全国の旅客船事業者95社 約7割の事業者が赤字、安全対策費用に課題
2022年05月24日
4月23日、北海道知床で発生した遊覧船の事故は、いまも懸命な捜索活動が続いている。長引くコロナ禍で客足が途絶え、全国の旅客船事業者の約7割が2021年の当期純利益(利益)が赤字だったことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。 国土交通省は今回の事故を受け、小型旅客船舶の安全対策の強化を進めているが、財務内容の悪化で安全対策費用の捻出が容易でない事業者が多い実態が浮き彫りになった。 TSRの企業データベース(390万社)から3期連続で業績が比較可能な95社の「旅客船事業者」(沿海旅客海運業、港湾旅客海運業)を抽出した。95社の2021年の売上高合計は1237億7800万円で、コロナ前の2019年と比べ約2割減(19.7%減)と大幅に落ち込んだ。また、当期純利益合計は2019年の26億900万円の黒字から、2021年は101億5600万円の赤字に転落した。 旅客船事業95社をみると、売上高5億円未満が約7割(構成比69.4%)、資本金1億円未満が8割(同80.0%)、従業員50人未満が7割(同70.5%)を占めるなど、小・零細規模の事業者が多い。 コロナ禍で外出自粛や旅行の手控え、インバウンド需要の消失などで売上不振は深刻さを増している。一方で、船舶などの設備維持や更新、安全対策の強化などへの投資が負担になり、経営体力が落ち込む事業者が少なくない。 観光客などの消費は地域振興への効果も大きい。旅客船事業者は中小・零細規模が大半を占めるだけに安全対策を事業者任せにせず、国や自治体など行政からの支援も必要だろう。 ※ 本調査はTSR企業データベース(390万社)から、主業種が「沿海旅客海運業」「港湾旅客海運業」の企業を「旅客船事業者」と定義し、抽出した。調査は旅客海運が対象で、川や湖の「河川水運業」「湖沼水運業」は除いた。2021年(2021年1月期-12月期決算)、2020年(同)、2019年(同)の3期で売上高、利益が比較可能な95社を対象とした。
鶏肉メニューに走る牛丼店 輸入牛肉の高騰で牛丼・牛めし値上げラッシュの中、人気集まる
2022年05月24日
輸入牛肉の価格高騰を受けて、庶民の味方でもある牛丼チェーン大手4社が昨年、牛丼・牛めしを値上げした。並盛1杯300円を割る時代もあっただけに、お財布にも厳しい状況となっている。その牛丼店が昨年末から次々に鶏肉の新規&復活メニューの販売を始めた。どうやらチキンは好調のようだ。なぜ、牛丼店は今、鶏肉料理に走っているのか? 日本人の国民食ともいえる牛丼。昨年末からは鶏肉メニューが新たに登場し、純粋な牛丼店とも言えなくなってきている。 今年4月末で、牛丼チェーン大手4社の店舗数は「すき家」1940店、「吉野家」1190店、「松屋」979店、「なか卯」550店だ。2013年ごろまでは、大手4社の牛丼並盛が1杯300円を切る値下げ競争も展開された。2015年以降は各社300円台で落ち着いていた。 輸入牛肉の高騰化で2021年夏、なか卯が和風牛丼の価格を上げた。当時、かき揚げ丼を一部店舗で新規メニューとして登場させ、その際に和風牛丼も50円値上げし、並盛は430円となった。全店舗で完了したのは11月だった。 他社も松屋が9月28日、吉野家は10月29日、すき家は12月23日にそれぞれ牛丼・牛めしを値上げした。並盛で300円台は松屋の380円だけで、他3社は400円台となった。 牛丼の値上げと歩調を合わせるように、鶏肉メニューが各社から発表された。12月1日、すき家が鶏もも肉1本を焼いた「ほろほろチキンカレー」を新商品として販売開始。統括するゼンショー広報室では「ほろほろの販売当初は完売する店が続出するほどの人気で驚いた」と話した。すき家全店の売上高も2021年11月の前年同期比は104・6%、同12月は118・2%だった。同広報室では「間違いなく『ほろほろ』効果で売り上げ増になったと分析している」とした。 