない。夫を頼りたくても、休日出勤も多いほか、夜勤もあるため任せられない。Aさんの両親も家業が忙しくあまり頼ることはできない。結局はAさんがやるしかないのだ。
「頼るところがなく、自分が動くしかないことが辛いです。子どもが『イヤイヤ期』に入り、とても手を焼くのでイライラしてしまうことも多いです」
一時保育や家事代行など第三者の手を借りる方法もあるが、Aさんは「夫の理解がないので…」と一言。夫はAさんの実情を知らないため、Aさんが育児に苦しんでいることがわからない。よしんば理解を得たとしても、経済的な負担が壁になる。経済産業省によれば、家事代行サービスの利用率は2%にとどまるが、理由の1位は「価格の高さ」だ。例えば大手家庭用品メーカーが提供する家事代行サービスは、東京都の場合、2時間で9000~1万円ほど。Aさんも「経済的な負担を考えると……」と尻込みする。
ライターとして働く30代男性の筆者(編集部S)も「ワンオペ育児」を経験したことがある。妻の体調不良のため数日間、生後1か月の息子の世話を一人でしたときは想像していた以上にきつかった。
ミルクやオムツ交換など、やることが次から次へとある。息子の泣き声が聞こえたら、、その時にしていたことを中断しなくてはならない。何をやっても泣き止まなかった時は、精神的に疲弊した。「次はいつ泣くのか」とピリピリしていた。また仕事なら会社と家を行き来することで「オンとオフの区別」の切り替えをしていたが、育児には区切りがない。ずっと追われている感じがした。
「夫の会社は有給を取ろうとするといい顔をしない」労働環境の改善は急務
男性が育児にもっと携われば解決かといえば、そう簡単ではない。長時間労働が当たり前の労働環境に加え、男性が家庭を優先することに周囲からの理解を得られない問題がある。20代、30代といった子育て世代の男性の上司は、家事も育児も妻に任せっきりで仕事をしてきた人が多く、家庭を優先する考えが理解できないこともある。育児参加する男性は嫌がらせ(パタハラ)を受けるケースもあり、家庭と仕事の板挟みに苦悩する男性もいる。
Aさんの夫が勤務する会社では、パタハラまではいかないが、「有給を取ろうとするといい顔をされない」雰囲気があるという。
「私と子どもたちが体調を崩しても休んでもらえません。仕事に穴を空けられない事情はわかるのですが、もっと休みを取りやすくなって欲しいです」
共働き世帯は1980年には614万世帯だったが、2015年には1114万世帯に増加している。それにもかかわらず、家事・育児の負担は妻に大きく偏ったままだ。2011年の社会生活基本調査で、共働き夫婦で子供がいる世帯の1週間あたりの家事・育児に費やす時間を見ると、夫は家事・育児に1時間ほどだが、妻は6時間ほどを費やしている。専業主婦の負担はさらに増すことは想像に難くない。しかし、「育児は妻がやればいい」という考えはもはや通用しなくなっている。夫婦が仕事と育児の両立ができ、負担がどちらにも偏らない社会が望まれる。
カネカ、パタハラ疑惑で公式見解「退職強制の事実は一切ございません」 有休取得阻止の疑惑には言及せず
2019年06月07日
カネカ元社員の男性の配偶者が、男性が在職中、育休取得の報復に転勤を命じられたなどとSNSで主張していた騒動を受け、同社は6月6日、企業サイトに「当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みについて」という文書を掲載した。2日に弁護士を含めた調停委員会を立ち上げて調査した結果、「当社の対応に問題は無いことを確認した」と主張した。
同社の広報担当者は3日、キャリコネニュースの取材にSNS上の投稿について「弊社宛ではないのでコメントできない」と答えていたが、日経ビジネスの報道によると同日、角倉護社長が社員らに送ったメール内で「当該社員に誤解を生じさせたことは配慮不足だった」と、社員だったことを認めていた。
「希望を受け入れるとけじめなく着任が遅れると判断した」
今回発表した文書では、「転勤の内示は育休取得への報復」とする元社員らの主張を「見せしめではありません」と否定。「退職を強要された」という主張も、
「元社員から5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出され、そのとおり退職されております。当社が退職を強制したり、退職日を指定したという事実は一切ございません」
と否定した。
同社のルールでは、内示から発令までが1週間、発令から着任まで1〜2週間程度必要になる。元社員の異動は育休取得前に検討されていたが、「本人へ内示する前に育休に入られたために育休明け直後に内示することとなってしまいました」と説明する。「内示から発令までの期間は4月23日から5月16日までの3週間であり、通常よりも長い」とも記している。
