米デル、ロシアから撤退へ 8月にオフィス閉鎖
2022年08月29日
米デル・テクノロジーズは27日、ロシア事業をすべて停止したと発表した。8月中旬にロシア国内のオフィスを閉鎖していた。 【動画】ロシア撤退後のコカ・コーラやマックを悩ます「そっくり商品」 ロシアにおける主要なサーバー供給企業であったデルも、ウクライナ侵攻を受けてロシアから撤退する。 デルはロシアがウクライナに侵攻した2月に両国で製品販売を停止し、状況を注視してその後の対応を決定するとしていた。 ロシア産業貿易省は26日、デルの完全撤退に関する報道を受け、国内のデルに勤務していた研究者や技術者の多くが既にロシア企業から新たな職を提示されていると明らかにした。
「18時間も会社にいる」 中小運送社長の届かぬ悲鳴、ドライバー業界を悩ます「点呼問題」の闇とは
2022年08月29日
自動車運送事業者に課せられる「点呼」とは

運送会社のイメージ(画像:写真AC)
バス、タクシーなどの旅客輸送、トラックなどの貨物輸送を行う自動車運送事業者は、ドライバーが乗務する前後に点呼を行うことが義務付けられている。 【画像】超気になる! これがトラック運転手の「年収」です(14枚) 特に乗務前点呼は大切である。 飲酒やドラッグなどの悪質な違反だけでなく、ドライバーの健康状態を確認し、安全に運転が行える状況であることをチェックすることで、重大事故を防ぐ効果があるからだ。また運行前に行う日常点検結果を確認することで、整備不良を起因とする事故を防ぐ効果もある。 しかし、運転中に飲酒をするような不埒(ふらち)なドライバーもいる。乗務後点呼は、そういった行為を防ぎ、また洗い出す効果を発揮する。 点呼は大原則として人が対面で行うこととされる。アルコールチェック、健康状態の確認などの一連の点呼業務を担うロボット点呼を導入する事業者も少しずつ出てきているが、最終確認を行うのはあくまで人である。 だが人手不足が課題となっている運送会社、バス会社、タクシー会社などの自動車運送事業者において、点呼のための人員を確保するのも楽ではない。
苦肉の策、長時間労働を行う運送会社社長

街を走るトラックやタクシーのイメージ(画像:写真AC)
「さすがにね、俺だって身体はキツイよ……」。知己の運送会社社長は、筆者にぼやいた。当たり前だ。何しろ、この社長は1日18時間近く会社にいるのだから。 運送会社の朝は早い。同社でも、トラックドライバーが出勤してくるのは2時から4時の間である。社長は乗務前点呼を行い、ドライバーたちを送り出す。ドライバーたちを送り出し終えた5時頃、社長はいったん帰宅する。再び出社するのは11時過ぎだ。 出社すると、社長は翌日の配車計画を作成し始める。ドライバーたちが帰社する16~17時頃までに配車計画立案を終えるのが理想だが、荷主の都合により配車が確定しないことも多い。 帰社したドライバーたちの乗務後点呼を行っていると、18時頃になってしまう。社長が経営者としての仕事を開始するのは、これからだ。身体がキツイときには応接室のソファーで仮眠を取ることもあるが、基本、社長はそのまま働き続け、ドライバーたちの出社を迎える。 この社長の場合は、ひとりで仕事を抱え過ぎなのも間違いない。だが、1日18時間も会社にいる状況については同情に値する。 「だってさ、ウチみたいな吹けば飛ぶような中小運送会社で、点呼のためだけに深夜帯に人を置く余裕なんてないぞ」。社長の嘆きは、厳しい中小運送会社の懐事情を端的に言い当てている。 残業規制の軛(くびき)から除外される経営者が人手不足の受け皿になり、長時間労働を強いられている、このような事例もあるのだ。
