出雲立てこもり 男を逮捕「交際相手めぐりトラブル」
2020年01月15日
島根県出雲市で女性を人質にとり立てこもっていた事件で、警察は、男を監禁の疑いで現行犯逮捕しました。また、関係者への取材で、警察官に「自分の交際相手を巡って、会社関係者とトラブルがあった」と主張していたことがわかりました。
事件は、14日午後2時半ごろ、出雲市の運送会社「上田コールド」に、「立てこもりをしたい。社長を出せ。刃物を持っている」などと、刃物を持った男が押し入りました。当時、建物内には7人ほどの従業員がいましたが、男はこのうち40代の女性従業員1人を人質にとり、立てこもりを続けていました。そして、事件発生から18時間後、男が人質を解放し、警察は男を監禁容疑で逮捕しました。
逮捕されたのは20代の男で、警察によりますと、人質の女性にけがはないということです。
また、関係者への取材で、男が立てこもっていた際、警察官に「自分の交際相手を巡って、会社関係者とトラブルがあった」と主張していたことが分かりました。警察が、事件に至ったいきさつなどを詳しく調べています。
小泉環境相「育児休業」取得へ 第1子誕生後、計2週間
2020年01月15日
小泉進次郎環境相が「育児休業」を取得する方針を固めたことが15日分かった。複数の関係者が明らかにした。短時間勤務やテレワークなどを組み合わせ、月内に予定されている第1子誕生後の3カ月間に合計2週間程度、育児のための時間を確保する考え。環境省の業務見直しや働き方改革に向け、同日開く「選択と集中」実行本部で正式に表明する。
小泉氏は昨年8月にフリーアナウンサーの滝川クリステルさんと結婚し、育児のための休暇取得検討を表明した。
一方、昨年9月の環境相就任後は「環境省職員にとって育休を取りにくい環境を残したまま、(自分が)取るわけにはいかない」とも発言していた。
ムシャラフ元大統領の死刑撤回 裁判やり直しへ パキスタン
2020年01月14日
パキスタン東部ラホールの高裁は13日、ムシャラフ元大統領に国家反逆罪で死刑判決を下した昨年12月の一審判決について「違憲」と判断し、裁判のやり直しを命じた。
AFP通信によれば、政府側代理人代表の検察官は「判決は破棄された」と述べ、死刑が撤回されたことを明らかにした。
地元紙ドーンは高裁の判断に関し、「ムシャラフ氏の裁判が法にのっとって準備されなかったと指摘した」と報じた。ムシャラフ氏は海外で実質的な亡命生活を送っている。
イラン政府、ウクライナ機撃墜の「隠蔽」を否定
2020年01月14日
イラン政府は13日、同国軍がミスによってウクライナ機を撃墜したと認めるまでに数日を要したことをめぐり、「隠蔽(いんぺい)」を否定した。
同国政府のアリ・ラビエイ(Ali Rabiei)報道官は国営テレビで放映された映像で、「ここ数日の悲しみの日々の間、多くの批判の矛先が関係者らと当局に向けられた。一部の当局者らは、うそをついて隠蔽したとさえ非難されたが、実際はそうではない」と話した。
「うそをつくのは、意図的かつ故意に事実を捏造(ねつぞう)することだ。うそをつくのは隠蔽することだ。うそをつくのは、事実を知りながら明かさなかったり、真実をねじ曲げたりすることだ」とラビエイ氏。
これに対し、11日に撃墜を認める以前に政府高官らが発表していた詳細はいずれも、その時点で把握していた情報に基づいたものだったと説明。
「米国がイランに仕掛けた心理戦がピークに達していたあの数日間に意見表明した者は全員、その時点で手にしていた情報を基に話していた」と語った。
豪首相の支持率、就任以来最低に 森林火災対応への批判鮮明
2020年01月14日
オーストラリアで続く深刻な森林火災への政府の対応が批判されるなか、モリソン首相の支持率が急落している。13日発表の調査では、首相就任以来、最低を記録した。
昨年から数カ月に及ぶ森林火災は、英国の国土のほぼ半分相当に広がり、28人が死亡、2000棟の住宅が損壊している。
モリソン首相は、森林火災が深刻化するなか、家族でハワイに休暇旅行にでかけるなどして、厳しい非難を浴びている。首相は12日のテレビインタビューで、いくつかの過ちを犯したと認めた。