今年4月7日、なか卯が1994年から看板商品とする親子丼の肉を大きく切り分けリニューアルし、並盛の肉2倍量の特盛を新たに設定した。その12日後の4月19日には吉野家が10年ぶりに「新親子丼」と銘打った親子丼を新メニューに加えた。吉野家広報室は「広く愛される親子丼の開発を10年継続していた。全店舗で均一な味・調理を実現することが非常に難しかった」と話した。なか卯もグループを統括するゼンショー広報室では「なか卯の看板は親子丼です。吉野家さんが参入することで親子丼が人気の高さが証明され、注目されることは大歓迎です」と余裕を見せた。 松屋は5月2日に春季に期間メニューとして登場させている「ごろごろ煮込みチキンカレー」(通称・ごろチキ)を定番化させた。ごろチキの評判について松屋総務・広報グループでは「待ってました!レギュラー化ありがとう!」「レギュラー化、エイプリルフールかと思ったくらい激アツ」など手紙やメールが寄せられているという
「ウクライナの戦地へ行きたくない」弁護士に相談殺到 顕在化するロシア兵の士気低下
2022年05月23日
ロシアが「完全に解放した」とするウクライナ東部の激戦地マリウポリで、報道陣を集め取材ツアーを開催しました。 破壊された港の様子が公開され、アゾフ大隊の本部とされる建物にもカメラが入りました。 ▽マリウポリの惨状 ロシア兵が“案内” 「こんな惨状だが、これは現実なんだ。 マリウポリ港だ。」 これは18日、ロシア側が外国人記者らを招待して、開催したメディアツアーの様子です。撮影したジョン・ドーガンさんは、6年前、ロシアに亡命したアメリカ人ブロガーです。 (ロシア兵)「誰もあちこちへ歩き回らせるな。」 ツアーには、ロシア兵が付き添い、まるでマリウポリが自分たちの街であるかのように案内します。ツアー中も、砲撃の音は鳴り止みません。このツアーはロシア国防省がアゾフスタリ製鉄所を完全制圧を発表する2日前に行われました。 (ジョン・ドーガンさん)「あそこで煙が上がっているのが見える。」 次に案内されたのは、アゾフ大隊の本部だったという建物。 「弾丸がある。」 「彼ら(アゾフ大隊)の兵舎だ」 Q. ロシア兵からどんな説明を受けた? (ジョン・ドーガンさん)「アゾフの隊員は捕虜になった。ロシア兵は中を歩いて安全を確認してから案内した。」 ロシア側は、アゾフ大隊の持ち物がそのまま残されていると強調します。 「『我が闘争』がある 」 棚の上には、ヒトラーの著書「我が闘争」が並べられ、ナチスを象徴する“カギ十字”が書かれたマグカップも置かれていました。誰かがマジックで後から書き足したようにも見えます。ロシア政府に近いロシア人ジャーナリストはアゾフ大隊について、こう解説しました。 (ロシア人ジャーナリスト)「国家社会主義者でファシストだ。隠そうともしないんだ。」 このメディアツアーについてウクライナ国防省はロシア側のプロパガンダだと批判しています。 (ウクライナ国防省情報総局)「フェイクニュースを広げるためロシアは海外のマスメディアを利用しようとしている」 ▽「戦場に行きたくない」弁護士に相談殺到 ロシア軍は、今後、製鉄所に投入していた部隊を東部ドンバス地方に転戦させ、攻勢を強めるとみられます。しかし、ウクライナ侵攻から、まもなく3カ月。長期化するにつれ、ロシア兵の“士気低下”もあらわになってきています。 (ロシア兵から相談を受けた弁護士)「相談に来るのはウクライナに行きたくない人や、再び戻りたくない人です。」 ロシア南西部の街、クラスノダールで弁護士をしているミハイル・ベニヤシュさんです。 従軍を拒否した兵士らの弁護を受け持ったところ、相談が殺到し始めたと言います。 「(弁護士グループ全体で)約2000件の相談がありました。沿海地方から北コーカサスまで、全土からです。相談内容の一つに、装甲のない車両で移動をさせられることがありました。前線では簡単に砲撃される状態だったのです。」 今や兵士らは、ウクライナで多くの戦死者が出ていることを知っていると言います。