イギリス“禁煙支援”で電子たばこ無料配布へ 妊婦へのクーポン配布も
2023年04月12日
イギリス政府は、11日、喫煙者数を減らすための世界初の施策として、紙巻きたばこから電子たばこへの切り替えを奨励し、電子たばこのスターターキットを無料で配布すると発表しました。 イギリス政府は、11日、人口に占める喫煙者数を、現状の13パーセントから5パーセント以下に減らすための施策を発表しました。 将来的な禁煙のため、100万人の喫煙者に対して紙巻きたばこからの切り替えを奨励して、電子たばこのスターターキットを無料で配布するほか、喫煙者の妊婦に対して、禁煙のための支援と、クーポンを配布するとしています。 オブライエン保健相は、毎日電子たばこを使用している人は禁煙する可能性が3倍高くなるという調査結果を示した上で、「禁煙を支援するための電子たばこの可能性を生かす良い機会だ」と述べました。 一方で、電子たばこをめぐっては、未成年の使用が増えていることから、イギリス政府は、未成年の電子たばこへの依存度を減らす取り組みも並行していくということです。
IMF、世界経済見通しを下方修正 金融不安で警戒レベル引き上げ
2023年04月12日
国際通貨基金(IMF)は11日、最新の世界経済見通しを発表した。2023年の世界経済成長率を2・8%と前回の見通し(1月)から0・1ポイント引き下げた。24年も3・0%と0・1ポイント下方修正した。米国で3月に起きた銀行の経営破綻を受け、世界経済見通しは「下振れ方向に大きく傾いている」と指摘。インフレの鈍化で「世界経済の悪化リスクは和らいでいる」との見方を示していた前回から一転して警戒レベルを引き上げた。 【最低賃金 都道府県ランク制度の再編案】 米国では3月に中堅のシリコンバレー銀行など2行が相次いで経営破綻した。インフレ抑制を目的とした米連邦準備制度理事会(FRB)の急激な利上げで保有する米国債の価格が下落したことが原因で、中小規模の銀行からの預金引き出しが加速するなど金融不安が広がった。同じ時期にはスイス金融大手のクレディ・スイスが経営危機に陥り、市場は動揺した。 IMFは、欧米の金融当局が「金融システム安定のため断固たる行動をとった」と評価し、金融引き締めにより徐々にインフレが鈍化し世界経済が正常化していくというメインシナリオを維持した。ただ、金融不安の影響で銀行が融資を渋るようになれば世界経済を強く下押しすると分析。このリスクシナリオに基づけば、23年の世界経済成長率は2・5%、24年は2・8%にそれぞれ鈍化するとの見通しを示した。 国・地域別の23年の経済成長率見通しは、米国が1・6%と0・2ポイントの上方修正。中国は5・2%で前回から変えなかった。 一方、日本は22年10~12月の経済が予想より悪かったのを反映して1・3%と0・5ポイント下方修正した。インフレがなかなか収まらないドイツはマイナス0・1%と0・2ポイント下方修正し、マイナス成長に転落すると予測。同じくインフレに苦しむ英国はマイナス0・3%とし、0・3ポイント上方修正したもののマイナス成長予測を変えなかった。 世界のインフレ率は、23年は7・0%と22年の8・7%から鈍化し、24年には4・9%になると予測。ただ、人手不足を背景にした賃金上昇などインフレ圧力は予想以上に根強く、「物価が多くの国で元通りになるには25年までかかる」との見通しを示した。
名古屋以西のアセス見送り リニア新幹線でJR東海
2023年04月12日
