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ビレンワークアップ
2019年06月13日
謎解きイベントの企画を手掛けるクロネコキューブ代表の岡田充弘さんは、社員にITテクの習得を徹底させることで生産性を大幅に改善してきた。今回、その中でも特に頻繁に活用できて効果があるものを厳選。社長も社員も全員定時で帰れる会社が実践するエクセルテクとは——。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/utah778)
もはやビジネスシーンで説明の必要がないくらい有名な表計算ソフトのエクセル。標準で実に豊富な機能が備わっていますが、たくさん知っていればいいというものではありません。仕事の目的に応じて、最短最小限の技だけ使えれば問題ありません。
あれもこれも覚えようとすると、途中で挫折してしまうばかりか、いざという時に思い出せず、けっきょく中途半端な活用に終わってしまうことでしょう。以下に、日常使いする便利なエクセル技を5つ厳選してご紹介します。
■1.エクセルを一発起動させる方法2つ
タスクバーに登録(図表1-1)
【Win+番号】
エクセルに限らず、利用頻度の高いアプリケーションのショートカットをタスクバーに登録しておくと、キー操作だけでアプリケーションを一発起動させられるようになります。登録はショートカットをドラッグアンドドロップで移動させるだけです。
登録後は、Windowsキーと左から数えた1から10までの登録順の数字との組み合わせで一発起動させることができます。たとえば一番左に登録したアプリケーションを起動させようと思えば、Windowsマークと数字の「1」を同時に押すと瞬時に立ち上がります。
【Win+T→上下左右キーで選択】
Windowsキーと番号との組み合わせの他、Windowsキー+Tを押してから、上下左右キーでアプリケーションを選択しで起動させることもできます。タスクバー上のアプリケーションが10個を超える場合や、同一アプリケーションで複数のファイルが開いている場合に大変便利です。
プロパティにランチャー登録(図表1-2)
タスクバーに登録しきれない場合や、タスクバーにアイコンを置きたくない時は、アプリケーションのプロパティで設定し、ランチャー起動させることもできます。エクセルで設定するには、「スタートメニュー」からエクセルを選んで右クリックを押し、「プロパティ」を開きます。その後「ショートカットキー」欄に任意の文字(ここではエクセルの「E」)を入力して「適用」または「OK」を押せば完了です。
登録後は、Ctrl+Altを押しながら登録した文字(E)を入力すれば、一発起動します。
■2.入力時に役立つ一発コピペ(図表2)
コピー&ペースト(通称コピペ)の基本はCtrl+CとCtrl+Vですが、これ以外にも多くのコピー技があります。以下に、私が特によく使う9つのコピペ技を紹介します。
①真上のセルをコピペ Ctrl+D
②真左のセルをコピペ Ctrl+R
③セルを起点に複数セルにコピペ セルを起点に範囲選択してCtrl+D
④入力セルを起点に複数セルにコピペ 範囲選択してから文字入力してCtrl+Enter
⑤〜⑨ 形式を選択して貼り付け Ctrl+C→Alt+E+Sからの
値の貼り付けは→V
書式の貼り付けは→T
コメントの貼り付けは→C
列幅の貼り付けは→W
行列を入れ替えは→E
■3.まとめて一気に書式変換する
セルの書式設定(図表3-1)
文字形式や文字配置の設定、フォント書式の変更、罫線の挿入、セルの塗りつぶしなど、フォントやセルまわりの細やかな設定作業がまとめて集約されているのが「セルの書式設定」です。以下にショートカットキーを使った設定方法をご紹介します。
書式変換したいセル範囲を選択→セル上でCtrl+1→「セルの書式設定」ウィンドウが開く→Ctrl+Tabでタブを切り替える→各種設定を実施→OK→選択範囲の書式が変更
スタイルの設定(図表3-2)
「書式設定」は基本的にセル単位の設定ですが、これをブック単位でまるごと設定できるのが「スタイル設定」です。統一した書式で一覧や表を作りたい時は、最初にこの設定をしておくと、その都度設定しなくて済みます。以下にショートカットキーを使った設定方法をご紹介します。
Alt+Shift+7→「スタイル設定」のウィンドウが開く→書式設定→「セルの書式設定」ウィンドウが開く→(「セルの書式設定」で記載した内容を実施)→OK
■4.一瞬で行列を挿入する(図表4)
一覧表作成時などに、以下のショートカットキーを使って行列の挿入や移動を行えば、ミスなく効率的に作業を進めることができます。
行列の選択
———-
行の選択 目的の行上のセルで英数字モードでShift+Space
列の選択 目的の列上のセルで英数字モードでCtrl+Space
———-
行列の挿入
目的の行列を選択→Ctrl+Shift++→選択行の上または選択列の左に新しく空白の行列が挿入
※複数の行列をまとめて実行することも可能
行列の削除
目的の列を選択→Ctrl+−→選択行列が削除
※複数の行列をまとめて実行することも可能
行列のコピー・切り取りと挿入
行列を選択→コピーまたは切り取り→移動先の行列を選択→Ctrl++→選択行の上または選択列の左に挿入
■5.セル幅をストレス無く調整する(図表5-1)
複数列まとめて幅調整
Ctrl+Space→Shift+右で複数列を選択→列番号の境目をドラッグ→選択列の幅が等しく調整される
管理一覧やフォーマットなど、見た目を整える場合に利用します。
複数列まとめて自動調整
Ctrl+Space→Shift+右で複数列を選択→列番号の境目をダブルクリック→選択列の幅が自動調整される
セル幅に文字が入り切らず、見えにくくなる場合に利用します。
特定セルを除いて列幅を自動調整
タイトルセルなどを除いて、列幅の対象となるセルを選択→ホーム(H)→書式(O)→列の幅の自動調整(I)→選択セルの幅が自動調整される
文字数の多いタイトルセルなどが含まれている場合の列幅の自動調整に利用します。
印刷範囲を固定して印刷(図表5-2)
Ctrl+P→ページ設定→ページタブ→次のページに合わせて印刷→(以下の数字を入力)→OK
【1ページ内に固定したい場合】横:1、縦:1