元社員から要請された着任日の延期を承諾しなかった理由については、
「元社員の勤務状況に照らし希望を受け入れるとけじめなく着任が遅れると判断して希望は受け入れませんでした」
と説明している。上司は 着任後、出張を認めるなど柔軟に対応しようと考えていたというが、元社員からは「連休明けの5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出された」ため、この後は転勤についての話がされなかったという。「このため元社員は転勤に関しての種々の配慮について誤解したままとなってしまったものと思います」と推測していた。
元社員の配偶者は「内示を受けて退職までの間、有休を取得させてもらえなかった」と書いていたが、サイトに掲載された見解に、有休取得に関する言及はなかった。キャリコネニュースが同社担当者に確認したところ、
「弊社では有休の申請はシステムで処理されるので、本人が申請した分はその通り取得できる。本人から申請があった分については、退職日までに取得できている」
と説明した一方で、内示日から退職日までの間、元社員から有休の申請・取得があったかどうかについては「個人に関わることなので申し上げられない」という回答だった。
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おすすめできない副業(6)「アルバイト」
2019年06月07日
これまで5種類の「おすすめできない副業」を当コラムではご紹介してきた。今回は、意外に思われるかもしれないが、思いのほか多い「アルバイト」という形態で行う副業について、おすすめできない理由を伝えたい。
【こちらも】おすすめできない副業(5) 「ネットワークビジネス(マルチ商法)」
■アルバイトで得られるのは「時間に応じたお金」
副業=アルバイト等でほかの稼ぎ口を得る、という考え方の人はまだ多い。定時に本業を終わらせて、その足で副業先に出向き、ホールスタッフなどを行うというスタイルだ。
形としては確かに副業ではあるが、これでは時給換算の対価しか得ることが出来ない。ただでさえ日中は本業である程度の時間を用いているにもかかわらず、副業でも時間の切り売りをしてしまっては、いつまでたってもスキルアップや単位時間ごとの生産性をあげることは出来ない。
■副業を行うに当たってのリスクが大きい
副業解禁とよく言われているが、就業規則上では禁止されている会社もまだまだ多い。あまりおすすめはしないが、中には本業の会社には黙って副業を行う人もいるだろう。そんなとき、アルバイトという形で副業を行うと、本業の会社にばれるリスクが非常に高い。
雇われる形の副業では、住民税の徴収方法を自ら選択することが出来ないため、必然的に本業の会社へ、副業で稼いだ分も含めた住民税の納税額が通知されてしまう。この数字を経理部門の担当者が見て、副業を行っていることに気づかれてしまう。
またアルバイトとなると、肉体的な負担、精神的な負担がかかることも多く、本業とのバランスをしっかり考えて行わないと、体調を崩すなどのトラブルが生じてしまう。健康的な身体や調子というものは、失って初めてことの重大さに気づくものだ。身体が壊れるのは簡単で、治すのは非常に難しい。
■自分で主導権を握れる副業がおすすめ
アルバイトという形態では、どうしても「雇われる」という形になるため、自分で業務量や稼ぎをコントロールするのは難しい。そうではなく自ら手綱を握り、今後のスキルアップやキャリアの向上にも繋がるような副業を通して、稼ぐことの出来るスタイルを築くのが理想といえる。
いま話題の「怪しい副業ビジネス」に騙されないための考え方
2019年06月07日
果物の海外転売ビジネスを行っていた農園経営会社に家宅捜査が入るなど、近頃では違法な副業ビジネスが話題にあがっている。その他にもSNSを中心に情報商材や詐欺まがいの副業等も問題になっており、副業に取り組みたいという人を狙った犯罪も多数見つかっている。そこで本記事では、副業に興味のある人が、そういった怪しい副業ビジネスに騙されないようにするため、必要な考え方を紹介したい。
【こちらも】怪しい副業に気をつけろ! (1)「ネットショップの商品レビュー」
■「どうして人はお金を払うのか?」を考える
最も大切な考え方は「どうしてその仕事に対してお客様やクライアントがお金を払うのか?」ということを常に考えることである。もちろんコンビニでジュースを買うときには、「飲み物が欲しいから」という理由でお金を払うだろう。またクリーニングを頼むときは、「衣服をきれいにしたいから」という理由や「丁寧に洗濯する手間を省きたいから」という理由もありえる。
