金融向けITの監督・規制を強化…日米欧当局、指針作成へ
2021年10月27日
金融庁が、主要国の金融当局と連携し、金融機関が使うIT企業のサービスへの監督・規制を強化することがわかった。インターネットバンキングなどではIT企業への依存度が高く、障害やトラブルが起きれば利用者に大きな影響を与えかねないためだ。金融機関に委託先企業との連携を徹底させることなどを想定している。 【写真】1円玉を500枚持ち込んでも預金額は「0円」…手数料の仕組み
クラウドやブロックチェーン

(写真:読売新聞)
日米欧といった主要国の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)が来年1月にも大手IT企業に対する具体的な規制指針の作成に着手し、早ければ2023年度の導入を目指す。金融庁は並行し、国内での具体的な監督や規制のあり方について近く検討に入る。
対象として想定するのは、データをネット上で管理するクラウドサービスや、複数のコンピューターで取引データを記録し合うブロックチェーンといった仕組みだ。
金融機関は、預金や決済を管理する基幹システムは自前で整備する一方、アプリなどスマートフォンやインターネットを活用したサービスでは、IT企業のクラウドサービスを使う例が増えている。クラウドサービスは、米国のIT大手による寡占が進む。米調査会社によると、米アマゾン・ドット・コム傘下企業が運用する「アマゾン・ウェブ・サービス」(AWS)、マイクロソフト、グーグルの3社で合計のシェア(市場占有率)は60%を超えているとみられる。
国内のAWSで9月、障害が起きた際は、三菱UFJ銀行やみずほ銀行、SBI証券や松井証券など幅広い金融関連のネットサービスで接続しづらくなるといった影響が出た。金融庁は、金融機関がIT企業側と十分な意思疎通ができなければ、金融サービス全体の不安につながりかねないとの懸念がある。
ただ、金融庁は、IT企業に対し銀行法や金融商品取引法に基づいて直接監督する権限はない。このため、銀行や証券会社に対し、同業同士で連携してIT大手への発言力を強めたり、システムの稼働状況や問題点を共有したりするよう求めたい考えだ。
米テスラ、時価総額1兆ドル突破 ハーツから10万台受注
2021年10月27日
米電気自動車(EV)大手テスラの時価総額が25日、1兆ドルを突破した。米レンタカー大手ハーツから過去最大の注文を受けたのが追い風となった。ハーツはテスラからEV10万台を購入する計画を発表した。 テスラの株価は一時14.9%高の1045.02ドルを付け、最新の届け出に基づくロイターの試算によると、世界の自動車メーカーの中で時価総額が最大となった。終値は12.7%高の1024.86ドル。 テスラの量販車種「モデル3」が欧州の月間新車販売台数でEVとして初めて首位になったとの報道も株価を押し上げた。 テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)自身、株価の急騰ぶりに驚きを示した。同氏は投資ファンド、ガーバー・カワサキの共同創設者でテスラ株主であるロス・ガーバー氏のコメントに対し「テスラは主に増産が問題なのであり、需要が問題ではないため、(受注のニュースが)バリュエーションを動かしたのは不思議だ」とツイートした。 テスラは自動車メーカーとして初めて、米アップル、米アマゾン・ドット・コム、米マイクロソフト、米アルファベットなど1兆ドル企業の仲間入りを果たした。 大半の自動車メーカーの場合、レンタカー会社への販売は特に大きなニュースにはならない。売れ行きの良くないモデルを値引きして販売することが多いためだ。 ただ、テスラやその投資家にとって、2022年末までにテスラ車10万台を購入するハーツの決定は、EVがもはやニッチ商品ではなく、近い将来に量販車市場で優位に立つことを示している。 