英皇太子が「お母さん」に感謝、「パディントン」も登場 エリザベス女王在位70年祝賀コンサート
2022年06月06日
英ロンドンのバッキンガム宮殿で4日、エリザベス女王の在位70年「プラチナ・ジュビリー」を祝う祝賀コンサートが行われた。息子のチャールズ皇太子も登壇し、「お母さん(Mummy)」に宛てた思いのこもった手紙を読んだ。女王は欠席したものの、児童文学や映画で人気のクマの「パディントン」が宮殿で女王とお茶を共にする映像が冒頭で流れた。 チャールズ皇太子は、「この70年間、あなたは私たちと笑い、泣き、そして何より、ずっと一緒にいてくれました」と語り、女王は人々に尽くすために「毎朝起きている」と話し、世界に代わって女王に感謝を述べた。 イギリスの著名アーティストや俳優、スポーツ選手が集ったこのコンサートを見ようと、バッキンガム宮殿前の大通り「ザ・マル」には2万2000人が詰めかけた。 イギリスでは2~5日の4日間にわたり、プラチナ・ジュビリーを祝う公式行事やイベントが予定されている。最終日の5日には、バッキンガム宮殿周辺「プラチナ・ジュビリー・ページェント(行列)」が行われる予定。6000人のパフォーマーと200人近くの著名人が参加するほか、王室所有の8頭立ての馬車「ゴールド・ステート・コーチ」も登場する。 各地でストリート・パーティーやバーベキューが予定されている。また、「ビッグ・ジュビリー・ランチ」と称した持ち寄りのパーティーが8万5000件計画されている。 ■パディントンと同じサンドイッチ コンサート冒頭の映像は、イギリスの児童文学が原作で映画でも人気の「パディントン」が、バッキンガム宮殿で女王と談笑する様子から始まった。 「お招きいただきありがとうございます。素敵なジュビリーをお過ごしかと思います」と丁寧にあいさつしたパディントンに、女王が「お茶は?」と語りかけると、パディントンはティーポットのお茶を一気に飲み干してしまったり、お菓子を手でつぶしてしまったりする。 それでも、女王は「気にしないで」と、にこにこと笑顔を絶やさず、パディントンが「いつも緊急事態のために持っているんです」と帽子からお気に入りのマーマレードサンドイッチを取り出すと、「私もここに持ってるんですよ。後々のために」と、にこやかにハンドバッグからサンドイッチを取り出した。 「ジュビリーおめでとうございます。そして……何もかも、ありがとうございます」と、パディントンがしみじみと感謝すると、女王が「とても優しいですね」と礼を返すというやりとりもあった。パディントンの声は映画シリーズと同様、英俳優ベン・ウィショーさんが演じた。 バッキンガム宮殿の外で観客が声を上げ、ロックバンド「クイーン」の「ウィー・ウィル・ロック・ユー」が流れ始めると、女王とパディントンもスプーンで食器を叩いて、有名なリズムに乗った。 コンサートは映像とつながる形で、クイーンと歌手アダム・ランバートさんのパフォーマンスで幕を開けた。 ■クイーンのためにクイーンが演奏 ギタリストのブライアン・メイさんは、ザ・マルに建つヴィクトリア女王の彫像の上で演奏。メイさんは20年前のエリザベス女王即位50周年の「ゴールド・ジュビリー」では、バッキンガム宮殿の屋根の上で演奏した。 会場ではクイーンのほか、サー・エルトン・ジョン、ジョージ・エズラさん、クレイグ・デイヴィッドさん、デュラン・デュラン、アリシア・キーズさん、今年のユーロヴィジョンにイギリス代表で出演したサム・ライダーさんなどが楽曲を披露。 サー・ロッド・スチュワートは「スイート・キャロライン」を歌い、観客にも歌うよう求めると、ケンブリッジ公爵ウィリアム王子やその家族がそれに応える場面もあった。 この日、会場にはチャールズ皇太子夫妻やウィリアム王子の家族を含め、30人以上の王族が姿を見せた。一方、サセックス公爵ハリー王子とメガン妃は参加しなかった。 