ニュースポールが13日発表した調査(1月8─11日)によると、モリソン首相の支持率は8ポイント低下し、就任以来、最低となり、野党・労働党のアルバニーズ党首に逆転された。
調査が実施されたのは、モリソン首相が、森林火災の被災地域の復興予算を発表した後に実施された。
自殺者も出るミシュラン格付け 元三つ星シェフの提訴に司法判断は…
2020年01月14日
赤表紙のレストラン番付ガイド本「ミシュラン」は、今や世界中に広がる。
日本のシェフたちの星をめぐる闘いは昨年、民放ドラマ「グランメゾン東京」の題材になった。本国フランスでは、星を落とす恐怖で自殺者が出るほどプレッシャーは強烈。最近は三つ星を奪われたシェフが抗議してミシュランを訴え、料理界の話題をさらった。
アルプスの名店「ラ・メゾン・デボワ」を経営するマルク・ベイラ氏(69)は、黒い帽子とサングラス姿で厨房(ちゅうぼう)を指揮する名物シェフ。自家農園直送の素材を使い、玉手箱のように華やかに仕上げた料理が自慢だ。2018年、待望の三つ星を獲得。ミシュランは「悪魔のように卓越した創造性」と絶賛した。
それからわずか1年後、二つ星に格下げされた。ベイラ氏は「料理の質は全く落ちていない。審査ミスだ」と怒り心頭で昨年秋、ミシュランを提訴。調査員の資格や審査報告書の開示を要求したうえ、「格下げでうつ状態になった」として1ユーロ(約120円)という象徴的金額の慰謝料を請求した。「調査員は、サボワ地方名産のチーズ『レブロション』を認識できず、大量生産のチェダーチーズと勘違いしたのだろう」と、テレビや新聞で不満をぶちまけた。
注目の判決は、昨年のおおみそかに出た。パリ郊外、ナンテール裁判所は「審査員の評価は、表現の自由に基づく」としたうえで、「原告は、評価の独立性を損なうに足る正当な理由を示していない」と断じた。名物シェフの完敗だ。
ミシュランは弁護人を通じて「消費者のために評価する権利が認められた。ベイラ氏は中傷をやめよ」とコメント。ベイラ氏に、3万ユーロ(約360万円)の損害賠償を求めた。
訴訟が注目されたのは、裁判の過程で、ミシュラン伝統の秘密審査に風穴があくのではないかと期待されたからだ。星番付をめぐるシェフの苦悩は、いまや社会問題化している。
ミシュランガイドは元々、タイヤ会社のミシュランが客に無料で配ったホテル、飲食店案内だった。現在の格付けは1930年代に始まり、いまや一つ星を取れば「客が30%増える」と言われるほど。一方、星を獲得した途端、シェフは星喪失の恐怖から逃れられなくなる。2003年、三つ星剥奪の噂を報じられたシェフが拳銃自殺。16年にはスイスの三つ星シェフが猟銃自殺した。
三つ星店は味だけでなく、サービス人員や装飾、高級素材をふんだんに使う「品格」を求められる。プレッシャーから「見失うものが多い」と星を辞退するシェフも相次ぐ。「世界一多くの星を持つシェフ」といわれた大御所、故ジョエル・ロブション氏も1996年にいったん返上した。当時、「金塊のように高価な手長エビを仕入れ、白綿のような身だけをすくう日々。常に完璧を求めるあまり、消耗した」と述べたという。
公表される審査基準は、(1)素材の質(2)調理技術の高さ(3)独創性(4)価値に見合う価格(5)料理全体の一貫性-の5つ。三つ星は「それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理」に与えられる。三つ星店には3度、秘密調査員が訪れるといわれるが、真相は謎のまま。かつて、元調査員が「実は毎年、訪問調査をしているわけではない」と書いた暴露本を出版し、ミシュランと訴訟合戦になったこともある。
三つ星が、だれにとっても「最高の店」とはかぎらない。
三つ星発表とともに、外国から予約が殺到。フランスの一流店なのに、店内で聞こえるのは英語ばかりということも珍しくない。ある有名店を訪れたとき、中国人の若いグループがひと皿ごとに写真を撮り、「デザートは不要」と言ってさっさと帰ったのを目撃した。