人は何かを得るためや、何か手間や時間を省くためにお金を支払うのだ。原則どんな仕事でもこれが成り立つ。
またイラストやデザイン、コピーライティングなどの仕事は、成果物となるものを作成する手間や時間はもちろん、質の高い成果物を提供するまでにかかった技術の修練や、ノウハウ作りの努力・経験という価値にも対価を支払っていることになる。
■怪しい副業ビジネスは「お金を払う根拠が薄い」ものがほとんど
しかしながら、怪しい副業ビジネスでは「スマホをタップするだけで月収10万円」など、一般的に考えてその仕事をするだけで十分な価値を提供しているとは考えにくいものばかりだ。
他にも、「Youtubeで月収30万円を得る教科書」など、本来は一般人では難しく、その教材の内容以外の努力や才能、独自性などがあって初めて成り立つものを、大げさに価値が得られるように記載する詐欺まがいのものもある。
本来お金を得るためには、それだけの根拠というものが必要だ。巷にあふれる様々な副業ビジネスは、どういった根拠でお金を得ることができるのか、対価としてどれだけの実務が必要となるのかを見極めながら、自らにとって最適な副業を選んでほしい。
副業の経験は転職に有利になるか
2019年06月07日
【こちらも】転職するならまずは副業から始めるべき理由
●2つのパターンで考えてみる
今回は、副業の経験は転職に有利になるか否かを、2つのパターンで考えてみる。まずは、本業のスキルを活かす副業をしている場合。もうひとつは、本業と全く異なる副業をしている場合。この2パターンだけで考えるため、勤務形態(アルバイト・正社員など)は問わない。
●本業のスキルを活かす副業をしている場合
この場合は、次の転職を同業他社で考えているのであれば有利になる可能性がある。しかし、ただ副業をしているだけでは難しいだろう。わざわざ本業で出来ることを他社でも副業として働くだけの理由、それに基づいた成果などが筋道立てて話すことが出来るのであれば、転職の際も評価されるかもしれない。
転職先に異業種の職場を選択する場合は、スキルが評価されることはないと思っておいたほうが良いだろう。
●本業と全く異なる副業をしている場合
この場合も、次の転職先次第では有利に動くことがあり得る。例えば、次の転職で給料アップを目指しているが、別の業界で働きたいと思っている場合である。この場合も副業として働く理由、それに基づいた過程・結果などをきちんと説明できるのであれば、評価につながる可能性がある。
反対に、なんとなく気分転換のために本業と異なる副業をしている場合は、転職で有利になるとは特に考えないほうがいいだろう。
●まとめ
色々説明したが、結局のところ、本人がどの程度のモチベーションで副業に取り組むか、その点で評価されるか否かが、はっきりと分かれるところだろう。転職する際には、多くの場合で面接をすることになる。面接時に先程述べたような事柄を伝え、理解してもらえれば評価に繋がるだろう。そうでなければ、副業経験そのものが評価に直結する可能性は低いと思っておいたほうが良いだろう。
似鳥昭雄会長 「経済予測の達人」が見る令和日本経済の近未来
2019年06月06日

似鳥会長は世襲をどう見る?
家具やインテリア雑貨を手がけるニトリホールディングスは平成の30年を通じて右肩上がりの成長を遂げた。同社を率いる似鳥昭雄会長(75)は“経済予測の達人”として財界に名を轟かせている。その手腕はバブル崩壊やリーマン・ショック時でさえ会社を成長させたことにも表れている。1989年に上場した当時は店舗が18店、売上高は132億円だった。30年後の2019年2月期は、店舗が576店、売上高で6081億円になった。
──業界の垣根を越えた戦いが熾烈さを増せば、ただでさえ人手不足の昨今、ますます優秀な人材の奪い合いが激しくなりそうです。
似鳥:当社のビジネス構造の実態は小売業というより“大売業”とでも言いますか、要は、商品の開発や生産、物流を含めた商社機能、それに販売の小売りまで、すべて自前で行う一気通貫の事業モデル。そこで成長企業という点以外に、商社のように様々な職能が経験できるということが人財確保の上では当社の強みになってくると思います。
ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井正社長が掲げた、新卒の初任給を一挙に2割増しにするという方針も驚きましたが。それくらいでないと、優秀な人財を確保するのは難しい。
──様々な業界でプロ経営者を招聘したり、役員や幹部も異業種からスカウトする企業が増えていますが、ニトリはどうですか?