それがロシア軍の兵士不足につながっているようです。 「今では兵士たちもウクライナのSNSやメディアに精通しています。ウクライナで起きていることは衝撃でした。相談件数から考えると兵士不足は深刻で、部隊編成するのは難しいでしょう。誰も死にたくないんですよ。」 ▽「司令官が負傷兵を撃った」捕虜が証言 ウクライナで戦うロシア兵の現実。これは、今月10日に撮影されたロシア兵捕虜のインタビューです。偵察部隊に所属していたという20代前半の若い5人は、作戦内容について、全く聞かされていなかったといいます。 (ロシア兵捕虜)「(2月)23日の夜に弾薬が納入され始め、嫌な予感がした。武器が全部そろってからも行き先や目的に関する話はなかった。」 そして、戦場で目の当たりにしたのは… (ロシア兵捕虜)「ロシア軍同士が攻撃しあっていて、私たちの目の前で装甲車が燃えたこともあった。」 Q. 詳しく教えてください (ロシア兵捕虜)「ある部隊がこちらの方面からきて、反対側からは別の部隊が移動していた。そうすると、片方の兵士たちが30ミリ砲で仲間の装甲車を攻撃しました。運転手は即死でした。味方の軍が攻撃していたのです。」 Zマークが目に入らなかったのでしょうか…味方を攻撃したというのです。 (ロシア兵捕虜)「無線から『バカヤロー、味方だよ』という怒号が聞こえました。兵士を見ただけでパニックになり、攻撃したのかもしれない。」 さらに、負傷兵に対して上官がとった行動は… (ロシア兵捕虜)「司令官が負傷した兵士を撃っていた。」 Q. “撃っていた”とはどういうこと? (ロシア兵捕虜)「地面に横たわる負傷した兵士に指揮官が歩けるかどうかを聞いて『歩けない』と答えると銃で撃って殺していたのです。それも一度だけでなく、何度もです。司令官は4 ~5人殺しました。負傷した若者を助け出すことができたのに殺したのです。」 5人は今、“捕虜交換”を待っていますが、いつ実現するのか、分かりません。
戒厳令を3カ月延長 ロシアの侵攻、長期化不可避か ウクライナ
2022年05月23日
ウクライナ最高会議(議会)は22日、ロシア軍による侵攻が始まった2月24日から敷かれている戒厳令について、さらに3カ月延長することを決定した。 【図解】ウクライナとロシアの戦力比較 これまでは1カ月ごとの延長だった。ロシアのプーチン政権が東部ドンバス地方を「歴史的領土」として制圧を目指す中、ウクライナのゼレンスキー政権としても長期戦は不可避と判断したとみられる。 ドンバス地方のうち、ルガンスク州でウクライナ軍支配地域として残るセベロドネツクなどが、ロシア軍の激しい攻撃にさらされている。州全域を制圧できれば、プーチン大統領にとっては国内向けにアピールできる「戦果」となる。 一方、ゼレンスキー大統領は22日、首都キーウ(キエフ)でポーランドのドゥダ大統領と共同で記者会見した。戒厳令に絡み、18~60歳の男性に対し出国禁止を見直すよう求める声があることに「理解できない」と不快感を示した。現在の戦況について「東部の激戦地で日々50~100人が命を落としている」とも明らかにした。ロシア軍を押し返していると伝えられる中でもウクライナ軍の犠牲は大きいもようだ。 会見でドゥダ氏は「ブチャ、ボロディアンカ、マリウポリ」と大勢の民間人が犠牲になったウクライナの地名を列挙した。今後のロシアとの関係について「犯罪や侵略、基本的人権が踏みにじられたことを忘れて、昔のように戻れるわけがない」と強調。ハンガリーなどロシアとの経済関係維持を図ろうとする国々を暗に批判した。
ウクライナ、譲歩の可能性排除 ロシアは東部などで攻勢強める
2022年05月23日