【横幅を固定したい場合】横:1
■何度も繰り返して体で覚えよう
以上「エクセル時短5大テク」はいかがでしたか? 時短に役立ちそうな感触が得られましたか? これらの技を習得するには1回やっただけではダメで、何回も繰り返して体で覚える必要があります。最低3回は繰り返してみてください。習慣化することで、しばらくすると驚くほどの成長が実感できるはずです。
謎解きイベントの企画を行う我々クロネコキューブ社では、エクセルのみならず、さまざまなITテクをリスト化しており、その数は数百に及びます。社員は毎日終業時にそのリストから任意のテクを1つ選んでマスターし、その後2人1組で目視確認し合って1日の仕事が終了というルールにしています。ルール導入時は抵抗感があったようですが、今ではゲーム感覚で楽しみながらマスターしていく中で、少しずつチームのレベルが上昇。かつては毎日2〜3時間の残業が当たり前だったのが、今ではみな定時退社できるようになりました。これはクライアントビジネスを行う小さな企画・制作会社では異例のことと言えるでしょう。
またクロネコキューブ全体としては、担当3人で年間数百本の公演をまわしつつ、50本超の新作を生み続けている、という話をすると、たいていとても驚かれます。クリエイティブワークや知的労働は、一般的にかかる時間の際限が無いように思われがちですが、正しい仕事術を身につけることで創造性と生産性は間違いなく両立させることができます。ぜひマスターしてみてくださいね。
(クロネコキューブ代表取締役 岡田 充弘 写真=iStock.com)
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2019年06月13日
経済産業省が、太陽光発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の終了を検討していることが12日、分かった。つくられた電気の全量を一定価格で電力会社が買い、費用を電気料金に上乗せする仕組みで消費者らの負担が増したことに対応。再生エネ拡大と負担軽減が両立するような新制度をつくる方向で議論を進め、2020年度の法改正を目指す。
制度は12年に開始。特に太陽光発電の拡大に貢献し、18年末の再生エネの設備は制度導入前の約2.2倍に拡大した。
一方、電気料金に上乗せされる「賦課金」は19年度で約2兆4千億円に上り、一般的な家庭で月767円の負担となる見通し。
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2019年06月13日

米議会指導部は、物議を醸している条例改正案を香港の議会が承認した場合、香港に付与している貿易上の特権的な待遇を見直す考えを表明した。中国本土への容疑者引き渡し要件を緩和する改正に抗議するデモ参加者を支持する姿勢を示した。
Anna Moneymaker/Bloomberg
ペロシ下院議長(民主)は12日の声明で、「一国二制度」の枠組み内で香港に「十分な自治権」があるかどうか「再評価」する法制を米議会に呼び掛けた。「香港人権・民主主義法」と称したこの法案が数日以内に提出されることを心待ちにしていると述べた。さらに、条例改正案は「20年間にわたり米国と香港の間で発展した強力な関係を危険にさらす」と指摘した。
共和党のマコネル上院院内総務も同様の声明を発表。香港の住民は、同改正案が「法の支配をまた衰えさせ」、香港の「自治権を脅かし中国政府の支配力を強めるもの」と「正しく捉えている」と述べた。
Justin Chin/Bloomberg
原題:Pelosi Vows to Review Hong Kong Trade Ties Over Extradition Bill(抜粋)
経団連は11日、大手企業の2019年夏ボーナスの妥結状況(第1回集計)を発表した。回答があった83社の組合員平均は前年比2.52%減の97万1777円と2年ぶりのマイナス。労働組合側が賞与・一時金より賃金を底上げするベースアップを強く要求したことや、企業業績の伸びの鈍化が影響したとみられる。
ただ、第1回集計としては15年から5年連続で90万円を超える水準となったため、経団連は「賃上げの勢いや流れは続いている」と強調した。
回答企業のうち、製造業は75社平均で2.29%減の94万2306円、非製造業は8社平均で3.31%減の134万275円。業種別の伸び率を見ると、15業種中プラスは4業種、マイナスは11業種だった。
個別業種別に妥結額を見ると、人手不足への対応を迫られている建設が156万672円でトップ。2位は自動車の102万3095円。
調査対象は、原則として従業員500人以上の東証1部上場企業(21業種251社)。最終集計の結果は7月下旬に発表する予定。
[時事通信社]
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2019年06月12日
【ワシントン共同】トランプ米大統領は10日、米CNBCテレビのインタビューで、中国の習近平国家主席が今月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせた首脳会談を拒否した場合、中国への制裁「第4弾」となる追加関税を直ちに発動する方針を明らかにした。
トランプ氏は通商問題を協議するための首脳会談に意欲を示している。習氏がG20を欠席した場合に輸入品3千億ドル(約33兆円)分に対する最大25%の追加関税をすぐに課すかどうかを問われ、トランプ氏は「そうなるだろう」と答えた。
中国外務省の耿爽副報道局長は10日の記者会見で、首脳会談について明言を避けた。
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2019年06月11日
政府が高齢の運転者向けの免許制度の創設を、今月下旬に閣議決定する成長戦略に盛り込むことが10日分かった。警察庁や国土交通省など関係省庁が検討を進め、本年度内に方向性を出す。高齢運転者による交通事故が相次いで発生していることに対応する。
自動ブレーキなどの安全機能が付いた自動車のみを運転できるようにする制度を想定。こうした自動車の普及策なども話し合う。高齢者の移動の足の確保に向けた施策も推進していく。免許更新時に認知機能検査が必要な75歳以上を対象とする方向だ。一律に義務付けるのは困難との見方もあり、具体的な制度設計は今後詰める。