ハーツのマーク・フィールズ暫定CEOはロイターのインタビューで「EVは今や主力であり、世界的な需要と関心の高まりが見られ始めているところだ」と述べた。 また、今回の注文の中心はモデル3になるとした。テスラ車は11月からハーツの店舗で借りられるようになる。 フィールズ氏は「これが当社の競争力の優位性をもたらすと強く確信している。私たちは、モビリティのリーダーになりたいと考えている。EVを顧客に体験してもらうことは絶対的な優先事項だ」とコメントした。 ハーツは世界で43万台から45万台の車両を保有しており、EVを生産する他の自動車メーカーとも協力していくとした。 テスラのセダンで最も安価なモデル3の車両価格は約4万4000ドルから。今回の注文が全てモデル3の場合、約44億ドル相当となる。 フィールズ氏は、ハーツの発注額についてコメントを控えた。テスラのコメントも現時点で得られていない。 ハーツによると、今回の発注によって全世界の保有車両に占めるEVの割合は20%超となる。 ハーツは、自社のネットワーク全体に数千台の充電器を設置。モデル3の利用者は、米国と欧州にある3000カ所のテスラの急速充電拠点を利用できる。 モルガン・スタンレーのアナリストは、テスラの目標株価を33%引き上げ、1200ドルとした。今後も販売台数を伸ばし、30年には800万台を超えると予想している。
ショッピングセンターなどの「共通投票所」、前回選の7倍に…衆院選
2021年10月27日
総務省は26日、衆院選(31日投開票)で、商業施設など利便性の高い場所で投票できる「共通投票所」が、2017年の前回選の約7倍となる48か所で過去最多になったと発表した。当日の投票所は、前回選よりも1275か所減少し、4万6466か所となる。
共通投票所は、投票率向上のため、ショッピングセンターや公共施設に設けられる。同じ自治体の有権者であれば投票が可能で、国政選では16年参院選から導入された。二重投票を防ぐためのシステム導入で経費はかかるが、既存の投票所を共通投票所に集約することで人件費の削減ができる。
今回は11道県の17自治体が48か所で導入し、前回衆院選の4道県の4自治体、7か所から大幅に増えた。過去2回の参院選をあわせても最多となった。
投票所は過疎化などで減少の一途をたどっており、ピークだった00年衆院選の5万3434か所から13%減った。前回と比較すると45都道府県で減り、減少数が最も大きかった秋田県では109か所減少した。
一方、期日前投票所の設置数は5940か所で、前回衆院選よりも556か所増加し、過去最多となった。総務省は、新型コロナウイルス対策の一環で分散投票を呼び掛け、自治体に積極的な設置を求めていた。
こども庁」法案、通常国会提出へ=政権継続なら人事変えず―岸田首相【21衆院選】
2021年10月27日
岸田文雄首相は26日夜のBSフジ番組で、子どもに関する諸施策の司令塔となる「こども庁」創設に向け、来年の通常国会に関連法案の提出を目指す考えを明らかにした。 【図解】社会保障関連の主な各党公約 「年内にも与党でしっかり結論を出し、来年の通常国会に法律を出すことができればと思う」と述べた。 31日投開票の衆院選の結果、政権が継続する場合の閣僚人事について「先日、内閣を立ち上げたばかりだ。基本的に変えることは考えていない」と明言。経済対策を盛り込む2021年度補正予算案の年内成立、22年度予算案の年内編成を目指す方針も示した。 衆院選の情勢をめぐっては「100近い選挙区で大激戦が続いている。ちょっとした流れの変化でバタバタと負けるかもしれない。逆にどっと勝利を得るかもしれない」と述べた。
タダでは立候補できない日本 高額の「供託金」なぜ必要?