JR東海の宇野護副社長は11日、リニア中央新幹線名古屋-大阪間の整備に向けた環境影響評価(アセスメント)について「今年度やることは考えていない」と明らかにした。政府は令和5年からアセスに着手できるよう同社を指導・支援する方針を示していた。静岡県が着工を認めていない静岡工区問題の長期化が要因。静岡工区の環境保全に関する国の有識者会議後、報道陣に語った。 【地図でみる】リニア中央新幹線のルートと開業時期 静岡工区問題の長期化でJR東海が目指していた東京・品川-名古屋間の令和9年開業は延期が不可避となっており、その後に予定している名古屋-大阪間の19年開業も既に困難との見方が示されている。 同区間のアセスについて宇野氏は「静岡工区の見通しがはっきりした段階で考えていく話」と説明した。現時点で名古屋以西のルートは決まっていない。
電気料金値上げ、6月以降の公算 負担軽減へ、審査厳格化で先送り
2023年04月12日
大手電力7社の家庭向け規制料金の値上げは6月以降となる公算が大きくなった。経済産業省は11日、値上げ幅を審査する有識者の専門会合を開催したが結論は出なかった。家計負担の軽減に向け審査を厳格化しており、7社のうち5社が当初値上げ実施を目指した4月から2カ月以上先送りされる見通しとなった。また6社は直近の燃料価格の下落を反映させ申請中の上げ幅をいったん圧縮したが、今後の審査でさらなる対応を求められる可能性がある。 【写真】「東京―電力―」大手電力と誤解させるサイト 契約誘導、政府が注意喚起
東北と北陸、中国、四国、沖縄電力の大手5社は4月から、北海道、東京電力の大手2社は6月からの値上げをそれぞれ申請している。 経産省が11日開いた専門会合では、各社が再算定して上げ幅を圧縮した燃料費の妥当性や経営効率化の取り組みを議論した。有識者は、値上げ幅圧縮に向けた効率化について「もう一度吟味して深掘りしてほしい」「本当に厳しい競争をしているのか」などと指摘し、さらなる徹底を求めた。
バフェット氏「100年生き延びる企業に投資」 新たな候補も探る
2023年04月12日
米大手投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼最高経営責任者(CEO)で、世界的な投資家のウォーレン・バフェット氏(92)が11日、東京都内で朝日新聞の単独インタビューに応じた。バークシャーにとって、日本が米国に次ぐ規模の投資先になったと明らかにした。「信頼できる経営陣と、我々が理解できるビジネスを探している」などと語り、日本での投資拡大に意欲を示した。 【写真】AI・格差拡大・気候変動…世界の課題についても語るバフェット氏 優良株の長期保有を重んじるスタイルが一般投資家から幅広い支持を集め、バフェット氏は「投資の神様」とも呼ばれる。本拠を置く米中西部ネブラスカ州オマハにちなみ「オマハの賢人」と称されることもある。11日は投資先との面談などのため来日中だった。 バフェット氏は、日本の5大商社の三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事への投資について、持ち株比率をそれぞれ7・4%まで高めたことも明らかにした。商社株はバークシャーにとって日本への初の本格的な投資で、2020年に5%超を取得したと発表し、昨年は6%超まで買い増していた。 バフェット氏は、各商社が配当を定期的に増やしてきたことなどが「期待を上回った」と語った。商社は「規模が巨大で、(事業が)理解しやすく、実績もある」とし、傘下に多様なビジネスを持つことがバークシャーに似ているとも指摘。「これから約100年、そして永遠に生き延びるだろう」と語った。 商社以外の日本企業への投資についても「今後10年、20年とうまく続いていくようなビジネスや人々を求めている」と語り、新たな候補を探っていることも明らかにした。「私の理解が及ぶような、全ての日本の大企業」を調べていると述べた。
カジュアルなパッケージでカフェイン量は“エナドリ超え” サントリー「ボスカフェイン」が物議、サントリーの見解は
2023年04月12日