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2019年06月07日
数多くある高齢者向け住宅全般から、話題の施設をピックアップ。記者が実際に訪問し居室、設備、サービス、食事などをレポートする。
今回訪れたのは、介護付き有料老人ホーム「デンマークINN深大寺」だ。前編に引き続き、その特色を紹介する。
デンマークINN深大寺
デンマークで提唱された高齢者福祉3原則「本人の意思尊重、残存能力の活用、生活の持続性」を取り入れているデンマークINN深大寺。後編ではデンマークから取り入れた理念と創設者の思いが、どのようにいかされているか、その様子をお伝えする。
庭の桜でお花見を楽しめる
「本人の意思尊重」と「生活の持続性」を意識した運営
高齢者福祉3原則の1つである「本人の意思尊重」。現在は、日本の介護現場でも少しずつ浸透してきているが、これまでは、入居者本人が入居する老人ホームを選んだり、入居後の生活のあれこれを自分で決めることが難しいことが多かった。しかし、ここでは開設当初から小さなことでもできるだけ本人や家族の意思を尊重してきたという。例えば、生活用品を買う時も、施設職員主導ではなく、必ず、入居者の希望を聞き、家族に連絡、決定しているという。
「ご家族のお気持ちにも添うように連絡を密にして、ご意見を伺っています。どんなに小さなことでもご家族にまず相談しているので、トラブルなどはほとんどないですね」(デンマークINN深大寺施設長の山本隆子さん 以下「」は山本さん)
建物は中庭のあるロの字の設計なので館内は明るい
自宅から介護施設に移る際、新しい環境で共同生活を送ることに戸惑ってしまい、慣れるまでに時間がかかる高齢者も少なくないという。デンマークINN深大寺では入居後、スムーズに生活に慣れるよう、「生活の持続性」にも意識を向けている。
「入居後も、ご自宅で今まで続けてきた生活習慣を手放さずに暮らしていただきたいと考えています。それでも、どうしても共同生活に合わせていただく部分がございますが、入居した時から、慣れていただくための援助を積極的に心がけています。当施設の母体である病院で行うミニカンファレンスを取り入れて、1週間、3週間、1か月、3か月単位で職員同士が常に話し合いの場を持ち、ご入居者様の情報、様子も密に共有しています。そうすることで、みなさん、ここでの暮らしに自然と慣れていらっしゃいます」
職員が集まって活発に情報交換をする
居室は全部で78室あり、静かな環境で生活を送ることができる。各室に、温水洗浄機能付トイレや洗面台、2か所のPHSナースコール、介護支援ベッド、冷蔵庫、エアコン、クローゼット、机、カーテンなどが備え付けられている。外出は自由、外泊もできるので、体調に問題がなければ好きなところに行ける。もちろん、家族と過ごすことも可能だ。
庭の桜を楽しめる部屋もある
バリアフリーになっていて、車椅子でも使いやすい
コンサート開催、絵画の展示など文化的な暮らしを実践
デンマークINN深大寺では毎月定期コンサートが開かれており、4月14日現在、206回目を数えた。定期コンサートにはデンマークINNグループ全体で取り組んでおり、デンマークINN小田原では、これ以上の回数を重ねているという。
プロのミュージシャンが演奏するコンサートを楽しみにしているのは入居者や家族だけではない。地域との交流の場にもなっており、近隣から毎回数十名が訪れるとのこと。近隣のお店などにポスターの掲示やチラシの配布協力をしてもらうなど、すっかり地域に浸透しているそうだ。
開設当初から地域に開かれた運営を実践している
また館内には絵画が至る所に飾られている。創設者が音楽だけではなく、絵画も人間の感情を豊かにするものとして集めて飾ったという。文化的な生活を送ることが重要だという創設者の考えが実践されている。
「人間らしくいるために、芸術は重要です。創設者の山田禎一は、『人間は音楽と絵を楽しめば感情豊かになれる』という趣旨のことを言っていました。絵を褒めてくださるご入居者もいらっしゃいます。ご入居者の作品を飾ると喜んでくださいますね」
入居者の作品と創設者が選んだ絵画が飾られている
多彩なレクリエーションやアクティビティ活動
他にも書道や絵手紙、エアロビクス、音楽療法、合唱などのレクリエーションが活発に行われている。この日に行われていたのは、歌に合わせて体を動かすアクティビティ。参加率も高く、笑顔が多かったのが印象的だった。ちなみに参加していたかどうかを家族に教えてくれるので、日々の様子が分かり安心だ。
アクティビティの参加率は高い
レクリエーションで使う1曲1曲の歌詞が用意されている
デンマークで提唱された高齢者福祉3原則を取り入れ、精神科の病院を母体として実績を積み重ねてきたデンマークINN深大寺。理念に基づいた温かく丁寧なケアが評判で、介護施設の各種ランキングでデンマークINN上位に選出されることも。空室が出ると、入居者家族の紹介ですぐに契約者が決まるという。
撮影/津野貴生
→このシリーズのその他の記事を読む
【データ】
施設名:デンマークINN深大寺
公式WEBサイト:http://www.denmark-inn.or.jp/
所在地:東京都調布市深大寺東町8-14-2
最寄駅:
(1)JR三鷹駅下車2.6km:小田急バス調布駅行きにて 三鷹市役所前下車徒歩7分
(2)京王線調布駅より京王バス、小田急バスで、航空研経由吉祥寺行きにて12分・航空研前下車徒歩5分、調布北高経由吉祥寺・三鷹行きにて12分・調布北高下車徒歩8分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:社会福祉法人新樹会
敷地面積:3587.60平方メートル
延床面積:2856.48平方メートル
室数:78室
入居要件:入居時自立・要支援・要介護の方
構造:鉄筋コンクリート構造・地上3階
開設年月日:2002年2月16日
料金:
Aプラン:家賃の前払金500万円+月額利用料20万1600円(内訳・居室使用料7万2000円、維持管理費6万7886円、食費6万1714円)
Bプラン:家賃の前払金250万円+月額利用料24万3300円(内訳・居室使用料11万3700円、維持管理費6万7886円、食費6万1714円)