コンサートでは、ミュージカル「ハミルトン」のキャストによるパフォーマンスや、アンドリュー・ロイド=ウェバーさん作曲のミュージカル楽曲、ヘンリー8世の妻たちを描いた英ウエストエンドのミュージカル「シックス」の楽曲も披露された。 俳優でラッパーのドク・ブラウンさんが、イギリスと英連邦のスポーツ選手の功績を紹介する場面もあった。また、イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリさんがプッチーニの「誰も寝てはならぬ」を歌い、観客を魅了した。 コンサートは、イギリスでは15年ぶりのパフォーマンスとなるダイアナ・ロスさんの歌で締めくくられた。 ■「生涯を通した無私の献身」 壇上に上がったチャールズ皇太子は、「このジュビリーの週末、温かな愛情が各地から溢れ出ました」と述べた。 女王への手紙では「お母さん(Mummy)」と呼びかけ、「私たち全員を代表して、あなたの生涯を通した無私の献身に敬意を表します」とあいさつした。 チャールズ皇太子はまた、女王の「よりどころ」だった夫の故フィリップ殿下についても触れ、魂となってこの場にいるだろうと述べた。 「私のお父さんもこのショーを楽しみ、あなたが、あなたの国や国民のために続けていることを心から祝福してくれたことでしょう」 チャールズ皇太子は、女王は歴史を作り続け、イギリス連邦を善意のための重要な力にしたと続け、「もちろん、そうした仕事の合間には楽しむ時間もありました」と述べた。 その上で、女王は生涯現役を誓い、それを実現し続けていると語った。 「私たちがつらい時、支えてくれました。誇りや喜び、幸せの瞬間を祝う時にも、私たちを結びつけてくれました」 バッキンガム宮殿の正面に女王の写真が映し出されると、「あなたの家に飾られているこれらの写真は、あなたの人生の物語ですし、私たちの物語でもあります」と話した。 「だからこそ、女王陛下、私たち全員があなたに『ありがとうございます』と言うのです」 ■「人類の力を最大限に」 このほか、女王の孫のケンブリッジ公爵ウィリアム王子も壇上に上がり、環境保護を訴えた。 冒頭では環境活動家のサー・デイヴィッド・アッテンボローの言葉で始まり、バッキンガム宮殿に自然界の映像が映し出された。そして作曲家ハンス・ジマーさんの音楽と共に、1989年に地球の未来について語った女王のアーカイブ音声が流れた。 環境活動に積極的なウィリアム王子は、女王の生涯を通じて自然界はより壊れやすくなっていると述べた。 また、女王は何十年もかけて、地球によりやさしくするための事例を作ってきており、地球の再生が今ほど急がれていることはないと語った。 「私たちが人類の力を最大限に発揮し、地球を再生させれば、私たちの子どもたち、孫たち、そして未来の世代のために地球を守ることができるのです。 ■女王は複数のイベントを欠席 コンサートの前、王室メンバーはイギリス各地でジュビリーのイベントに姿を見せた。ウィリアム王子と妻のケイト妃はウェールズのカーディフで行われたショーに先立ち、出演者やスタッフと面会した。 女王の長女のアン第一王女(プリンセス・ロイヤル)は、娘のザラ・ティンダルさんと共にエプソムダウンズ競馬場でのダービーに参加。「女王はソファに座ってテレビでダービーを見守っています。着心地のいい服に身を包んで」と話した。 96歳のエリザベス女王は歩行に困難があり、この日のイベントを欠席。前日のセント・ポール大聖堂で行われた感謝のミサに参列しなかった。
「アトツギ支援ネットワーク」年度内に創設へ…政府、中小企業の後継者不足対策
2022年06月06日
政府は、中小企業の事業を引き継いだ経営者を手助けする「アトツギ支援ネットワーク(仮称)」を年度内に創設する。中小企業は後継者不足が課題になっている。若い経営者の不安を取り除くために環境を整え、新たな担い手を呼び込む狙いがある。