ロシア軍は22日、ウクライナ東部ドンバスや南部ミコライウで空爆や砲撃を実施し攻勢を強めた。こうした中、ウクライナは停戦や領土の譲歩はしない姿勢を示した。 【動画】戦争犯罪裁くウクライナの裁判、ロシア兵が被害者妻に許しを請う ウクライナのイェルマーク大統領府長官は22日、ツイッターで「戦争は、ウクライナの領土の一体性と主権を完全に回復して終結しなければならない」と述べた。 侵攻開始後、外国首脳として初めてウクライナ議会で直接演説したポーランドのドゥダ大統領は、国際社会はロシアの完全撤退を要求する必要があり、領土を犠牲にすれば西側全体に「甚大な打撃」になると述べ、ウクライナの立場を支持した。 「ウクライナが(ロシアの)プーチン大統領の要求を受け入れるべきという憂慮すべき声が上がっている」とし「ウクライナだけが、その将来を決める権利を持つ」と強調した。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアに対する経済制裁強化を改めて訴え「攻撃が停止されるべき時に、中途半端な措置を用いるべきではない」と述べた。 ウクライナのポドリャク大統領府顧問も21日、ロイターのインタビューで、即時停戦に合意する可能性を排除し、領土の譲歩が絡むいかなる合意も受け入れないと述べていた。 「(譲歩しても)戦争は終わらない。しばらく休止されるだけだ」とし「ロシアはより残忍で大規模な攻撃を新たに仕掛けてくる」との見方を示した。 また、即時停戦を求める声は「非常に奇妙」とし「(ロシア)軍はウクライナから撤退しなければならない。和平プロセスの再開はその後に可能になる」と述べた。 ここ最近では、オースティン米国防長官やイタリアのドラギ首相が即時停戦を呼び掛けている。 こうした中、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所を完全に制圧したロシアは、ドンバス地方のルガンスクで大規模な攻勢に出ている。 ルガンスクと隣のドネツクは侵攻開始前から親ロ派勢力が一部支配しているが、ロシアはドンバスでウクライナが依然支配する地域の掌握を目指している。 ウクライナ内務省のデニシェンコ顧問は22日、セベロドネツクやリシチャンスクの周辺で最も激しい戦闘が行われていると述べた。 ルガンスク州のガイダイ知事は地元テレビで、ロシア軍が「焦土」戦術を用いていると指摘。「セベロドネツクを地上から消そうとしている」と述べた。 ロシア国防省は22日、ドンバスと南部ミコライウに空爆や砲撃を行い、ウクライナの司令部や軍事施設、弾薬庫を攻撃したと発表した。
中国、米貿易構想をけん制 「特定国家の排除は間違い」
2022年05月23日
中国の王毅国務委員兼外相は22日、バイデン米政権が主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」について「特定の国家をわざと排除するなら間違っている」と強くけん制した。中国広東省広州でパキスタン外相と会談後、記者会見し述べた。 日米首脳、共同文書で台湾とウクライナ併記へ 中国をけん制
IPEFは中国に対抗する狙いがあるとされ、23日に東京で正式発足する予定。王氏は「自由貿易を推進すべきで、世界経済の回復に向け安定した産業のつながりを壊すべきではない」と述べ、米国を批判した。 米国のインド太平洋戦略も「本質は分裂をつくり出し、対立をあおって平和を破壊する戦略だ。最終的に必ず失敗する」と反発した。
スルガ銀不正融資「スジ悪物件で奈落に」438人の怒り
2022年05月23日
東京・霞が関の中央官庁街の一角、東京地裁に、司法記者クラブの会見場があります。今年4月半ば、その会見場で1人の女性が十数人の記者を前にマイクを握っていました。その記者会見は、スルガ銀行の不正融資の「被害弁護団」を率いる河合弘之、山口広両弁護士らによるものでした。河合氏が女性を紹介し、「被害者の一人です。話してください」と促し、女性は静かに語り始めました。【毎日新聞経済プレミア】 【写真】創業家の「かいらい」を否定した当時の会見 ◇「かぼちゃの馬車」は解決したが… 女性は「私は東京都内在住、50代の会社員です」と口を開き、手元の紙に目を落としながら言葉をつないだ。要約すると次の通りだった。 