渋谷マルイ、木造商業ビルへの建て替えに向け休業 51年の歴史にいったん幕
2022年08月29日
2026年開業に向け木造商業ビルへの建て替えを発表している渋谷マルイ(渋谷区神南1)が8月28日の営業をもって休業し、51年の歴史にいったん幕を下ろした。(シブヤ経済新聞) 【写真】建て替え後の施設外観イメージ 1958(昭和33)年に開設した「渋谷店」を1971(昭和46)年に移設・大型化したのが現在の渋谷マルイのビル。1976(昭和51)年に「渋谷店ファッション本館」に変更し、1985(昭和60)年には「渋谷店ヤング館」に、1998(平成10)年には「マルイヤング渋谷」に、それぞれ名称変更。2004(平成16)年には「マルイジャム渋谷」に業態転換し、2015(平成27)年に現在の「渋谷マルイ」にリニューアルした。 全館で「建替え前の大感謝祭」を展開する中、3階イベントスペースでは、これまでの同館の軌跡や建て替えの内容を紹介するコーナーを設け、併せて、建て替えや渋谷モディなどに関するクイズ企画も用意。利用客から寄せられた新しい渋谷マルイに対する要望・意見も一部、紹介した。 1階には、利用客が付箋紙にメッセージを書いて貼る「サンクスメッセージウオール」を設置。ウオールでは「渋谷マルイ現店舗 50年間ありがとう!」「楽しいイベントをたくさん企画して下さり、ありがとうございました!」「いつもPOP-UPをたのしんでいた!」「クレープ屋さんなくなっちゃうの悲しい」「おつかれ様でした。リニューアルしたらまたあそびに来ます!」「SDGsしか勝たん」(以上、原文ママ)などのメッセージが見られた。 7階イベントスペースでは漫画・テレビアニメ「ポプテピピック」の落書き企画が行われていたこともあり、エスカレーター付近の床にも大きな字で「ありがとうございました!」と書かれていた。 当日は20時に閉店を告げる店内アナウンスが普段通りに流れ、最後の利用客を見送った後、20時30分にシャッターが下ろされた。閉店後、シャッターに描かれた「0101」ロゴと共に記念撮影する女性の姿も見られた。 新店は地下2階~地上9階建てを予定し、売り場面積は2800平方メートル。耐火木材など構造の約60%に木材を使う木造商業施設にすることで、従来の鉄骨造りで建て替えた場合と比較して約2000トンのCO2排出量削減を見込む。2026年開業予定。 渋谷マルイ建て替え期間中も渋谷モディ(神南1)は営業を続ける。
割り箸】なぜ“割る”必要が? 江戸時代の鰻屋が「合理性と清潔感」を追求した結果、
2022年08月29日
飲食店や出前、コンビニ弁当などに欠かせない割り箸。誰もが知っている「食事のための道具」ですが、美しく左右対称に割ろうとすると、これが結構むずかしい。ナナメに割れて長さがまちまちになったり、ささくれた部分が指に刺さったりして、思わずイラっとした経験……ありますよね? 【写真】「了解→りょ」はもう古い いまどきの10代は「了解」をこう表現するらしいです そもそもなぜ、割り箸はくっついたまま提供され、わざわざ割る必要があるのでしょうか。疑問を解消するべく、割り箸の歴史について「江戸料理・文化研究家」の車浮代さんに聞きました。 車さんによると、割り箸が誕生したのは江戸時代後期とのこと。諸説ありますが、割り箸を発明したのは鰻屋だったそうです。 「“う”のつく物を食べると夏バテしない」というふれこみを利用して、本来冬が旬である鰻を夏にも売るため、江戸時代の蘭学者・平賀源内が『本日土用丑の日』と書いた貼り紙をしたところ鰻屋は大繁盛した、という話は今でも有名ですよね。実はそこにヒントがありました。 