Cプラン:家賃の前払金なし+月額利用料28万5000円(内訳・居室使用料15万5400円、維持管理費6万7886円、食費6万1714円)
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2019年06月06日
就活ルール廃止」発言の真意を語った経団連・中西宏明会長。 大学教育についてを問われ「今の日本の学生や若い人たちを見ていて、ちょっとまずいんじゃないか」と感じることがあるという。東大京大の人気就活ランキング10位のコンサル会社・経営共創基盤(IGPI)のCEOの冨山和彦氏と共に“就活生に求めたい能力”を語る。(初の著書となる『社長の条件』より転載)
◆◆◆
©平松市聖/文藝春秋
今の日本の学生にこれだけは求めたいこと
冨山 大学教育については、言いたいことはありますか。
中西 いや、極めて多様な人材を求める、というのが正直なところですから、こういう鋳型にはめた人をください、というのはないですね。
ただ、最低限はやっぱりあります。今の日本の学生や若い人たちを見ていて、これはちょっとまずいんじゃないか、と思っていることがあるんです。それは言いたいですね。 例えば、最低限のITリテラシーということになると、数学はちゃんとできていてほしい。
冨山 基礎能力系ですね。
中西 それから、やっぱり外国語。大学を出たんだから、得意でなくてもいいから、外国語が嫌い、というのはやめてよね、と。
冨山 英語は小学校から十数年やっていますからね。
中西 でも、大学の人と話をすると、最近は高校から入ってくる人のレベルがそうなっていない、という。それはまじめに入試をやっていないからじゃないですか、と返すんですけど。
冨山 数学も英語もそうなんですが、ものを考えたり、ものを分析したりするときの、ある種の言語能力ですよね。その基礎的な言語能力というのは、別にどこに行こうが共通マターです。だから、高等教育までで、ちゃんとやっておくべきことは、そっちだと思うんです。
いわゆるウンチク学問っぽい教養は、その後でいいんじゃないか、と私は思っていまして。シェイクスピアがこう言ったとか、それもいいんだけど、英語もちゃんとできないのにシェイクスピアを語っている場合か、と思うわけです。
ところが、日本の大学というのは、そういうウンチク教養学校になってしまっている。特に文系学科は。それが生きる力だ、なんていう評論家もいるんですが、言語能力がないんですから、生きる力はない。
冨山 実際、グローバルな世界であろうと、もっとローカルであろうと、それぞれの分野の基礎的な言語能力というのは、やっぱりある。先ほどふれたように当社にはグループにバス会社もあるんですが、地域の観光業をやるにしても、いろんな分野での基礎的な言語能力がいるんです。
そこをとにかく学校では確実にちゃんと教わっていて、ちゃんとクリアしている状況で大学が世に出してあげないと、中途半端なウンチク学問は語れるけど、一番基礎的なことが抜けているという子が増えてしまう。
それが今、教育に私が感じている矛盾なんです。
大学入試の易化で、いまや“中学3年生が学力ピーク説”も
©平松市聖/文藝春秋
中西 その意味でいうと、ゆとり教育とか、それがとても歪んだ形で卒業生たちの水準の全体レベルを下げている面がありますよね。そのことに対する危機感は、かなり強烈にあります。
冨山 日本のほうが、そういう基礎能力について、欧米よりも低くなってしまいましたから。
中西 アメリカも地域によって違うんですが、小学校からの数学教育というのは、かなりやっているんです。小学校で算数の基本ができていないと許されない、とか。
冨山 日本では、大学で因数分解を補習でやっているそうですから。これは問題です。おそらくあるのは、高校教育が危機なんじゃないかと思うんです。小学校教育、中学校教育は、良くも悪くも役所は頑張るんです。
高校って、さっきも言われたように大学入試で担保されていたんですね。今、入試がどんどんなくなっているので、高校3年間、何もしなくても大学生になれちゃうようなことが起きている。
昔は高校3年のときに学力がピークになるという説がありました。入試のおかげで。そのあと4年間の大学でバカになって社会人になる、なんて言われましたが、今は中学3年で学力ピーク説というのがある。
いろんな意味で人間が成熟して、いろんなものを学ばなきゃいけない高校3年間、大学4年間の7年間が空白になってしまうのでは、中西さんが言われたように、そのあとはきついですね。
中西 きついですよ。そこからもう1回、再教育って、本人も相当、辛い。
冨山 年を取ると教育効果が下がりますからね。本人も困るでしょうけど、産業界はもちろん、社会全体が困る。
中西 会社はできないやつは採らないだけだから、いいんだけど。
冨山 いや、海外で採ればいいだけですしね。
中西 だから、基礎をちゃんとしてくれ、と大学には言っているんです。
法律や経済を学ぶには、じつは数学の能力が必須だ
中西 そもそも私は、まず理系・文系という境をやめようと言っています。法律や経済でも、最低限の数学はできないと。
冨山 いちおう私、法律家なんですが、法律って実は数学的なんです。ある要件事実をあてはめたら、一つの結論に行く。これは完全にAIの世界なんです。だから、裁判官が真っ先にいらなくなるという説もあります。要するにAIなことをやっているわけですから。
経済学はもう理数系の学問ですよね。経営学も、簿記会計とかファイナンスとか、基礎言語は数字です。だから、ITも含めて、実はどの分野に行くにしても、統計学も含めた最低限のいくつかの言語能力って、やや理数系的ですよね。
そこはちゃんとマスターしておいてくれないとあとで困る。すごく頭がいいのに、その言語がないために行き詰まってしまうようなことになりかねない。
中西 20、30年前にアメリカの初等教育で悩んだことを、今の日本の大学教育で悩んでいるんじゃないのかな。
冨山 かもしれないですね、たしかに。
中西 それは、いい算数の先生がいない、ということです。やっぱり社会が、「あ、これ教えなくていいや」と思った瞬間から、先生もトレーニングされなくなる。そうすると、改めてやるべきだと言われたって、さてどうやって教えたらいいんだ、ということになる。自分で一所懸命、勉強したことのない人が教えられないよね。
なぜアメリカでは「産学連携」と「基礎研究力」が両立するのか?