サントリーの缶コーヒーBOSS CAFFEINE(ボスカフェイン)が、カジュアルなパッケージに反してカフェイン量が多すぎるのではないかとネット上で物議を醸しています。どのように認識しているのか、サントリーに見解を聞いてみました。 【画像】ボスカフェインを全種見る ボスカフェインが発売されたのは3月28日で、ラインアップは「ホワイトカフェ」と「キャラメルカフェ」の2種類。仕事や勉強、スポーツや運転などのシーンにおいて、エナジードリンクと同様に缶コーヒーを“使う”若い世代に着目して開発されました。 現在注目されているのは、商品の特徴でもあるカフェインの含有量。245ミリリットルの内容量に対して、カフェインが200ミリグラム含まれています。レッドブルは250ミリリットルに缶80ミリグラム、モンスターエナジーが355ミリリットル缶に142ミリグラムのカフェイン含有量であることを考えると、確かにかなり多い印象です。 また、含有量に対してパッケージが一般的な缶コーヒーと変わらない、カジュアルなものである点も注目を集めています。エナジードリンク系はケミカルなデザインが飲み過ぎを抑止する精神的な防波堤となってくれるのに対し、ボスカフェインはそういったものがないのではないかと指摘されています。 これらの意見に対し、サントリーではどのように考えているのでしょうか。話を聞いてみました。 ―― ボスカフェインのカフェイン含有量が話題になっていたことについては把握していましたか。 サントリー: お客さまからさまざまなご意見をいただいていることは、把握しております。 ―― 他のコーヒーに比べて特にカフェイン量が多いのでしょうか。 サントリー: 通常の缶コーヒーよりは高めのカフェイン量となっておりますが、通常のコーヒー飲料全般の中では、カフェイン量が著しく高いわけではございません。ご参考までに、1本あたりコーヒー飲料カフェイン量目安は以下のようになっています。 ・ボトル缶:およそ200~260ミリグラム/本 ・ペットコーヒー:およそ150~250mg/本 ・缶コーヒー:およそ70~160mg/本 ・ボス カフェイン:およそ200mg/本 ―― カフェイン量に対してパッケージがカジュアルすぎると話題になっていますが、特に問題はない認識でしょうか。 サントリー: 本商品は、仕事や勉強、スポーツや運転などのシーンにおいて、日常的に飲みやすいコーヒーの味わいながら、カフェインを目的にコーヒーを飲まれる方に向けて開発した、新たなコーヒー飲料です。 しかしながら、この度のお客さまのご意見につきましては真摯(しんし)に受け止め、本商品の製品上の表示および告知物の表示の参考にさせていただきたいと考えております。 ―― 小さな子どもが飲んでも問題ないでしょうか。 サントリー: カフェインを含んだコーヒー飲料であるため、カフェインに対する耐性には個人差がありますが、小学生以下の小さなのお子様や妊娠中また授乳中の方、カフェインに敏感な方などへの飲用はお控えいただければ幸いです。 ―― エナジードリンクのような注意書きは付けないのでしょうか。 サントリー: 「ボス カフェイン」というネーミングに加え、カフェイン含有量を正面、ならびに栄養成分表示欄にも記載し、告知物においてもカフェイン含有量を表示するなどお客さまに適切に判断していただけるように努めております。 しかしながらこの度のお客さまのご意見につきましては真摯に受け止め、本商品の製品上の表示および告知物の表示の参考にさせていただきたいと考えております。 なお、注意書きに関しては、業界団体(一般社団法人 全国清涼飲料連合会)の表示に関するガイドラインに従い、カフェインを多く「添加」した清涼飲料水(例:エナジードリンクなど)については、通常、パッケージに含有量を記載しております。
参院大分補選、与野党一騎打ち 物価・少子化争点、政権評価問う
2023年04月07日