中小企業庁が近く、金融支援のあり方を検討する有識者会議の中間取りまとめとして提言する。
支援策は、事業承継を機に、新規事業や業態転換に取り組もうとする若手経営者に焦点をあてる。たとえば、オンライン会議を活用し、後継者同士の意見交換や先輩経営者との対話の場をつくる。弁護士や税理士、金融の専門家への相談もできるようにする。
中小企業は、高齢になった経営者が後継者を見つけられず、廃業する例が多い。東京商工リサーチの調査によると、2021年度に「後継者難」が理由で倒産した負債1000万円以上の企業は404件あった。調査を始めた13年度以降で最多となっている。
かつては、親族や従業員に引き継ぐのが主流だった。経営は行き詰まっていないのに、廃業や休業に追い込まれる企業も多い。
中小企業は技術や雇用を支える重要な存在だ。政府は、全国に「事業承継・引継ぎ支援センター」を開設し、後継者探しに力を入れてきた。事業承継は、ゼロから起業するのとは違って、企業が培ってきた実績を生かすことができる。だが、実際に事業を引き継いだ後に相談できず、不安を感じている経営者は多い。
中小企業庁は、今回の支援策を岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の一環として位置付ける。先端技術やアイデアを武器に成長を目指す「スタートアップ」と呼ばれる新興企業の経営者とも交流する場を用意し、成長の速度を上げる。
中小企業にとっては資金繰りの課題もある。新しい事業を始める時には、一定の資金が必要となる。大企業に比べて信用力が劣るため、金融機関から十分な融資が受けられない場合も多い。投資家を紹介する機会もつくり、資金調達の手段が増えることを期待する。
米テスラのマスク氏、人員削減を撤回 「固定給社員は横ばいに」
2022年06月06日
米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は4日、同社の従業員数は今後12カ月で増加するが、給与所得者の数はほとんど変わらないとの見通しを示した。人員削減が必要との立場を一転させた。 【動画】「出社しなければ退職」、テスラCEOが従業員に2択迫る ツイッターに「総人員数は増加するが、給与所得者はほぼ横ばいになる」と投稿した。 2日には経済について「とても悪い印象」を持っており、10%程度の人員削減が必要とする電子メールを幹部に送ったばかりだった。 3日に従業員に送った別のメールでは「多くの分野で人員が過剰になっている」として、給与所得者を10%減らすが「時間給の従業員は増える」と説明していた。
給食牛乳は「直飲み」する時代へ!脱脂粉乳からはじまった“給食牛乳”の独自の進化に迫った
2022年06月06日
昨年末や今年の3月、牛乳廃棄が問題になり「牛乳を飲もう」というキャンペーンが全国で広がりました。いずれも学校が休みに入る時期と重なっており、「給食牛乳」が牛乳消費に大きく影響していることに気づいた人も多いのではないでしょうか。今回はそんな給食牛乳の歴史を振り返ります。話を伺ったのは、学校給食研究改善協会の村上松二さんと、学校給食栄養士としてメディアなどでも多く活躍している松丸奨さん。脱脂粉乳から牛乳へと切り替わった背景と、今の給食牛乳事情について話を聞きました。
「脱脂粉乳」の時代を振り返る

昭和30年の献立には脱脂粉乳がついている(提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター)