2021年10月27日
日本では、タダでは立候補できない。立候補前に供託金を納める必要があるからだ。一定の得票数に達しなければ、没収されてしまう。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で供託金制度を設けている国は少数派。しかも、日本は最高額で「憲法で保障された立候補の自由を制約している」との批判もある。【道下寛子/デジタル報道センター】 【選択的夫婦別姓を巡る議論】
衆院選の供託金は小選挙区300万円、比例代表は600万円。重複立候補の場合は比例代表分の300万円が減額されるが、計600万円が必要だ。小選挙区では有効投票総数の10分の1に達しなければ供託金は没収され、国の収入になる。
2017年の前回衆院選では、小選挙区で174人分の5億2200万円、比例は10団体の9億9000万円が没収された。ちなみに、地方選挙でも供託金制度があり、20年7月の東京都知事選に立候補した22人のうち、上位3人以外は供託金300万円が没収された。
総務省「乱立を防ぐため」
供託金制度は昨年12月に町村議選(15万円)にも導入され、全ての公職選挙に広がった。なぜ必要なのか。総務省は「当選を争う意思のない人が売名などの目的で無責任に立候補することを防ぐため」と説明する。
日本では、資産に関わらず立候補や選挙運動の機会を与えるため、国や地方自治体が選挙運動用ポスター製作費や選挙カーのレンタル代・燃料費といった運動費用の一部を一定の範囲で公費負担する「選挙公営」制度が導入されている。供託金制度によって、無責任な候補を抑制して公費負担を減らしたり、街中を選挙カーが走り回る事態を避けたりしたい――というのが国の考えだ。
供託金制度は1925年公布の「普通選挙法」に始まった。公職選挙法が制定された50年当時は3万円だったが、貨幣価値に合わせて上昇。衆院選の場合、92年に現在の300万円になった。
これまでに違憲訴訟も

OECD加盟国の国政議会選挙における供託金額
立派な政策や理念を持っていても、供託金がハードルになって立候補を断念する人がいるかもしれない。「供託金制度は憲法15条が保障する立候補の自由に反する」などとして、国を相手取った違憲訴訟がこれまで何度も起こされてきた。訴えたのは、地方議会選挙に立候補したものの没収されたり、参院選に立候補しようとしたが供託金を工面できず断念したりした人たちだ。
米巨大IT2社、最高益 グーグルとMS、7~9月期
2021年10月27日
米グーグルの持ち株会社アルファベットとマイクロソフト(MS)が26日発表した2021年7~9月期決算は、純利益が共に四半期ベースで過去最高を更新した。グーグルは広告収入が増加し、MSはクラウドサービスが伸びた。新型コロナウイルス禍による社会のデジタル化浸透で、成長が続いた。 アルファベットは売上高が前年同期比41%増の651億1800万ドル(約7兆4千億円)、純利益が68%増の189億3600万ドル。売上高も四半期ベースで最高だった。 MSは売上高が22%増の453億1700万ドル、純利益は48%増の205億500万ドルだった。
成長プロテイン市場 「値上げ」の裏に中国の“爆買い”
2021年10月27日
パスタ、菓子パン、サラダ油などこの秋、様々な商品に値上げの波が押し寄せていますが、プロテインもその一つです。プロテインとは、タンパク質のことで、筋肉や内臓など、人間の体を作るのに、欠かせない栄養素です。それを効率よくとれる栄養補助食品がいま、筋力トレーニングをする人だけでなく、女性やシニア層からも注目を集めています。このプロテイン値上げの背景の1つに、中国の食事情がありました。 東京・渋谷区にある「MEGAドン・キホーテ 渋谷本店」。店内にはずらりとプロテインが並ぶコーナーがあります。コラーゲンやヒアルロン酸が入ったプロテインから、子供向けのプロテインまで、その数は200種類以上。しかし、なぜこれほどまでに多くの種類を取り揃えているのでしょうか。同店の高橋拓己副店長は「コロナのなる前と比べて1.6倍売り上げが上がっています。1.6倍上がった年は記憶にない」と好調ぶりを語ります。 プロテインの購入者に話を聞くと「(プロテインを飲むのは)初めてで、チャレンジしようかなと。