23日投開票の衆参5補欠選挙の先陣を切り、参院大分選挙区補選が6日、告示された。 【図解】政党支持率の推移 自民党公認の新人で飲食店経営の白坂亜紀氏(56)=公明推薦=、立憲民主党公認で元参院議員の吉田忠智氏(67)=共産、社民支持=の2人が立候補を届け出て、与野党一騎打ちとなった。 物価高や経済への対応、子育て支援策、防衛力強化などが争点となる。国政選挙は昨年夏の参院選以来。衆院4補選と合わせ、発足1年半が過ぎた岸田政権の「中間評価」を問う選挙となる。 大分補選は、野党系無所属議員が県知事選出馬のため辞職したことに伴う。自民は白坂氏を公募で選定。野党は国民民主党県連も吉田氏支援に回り、自主投票とした日本維新の会を除き「共闘」が実現した。 岸田文雄首相は6日、首相官邸で記者団に「重要な選挙だ。自民党、与党一丸で取り組む」と強調。5補選の勝敗ラインについては「それぞれの勝利を目指して努力する」と述べるにとどめた。 立民の泉健太代表は大分市内で開かれた出陣式に駆け付けて演説。「岸田政権は国民生活や県民所得、物価高の大変さを全く分かっていない。こんな政治を変えなくてはいけない」と訴えた。 11日告示の衆院4補選は、政治資金問題で薗浦健太郎氏=自民離党=が辞職した千葉5区、岸本周平氏=国民離党=が知事に転じたことによる和歌山1区、自民の岸信夫前防衛相が辞職した山口2区、自民の安倍晋三元首相の死去に伴う山口4区。 内閣支持率の回復基調を受け、早期の衆院解散観測も浮上。岸田文雄首相にとって、5補選の結果次第で早期解散も視野に入るとみられるが、敗北が相次げば求心力が再び低下しかねない。
天皇陛下がインドネシア訪問へ 今年6月後半にも 皇后さまの同行は体調をふまえて検討
2023年04月07日
天皇陛下が即位後初の国際親善として、ことし6月後半にもインドネシアを訪問される方向となりました。政府が発表したもので、皇后さまの同行については、ご体調を踏まえて検討するということです。 松野官房長官は6日午後の会見で、「出来れば本年6月後半にも天皇陛下にインドネシアをご訪問いただく方向で調整を行っていく」と発表しました。 皇后さまの同行については、「今後の皇后陛下のご体調を踏まえて検討することになる」と、述べました。 ことしは、日本とASEANの友好協力50周年にあたり、インドネシアはASEANの議長国を務めています。 インドネシアからは度々招待が寄せられていて、去年来日した大統領夫妻が天皇皇后両陛下と面会した際にも、ジョコ大統領から「ぜひインドネシアにおこしいただきたい」と言及があったということです。 皇后さまについてはご体調には波があることから、医師団とも相談し、慎重に検討するということです。
犯罪組織が活動しやすい?カンボジアに詐欺団拠点、日本人19人拘束…マニュアル発見
2023年04月07日
カンボジアを拠点にしていた日本の特殊詐欺グループの男19人が現地当局に拘束され、警視庁が6日、詐欺容疑で逮捕状を取ったことが捜査関係者への取材でわかった。「有料サイトの未払い料金がある」と偽り、電子マネーを詐取する手口だった。警視庁は近く捜査員を現地に派遣して身柄の引き渡しを受け、日本に移送して逮捕する方針だ。 【写真】男たちがザコ寝…「ルフィ」らが拘束されていたマニラ近郊の収容所
捜査関係者によると、発端は1月中旬、「日本の詐欺グループがホテルを拠点にしている」との情報が現地の日本大使館に寄せられたことだった。

(写真:読売新聞)
大使館から連絡を受けた現地警察が同月下旬、首都プノンペンから約180キロ離れた同国南部シアヌークビル州のリゾートホテルを捜索し、日本人の男19人の身柄を確保した。
19人は20~50歳代で、取り調べに「観光目的で入国した」などと説明したという。だが、借りていた客室のうち、事務所として使っていたとみられる客室からは、大量の携帯電話や複数のパソコンのほか、詐欺の手口が書かれたマニュアルなどが見つかった。
警視庁が調べたところ、NTTドコモを装って日本の携帯電話にショートメールを送りつけ、メールに記載した番号に電話をかけてきた被害者に「有料サイトの未払い料金がある」とうそを言い、電子マネーを購入させる手口だった。