給食牛乳の歴史を辿ると、その始まりは昭和21(1946)年まで遡ります。60代以上のほとんどの人が経験したであろう「脱脂粉乳」が始まったのが、ちょうどそのころでした。 戦後の給食の献立といえば、脱脂粉乳とコッペパンの組み合わせがほとんど。なぜ脱脂粉乳が飲まれていたのかというと、第二次世界大戦後の食糧不足の日本に、アメリカの民間団体から救援物資「ララ物資」で提供されたことが大きな要因のひとつといわれています。さらに、子どもの成長に必要なカルシウムやタンパク質をしっかり摂取できることから、全国で飲まれていました。 そんな栄養価の高い脱脂粉乳ですが次第に学校給食から消え、牛乳に切り替わっていきました。学校給食研究改善協会の村上さんが当時の様子について振り返ります。
「栄養価も高く、長期保存のできる脱脂粉乳は、当時の学校給食に欠かせない食材でした。しかし、鼻をつまんで飲んでいた子どももいたほど匂いがきつく、正直あまりおいしいものでありませんでした。しかも、脱脂粉乳はお湯に溶かして飲むため、アルミ製のアルマイト容器では熱くて持ちにくい。かといって冷ますと表面に膜が張って上手く飲めない。この膜が厄介でした。生徒の中には脱脂粉乳が好きという子もいましたが、私は苦手でしたね」(村上さん) その後、昭和33(1958)年頃には国で牛乳が安定して供給されるようになり、文部科学省より『学校給食用牛乳取扱要領』が通知され、一部の地域の学校給食に国産の牛乳が配給されるようになりました。昭和39(1964)年には年間を通して国産牛乳を提供することが決まり、それが今の時代にも続いています。
天下一品が大好き 心臓病の小4、10日間の力作に“神様”のご褒美
2022年06月06日
京都発祥のラーメンチェーン店「天下一品」を全国展開する天一食品商事(大津市)の木村一仁社長(35)が、心臓病と闘う山口県山陽小野田市立本山小4年の北永健人さん(9)に「会いたい」と連絡した。店のラーメンが大好物の北永さんが、店員を模した折り紙作品を作ったことがきっかけ。木村社長が折り紙に情熱を注ぐ姿を知り、深く感銘した。 【写真】「社長に会えるなんて!」両親と喜ぶ健人さん 北永さんは心室を隔てる壁に穴が開くなどの「ファロー四徴症」という先天性の心臓病を患い、3歳時にはペースメーカーを植え込む手術を受けた。できることを伸ばす両親の教育方針で、折り紙が得意。各地のゆるキャラを折り紙で作り、地図に貼り付けた作品「日本全国ご当地キャラクター~コロナにまけるな~」は2021年秋以降、地元などで展示され、現在は、さまざまな折り紙作品に意欲的に取り組んでいる。 また、ラーメンが好物で、コツコツ励む性格を生かして、ラーメン屋で働くことが将来の夢だ。中でも天下一品のこってりラーメンがやみつきになり、両親と食べに行くのが日々の楽しみという。そんな中、4月に約10日間かけて店員を模した作品を作り、長府店(下関市)に寄贈した。折り紙のことを知った木村社長は、これまでの活動内容も知った上で「勉強をしながら、通院も続け、大変な中、折り紙に情熱を注ぐことは素晴らしい」と感動し、北永さんとの面会希望を母千賀さん(46)に伝えた。 面会は夏ごろの予定で、場所や日時は現在調整中。北永さんは「大好きなラーメンを作ってくれる神様のような人に会えるなんてうれしいよ。将来は天下一品で働きたいな」と大喜びで、千賀さんは「息子の可能性に驚いています。得意なことをこれからもどんどん伸ばしてあげたい」と話している
コロナで借金した人が相次ぎ自己破産、既に20億円が返済困難に。国の無利子貸付制度が生活再建に結び付かない深刻な理由
2022年06月05日
新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなった人に、国が無利子でお金を貸す仕組みがある。返済期限はまだ先にもかかわらず、既に「返せない」と自己破産する人が相次いでいる。返済困難な金額は現時点で約20億円に上り、今後さらに膨らむのが確実だ。大半が返ってこない恐れもあり、最終的には国民負担に跳ね返る。なぜ生活再建に結び付かず、苦境に追い込まれる人が多く出てくるのか。取材すると、制度の「弊害」が浮かんできた。(共同通信=大野雅仁、出崎祐太郎、市川亨) 【グラフ】コロナ特例貸付金の利用総額の推移 自己破産や返済困難が約5000人