太ってしまって。夜食べすぎた時とか、次の日に(1食)置き換えて飲もうかなと思ってます」「健康でいたいから体作りをする。6キロぐらい太ったんで」など、最近ではダイエットのために筋トレをする人の購入も増えているといいます。 「今までは8割が男性、2割が女性。現状は男性が6割、女性が4割。かなり女性の比率が高くなっています」(高橋副店長) プロテイン市場はこの10年で3倍以上に拡大。今後も成長が見込まれています。しかしそんな中、値上げの動きが続々と出ています。GronGのホエイプロテイン100は7月に400円値上げ。X-PLOSIONは6月、9月と今年に入って2度の値上げを実施しています。販売元のホームページには「ホエイ原料の需要供給バランスや価格高騰のため、良質で安価なホエイパウダーが入手困難な状況にございます」とあります。入手困難なホエイとは何なのでしょうか。 東京・渋谷にあるチーズ専門店「シブヤ チーズスタンド」。看板メニューは毎朝作っている出来立ての新鮮なチーズです。この店のチーズは24時間以内に搾乳された東京産の牛乳を発酵させて作ります。このとき、チーズと分離してできる半透明の液体が乳清(ホエイ)です。たんぱく質が豊富で、店ではドリンクとしても提供。多くのプロテインが、このホエイを原料に使っています。
「温暖化のおかげで北海道の米がうまくなった」麻生氏発言→専門家「温暖化の影響はほとんどない」と指摘
2021年10月27日
「温暖化したおかげで北海道のコメは美味くなった」。 10月25日、北海道小樽市で行われた街頭演説での自民党の麻生太郎・副総裁の発言が波紋を呼んでいる。「農家のおかげですか?農協の力ですか?違います」という内容にはSNSで「品種改良の努力を踏みにじっている」などと批判もあがっている。 【画像】各政党の気候危機対策は? わかりやすく解説 そもそも、この主張は正しいのか。 北海道大学農学研究院の専門家は、品種改良に加え、栽培技術や収穫後技術の改善を積み重ねた結果だと指摘。「温暖化の影響はほとんどない。猛暑である必要も、地球温暖化である必要もありません」と話している。
「農家のおかげ?違います」
問題の発言があったのは10月25日。小樽市で衆院選の自民党公認候補とともに街頭演説に立った麻生氏は「今、北海道は色々な意味であったかくなった。平均気温が2度上がったおかげで北海道のコメは美味しくなった」と切り出した。 そして「昔、北海道のコメは『やっかい道米』と言われるほど売れないコメだった。今はその北海道がやたら美味いコメを作るようになった。農家のおかげですか?農協の力ですか?違います。温度が上がったからです」と発言した。 さらに「平均気温が2度上がったおかげで北海道のコメは美味しくなった。地球温暖化といえば悪い話しか書いてありませんが、温暖化でいいこともあります」とも話した。 この発言が報じられるとSNSでは、「品種改良の努力を踏みにじっている」などと批判の声が相次いだ。 発言では「おぼろづき」「こちぴかり」という銘柄を挙げ「金賞を取った」ともしているが、「こちぴかり」という銘柄は存在しない。類似の名前で「コシヒカリ」はあるが、北海道では生産されていない。
温暖化である必要ない

リモート取材に応じる北海道大学農学研究院の川村周三研究員・元教授。専門はコメの収穫後技術など。
では、「温暖化したおかげで米が美味くなった」とする麻生氏の発言はどの程度、正確と言えるのか。 北海道大学農学研究院の川村周三(しゅうそう)研究員・元教授は「温暖化の影響はほとんどない」と指摘する。 北海道のコメは、以前は「美味しくない」という印象を持たれていた。「やっかい道米」と揶揄されていたのも事実だ。 この課題に1980年から取り組んできたのが農家や農協、それに農業試験場や研究者らだ。川村さんによると、1.品種改良2.栽培技術3.収穫後技術の3点が、北海道産米の食味向上のポイントだという。 コメは一般に、でんぷんの成分「アミロース」とタンパク質の含有量を適度に下げることが必要になる。粘りがあり柔らかくなるからだ。 「北海道では初めてのコシヒカリ系統となる『きらら397』が1989年にデビューし、やっと美味しいコメが出てきました。