被害者がかけた電話番号と、カンボジア当局が押収した携帯電話のラベルに記載されていた番号が一致したという。
逮捕状の容疑は、1月下旬、東京都内の60歳代女性から約25万円相当の電子マネー「ビットキャッシュ」をだまし取った疑い。
19人は現在、現地の警察施設内に収容されているとみられる。警視庁は今後、現地当局にも協力を求めながら、詐欺グループの実態解明を進める。
警察庁によると、有料サイトの未払い料金名目を含む架空請求詐欺の被害額は昨年、全国で約100億円に上った。19人が拘束された後の今年2月も各地で約11億円の被害が出ており、同様の手口を用いる詐欺グループがほかにも存在するとみられる。
台湾の蔡総統、米下院議長とカリフォルニア州で会談 中国との危険な三角関係の今後は
2023年04月07日
ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、BBCニュース 台湾の蔡英文総統は5日、アメリカ・カリフォルニア州で米下院のケヴィン・マカーシー議長(共和党)と会談した。 蔡総統は先週、訪問先の中米に向かう途中で米ニューヨークに立ち寄り、歓迎を受けた。4日には中米歴訪を終えて経由地カリフォルニア州に入っていた。 支持者は台湾の旗を振って蔡氏を歓迎した。蔡氏とマカーシー氏は、会談場所のロサンゼルス近郊のロナルド・レーガン大統領図書館に入った。上空では、「一つの中国! 台湾は中国の一部だ!」と書かれたバナーを付けた小型飛行機が飛んだ。 蔡氏は短い声明を発表。台湾の民主主義は「前例のない試練に直面している」とし、「アメリカがそばにいてくれることに感謝している」と付け加えた。 中国外務省は、アメリカと台湾による「結託という深刻な、誤った行動」だとして今回の会談を非難した。 ■危険な三角関係に陥る台湾 蔡氏の訪米のタイミングは偶然とは思えない。米国内では中国に対する深い敵意が増大している。そのため、米民主党と共和党は競い合うように、台湾への支持をこれまで以上に公然と表明するようになっている。 マカーシー下院議長の前任のナンシー・ペロシ氏(民主党)が昨年8月、中国の猛反発を受けながらも台北訪問を熱望し実現させたのも、こうした背景が大きく影響している。中国政府が自国の領土だと主張する、自治権を有する台湾島は間違いなく、米中間の最大の火種となっている。 「私個人としては、ペロシ氏の(台湾)訪問には反対していた」と、アメリカ在台協会(AIT)の元所長ウィリアム・スタントン教授は言う。「アメリカのハイレベル訪問にはたいした見返りもなく、中国を刺激するだけだった。(訪台がもたらした)結果は非常に恐ろしいものだった」。 中国のミサイルが台湾の上空を飛び交い、中国政府はぞっとするような脅しをかけてきた。周辺の各国政府は、中国が台湾に侵攻する時期について真剣に語り始めた。 それにもかかわらず、マカーシー氏は今年1月に下院議長に選出されるとすぐ、ペロシ氏の例にならうとの意向を表明した。しかし蔡氏は、それが得策ではないと判断したと、スタントン氏は指摘する。 「ケヴィン・マッカーシー氏がペロシ氏にならいたいと考えていたのは明らかだったと思う」とスタントン氏は分析。これに対し、蔡氏は「結構です。代わりにカリフォルニアで一緒にお茶はいかがですかと、言ったようだ」と述べた。 蔡氏はアメリカの指導者が再び台湾を訪問することを望んでいないのかもしれない。しかし一方で、民主的に選出された台湾政府と最も強力な同盟国アメリカとの連絡を遮断するという試みが成功することはないと、中国に示す必要もある。 そこで、カリフォルニアでの会談となった。中国はアメリカが「台湾問題で火遊びをしている」と警告しているが、マカーシー氏は今回の会談を「超党派によるもの」だと述べ、軽視する様子はまったく示していない。 