「鰻屋には客が殺到し、箸を洗うのが追いつかなかったため、考案されたのが『引裂箸(ひきさきばし』と呼ばれる竹製の箸でした。この箸は二本の箸の根元がくっついており、その理由は“使い回し”をふせぐため。洗わなくてもいいかわりに“使いまわし”の発生を心配した店側は、一目で未使用・清潔であるということを客にわかってもらえるよう、このような形状を考え出したのです。客の信頼感を得るための知恵だったとも考えられます」(車さん) つまり、この引裂箸こそが割り箸の原型である可能性があり、箸同士がくっついているのは、「未使用を知らせる印」だったのです。 他にも、割り箸を発明したのは「蕎麦屋」だったという説があるそうです。鰻屋と同様に、江戸時代には蕎麦の屋台が繁盛しており、客の回転率を上げるために蕎麦屋で割り箸が考案された……というものです。 この説に対し、車さんは「鰻屋」説派。推す理由としては「蕎麦であれば、箸はそこまで汚れることなく、洗うことも手間にはならないと考えられます。鰻の場合は脂とタレでベタベタに汚れるため、洗うのに手間がかかりますよね? そういう観点では、割り箸がより必要とされるのは鰻屋だったのではないでしょうか」と語ります。 最近では使い捨てることが「もったいない」という精神から、プラスチック製の箸を採用したり「マイ箸」を推奨する飲食店も増えてきました。しかし、割り箸は製材した際に出る端材や間伐材などを利用しており、燃やしても再生可能な木材であるため、むしろエコなのだとか。 割るのに失敗してモヤモヤしないよう“正しい割り方”を車さんに教えてもらいました。「割り箸は胸の前や膝の上で持ち、箸先を左側にして上下を引っ張るように割ってみてください。そうすることで、隣に座る人に手が当たることもなく、きれいに左右対称に割ることができます」(車さん) また“正しい置き方”についても聞きました。「箸を置く時は、口をつける箸先が箸置きから約3cm出るようにして置きます。やってしまいがちなマナー違反が、箸を皿や茶わんなどの食器に横たえて置く“渡し箸”です。器に箸をおく場合は、箸先を器のふちにそっと掛けるように。箸置きが無い場合は、箸袋を折って代用しても大丈夫ですよ」(車さん) 「脱プラ」で見直されつつも、まだまだ割り箸のお世話になる機会はあると思います。今後割り箸を使う際は、割り方も意識してみては?
きょう26日の天気 急な雨や雷雨に注意 関東甲信や東海は局地的に激しい雨
2022年08月26日
きょう26日は、晴れ間がでても急な雨や雷雨に注意が必要です。関東甲信や東海では激しい雨の降る所もあるでしょう。
急な雨や雷雨に注意

画像:tenki.jp
きょう26日、本州付近には前線が延びており、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいます。 北海道は晴れ間はでますが、雲が広がりやすく、所々で雨が降りそうです。東北はすっきりリしない天気で、太平洋側を中心に朝まで雨雲がかかるでしょう。 関東甲信は雲が多く、午後は所々で雨雲や雷雲が発達する予想です。雷を伴って、激しい雨の降ることもあるでしょう。栃木県など内陸部では非常に激しい雨の降ることもありそうです。アンダーパスなど低い道路の冠水にご注意ください。東海は変わりやすい天気です。日差しは届きますが、午後は山沿いを中心に急な激しい雨や落雷に注意が必要です。 北陸、近畿から九州は晴れ間もでますが、にわか雨や雷雨の所があるでしょう。折りたたみ傘があると安心です。沖縄は強い日差しが照り付けるでしょう。突然の雨や雷雨にお気をつけください。
激しい雨って どんな雨?