6年前、仲介業者の紹介で、シェアハウス「かぼちゃの馬車」1棟を7490万円で不動産会社から購入した。すべてスルガ銀行から借金した。不動産会社の破綻で家賃保証がほごとなり、返済義務だけが残った。ただ、弁護団の尽力で物件を代物弁済し借金を帳消しすることで決着をみた。 「でも、私の苦しみはまだ終わっていません」と女性は続けた。シェアハウス購入の1カ月前に、同じ仲介業者の紹介で、埼玉県熊谷市の中古賃貸マンション1棟を、投資として2億5920万円で買っていた。すべてスルガ銀行の融資だった。賃料収入は説明よりかなり少なく、多額の修繕費も必要となり借金返済に行き詰まった。 「いよいよ自己破産か、自殺して家族に不動産を残すべきか、夜も眠れぬ日々を過ごしました」。銀行に融資書類の開示を求めたところ、払ってもいない手付金の領収書が出てくるなど、素人目にも怪しすぎる点が多数見つかった。 「400人を超える被害者の一員として、弁護団とともにスルガ銀行と闘ってゆく決意をお伝えしたかった」。女性はこう述べた。記者の前で話すのはもちろん初めてだが、人に言えない話を聞いてもらい、うれしい感情がこみあげたという。 ◇シェアハウス購入者946人が和解 「かぼちゃの馬車」問題は、2018年に社会問題化した。スルガ銀行から借金をした多数の人が返済不能に陥り、「自己破産」の危機に直面した。 行員が不正に関与していたことがわかり、金融庁が銀行に業務停止命令を出した。購入者と弁護団は、銀行前のデモや株主総会での追及など激しい抗議活動を展開。銀行が白旗をあげ、20年、物件を返し借金をチャラにする「代物弁済方式」で銀行と購入者257人の和解が成立した。 シェアハウス購入者は、この257人だけではなかった。和解のニュースを知り、「自分も自分も」と購入者が次々名乗り出た。弁護団はその交渉も引き受け、今年3月に和解がすべて終了した。弁護団を通じて和解した購入者は946人に増え、物件数は1213棟、融資総額は1485億円にのぼった。 購入者は高知、山口以外の全都道府県に広がり、ドイツ、中国など海外6カ国の在住者もいた。スルガ銀行が「貸手責任」をすべて認め、前例のない決着となった。 ◇シェアハウスとは別の中古物件も だが、問題は終わらない。不正はシェアハウスだけでなく、投資不動産向け融資全般に広がっていた。和解した946人の中に、冒頭の女性のように「シェアハウスは解決したが、スルガ銀行に別の借金が……」という人が50人いた。 50人が購入したのは、築20年、30年たつ中古賃貸マンションの1棟ものだ。シェアハウスは新築だったが、こちらは築古(ちくふる)と呼ばれる。修繕費が次々と発生し、収支がすぐマイナスになる「スジ悪物件」ばかりだった。銀行は2億円、3億円といった過剰融資をしていた。預金通帳偽造などシェアハウスと同じ不正が見つかった。 50人のほかに中古物件だけの購入者も次々と相談にきて、弁護団に委託したのは388人に膨れ上がった。50人と合わせて計438人。物件数は791棟、借金は総額1051億円にのぼる。1人平均2億円を超す。 「かぼちゃの馬車」問題が表面化して4年あまり。「かぼちゃ」はほぼ解決した。だが、巨額の借金に今も苦しむ438人が「過剰融資の被害救済を」と訴え、弁護団ともにスルガ銀行と対峙(たいじ)している。
日本襲う物流危機、3割運べず? 損失年10兆円、カギ握るDX化【けいざい百景】
2022年05月23日
コロナ禍で外出が制限される中、インターネット通販の利便性が再認識された。だが、それを支える物流網はドライバー不足や効率化の遅れによる深刻な輸送力低下に直面しており、2030年には営業用トラックなどで輸送している荷物の約36%が運べなくなるとの推計すら存在する。政府も、物流面の課題を解決できなければ同年に最大で10兆円を超える経済損失が発生しかねないと危機感を募らせている。日本に迫る物流危機、克服の鍵を握るのは物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。