©平松市聖/文藝春秋
冨山 私がビジネススクールに行っていたのは、30年前です。スタンフォードはわりに理系的、ハイテクの学校だったこともありますが、ファイナンスとか統計学とかコンピュータとか、理数系科目が多かった。
中西 マネジメントサイエンスはみんなそうでしょう。
冨山 いっぱい数学が出てくるんですよ。あと、ちょっとした微分なんかも出てくる。財務理論なんて、ちょっとした高等数学を使っています。ただ、私は文系でしたけど、数学はできたんです。東大の文系は数学ができると、かなり楽に入れますから。
アメリカ人には驚かれました。どうして法学部なのに数学ができるんだ、と。当時のアメリカの学生は、算数できなかったですから。
中西 それが変わったんです。大学のコースの取り方自体も、推奨もずいぶん変わっていて、先にエンジニアリングを出てからMBAを取るとか、クロスオーバーの人が多くなってきて、それがまた就職上、有利になる。
アメリカの場合はもろに初任給に効きますからね。どこそこの大学のどのマスターを持っている、となったら、それだけで年収ベースで2、3割は違いますから。
だから、大学院などのグラデュエート・スクールって、結婚してから入る人も多くて、妻にお尻を叩かれて、マスター取ろうとしてる、なんて男性もいますよね。
冨山 逆もありますね。夫が働いて、妻がマスターを目指す。博士号を持っている上に、MBAを目指したり。
中西 門戸が開かれているので、何度学んでも、また行ける。そのほうがグラデュエート・スクールもウエルカムです。学費が高くても、入ってきますからね。
冨山 そして、出ればまた稼げる。
中西 投資と回収のサイクルがあるんですね。
冨山 そして大金持ちになったら、莫大な寄付をしてくれる。それが、スタンフォード大学なんかでノーベル賞が出てくる本当の理由です。やっぱり基礎研究資金が潤沢。それは、卒業生のコミュニティから入ってくるからです。私立なので、運営交付金はもらっていませんので。
中西 学費は高いけどね。
冨山 高いんですが、所得の低い人はほとんど奨学金で行けるんです。普通に行っちゃうと高いんですけど。
でも、経済的にちゃんと投資と回収が成り立つから維持されている。奨学基金にも大学発ベンチャーで大成功した卒業生などから莫大な金が入っているのです。産学連携と基礎研究力は二律背反ではない。むしろ相互依存的なエコシステムをこの30年くらいで作り上げたわけです。
中西 アメリカ流が全面的にいいわけではないけれど、今の日本のボトルネックはかなり明確に見えているんですよね。
それに対して、大学側がどう答えるのかというと、いやいや一斉採用で期限決めてください、と。それはどうなんでしょう。今後、協議会を組織して議論しますけどね。
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2019年06月06日
AIやIoTが躍進する時代に、働き方はどう変わる? ヒトの仕事が奪われるといわれるが、将来を見据えて選ぶなら何が正解か。企業再生の第一人者であり、産業界全体から見た人工知能に精通する冨山和彦さんに、これからを生き抜く心構えを一問一答式で訊く、全5回シリーズ。
◆◆◆
『AI経営で会社は甦る』(冨山和彦 著)
Q これから起業したいと思っています。AI分野で見込みがありそうなカテゴリー、キーワード、有望なIT系スタートアップを教えてください。
A ディープラーニング系、とくに“画像認識能力”に注目です。
直近でいうならば、ディープラーニング系が伸びると思います。ディープラーニングでは、視覚認識、つまり画像認識能力が飛躍的に進化します。ディープラーニングが最も優位性を持っているのが、AIの“眼”にあたる技術だからです。たとえばAIを翻訳作業に使うときも、実は画像をあいだに噛ませて読み取らせています。ですから、ディープラーニングを視覚技術に応用する領域というのは、ここしばらくは面白いです。
ただ、この先10年ずっとそれだけが続くかというと、そうでもない。大技術爆発が起きるときと、その後フラットになるときがあるからです。今のように世界中の超優秀な研究者、技術者が大勢集まって取り組んでいると、10年ぐらいできっとネタも尽きてしまうのではないか。
冨山和彦氏 ©平松市聖/文藝春秋
むしろ長期的には、ものづくり系ですね。とくに面白いのは、アルゴリズムとハードウェアのかけあわせ。メカニズムです。さまざまな問題を統合的に解決する必要があるため、それなりに時間がかかる分野です。現在、YouTubeなどに、AIを搭載したロボットが上手に作業をしている映像が流れていますよね。でも、その映像をあのまま信じちゃダメです。あれはたぶん何回もロボットにやらせてみて、うまく成功した場面だけを流しているのです。
いざ産業として実用化するとなると、そうは簡単にいきません。たとえば、クルマの場合を考えてください。世の中には何千万台も走っていますが、その1台でも事故が起きると困るわけです。となると、非常に高い精度のものを100万台単位で造れるようにならないとダメ。100万台単位で同じモノを再現して造るのと、ロボコン用のロボットを1個だけ造る、というのは、もう全然次元が違う話だからです。人の命に関わるような製品を、安全性や信頼性を担保して実現するということは簡単ではない。おしゃべりが得意なペッパーみたいな、脳にあたる機能だけで済むのだったらむしろ話は簡単なのですが。
©iStock.com
さらにもうひとつ注目なのが、AIをしたたかに上手に使っていくベンチャーです。産業革命のときは得てして、それを発明した人間よりも、それをリアルの世界で上手に使った人間のほうが成功した話はよく聞きます。AIベンチャーを見極める時には、自分がAIについて、スーパープロフェッショナルである必要は全然ない。そのかわり、どこでどんなものがつくられて、どこでどういう人が出てくるかを評価する能力はあったほうがいい。あるいは評価する能力がある人間と友だちになっておいて、そのアドバイスをもとに本物を選べるといいです。中長期的にみて私が注目しているのは、トヨタや日立などとも協業している東大発のプリファードネットワークス、ロボットベンチャーのMUJINなどですね。
AIやIoTが躍進する時代に、働き方はどう変わる? ビットコインなどの仮想通貨が出てくる中、銀行など金融業は? 企業再生の第一人者であり、産業界全体から見た人工知能に精通する冨山和彦さんに、これからを生き抜く心構えを一問一答式で訊く、全5回シリーズの第2回(#1「AI時代の起業」より続く)。