パリの有名店なら、コースで1人4万円はザラ。ワインを頼めば、2人であっという間に10万円だ。折からの和食ブームで、「焼きナスの付け合わせ」「和風だしのジュレ」「イチゴのワサビ添え」など「独創的」な料理が出てくると、日本人客は「大枚はたいて高級フレンチを食べにきたのに…」と少々がっかりするかもしれない。
89年には60万部を売り上げた仏版ミシュランガイドも、最近は5~6万部。インターネットの飲食店評価に押されたうえ、「世界のベストレストラン50」などライバルも続々出現した。
それでも、ミシュラン神話は衰えない。名店を探すとなると、正体不明のネット調査より、伝統が支える格付けに信頼感で軍配が上がる。
新年に星付き店をのぞいてみた。白いクロスの食卓に案内されるときの高揚感。宝石のように美しいアミューズ、黒トリュフを惜しげもなくふりかけたブレス産鶏-夢見心地の空間は、まさにフランス料理の殿堂ならでは。昨年来交通ストが続くパリで、仕入れからサービス係の通勤まで苦労しているはずだが、そんな裏側はみじんも感じさせない。
ミシュランと闘うベイラ氏の店は昨年、7%客足が増えたとか。これも星の伝説がなせる業だろう。今年の仏版番付は1月27日に発表される。(パリ支局 三井美奈)
領海内海洋調査、中国船排除へ…軍事利用のリスク防ぐ
2020年01月14日
政府が、日本領海内で民間の経済活動として行われる海洋調査から中国系の調査船を事実上、排除する方針を決めたことが分かった。中国系の調査船が領海内を調査しようとする事案が昨年、相次いだことから、海底地形などの情報が中国に軍事利用されるリスクを避ける必要があると判断した。
■政府、強制退去も
政府はすでに体制を整え、運用を始めている。こうした海洋調査対策を、年内に策定する経済安全保障に関する国家戦略に盛り込み、官民一体で取り組む考えだ。
具体的には、洋上風力発電施設の建設や海底ケーブル敷設を目的として海洋調査を行う事業者に対し、日本の領海(陸地沿岸から12カイリ=約22キロ・メートルまでの海域)内で活動する調査船の所有者やデータ管理の方法などを事前に申告するよう要請する。
申告内容は、杉田和博官房副長官をトップとする「海洋安全保障連絡会議」を通じて国家安全保障局や警察庁、公安調査庁などが共有し、安全保障の観点からチェックする。
安全保障上の懸念がある場合は、調査の事業者に調査体制の見直しを要請する。事業者が応じず、調査船が領海内で徘徊(はいかい)や不規則な動きをした場合は、こうした行動を禁止する「外国船舶航行法」を適用し、海上保安庁が強制退去させる。
対策を強化するのは、中国系調査船による領海内調査の動きが昨年、3件確認され、調査結果が中国の政府機関などを通じて軍事利用されるリスクが浮上したためだ。
複数の日本政府関係者によると、政府が昨年確認したのは、洋上風力発電施設の建設を目的とした海底調査2件と、海底ケーブル敷設に関する海洋調査1件。
このうち、4月にあった秋田沖での海底調査のケースでは、中国の海洋地質調査局に所属する海洋調査船が日本の事業会社から委託を受けていた。残りの2件は、香港に拠点を置く民間企業が伊豆沖と鹿児島沖の2か所での調査の委託を受ける予定だった。政府は入港連絡などを機に事案を把握し、安全保障の観点で懸念があるとして協力を要請した結果、事業者側はいずれも調査の中止に応じた。
海底地形や海水温などの情報があれば、潜水艦などの隠密行動が容易になる。海底ケーブルが細工されれば、機密情報が盗まれる懸念もある。経済活動を目的とする場合、手続きを踏めば外国船でも領海内で海洋調査が可能で、抜け穴になっていたことから、政府は一連の事案後、海洋安全保障連絡会議を設置した。
政府関係者は「安全保障上の懸念があるので『ゼロリスク』で対処していくことにした」と話している。
秋元議員、旅費は接待と認識か IR汚職、メールやりとり
2020年01月14日
日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、中国企業「500ドットコム」側が、約70万円の費用を負担した疑いがある衆院議員秋元司容疑者(48)=収賄容疑で逮捕=の北海道旅行について、容疑者側が接待と認識していたことを示すメールをやりとりしていたことが13日、関係者への取材で分かった。