(時事通信経済部 岩嶋紀明) 【写真】自動配送ロボット ◇深刻なドライバー不足 日本の国内貨物輸送量(重量ベース)の約9割は、営業用と自家用のトラックなど貨物自動車で運ばれており、まさに物流の屋台骨だ。 一方でトラックドライバーは、少子高齢化が進んでいることに加え、他業種と比較して1~2割低い賃金水準、約2割長い労働時間が敬遠されて、不足が深刻化している。道路貨物運送業の従事者は、1995年の約98万人から2020年に約66万人にまで減少。貨物自動車のドライバーの有効求人倍率は20年度が1.94倍で、全産業平均の1.01倍と比べても人手不足が特に深刻だ。日本ロジスティクスシステム協会の将来推計では、このままのペースで減少が続けば30年には約51万人にまで減少する可能性がある。 同協会はこれにより、15年に年間29.2億トンだったトラックなど営業用貨物自動車の輸送能力は30年に20.3億トンにまで減少すると予想。一方、ネット通販の普及などで小口配送を中心に物流需要は今後も増える見通しで、同年には年間31.7億トンの需要があると推計する。11.4億トンの需給ギャップがあり、需要全体に対し約36%が運べなくなってしまう計算だ。 物流需給の逼迫(ひっぱく)が発生すれば、荷主はより高い料金を払って運び手を奪い合う形になり、コストは上昇する。消費者にとっては食料品の値上げなどに拍車がかかるほか、企業にとっては材料が届かないために製品が作れないという状態になりかねない。経済産業省は問題を放置した場合、30年時点で国内総生産(GDP)を最大10.2兆円押し下げかねないと推計している。 ◇物流の「2024年問題」 物流危機をめぐり、政府や関係者が恐れるのが「2024年問題」だ。 18年に成立した働き方改革関連法により、24年4月からドライバーの時間外労働に年間960時間(月80時間)の上限規制が適用される。ドライバーの過重労働は職場環境を悪化させ、さらなる人手不足や事故の誘因となるため、必要な規制だが、ただでさえ働き手不足の物流業界にとっては痛手となる。 経産省のある幹部は、この年を境に需給バランスが崩れ、大幅な物流コストの上昇が発生しかねないと危惧。「日本経済の大きな成長制約要因になる。もう尻に火がついている状態だ」と話す。 迫る物流危機をどう克服するか。少子化の中で働き手の急増が見込めない以上、鍵を握るのはDXによる物流の効率化だ。コロナ禍で日本のデジタル化の遅れが強烈に意識されたが、物流業界は特に深刻だという。 ある物流業界の関係者は「運送事業者ではいまだに電話とファクスが主力。平成どころか昭和時代の職場のままだ」と嘆息する。
トラック運転手のオアシス「トラックステーション」閉鎖相次ぐ ネット通販需要&ユーチューバー熱視線も、一体なぜなのか
2022年05月23日
最初のTSは1976年にオープン

埼玉県さいたま市にある「大宮トラックステーション」(画像:(C)Google)
皆さんは、トラックステーション(以下TS)をご存じだろうか。TSとはトラックドライバーの休憩や宿泊、情報収集などのための施設で、飲食施設、簡易宿泊施設・仮眠施設、コンビニ、コインシャワー、コインランドリー、休憩所、自動販売機、トイレ、駐車場、情報提供施設などから構成される。 【一目瞭然!】全国の「トラックステーション」を見る(12枚) 1976(昭和51)年に最初のTSがオープンして以来、全国の主要国道沿いに開発が進展した。現在は北海道の札幌TSから大分県の大分TSまで25施設が営業している。高度経済成長期には国内の物流が一気に拡大し、長距離トラックがその物流の担い手となっていった。 しかし、国内を縦断する長距離運転は過重な労働である。トラックドライバーの労働環境の改善を図るためには休憩施設などの環境整備が必要であるとされ、 ・営業用トラックの輸送力の確保 ・輸送サービスの改善 ・安全運行の確保 などに資するために創設された運輸事業振興助成交付金による事業として整備が推進された。 TSは全日本トラック協会が運営している。