似鳥:当社の松元史明副社長も、昨年9月、日産自動車副社長から招き入れた人財です。彼は日産時代、生産管理や海外経験で豊富な知見を培っているので、非常に力になっています。当社では20人いる執行役員のうち生え抜きは6人。スカウト組が7割を占めています。
トップの重要任務は、優秀な人を役員や幹部としてスカウトすること。そういう人財は、新卒でゼロから育てる定期採用では間に合いません。
──3年前の2016年にプロパーの白井俊之さんを社長兼COOに指名していますが、長い目で見た後継者問題、世襲の是非はどう考えますか?
似鳥:世襲で成功するのは、10人に1人ぐらいだと思います。それくらい難しい。「創業者に2代目なし」というか、言い換えれば「美田を残さず」と。だから将来も世襲は考えていない。
──今秋は消費増税が控え、来夏は東京五輪と、目先はイベントが続く日本ですが、少し長い目で見て、令和という新しい時代における日本経済の在り方や活性化に必要なものは?
似鳥:米国は今年から来年、経済成長率の低下が不可避で、これに引っ張られるように日本も景気後退していく。2021年から2022年あたりが、おそらく大底となり、そこから先も底這いに近い状況でしょう。
そもそも日本は人口に対する店舗数が多すぎます。年商50億円以上の中規模以上のスーパーマーケットは約400社。総店舗数は1万3000店を超えています。本来、スーパーマーケットが必要とする商圏人口の目安は2万5000人。しかし、現在の総店舗数で日本の人口を割れば9000人にしかなりません。
これから人口減少はさらに進む。小売業は米国のように再編淘汰が進まないと成り立たなくなる。結果、一部の企業による寡占化が進行するでしょう。お客様の求めるものを実現できる企業に勢いが出て、対応できない企業は淘汰されるのではないでしょうか。
当社は、これまでもそうしてきたように、不況はチャンスと捉え、2032年に3000店舗、売上げで3兆円という旗を立てて今後も突き進んでいきます。
【PROFILE】にとり・あきお/1944年樺太(サハリン)生まれ。株式会社ニトリホールディングス会長。北海学園大学経済学部卒業。広告会社へ就職した後、札幌市内に「似鳥家具店」創業。1986年、社名を「ニトリ」に変更。2002年東証一部へ上場。32期連続の増収増益を果たしている。
ローソン社長が語る コンビニ過渡期時代をどう勝ち抜くか
2019年06月06日
24時間営業を巡る議論や人手不足の問題など、平成30年を右肩上がりで成長し続けてきたコンビニのビジネスモデルが重大な岐路に立っている。令和時代に入り、コンビニはこれからどう変化していくのか。親会社の三菱商事から転じ、現在1万4500店舗、6000人の加盟店オーナーがいるローソン社長として4年目を迎えた竹増貞信氏(49)に、大手チェーンとして考える新たなコンビニ戦略を訊いた(聞き手/河野圭祐・ジャーナリスト)。
──今期、ローソンは出店数から退店数を引いた純増がゼロの見込みです。現在の過渡期をどう勝ち抜く?
竹増:グループに「成城石井」もありますし、健康志向の品揃えの「ナチュラルローソン」や、低価格ゾーンに振った「ローソンストア100」もある。そういうチャレンジを実行に移すスピード感や行動力は、加盟店オーナーにも我々にもあります。時には失敗もありますが、このチャレンジ精神こそ、ローソンのDNAでしょう。
──昨年10月には、ローソン銀行を開業しました。
竹増:キャッシュレス時代だからこそ、ベースとなる銀行口座を自前で持つことが活きてくるという考えです。
ローソン銀行では、キャッシュレス支払いの手数料負担などに関する新しいサービスを検討中です。まだお話しできる段階ではありませんが、今年中には発表したいと考えています。
──他チェーンだけでなく、ドラッグストアなどライバルは増えているが、どう差別化していく?