東京地検特捜部もメールの内容を把握、賄賂性を裏付ける証拠とみているもようだ。この旅費負担や、議員会館で現金300万円を受け取ったとする逮捕容疑について、勾留期限の14日に収賄罪で起訴する見通し。同日にも別の収賄容疑で秋元容疑者を再逮捕する方針だ。
ゴーン被告記者会見・日本の当局はなぜ効果的な反論ができないのか
2020年01月14日
レバノンに逃亡した後、初めて行った記者会見で、日産元会長のゴーン被告は、実にエネルギッシュに自分の正当性を語った。
その話の中には、驚くような新事実はなかった。逃亡の方法など、多くの人が知りたかった情報は一切提供されない。「日本での政治的迫害」を言うものの、その具体的な内容や関係者の名前も出てこなかった。
それでも、「検察主導、有罪ありきで、やたらと時間がかかる日本の司法の不当性」を国際社会に発信することには成功した、とは言える。特に、保釈後も妻と会わせてもらえず辛かった、妻と会いたかった、との訴えは、日本人が考える以上に、一般の欧米人に響いたのではないか。そこを強調したのは、彼が雇うPR会社の助言でもあったろう。
客観的なメディアが選ばれた、と言うが……
参加メディアは、彼の側が選び、日本の新聞・テレビはほとんどがはじかれた。参加できたのは、テレビ東京、朝日新聞、小学館のみ。一応、テレビ、新聞、出版から一社ずつとなっているが、その選考基準は分からない。

彼は会見の中で、選ばれたのは「検察のプロパガンダ」を伝えるのではない「客観的になろうとするメディア」だと言った。ただ、選ばれた日本メディアの1つ朝日新聞は、逮捕情報を事前に得て、号外まで出し、記者が空港に張り込むなど、検察に最も近いメディアのような気もする。ところがゴーン氏は、なんと会見の後に朝日新聞の単独インタビューに応じており、彼の評価基準は今なお不明だ。

会見の場で、ゴーン氏は「日本愛」も語った。だが、会見でのメディアの選び方を見ていても、彼はもはや日本で評価や支持を得ることには見切りをつけているのではないか、と思えてならない。国際社会の中での地位を回復し、居場所を確保するために、精力的に情報発信しているのだろう。
検察「異例」の情報発信の効果は…?
そして、これに対して、日本側は効果的な対応ができていない。
そもそも、ゴーン氏の検察・司法批判は、「そもそも悪いのはあっちだ」と言って、逃亡を正当化するレトリックの一貫でもあり、日本の当局としては本来は無視したいところ。ただ、ゴーン氏の発信力や海外メディアの報道ぶり、海外世論の反応などを見ると、そういうわけにはいかず、慌てて対応している状況だ。
検察などは、異例のコメント発表や記者会見などで情報発信をした。それは、国内向けに(1)ゴーン被告は罪を犯しており処罰を免れるために逃亡した (2)この事態は保釈を許した裁判所と弁護人に責任がある(検察にはない)(3)日本の保釈制度には欠陥がある――という印象を広めることには、それなりに成功しただろう。だが、国際社会にうまく反論が届いたようには見えない。
それは、検察がこれまで、公の場できちんと説明して物事を伝える広報活動に消極的で、国外での情報流通についても軽視してきた結果であるとも言える。

「公判ですべてを明らかに」というが
本件に限らず、検察は「公判ですべてを明らかにしていくのが我々の立場。それまでは(情報を)出さないのが原則」(斎藤隆博・東京地検次席検事)として、記者会見など公の場では、ほとんど事件の内容や捜査の状況について明らかにしない。
ただし、これは建前で、記者クラブ所属の記者に対しては内々にレクチャーを行っているし、社会に注目される特捜部の独自捜査事件などでは、個々の記者へのリークという形で、被疑者=有罪との印象を与える捜査情報が報じられることは珍しくない。
海外からの注目を集める日産ゴーン事件でも、検察当局の対応はずっと内向きで、従来のやり方を踏襲していた。当初は、ゴーン氏らの勾留が決まっても、それに関する海外メディアの問い合わせに応じなかったほどである。そのため海外メディアは、日本メディアの報道を引用する形で伝えざるをえなかった。