画像:tenki.jp
気象庁では、雨の強さと降り方について、具体的なイメージで分かってもらえるよう、様々な表現をしています。 激しい雨は、1時間雨量が30ミリ以上~50ミリ未満の雨を表しています。これは、バケツをひっくり返したように降るイメージです。また、傘をさしていてもぬれるレベルで、木造住宅の屋内では、寝ている人の半数くらいが雨に気づくほどです。外では道路が川のようになり、高速道路を走る車は、タイヤと路面の間に水の膜ができて、ブレーキがきかなくなる「ハイドロプレーニング現象」が起こるおそれがあります。 激しい雨が降ると予想される所では、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水・氾濫を引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。
安倍元総理“国葬” 外交団約1000人を想定
2022年08月26日
政府は来月27日に行う安倍元総理大臣の国葬で1000人程度の外交団の参列を見込んでいることが分かりました。 政府の入札情報によりますと、来月27日、日本武道館で行う安倍元総理の国葬は2007年の宮沢喜一元総理の内閣・自民党合同葬を参考にするとしていて、外交団の参列者は1000人程度を想定しています。 参列者の送迎用に100台以上の大型バスを借り上げることも計画しています。 また、「要人のセキュリティーを万全にする」と定めていて、当日は合わせて24台の金属探知機を使って会場入口でのチェックを厳重に行います。 一般向けの献花台の設置も検討されていて、国葬の様子は5分程度の記録映像作品として残すことにしています。
引責」明言避ける 「一から出直す」表情険しく 辞意表明の警察庁長官
2022年08月26日
警察庁の中村格長官が25日、辞職する意向を明らかにした。 表明したのは、安倍晋三元首相銃撃事件での警護の問題点を検証した報告書の記者会見の席上。会見では事件の引責辞任かどうかは明言を避ける一方、「警察として警護を一から出直す覚悟をした」と強調した。 鬼塚県警本部長「責任を痛感」 会見で辞意、時折涙も―奈良 会見は午後1時50分ごろから、警察庁の会議室で谷公一国家公安委員長と並んで約30分間行われた。冒頭、谷委員長が報告書に対する受け止めを述べた後、中村長官は「私からも一言」と切り出し、「本日、国家公安委員会に辞職を願い出ました」と話した。 事件発生から間もない記者会見では「長官としての責任は誠に重い」と語った中村氏。この日は時折うつむき、表情は険しかった。辞意を固めたタイミングについて問われても「内心の問題なので」と回答を控えた。 「責任を取っての辞職か」と聞かれると、「さまざまな受け止め方があろうかと思う」とだけ答えた。辞職の理由については「新たな警護要則を定めた」「新しい体制で警護警備に臨むのが当然」と話した。
ウクライナ・米首脳が電話会談、ロシアにザポロジエ原発返還を要請
2022年08月26日
ウクライナのゼレンスキー大統領とバイデン米大統領が25日、ウクライナの独立記念日を祝う電話会談を行い、ロシアに対し、ザポロジエ原子力発電所の管理をウクライナ当局に返すよう要請した。 【動画】ウクライナは「生まれ変わった」、侵攻半年・独立31周年でゼレンスキー大統領 また、核災害が懸念される中、ザポロジエ原発の安全性を評価するよう国際原子力機関(IAEA)に呼びかけた。 ゼレンスキー大統領はツイッターへの投稿で、「素晴らしい対話」を持ち、ウクライナへの支援に対する謝意を伝えたとした上で、「侵略者に勝利する道筋における将来のステップと、ロシアに戦争犯罪の責任を負わせる重要性を巡り協議した」と明らかにした。 米ホワイトハウスのジャンピエール報道官によると、バイデン大統領はロシアの侵攻が続くウクライナへの支援を改めて表明。さらに、3月以降ロシアが掌握するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所について、ロシア側が原発周辺を非武装地帯とする案に合意すべきという考えを示した。
プーチン氏 ロシア軍13万7000人増員命じる 兵員不足補う狙いか
2022年08月26日