竹増:惣菜やお弁当、おにぎりなど我々が自信を持つ商品群は、それなりの店舗網や物流網、専用工場などがないと提供できませんので、ドラッグストアとは差別化できると考えています。
コンビニの武器は、やはり生活の一番近くにあり、世の中の変化に機動的に対応しやすいということ。コンビニ業界の飽和状態を指摘する方もいますが、女性の社会進出が進み、ご高齢の方が増え、若年層の消費観やライフスタイルも大きく変わってきています。
その中で「生活に一番身近な場所にある」というコンビニ最大の強みを、まだ生かしきれているとは思えない。これからの課題は老若男女様々なニーズをどうやって取り込み、お客様により便利に、より効率的に、今の暮らし方に合ったコンビニの使い方をしていただくかでしょう。
我々の魅力をもっと磨き、激変する世の中にいかに対応するか。ここにチャレンジすることが、コンビニのビジネスモデルをまた大きく変えていくと考えます。
【PROFILE】たけます・さだのぶ/1969年大阪府生まれ。1993年大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社し畜産部に配属。その後グループ企業の米国豚肉処理・加工製造会社勤務、三菱商事社長業務秘書などを経て、2014年ローソン副社長に。2016年6月から現職。
●聞き手/河野圭祐(かわの・けいすけ)/1963年、静岡県生まれ。ジャーナリスト。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2019年6月14日号
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客離れの続く丸亀製麺がまた値上げのワケ
2019年06月06日
画像=丸亀製麺HPより
■既存店客数が16カ月連続で前年割れ
讃岐うどん専門店「丸亀製麺」が、客離れで苦しんでいる。丸亀製麺といえば、290円(税込)からという低価格でうどんが食べられ、昼時には行列ができる店舗も多い。しかし、最近はその人気に陰りが見え始めているのだ。
4月の既存店客数は前年同月比1.0%減だった。2019年3月期(18年4月〜19年3月)通期ベースでも、客数は前期比3.8%減と大きなマイナスとなった。16カ月連続で前年割れが続いている。18年3月期は0.8%増、17年3月期が3.0%増、16年3月期が1.8%増と伸び続けていたのが、なぜ突然失速したのか。
丸亀製麺が誕生したのは2000年。運営会社のトリドールホールディングス(HD)が兵庫県加古川市に1号店を開店したのが始まりだ。ロードサイドやショッピングセンター内を中心に出店を重ね、店舗数を大きく伸ばしてきた。11年には47都道府県への出店を達成。アジアや北米、ロシアなど海外にも積極的に出店しており、18年3月には「世界1000店舗」を達成した。
■店舗で打ちたての麺が魅力
丸亀製麺の売りは、価格の安さとおいしさだ。特にうどんの「打ちたて」の麺が大きな武器。全店に製麺機を置き、100%国産(北海道産)の小麦粉を使って店内で製麺している。
これは、最大のライバル「はなまるうどん」に対する差別化要因になっている。はなまるうどんも「かけうどん」を税別150円で販売するなど、丸亀製麺同様に安さが売りだ。だが麺に関しては、オーストラリア産を主体とした小麦粉を使って自社工場で製麺している。
丸亀製麺は打ちたての麺で人気を集め、店舗網を大きく広げた。同じく2000年に1号店を開店したはなまるに倍近い差をつけ、18年3月末時点で国内では817店を展開している。
業界の盟主として君臨してきた丸亀製麺の客離れの原因のひとつは、「値上げ」だ。18年3月下旬に、数種類のうどんや天ぷらなどトッピング商品で価格が引き上げられていたとネット上で話題になった。この事実を確認するためトリドールHDに問い合わせたが、期日までに回答はなかった。
だがトリドールHDでは、5月16日に発表した19年3月期の決算説明資料で、18年4月〜6月は商品単価の値上げの影響が出たと分析している。値上げは確かに行われていたわけだ。
■トリドールHDの売上高は大幅増収
この時期の既存店客単価は前年同期比で上昇したが、客数は4月が2.4%減、5月が9.0%減と大きく減少した。既存店売上高は4月こそ前年を超えたものの、5月と6月は大幅減となった。
現在まで続く客数減は、このときから始まっている。18年4月以降の客単価は上昇傾向にあるが、客離れを補うには至らず、19年3月期の既存店売上高は前期比2.7%減と大きく減った。それまでは増収が続いていたので、値上げが響いたと言わざるをえないだろう。
運営会社であるトリドールHDの売上高は決して悪くはない。むしろ絶好調だ。19年3月期連結売上高は、前期比24.5%増の1450億円と大幅な増収を達成している(5月14日発表)。だがこれにはからくりがある。18年1月に香港の人気中華麺チェーン運営企業を子会社化したことが主な要因なのだ。この企業の業績が19年3月期の海外事業の業績に反映され、同事業の売上高が前期比2.9倍の302億円と大きく伸びることとなった。