検察は記者クラブ以外にどのような広報をしているか
私たちフリーランスや雑誌の記者など、司法記者クラブ以外のジャーナリストも、事前に登録しておけば、検察の広報資料を受け取ったり、地検の次席検事などが行う記者会見には出席できる。海外メディアも同様だ。
わざわざ紙を取りに行く
検察庁から広報資料が出される場合、広報から登録記者に連絡のメールがある。ただし、そのメールで伝えられるのはタイトルだけで、内容が印刷された紙を受け取りに、決められた時間内に検察庁まで出向かなければならない。
すぐ隣に常駐している記者クラブメディアは、何の負担も感じないだろう。しかし、わずか数行しかない場合もある広報文のために、時間をかけて検察庁に出向かなければならない仕組みは、少ない人数で日本の政治、経済、さらには社会問題すべてをカバーしている海外メディアの記者からは、かなり不評だ。もちろん、個人で活動している私たちフリーランスにとっても不便は同様だ。広報文には機微にわたるような内容はなく、報道で広く知らせることが前提なのだから、メールで伝えてくれればいい話なのだが、検察庁はそういう便宜は図らない。

記者会見では答えない
記者会見は、海外メディアやフリーランスも質問が可能なのはよいのだが、問題は、そういう場で質問しても、検察側はほとんど実のある答えをしないことだ。
今回の事件でも、捜査期間中に行われた記者会見で、海外メディアが逮捕時の状況を聞いても、一切答えない。取り調べを1日最長何時間やっているかについても答えない。勾留期限直前に行われた会見で、勾留延長の申請について確認しても、回答拒否だった。
ところが、その会見終了後、1時間もしないうちに、日本のメディアが「勾留延長を請求する方針」と一斉に報じた。海外メディアが帰った後に、記者クラブに所属する日本のメディアだけに情報提供したのだろう。
こんな隠す必要もない情報についてまで、海外メディアを排除する閉鎖的な対応は、ずっと続いていた。
慣れない「異例の対応」で…
しかし、ゴーン氏が逃亡し、発信を始めて、検察はさすがに自分たちの発信不足を自覚したらしい。1月5日に次席コメントを発表。7日にはキャロル夫人の偽証容疑についての広報文を発表した。いずれも、検察庁において紙を手渡す、従来の方式で伝えられた。
それだけでは不十分と判断したのか、5日の次席コメントと、ゴーン会見翌日の9日の次席コメントは、東京地検のウェブサイトに掲載。さらに、両コメントの英語版もサイト上で公表した。
ところが、検察庁のサイトは日本語で書かれており、日本語を解しなければ、英語版の広報文にもたどり着けない状況だった。情報を相手に届きやすい形で発信する、という活動をやってこなかった検察らしさが発揮された対応、とも言える(その後、指摘を受けて改善した)。

しかもコメント内容は、検察の正当性や日本の司法の公正性を主張し、ゴーン被告を非難する抽象的なもので、これがどれだけの発信力を持つか、はなはだ疑問だ。
珍しく説明に努めた記者会見
それでも、ゴーン氏の記者会見翌日の9日に行われた、今年最初の定例会見では、斎藤次席検事が質問に対して、これまでにはないほど丁寧に答えようと努めている姿勢は見られた。そのため、いつもは30分程度の会見が、1時間20分に及んだ。

とりわけキャロル夫人の偽証容疑に関しては、かなり具体的に例を挙げ、事件内容の詳細を説明した。ただ、これも国内向けには意味があっただろうが、対外的にはどうだろうか。
7日に紙での発表を行った時点では、こうした説明はまったくなされていない。そのため、ゴーン氏は会見で「私を日本に戻せないことが分かると、今度は9か月前の証言のことで、妻に逮捕状を出した。これが彼らのやり口だ」と、むしろ日本の検察のひどさを示すエピソードとして使い、詳しい説明もしていない。
この記者会見が終わってから、検察が詳細な具体例を挙げても、後手に回った印象が拭えない。海外向けにはタイミングを逸した、と言わざるをえない。
取り調べの最長時間を答えないのはなぜ?