ウクライナ侵攻の長期化でロシアの兵員不足が指摘される中、プーチン大統領はロシア軍の兵士を13万7000人増員する大統領令に署名しました。 プーチン大統領は25日、ロシア軍の兵士を13万7000人増やし、およそ115万人にする大統領令に署名しました。これに伴い、軍の職員などを含めたロシア軍の総定員はおよそ204万人となります。大統領令は来年1月1日に発効するということです。ウクライナ侵攻が長期化し、兵員不足が指摘される中、プーチン政権は国民の反発が予想される総動員は避け、増員の形で補う狙いとみられます。 一方、ウクライナ東部ドニプロペテロウシク州で24日にあった駅などへの攻撃による死者は25人に増えています。 ロシア国防省は弾道ミサイル「イスカンデル」で軍事用の輸送列車を攻撃したと発表。「東部ドンバス地方に向かうウクライナ軍の予備役200人以上に損害を与えた」と主張したものの、民間人の被害については言及していません。
ロシアによるウクライナ侵攻から6カ月、西側が学んだ6つの教訓
2022年08月26日
ロシアのプーチン大統領が軍隊をウクライナへ送り込んでから6カ月が経過したが、この戦争がどのような結末を迎えるのかは今もって判然としない。ウクライナは反転攻勢に出る意図を示唆しており、ロシアが占領したヘルソン市など南部の複数の地域を奪い返すかもしれない。しかし一方で、勢いを取り戻したロシア軍が一気にオデーサまで到達し、ウクライナを海から遮断する可能性もある。あるいは前線が概ね現状のまま固定化することも考えられる。 【映像】ロシア軍ヘリを撃墜、ウクライナが動画公開 何が起こるにせよ、我々はすでにいくつかの教訓をここまでの戦争から引き出すことができる。そこには多くの驚きがあり、我々に対して旧来の前提への疑問を提起させずにはおかない。 過去半年から浮かぶ1つの有力な洞察は、個々の指導者の重要性に関わるものだ。歴史における「偉大な人物」理論は、今日では時代遅れになっていた。人間の身に起きることは、深いところに潜む様々な力関係の結果だと見る傾向があったからだ。そうした力関係が重要な意味を持つのは間違いない。しかしもし、ウクライナのゼレンスキー大統領がプーチン氏の期待したであろう通りに逃げ出していたなら、あるいは自らの考えを効果的に発信することに失敗していたなら、ウクライナ人の抵抗は格段に弱いものにとどまっていただろう。ロシア侵攻前に支持率が急落していたゼレンスキー氏が、これほど周囲を鼓舞するヒーローになるなどと予想した人はほとんどいなかった。 同様に、ロシアの大統領が例えばボリス・エリツィンだったなら、戦争による数千人の犠牲者は、ほぼ間違いなく現在も生きていた。プーチン氏がいなければ、戦争は起きなかっただろう。確かにロシア国内には多数の怒れるナショナリストたちがいる。しかし大統領の狭い取り巻きの外では、ウクライナの吸収合併を望んでいたのはごく一握りの少数派のみだった。独立系調査機関レバダ・センターが明らかにしている。クレムリンの安全保障会議に集まった人々の動揺した顔から判断すれば、側近の多くですら自分たちのボスの決定には当惑していた。この会議は今年2月、プーチン氏のウクライナ攻撃に先駆けて開かれた。 ウクライナの戦場での勇敢さには、2つ目の教訓が表れている。それは劣勢に立たされた側が見せる予期せぬ強さだ。何度となく我々は軍事的な強者がすぐに勝利を収めると想定するものだが、そうした見方は外部からの支援と当事者の士気の重要性を軽視している。 侵攻開始時、ほぼ全員がキーウ(キエフ)は数日で陥落するだろうと思っていた。ところが実際には、これまで目にしてきた戦争と同様のことが起きた。イスラエルにベトナム、そして今回のウクライナが示したように、劣勢とみられる側はしばしば予想を格段に上回る戦果を収める。 奇妙なことにロシアもまた、劣勢の側が持つ優位性の1つのパターンを享受している。2月以降、西側諸国が仕掛けた前例のない制裁の集中砲火については、ロシアの経済を破壊するだろうと考える人もいた。ただ中期的な展望こそ暗いものの、現時点で通貨ルーブルは安定。銀行システムは持ちこたえており、失業率も依然として低い。さらに石油収入は昨年を上回っている。こうした状況を受けて、中国やインド、トルコ、インドネシアなど、ロシア同様西側の支配に反発する国々はプーチン氏を孤立させることに難色を示している。 プーチン氏の行動からも、また別の重要なポイントが浮かび上がる。つまり制約を受けない独裁者は恐ろしい失敗を犯す。往々にして、彼らは修正論に基づいた戦争を始める。「歴史的な不正」を正すことを目的に掲げるこうした戦争はしかし、うまくいかないものと相場が決まっている。