TS内の施設の利用は協会員であるトラックドライバーが優先だが、すいていれば飲食店など一般の人が利用することもできる。なかには、ラーメンチェーン店を展開するゆにろーず(茨城県取手市)のガッツリ系人気ラーメン店「にんたまラーメン」が入居しているTSもある。 同店は2006(平成18)年に茨城TSに出店したところ、トラックドライバーの人気が非常に高く、トラック協会からの要請で他のTSにも入店することになった。テレビ番組でも取り上げられ、大食いYouTuberがデカ盛りチャレンジをしている。 また、そのほかのTSにある食堂はトラックドライバー対象だけあってボリュームがあり、昭和っぽさが何か懐かしくもある社員食堂のようなメニューになっている。朝食ビュッフェを実施しているところもある。
施設老朽化で近年閉鎖相次ぐ

神奈川県大和市にある「東神トラックステーション」(画像:(C)Google)
そのTSだが、2010年代後半ごろから閉鎖する施設が相次いでいる。また、施設を縮小したり、年中無休から休日を設けるようになったり、営業時間を短縮したりするなど、事業を縮小する傾向が見られる。 閉鎖は施設の老朽化によるものが多い。そのほかに、開発当時と比べてTS以外にもトラックドライバーが休憩・宿泊できる機能が拡充されてきたこともある。現在はコンビニが普及して、高速道路のサービスエリア(SA)にも休憩スペースや安価な宿泊施設、コインシャワーなどが付帯されている。 さらに、携帯電話の普及などによって情報の入手も容易になっていることから、TSの必要性はうすらいでいると言われている。しかし、休憩所の不足を訴える声はあちこちで上がっている。 近年、国内経済は停滞しているものの、ネットでの売買の活発化、海外大手ECの日本参入などで、むしろ物流が活発化している。さらに、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出せずに購入できるECが幅広い層に浸透し、コロナ収束後も拡大すると見られている。 それに伴い、物流の拡大も継続すると言えるだろう。しかし、その物流を担うトラックドライバーは慢性的な人手不足にあり、さらに若い担い手が少なく、ドライバーの高齢化が言われている。業界では「ホワイト物流」(ブラックではないということか?)と名付けて労働環境の改善を目指しており、高齢者や女性でも働きやすい環境を構築するとしている。では、TSの代わりはどうなるのだろうか?
お中元、贈答品から気軽なギフトへ 若い世代の活用広がる
2022年05月23日
百貨店のお中元商戦が口火を切った。「季節のごあいさつ」といった格式高いイメージが強いが、近年は身近な人や自分用に購入する若い世代が増えている。新型コロナウイルス禍で生活スタイルが多様化し、お中元のあり方にも変化が訪れている。 【写真】そごう・西武が提供する人気店「代官山 シェ・リュイ」のカレーパンセット 「定番商品は残しつつ、『お中元っぽくない』が今後のテーマだ」 そごう・西武の担当者は最近の傾向についてこう打ち明ける。定番は洋菓子やビールなどだが、コロナ禍の巣ごもり需要で商品の選択肢が拡大。年末のお歳暮も含めると、パンの詰め合わせといった5千円前後の商品が人気だという。 コロナ禍では気軽に人と会えなくなったことで、これまでお中元の習慣がなかった30~40代の需要が増加。オンラインを活用したより手軽な商品では20代も増えている傾向にある。 客層の若返り化に向け、こうした需要を取り込もうと百貨店各社もラインアップに工夫を凝らす。 大丸松坂屋百貨店は今年の夏休みも帰省を控える傾向が続くとみて、自宅用とカジュアルギフト用の商品を取りそろえた。高島屋は日常生活は戻りつつあるとして、人混みを避けるキャンプや自宅の庭で楽しむガーデンパーティーなどに向く商品も用意。東武百貨店は自宅にいながら旅気分を味わえる各地の商品をそろえる。三越伊勢丹はプロの味を自宅で楽しめる冷凍弁当が人気だとして、今年からお中元のラインアップに加えた。