◆◆◆
『AI経営で会社は甦る』(冨山和彦 著
Q 金融業界で働いていますが、どのようにAI経営を進めていけばよいでしょうか。
A 既存の銀行モデルは大きく変わります。
金融の機能には大きくふたつあります。ひとつが、決済。もうひとつが、預貸です。
まずは決済について。すでに世の中に存在している社会的共有資産に乗っかって、ローコストで装置化しようという動きが進んでいます。フィンテックのコアテクノロジーとなるブロックチェーンなどは、まさにその例ですね。それから、媒介の機能についても、そもそも人間が介在する必要性があるか、という問題も出てきています。裏返して言うと、既存の銀行的なモデルというのは、通信の世界で言うダークファイバー――要は管(くだ)ですね――を提供するような公共財サービスと化していく可能性がある。従来は、ユーザーよりも銀行のほうが情報を持っているという非対称性があったため、銀行がいわゆるサヤを抜く、利益を上げることができたのですが、今後はそうはいかなくなる。
冨山和彦氏 ©平松市聖/文藝春秋
ただ、銀行業務のすべてがなくなるわけではないです。決済をやらなくてはならないし、信用媒介をやらなくてはならないから。とはいえ、付加価値をどこまで上乗せできるかというと、それは疑問です。むしろ社会的な要請としては、最低限の機能でもって安全に事故なく責任を果たす、という役回りになっていく。電力でいうところの送配電みたいなものでしょうか。となると、巨大なシステム、支店網、それらを支える多くの人員が不要となる。おそらくいろんな再編統合も起きてくる。なにしろ公共財化してしまうわけですから。そのなかで、最後に残る部分は非常にお堅い仕事になるので、銀行員の方々はその仕事を自分の役回りとして心得て粛々と行う、となるでしょう。
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もしくは、産業構造論的に言うと、公共財化していくなかで、みんなが使うようなコンポーネントをつくって、それを世界中に売って儲けるという道ももうひとつあるかも知れません。
Q AI時代に生き残れる人、生き残れない人の特徴は、それぞれ何でしょうか。また、冨山さんは中間管理職の8割は必要なくなるとおっしゃっています。生き残る2割の中間管理職、生き残れない8割の中間管理職の違いとは何でしょう。
A 受け身でものを考え、事前調整して保険をかけるようなタイプは危ないです。
あらかじめ答えが存在していて、そこに辿り着くことが求められるタイプの仕事は、今後AIでどんどん置き換えられていきます。そんななか残るのは、何らかのクリエイティビティに関わる仕事です。そもそもなにが問題なのかを発見し、問題設定をするような仕事です。
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もうひとつは、それとはまったく反対で、人間を相手にして人間と関わり合いながらする仕事です。たとえAIがかなり発達しても、個々の人間の極めてデリケートな部分であるハートを掴む能力というのは、たぶん限界があるんです。人間はいい加減というか、非安定的な生き物ですから、その深いところにタッチする仕事は残ります。サービス業でも、一番最後まで残るのはじつは接客系だと思っています。その瞬間、瞬間の相手の顔色を見るというのは、やっぱり人間が得意なんですね。
渋谷のスクランブル交差点を上手に渡るというのも、AIにとってはハードルが高いです。歩行者みんなが違うルールで横断しているし、しかも渡っている途中でまた気が変わって違う動きをしたりと、極めてアナログで曖昧な行動をとっている。なので、じつはお互いに駆け引きをやりながら渡っているんですね。その瞬間ごとの駆け引きというのは、AIが相当に進化すれば最後はできるかも知れないけれど、莫大なお金がかかる割にはリターンが少ないような気がします。
それから、会計士はこれから危ないかも知れません。最近はコンプライアンスが厳しくなったせいもあり、会計士は裁量を働かせるな、という時代になってきています。だからもう会計基準通りに、杓子定規にやってください、という具合になっています。これはむしろ、人間よりもAIのほうが得意な分野です。
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弁護士は意外と残ります。なぜなら、交渉が要求される仕事なので。交渉というのは、意外と理屈通りにいかないし、ある意味、理不尽さもありますから。じつは法律にはファジーな側面があります。
税理士も意外と大丈夫です。これはやや言いにくいところなのですが、税務署には曖昧さがあるというか、課税当局側にいろんな意味で裁量権があるからです。そのため、解釈の幅というものが出てきて、ネゴシエーションが必要になるからです。
どんな管理職が生き残れるのか?
会社のなかでも、AI時代になれば中間管理職の8割は必要なくなるでしょう。これからは、単なるホウレンソウ的な仕事、とくに報告・連絡はもう必要ないです。AIによって自動的にできてしまうので。そのため、相談ごとのところだけ残るでしょう。ということは、相談上手である必要があります。人間的に非常に豊かな人でないと相談相手としては使えません。あるいは本当のリーダーシップ、もしくはクリエイティビティのあるリーダーシップが必要になります。いわゆるソフトサイドのスキルですね。ルールもなにもなくて、どうしてよいか分からないような現場で、新しいルールを作り出して、現場の問題解決ができる。そんな管理職が生き残ります。
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くどいようですけど、ルールベースで正解に辿り着くタイプの仕事はなくなっていくので、今のままだと仕事の6割ぐらいはなくなってしまいますね、特に大きな会社ほどその傾向は強いです。サラリーマン社会では、自分で能動的に動くよりも、上司の正解を探って指示通りに動くほうが安全です。自分で勝手に動いて地雷を踏んでしまうと、えらい勢いで怒られる。その結果、ルールベースの仕事しかできない人間が育ちやすい。受け身でものを考え、事前調整して保険をかけるようなタイプ。そのような中間管理職が、今後は一番危ないのではないか。