次席会見では、ゴーン会見に反論したつもりが、話がかみ合っておらず、何の反論にもなっていない、というやりとりもあった。
ゴーン氏は会見で、「弁護士の立ち会いもなく、1日8時間以上も取り調べを受けた」と繰り返し述べた。
次席会見でも、当然、取り調べ事件については説明があった。その内容は、次のようなものだった。
「身柄拘束期間は、全部で130日。そのうち取り調べを行ったのは、70日ちょっと。取り調べ時間は、平均して4時間弱。逮捕・勾留当初から弁護人と接見をしていた。拘置所の体勢上、接見が出来ない日曜日を除く、ほぼ毎日接見しており、その回数は当庁が把握しているだけで120回以上。弁護人との接見は、1回あたり2時間前後になる」
こうした情報は無意味だとは言わない。出されないより、出された方がよほどいい。けれども、ゴーン発言への反論にはなっていない。
記者から、最も長かった日の取り調べ時間について問われても、斎藤次席は「今、手元に資料がない」として答えなかった。会見が行われた部屋には、かなりの量の書類を風呂敷包みにして持ち込んだ部下もいたのだから、彼らに尋ねるなり、調べさせることもできただろうに……。
その後、記者から重ねて質問があったが、「8時間ずっと調べられていたわけではない」などと歯切れが悪く、具体的な答えはなかった。
相手が知りたいことを把握し、それに応じた情報提供をする、という広報の基本ができていないのか、それとも「8時間」は本当でそれを隠したかったのか、そのどちらかは分からないが、せっかく説明をしようとする気になったのに、非常に惜しいというか、残念な対応だ。
取り調べ時間については、逮捕・勾留当時の記者会見でも、質問がされていた。前任の久木元伸次席検事は、そうした質問に対して一切答えなかったことは、前述の通りだ。このような事件の内容に関わらないことまで、説明を拒むのが、そもそもおかしいのではないか。
最長の取り調べ時間が一日「8時間」というのが事実としても、長すぎて非人道的と言えるのか、それとも許容範囲であると考えられるかは、事案の内容や被疑者の状態、休憩の頻度や時間、弁護士への相談ができているかなどによっても判断は異なるだろう。
検察が行うべき広報とは
検察庁は、事実に基づいた情報をきちんと出し、丁寧に説明したうえで、その評価については、人々の判断や議論に任せればよい。それが、民主主義社会における検察が本来行うべき、情報発信であり、広報活動というものだろう。
公判での立証に最大の活動目標を置いているのは分かるが、情報は発信するタイミングも大事だ。人の人権を制約する強大な権限を行使し、税金を使って捜査を行う機関である以上、その権力行使のありようについては、一定の情報開示を、適切な時期に行う必要がある。そして、社会からの反応から現代の人権意識や価値観をくみ取り、法律の範囲内で柔軟に対応していく。そういう検察であって欲しい。
ちなみに、検察庁の会見では、ICレコーダーなどでの録音も、写真やビデオの撮影も禁止。この原稿で、地検の記者会見の写真を載せられないのは、そのためである。これもまた、改善した方がいいのではないか。

今回は、海外への情報発信という点ではタイミングを逸し、内容も十分とは言えないものの、地検が記者会見という公的な場で、きちんと説明をしようと努めたことは、私は大いに評価したいと思う。「恥の上塗り」などと酷評する弁護士もいるが、私はそれには与しない。
ただし、「評価したい」というのは今後、検察の広報のあり方を改善していくうえでの第一歩としてであって、これが例外的な対応になっては意味がない、ということは強調しておきたい。検察はこれを機会に、組織を挙げて、対外的な情報発信のあり方について、考え直すべきである。
法相の「無罪を証明すべき」発言