アルゼンチン大統領のレオポルド・ガルチェリがフォークランド諸島を英国から奪取しようとした1982年の試み然り、サダム・フセインによる90年のクウェート侵攻然り、ギリシャの将軍たちが74年のキプロスで起こしたクーデターの企て然り。とはいえ過去の失敗が強権を握る者たちを思いとどまらせることはなく、彼らは同様の失態を繰り返してきた。我々がロシアによるウクライナ侵攻から何かしら得られるものがあるとすれば、それは防衛を企図する際、単に合理的と思われる攻撃に備えるだけの計画は立てられないという教訓だ。 ロシア国内では、実に驚くべきことだが、クレムリンによるプロパガンダが成功しているように見える。ウクライナ政府にナチスが入り込んでいるという陰謀論を拡散する場合ですらそうだ。外部から見れば、こうした言説はあまりにも過激で機能しないように思えた。とりわけ多くの人々が国境を挟んで個人的関係を維持している状況を考慮すればなおさらだ。当然、戦時の警察国家にあって、世論を評価するのは難しい。しかし報道によればロシア人は、ウクライナにいる自分の身内よりもテレビから流れる嘘(うそ)を信じる。これは特筆すべきことだ。 クレムリンによる偽情報の成功は、長年にわたりそうした言説を繰り返していることの反映に他ならない。その間視聴者は、隣国に関するひどい話を信じ込まされてきた。それに加えて、自然な欲求から自分たちの支配者が戦争犯罪人かもしれないという事実を認めたくない心理も働く。 実際には世論調査の結果が示すように、戦争を完全に無視したいという衝動は拡大している。レバダ・センターによると7月、「特別軍事作戦」が過去4週間で最も記憶に残る出来事だったと回答したロシア人は全体の32%と、3月の75%から減少した。 当然誰もが戦争を支持しているわけではない。抑圧の高まりにもかかわらず、18%もの人々が自国の軍事行動に依然として反対している。向こう6カ月間の大きな問題は、不満の拡大がクレムリンの脅威になるかどうかだ。そうした危機が反戦感情そのものから来る公算は小さく、むしろ経済的困窮に対する抗議運動によってもたらされる可能性が高い。前出の経済制裁が威力を発揮すればの話だが。 最後の教訓は、西側諸国がもはや避けては通れないものだ。プーチン氏によるウクライナ侵攻であらゆる疑念は残らず取り除かれた。我々は今や、新たな冷戦のただ中にいる。これを過熱させずに置くためにはスキルが必要になるだろう。今回、西側と敵対しているのはロシアだけではない。クレムリンと中国との関係はかつてないほど緊密になっている。米国が一方から他方へ「軸足を移せる」と考えるのは、現状不合理に思える。 プーチン氏は権力の座にある限り、西側の弱体化に向けて動くだろう。中国との協力は一部の領域で依然可能とはいえ、習近平(シーチンピン)国家主席も見たところ米国の覇権に挑戦する意思を固めている。 痛みを伴う判断が、西側を向こう6カ月にわたって待ち受ける。2月に我々が目にしたのは、民主主義諸国は時間こそかかるものの、ひとたび脅威が明確になれば自分たちで奮起できるということだった。西側が一致団結してウクライナを支えた今春の状況は、強烈な印象を残した。現在の課題は、その結束をガスの供給が縮小していく冬の間も維持することだろう。プーチン氏の西側の友人たちが我々の分断を図っている。これらの友人にはロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の復活に意欲を燃やす独企業のほか、フランスやイタリアの政治家も数え切れないほど含まれる。 エネルギー危機の到来はまだ序の口だ。西側諸国は現時点で、中ロをはじめとする数多くの新たな脅威から自分たちを守るのに要するコストを受け入れていない。80年代後半以降、西側の指導者たちは、浮かれたポピュリスト政治家らと同様、北大西洋条約機構(NATO)の拡大と予算における軍事費の割合の縮小を同時に成し遂げられるふりをしてきた。巨額の「平和の配当金」に目がくらみ、彼らは同盟の新たな境界線及びその向こうの境界地帯の防衛をごく軽度のもので済ませた。この状況は改めなくてはならず、相応の資金が必要になるだろう。 プーチン氏はこの6カ月間で、これ以上はほぼ考えられないほどの大きな失敗を犯した。しかし確かな情報を持つ専門家らによると、ブルームバーグ・ニュースが報じた通り、同氏は自分が時間を味方につけていると強く信じている。西側については今後経済的な圧力に直面して瓦解するとみている。プーチン氏が正しいかどうかは、次の6カ月で明らかになるだろう。