■出店攻勢は衰え、国内では飽和気味か
一方、丸亀製麺事業の売上高はさえない。19年3月期の売上高は0.5%減の899億円だった。出店により店舗数は増えたものの、既存店売上高が低迷したことが響き、減収となった。セグメント利益も減り、11.1%減の124億円にとどまっている。また、想定していた収益が見込めなくなったため、同事業で7億円の減損損失の計上を余儀なくされている。
国内での今後の成長は危うい。かつては出店攻勢により年に100店以上増えていたが、国内700店を超えた14年3月期以降、著しく伸びが鈍化している。19年2月期は25店の増加にとどまった。もはや出せる場所には出店しつくしたのか、主戦場だったロードサイド型の店舗数は伸び悩んでいる。一方、ショッピングセンター内の店舗数は緩やかに増えてはいるが、こちらも一時期ほどの勢いはない。国内では全体に飽和感が漂っているのだ。
この状況下で丸亀製麺が成長するためには、既存店の強化が欠かせない。特に季節限定の商品が鍵を握る。目新しさから集客が見込めるうえに、価格が多少高くても売れるので、客単価の向上が期待できるからだ。19年3月期は、「うま辛坦々うどん」(並盛り650円/18年10月発売)や「牡蠣づくし玉子あんかけ」(同670円/同11月発売)が好調だったという。
■季節限定商品+CMの戦略が奏功していた
丸亀製麺では、季節限定商品とテレビCMをセットで打ち出すのが定番の戦略になっている。「うま辛坦々うどん」と「牡蠣づくし玉子あんかけ」では、女優の松岡茉優がメインを飾るテレビCMを放映していた。
この手法が始まったのは、2014年8月からだ。当時の新メニュー「肉盛りうどん」の販売を促進するため、タレントの武井壮が「ヤバい」を連呼しながら同商品を食べる様子を映したテレビCMをオンエア。丸亀製麺にとって、初めての全国テレビCMになった。
これが大当たりし、8月の既存店売上高は前年同月比15.7%増と大きく躍進した。前年割れが続いていた不調を振り払った。客数も8.3%増と大きく伸長した上、同商品は並盛り590円と定価が高額だったため、客単価も6.8%増と大きく高まった。
「肉盛りうどん」の後には、「タル鶏天ぶっかけ」「知床いくらうどん」「Wカツカレーうどん」「だし玉肉うどん」といった季節限定商品の販売に合わせてテレビCMを放映したが、いずれも好評で集客に大きく貢献したという。「肉盛りうどん」発売の14年8月から16年7月まで、既存店売上高は24カ月連続で前年超えとなった。
■広告宣伝の費用対効果悪化が見て取れる
だがテレビCMは諸刃の剣だ。当たればいいが、販売につながらなければコストがかさむリスクをはらんでいる。
事実、丸亀製麺では広告宣伝の負担が重くなっている。トリドールHDの利益は大きく減少している。19年3月期の営業利益は、前期比69.8%減の23億円と大幅な減益となった。売上高営業利益率は前期から5ポイント低下し、1.6%と近年に見られない低水準となっている。人件費や原材料費のほか、広告宣伝費が大きな重しとなった。丸亀製麺事業の広告宣伝費の割合は、前期と比べて0.5ポイント上昇している。費用対効果が悪くなっているのだ。
丸亀製麺は今年4月23日にも値上げを実施している。トリドールHDの広報によれば、うどん6商品や天ぷらなどトッピング商品の一部を10円値上げしている。例えば、「釡玉うどん」の並盛りは350円から360円に引き上げた。
客の移ろいが激しい飲食業界では値上げは鬼門だ。丸亀製麺も、18年の値上げでその難しさを実感しているだろう。利益率改善のためにはやむを得ず、再び値上げに踏み切ったということなのかもしれないが、ますます客離れが加速するおそれがある。かつての絶好調がうそのように深刻な事態に陥る可能性もあり、今後の行方に注目したい。
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佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売り上げ拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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(店舗経営コンサルタント 佐藤 昌司)
野村証券、都市圏の25支店閉鎖 見直し第1弾、近隣店舗に統合
2019年06月06日
野村証券は5日、東京、神奈川、愛知、奈良、大阪、兵庫の6都府県にある25支店を8月から9月にかけて閉鎖すると発表した。店舗網見直しの第1弾で近隣店舗と統合しコスト削減を進める。野村は現在156ある国内店舗を約2割削減する計画を掲げており、他の店舗の閉鎖についても検討を進める。
閉鎖店舗は新宿野村ビル支店(東京都新宿区)や上本町支店(大阪市)、宝塚支店(兵庫県宝塚市)など。インターネットを通じた取引の増加で来店者が減っていることなどを考慮した。ただ47都道府県を網羅する営業体制は維持する。