さらに『彩(あや)』という遺伝的にアミロースが少ない品種が生まれると、今は同じ低アミロース系統品種の『おぼろづき』『ゆめぴりか』が広く栽培されています」 さらに、タンパク質量についても、原因となる窒素肥料を抑えるなど、栽培技術を向上させることで減らすことに成功した。 コメの収穫後に用いられる技術の進歩も味の向上につながった。例えば収穫後のコメのタンパク質量や成熟した米粒の割合を測る「自動品質判定」や、北海道の冷たい自然の空気をサイロに送り込むことで、籾をマイナス5度からマイナス10度程度まで冷やす技術などを独自に開発した。 こうした過程を踏まえると、麻生氏の「農家のおかげですか?農協の力ですか?違います。温度が上がったからです」という発言は誤っているとみられる。 一方で、温暖化の影響が考えられるのは、稲の花が咲いてから収穫するまでの登熟期間だ。この期間の気温が高いとアミロースは低下し、粘りがあり柔らかいコメになる。麻生氏も「お米の花が実に変わるあのころの温度が2度上がった」と発言しているが、このことを指している可能性はありそうだ。 しかし川村さんは「暑い年でないと美味しいコメができない、というわけではありません。平年並みでも、過去には冷害年でも『ゆめぴりか』は食味試験で高い評価を得ています。猛暑である必要も、地球温暖化である必要もありません。さらに、高温障害は本州以南で問題になっています」と指摘している。
高卒なのに「大卒」と給与算定、15年間で400万円過払い…返還求める方向
2021年10月25日
公益社団法人・峡北広域シルバー人材センター(山梨県韮崎市中田町中条)で少なくとも約15年間で計約400万円の給与過払いがあったことがわかった。
センターによると、基準より多く給与を受けとっていたのは勤続30年の職員。高校卒業後、大学を中退していたが、大卒として給与算定されていたことが資料の残る期間で確認された。
人事台帳には大学の在籍証明書はあったが、卒業証明書はなかった。センターの調査に対し、7月に職員から「勤務当初から高卒と言っている」と回答があり、9月の給与から高卒の給与に改めた。
センターは「大卒扱いになった経緯は不明」としている。確認された給与過払い分については返還を求める方向で25日の理事会に諮る見通し。
飼料高騰深刻 畜産農家「耐えるだけ…」 自給にもコスト、補填追いつかず
2021年10月25日
配合飼料の高騰が、畜産経営に影を落としている。JA全農の10~12月期の配合飼料供給価格(全国全畜種総平均)は1トン当たり1250円下がったが、前期までの4期連続の値上げ幅は計1万5000円を超える。牧草など自給飼料を確保・拡大しにくい都府県では特に、大きな負担が畜産農家にのしかかっている。
値上がりが経営を直撃 群馬・酪農

牛に配合飼料を与える岩崎さん(前橋市で)
「対策はない。耐え忍ぶのみだ」。前橋市で搾乳牛と育成牛合わせて約70頭を、家族3人と従業員1人で飼育する岩崎正徳さん(45)は、険しい表情を見せた。 岩崎さんは年間450トンの生乳を出荷し、約6000万円を売り上げる。配合飼料はJA全農ぐんまなどから月に計20トン購入しており「値上がり分は経営を直撃する」という。牧草15ヘクタールと青刈りトウモロコシ約7ヘクタールで飼料自給にも取り組むが、増やそうにも「人手が足りず、燃料代などのコストもかかる」と簡単ではない。 1年ほど前、高騰以前の配合飼料の価格は1トン当たり約5万円台後半だったが、この1年で同7万円台前半に値上がりした。高騰前で30%程度だった生産費に占める購入飼料費(粗飼料を含む)の割合は今年、40%程度に増す見込み。「生産費を抑えるには餌の質を下げるか、自分の休みを減らし人件費を抑えるしかない」と言う。 輸入原料の高騰で配合飼料価格が上昇した際の影響を緩和する、配合飼料価格安定制度での補填(ほてん)も、高騰の影響を受け止め切れていない。岩崎さんの場合、7~9月期の補填金は同約4300円。「長期的に価格が上がり続ける状況をカバーできない」とこぼす。 配合飼料価格の先行きは不透明だ。シカゴトウモロコシ価格は現在、5月の高騰時に比べれば下げたが、1年前に比べ3、4割高い。飼料関係者は「海上運賃や海外での穀物需要、為替などが影響してくるので情勢は見通せない」と言う。岩崎さんは「生産費の上昇を売値に反映してほしい」と要望する。