その後ホワイトハウスは、中国政府が今回の会談に「過剰反応」する必要はないとした。 このいわゆる「トランジット(経由地)外交」は台湾にとって極めて重要だと、オーストラリア国立大学の政治学者ウェンティ・スン氏は言う。 中国は長年にわたり、台湾の正式な同盟国の多くを奪うことに成功してきた。台湾政府を承認する国はわずか13カ国にまで減っている。 「このような国際訪問は、台湾社会が国際的承認を必要としていることと一致する動きだ」とスン氏は指摘。「国際的承認が無い場合、国際的な支持があることを示す代理指標が台湾にとって重要になる」とした。 ■中国の動き こうした中、中国共産党は蔡氏の前任、馬英九氏を中国大陸に招き、魅力攻勢(相手の心をつかむために意識的に親切に温かく接すること)をしかけている。 馬氏は、表向きは先祖に敬意を表するため、前例のない5都市訪問を行った。中国中部にある先祖の墓にも足を運んだ。しかしこの訪問には政治的な意味合いもある。実際、台湾総統経験者が中華人民共和国に招かれたのは、1949年の建国以来初めてのことだ。 「中国政府は台湾に対するトーンを和らげ(中略)より多くの人の心をつかみ、(2024年の)総統選挙で台湾のナショナリズムが高まるのを避けようとしている」と、スン氏は説明。馬氏の訪中は、そのために必要な「政治的な隠れみの」を与えるものだとした。 先週、南京に降り立った馬氏は、極めて政治的な演説を行った。「台湾海峡の両岸にいる人々は中国人だ。そしてどちらの人も炎帝および黄帝の子孫だ」。 「中国政府が馬英九氏に好意的なのは、同氏が屈服の象徴だからだ」と、スタントン教授は言う。「彼は『自分たちはみな中国人だ』と言っている。これは彼と中国側が同意していることであり、台湾人が同じ意見というわけではない」。 ある調査では、台湾の住民の60%以上が中国人ではなく、台湾人を自認していることが示されている。そして、台湾の人々の半数以上が、中国との戦争が起こり得ると考えている。 馬氏の狙いは、台湾の有権者に、戦争を回避できるのは自分の党(中国国民党、KMT)だけだと納得させることだと、スン氏は言う。 「台湾海峡の両岸を結ぶ橋渡し役として、馬氏のレガシーを確固たるものにするのが狙いだ。国内の政治レベルで言うと、台湾の総統選キャンペーンが始まろうとしていることも関係している。KMTは自分たちが中国との平和をもたらすことができると主張している」 しかし、台湾にアプローチしているアメリカと中国の関係が悪化していることには、あえて触れていない。今日の米中関係は、1979年にアメリカと中国がお互いを公式に承認して以来、最悪レベルだと、米シンクタンク、ジャーマン・マーシャル財団のアジアプログラム責任者ボニー・グレーザー氏は言う。 「彼ら(中国政府)はバイデン米大統領や米国防総省からの電話に応じていない。米議会は中国を実存的な脅威だと明言している」 米政府は何十年もの間、かなり微妙な現状を維持してきた。中国政府は中国大陸に一つしかないという北京の立場を支持しないまでも、認めてきた。1970年以降は、台湾ではなく中国政府との正式な関係を維持している。一方で、台湾政府とは揺るぎない同盟関係であり続け、台湾の自衛支援を保証してきた。 しかしいま、ある懸念が浮上している。過去40年以上にわたって台湾海峡の平和を維持することにつながった現状を、アメリカが変更しようとしていると、中国が考えているというものだ。 グレーザー氏によると、「バイデン大統領は習近平国家主席に対し、台湾を武器として利用しないこと、台湾の中国からの分離を支持していないことを伝えている」という。 ただ、こうした請け合いは、台湾の指導者との公式訪問や公式会談においてはあまり意味をなさないだろうと、グレーザー氏は付け加えた。 つまり、馬氏が中国を訪問し、蔡氏がカリフォルニアでお茶を飲んでいる中で、習氏が電話に応じることも台湾は求めている。