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こうならないためには、どうするか。たとえば、今、大企業に勤めている人でも、みずから手をあげて子会社に出向したり、ベンチャーに転職して、マネジメント能力を鍛えることです。ややこしい状況で仕事をせざるをえない状況に自分を追い込み、常に自分で判断するというクセがつけられるからです。50代になるともう修正するのは難しいので、30代、40代から考えていったほうがいいですね。
AI時代にもかかわらず、スピードもチャレンジもない保守的な会社の既得権益層を打ち破るには、どうすればよいでしょうか。
A 諦めるまで粘り強く。集団の空気が諦めとなった瞬間、鬼畜米英からギブ・ミー・チョコレートに変わります。
日本の組織システムは、歳を取るとみんな既得権者になります。なぜなら年功制のもと、薄く広く社内に既得権がばら撒かれているからです。そして、これこそが一番改革のしにくい理由なのです。むしろほんの一部の人が富を独占してくれているほうが、じつは革命は起こしやすいんですよ。
日本の会社のなかで、欧米型の革命モデルで決起しようとすると、たいていの場合、抹殺されます。既得権を持っている人のほうが、結構な人数いるので。しかも彼らは相対的にそれなりの地位にいます。だいたい経営改革をやると、40代ぐらいが中間勢力、50代はほぼ全員守旧派です。
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ですから、あるときには妥協し、あるときにはその間を分断してと、相当にしたたかにやって上手に味方を増やしていかないと、割とあっさり殺されてしまいます。反革命が簡単に起きます。それこそが、ここ20年間ほど、一部の改革的なリーダーの多くが苦しんできた課題です。しかしながら、日立をV字回復させた元社長の川村隆さんをはじめ、その峠を越えてきたリーダーもいらっしゃいます。日本型革命が成就する瞬間の、多くの人々の心理的な心模様というのは、諦めです。ああ、もうしょうがないや、もう時代が変わったんだ、と。集団の空気が諦めとなった瞬間に、結構バタバタバタバタッとシーソーが一方に倒れていく。あっと言う間に、鬼畜米英からギブ・ミー・チョコレートに変わるんですね。だからその時点までは、ある意味では相当粘り強くやっていかないといけません。
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それから、急にお腹がメチャメチャ痛くなるとか、頭がメチャメチャ痛くなるという瞬間もチャンスです。そうなる前にも、このままのビジネスモデルだとまずいんじゃないか、とじつは社員の多くが内心思っているんですよね。思っているんですが、「俺、既得権益を持ってるしな」と動かない。でも、お腹が痛くなるとシーソーがすうっと動くんですよ、その瞬間だけ。だって、もうこのままだと会社潰れちゃいそうで、みんな仕事がなくなっちゃうというリアリティを感じるので。ここが勝負ですね。こういうのをうまく利用しないで、何もないところで改革だ、グローバル型だと叫ぶと、たいてい5年以内に殺されます。
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ビレンワークアップ
2019年06月06日
「就活ルール廃止」「終身雇用を続けるのは難しい」発言が 大きな波紋を呼んだ経団連・中西宏明会長。 初の著書となる 『社長の条件』 では、これから激変するであろう キャリア・採用・大学教育について、すべてを語り尽くしている。
結局、就活はどうなるのか? ビジネスパーソンは今後いかにキャリア形成をすべきか? 対談相手は、東大京大の就職人気ランキング10位(就活サイト・ワンキャリアによる2018年調査結果)のコンサル会社・経営共創基盤(IGPI)のCEOにして、企業再建の第一人者である冨山和彦氏。
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なぜ、いま新卒一括採用について疑問を出したのか
冨山 採用といえば、中西さん、新卒一括採用について疑問を出されて、大騒ぎになりましたね(笑)。
中西 だから、リクルーター制度なんかも含めて一括採用というのはどうなのかな、と素朴に思ったわけですよ。
冨山 そもそも、問われるべきは本来あるべき姿、ですよね。
中西 もうおっしゃる通りです。
冨山 グローバル企業の日立なら当然だと思いますが、グローバル採用型になっている。
中西 そうならざるを得ないんです。
冨山 ですよね。
中西 ただ、メディアから聞かれるときは、採用が個社の話として聞かれるんですよ。何人採用しますか、といった具合に。例えば新聞などは、それを記事に絶対にしないといけない義務感を持っていますからね。そういう記者が多いでしょう。
だから、案を作って発表します。でも、もともと採用は、海外でもやっていますから。グローバルに事業をやっていけば、海外の人材をどう活用していくか、ということは当たり前に考えないといけない。
ただ、彼らはいつ大学を卒業するか、いつ職を求めるのか、というと、日本とはまったく違うわけですよ。
冨山 だいたい、3月卒業じゃないですからね。
中西 そうなんです。だから、日本の卒業時期という前提に立つと、一斉に一括採用ということ自体、違和感があると言わざるを得ないわけです。それが悪いなんてことは、まったく言っていないですよ。悪いとは言わないけれど、違和感がある、とは言わざるを得ないということです。
グローバルに採用するとすれば、一括採用自体が難しいわけですから。卒業時期が違うんですから。
冨山 新卒一括採用で、これだけでちゃんとやれ、と言われると困っちゃうわけですね。
中西 はい。それが前提で、いつから何をする、という時期が固定されているというのは、やっぱり世界から見るとおかしいと思うわけです。それが、素朴な私の発言の原点だったんです。
冨山 グローバルに将来活躍しようと思っている学生も、同じですよね。海外に留学していたら、卒業時期はずれますからね。
中西 ちょっと振り返ってみると、今から4年ほど前でしょうか。東大が9月卒業を検討している、なんて話が出て来たら大変な騒動になってしまった。結局できなかったですけど、あんな騒動もおかしい、と思うんですよ。
新卒一括採用は、日本のすべての若者を幸せにしたか?