ところで、ゴーン氏逃亡に関して、対外的な情報発信に問題があったのは、検察だけではない。
彼が「レバノンにいる」と発表したのが昨年大晦日。その後、フランスやレバノンやトルコの当局が情報を発信したが、日本は沈黙を続けた。出入国管理という、日本の主権を踏みにじられた事件なのに、日本政府の反応は鈍すぎはしないか。
森雅子法相が肉声で見解を述べたのは、事態が発覚してから1週間も経った今月6日になってからだ。
これではまずいと思ったのか、ゴーン会見を受けて森法相は未明に臨時の記者会見を行った。ところがそこで、「潔白というのなら司法の場で無罪を証明すべきだ」と発言してしまった。
刑事裁判は、被告人は無罪という推定から始まり、検察側が有罪立証に成功しなければ無罪としなければならない。被告人には、無罪の証明をする必要はないのだ。森法相は後で訂正したが、自身のTwitter、Facebookでも同様の発言を掲載しており、単なる「言い間違い」ですむ話ではないだろう。彼女は弁護士資格も持っており、法律の素人がたまたま大臣ポストをあてがわれたわけでもなく、言い訳は聞きにくい。

記者会見には法務省の職員が立ち会っているはずで、このような発言を漫然と聞き流した彼らにも責任はあろう。記者たちから、なぜその場で何の突っ込みが出なかったのだろう、とも思う。
何はともあれ、訂正しても後の祭り。刑事司法の基本的ルールを逸脱した法相発言は、ゴーン被告への反論にならないどころか、「日本には推定無罪がない」とする司法批判を裏書きしてしまった格好だ。案の定、フランスのゴーン氏代理人弁護士から「間違えたのは、容易に理解できる。あなたの(国の)司法制度はこうした原則を無視しているためだ」などと皮肉られた。
「指摘」は「承知」、「情報提供」は行う、と
それでも、この日の森法相のコメントには、意味のある内容もあった。
〈もちろん、様々なご指摘があることは承知しており、これまでも、時代に即して制度の見直しを続けてきたものであり、今後もより良い司法制度に向けて不断に見直しをしていく努力は惜しまない〉
〈我が国の刑事司法制度が世界中の方々に正しく理解していただけるよう、今後も、情報提供を行い疑問に答えてまいる所存である〉
日本の刑事司法についての「指摘」は、日産ゴーン事件に対してのみ行われているのではない。むしろゴーン氏のケースは、その立場や資産ゆえに、捜査期間中も頻繁に大使らが面会に訪れたり、連日のように弁護士との接見が行われたり、検察の反対にも関わらず保釈が実現するなど、捜査や司法の問題点を検討するうえでは、例外的なケースと言えるだろう。
本件を巡る海外からの「指摘」という外の声を意識するだけではなく、日本の刑事司法の現場からの「指摘」に耳を傾け、同時に国内外にきちんと「情報提供」を行い、「より良い司法制度に向けて不断に見直し」をしてもらいたいと、心から願う。そして、そういう姿勢こそ、積極的に発信していくべきではないか。
【1・17の記憶】「想定外」は言い訳 6400人を超える犠牲「減らせたはずだった」―25年目の反省
2020年01月14日
6434人の命を奪った阪神・淡路大震災は1995年1月17日に発生した。
戦後初の都市直下型地震であり、36年ぶりに国内の犠牲者が千人を超える自然災害だった。人々が災害の恐ろしさを忘れたころにやって来て、その後の「災害多発時代」の幕開けを告げた。
あれから25年。私たちは災害と災害の間の時代「災間」を生きている。問われているのは、「災前」の備えだ。「災後」の歩みを「災前」の社会に根付かせられているか。
観測史上初となる震度7の揺れに見舞われた被災地だが、事前に想定されていた震度が「5の強」だったことを覚えている人はもう少ない。
「もう『想定外』という言い訳をしてはならない」。四半世紀にわたる復興の歩みから得られた教訓とは。