冨山 でも、採用では、なし崩し的に、いろんなやり方が出て来ているようですけどね。
中西 だから、こういうことって、グローバルスタンダードのようなものがあるわけでも何でもないんです。労働市場というのがマーケットとしてあって、そこに自分たちが入っていく。学生にはそう思ってほしいし、採用側も、そのマーケットでいい人をきっちり採るための仕掛けを考えてください、ということだけですよね。
お互いの市場性がしっかり確立する、というのが、前提条件なのに。
冨山 学生にも選ぶ権利はありますからね。
中西 あります。
冨山 むしろ最近は、学生のほうが強いですから。
中西 売り手市場ですから。ときどき氷河期というのがガーンと来ることもありますけど、これも市場ですから。市場として成り立っているんだとすると、景気が回復すればそのとき、いい就職先がなかった人も、次のチャンスをどんどん得られるという、そういう方向が極めて自然だと思うんです。
冨山 いわゆる氷河期世代は気の毒だったわけですが、私は前から日本型の新卒一括採用が産み出した悲劇の世代だと思っているんです。結局、あの新卒の就職のタイミングしかチャンスがないので、あそこを逸してしまうと本来のコースに戻れなくなってしまうんです。あの氷河期世代は、象徴的でした。
中西 どうして、そんなふうになっちゃうんでしょうね。
冨山 そうなんですよ。だから、「新卒一括採用のおかげで、日本の若者たちは幸せになってきた」と声高に主張している学者とか評論家とかがいるんですけど、「じゃあ、氷河期世代はどうなんだ」と私は言いたいわけです。そういうことを言う学者や評論家は、まったくわかっていない。
中西 同感ですね。
大学生が勉強しなくてよい時代は、とうの昔に終わった
冨山 新卒一括採用は、高度成長期の加工貿易立国時代に有効だったんです。すべて日本でやっていた。日本のメーカーは日本で完結していましたよね。原材料を輸入して、製品にして輸出する、というモデルでしたから、日本国内の事情でやっていけた。それで世界で勝てた時代がけっこう長かったんです。
また、その時代は基本的に人手不足でした。人手不足の中で大量一括採用が行われていた。それが終身年功制とつながって工場での共同作業とも相性がよかった。均質な生産活動を量的にこなしていくことが求められていましたから、とにかく号砲で一斉に就職活動が始まって、同じ日程でことを進めるというのは、効率が良かったんでしょうね。
中西 要するに、生産設備を作っていくのと、まったく同じプロセスなんですよ。地方から金の卵を採用したり。それが産業の構造とピタッと合っていた。
冨山 合ったんでしょうね。たまたまそれが30年くらいわりとうまく機能しちゃった。日本型経営とか日本型雇用慣行というのは、ある時期、ある社会状況、ある産業構造の中で、たまたますごくフィットしたんだと私は思っているんです。
それを、我々の先輩方がうまく作ってきたのは間違いない。でも、産業構造が変わり、社会構造が変われば、当然それを変えていかないといけないんです。でも、あまりにうまくいってしまったものだから。
中西 成功体験が大きすぎた。
冨山 ものすごくイナーシャ(慣性モーメント)になってしまって、それをなかなか変えられなかった。その結果としての、バブル以降の30年近くじゃないでしょうか。
中西 それは採用の問題だけじゃなくて、雇用そのものとか、会社のオペレーションそのもの、企業の教育プログラムもそうですよね。
冨山 全部つながってきますね。学校教育も。
中西 だから、大学なんて勉強しなくていいよ、となった。元気があって、スポーツ系がいい、なんてことが言われたり。
冨山 明るくて丈夫で、みたいな。
中西 それを入社後に、いかにトレーニングしていくか、と。そういう徒弟制度的なシステムがずっとあって、別にそれでうまくいくんだったらそれでいいんですよ。でも、そういうモデルは、とうの昔に壊れてしまっている。
一括採用型、通年採用型、インターン採用型。就活は多様化の時代へ
冨山 通年で自由に採用するという形は、グローバル企業では一般的なんですよね。
中西 そう思いますね。だから、まず自分たちはどんな人材を欲しいかということを、ウェブでも何でも公開していて、そこで応募してくれれば、ちゃんとあるプロセスでもって受け付けて採用していく、という仕組みです。
日立はだいたいそういうことはもう用意してあります。それとは別に一括採用もやっていますけど、今は。
冨山 多くの企業が、そうした複数の流れになってしまっているんじゃないでしょうか。でも、やっぱり優秀な学生、グローバルに戦ってもらいたいなと思えるような学生たちの採用が重要ですよね。
当社などは、ほぼそういう採用しかしないじゃないですか。インターンもそういう子が対象ですが、基本的にものすごく勉強している印象がありますね。それぞれの分野で。最近は理数系が多いですが、生命工学なら生命工学をすごく勉強している。その上で、ほぼ1週間のインターンにやってくる。
ときどき、インターンと学業の二律背反は問題だなどと言う人がいます。でも、申し訳ないですが、私自身も出ていって、1週間の間にそれこそ大学の単位1個ぶんくらいのことは授けようと思っています。かなり気合いを入れてやっています。東大京大就職人気ランキングで弊社が10位と高いのは、インターンの影響が大きいです。すぐに噂で流れますから。
そして、インターンは採用に直結する、とも言っています。
中西 インターンって、もともとはそういうもんじゃない?
冨山 そういうもんですね。
中西 日立がやっている制度がいいとは思っていないけど、うちは8、9割が理系採用なので、夏休みに夏季実習という格好でインターンをしてもらうんです。工場や研究所で、本当の仕事の中に入れちゃう。
冨山 それは最高ですね。インターン後は、リアルワールドも見て、ちょっと勉強する感じが変わるんじゃないですか。
中西 だと思いますね。それは大学側が、そういうことを義務づけているケースと、推奨しているケースと、まったくやっていないケースと、いろいろあるんですけど、けっこう先輩がたくさんいる学科についていうと、必ず来ますよね。
実際には、けっこう辛いな、と言って帰るみたいですけど(笑)。
冨山 でも、彼らは嫌々やっているわけじゃない。
中西 それは違いますね。だって、サボったって怒られるわけじゃないですし。
冨山 必死に学ぼうと思っているわけですから。
とはいえ、一括採用が消滅するわけではない
冨山 今後は、インターン採用や通年採用と、一括採用とで、複線化していくんでしょうね。
中西 一括採用はなくならないでしょう、たぶん。
冨山 一括の流れに乗ったほうがいいタイプの企業とか、そういうタイプの学生はいますから。
私たちの「みちのりホールディングス」という子会社は、東北地方を中心に地方の公共交通機関の再建と経営を行っていて、連結ベースで約5000人の従業員がいますが、ああいう仕事のオペレーションを担ってもらうような基盤人材の新卒採用は、一斉採用の方が合っているように思います。
同じく私が社外取締役をやっている東京電力において、その中核業務である発電所の運転や送配電網の維持管理を担ってくれる皆さんなんかも同様かも知れません。
中西 だから、複線化は極めて自然ですよね。
冨山 それこそ、途中で1年なりの短期留学で学ぶ学生も増えています。そうすると、卒業式が半年ずれる。留学している間は就職活動できない。しかも、そういうところに、優秀な学生はいますから。ところが9月卒業です。だから、一斉には乗らない。
当然、複線化しますよね。そしてグローバルに戦っていって、そこで自己実現をしたいという能力と意識を持っている学生は、世界に行こうという傾向が強いんですから。
中西 だから、やっぱり複線化せざるを得ないでしょ。グローバルに採用しようとすると。
冨山 企業側も、世界中で採用するわけですからね。
#2へ続く
なぜ経団連会長は「大学は、理系と文系の区別をやめてほしい」と大胆提言するのか へ続く
(「文春オンライン」編集部)