特例貸し付けの利用者に送られた貸付金の振り込み通知書(画像を一部モザイク加工しています)
▽最大200万円まで借りられる この制度は「特例貸し付け」と呼ばれ、コロナ感染が広がり始めた2020年3月に設けられた。最大20万円の「緊急小口資金」と、最大60万円を3回まで貸す「総合支援資金」という2種類があり、最大200万円まで借りられる。いずれも無利子だ。市区町村の社会福祉協議会(社協)が受付窓口になっている。申請期限は延長を繰り返し、今も利用可能。8月末まで受け付けている。 緊急小口資金は2年以内、総合支援資金は10年以内に返済が必要で、早い人は来年1月から返済が始まる。 ▽自己破産や債務整理、5千人 「既に利用者から自己破産の通知が毎日のように届く」。社協の職員からそんな話を聞き、私たちは4月に47都道府県社協を対象に調査してみた。「利用者から債務整理の手続きに入る通知が届いたり、自己破産などが決定したりしたケースはどれだけありますか」 38都道府県から回答が得られた結果、自己破産や債務整理の手続きをした利用者が全国で少なくとも約5千人いることが分かった。1人で複数回借りる人も多いため、貸付件数では約1万8千件に上る。自己破産や債務整理のケースでの貸付額を答えたのは19県だけだったが、それでも計約19億6千万円に達した。以前から他に借金があり、多重債務状態だった人が多いとみられる。

特例貸付金の相談に応じる社会福祉協議会の職員=2020年6月、兵庫県尼崎市(同市社協提供)
▽貯金底突き、生活綱渡り 調査と並行して取材したのは、貸し付けを受けても生活苦に直面する人たちだ。 「どうやって返せばいいのか。常に不安を抱えながら暮らしている」。首都圏に住むシングルマザーの40代女性はそう言って、うつむいた。 女性は2020年夏、コロナ禍で飲食店員の職を失い、貸付金を限度額の200万円まで借りた。現在は別の飲食店で働くが、一緒に暮らす20代の子ども2人のうち1人は大学生で、貯金を取り崩しながら綱渡りの生活だ。貯金は底を突きかけており「自己破産が頭をよぎることもある」。 大阪府吹田市の50代女性も20年春に飲食店の雇い止めに遭った。月約7万円を得ていたが、収入はゼロに。貸付金155万円を借りた。 求職のためハローワークに通うが、腰にヘルニアを抱えており「働く意欲はあっても立ち仕事は難しく、なかなか職が見つからない」。食費を切り詰めるため、1日1食で水を飲んで空腹をごまかしているものの、生活資金はもうほとんど残っていない。支援団体に食料を送ってもらい、日々を乗り切っている。返済は難しい状況だ。
侵攻から100日、プーチン氏が頼みにする世界の無関心
2022年06月05日
時計の針を今年の2月23日まで戻そう。ロシアがウクライナへの全面侵攻に踏み切る前日だ。そうすると次のように推測したくなる人もいるかもしれない。ウクライナのゼレンスキー大統領がその地位にある日も、そう長くはないと。 【映像】ロシア軍ヘリを撃墜、ウクライナが動画公開 結局のところ、ロシアの軍事費はウクライナのざっと10倍。陸上部隊では2倍の優位性を誇っていた。核保有国であり、ウクライナの10倍の航空機、5倍の装甲戦闘車両を保持していた。 侵攻のわずか数日前には、見るからに怒った表情のプーチン・ロシア大統領がテレビに登場し、歴史にまつわるとりとめのない独白を行った。その内容から、同氏が望んでいるのはウクライナ政府の体制変更以外の何物でもないことが明らかになった。 プーチン氏はゼレンスキー氏が首都から脱出すると見込んでいたのだろう。ちょうど米国の後ろ盾を受けたアフガニスタンの大統領が、わずか数カ月前に首都カブールを去ったように。さらに西側諸国の怒りもいずれ収まるとみていたと思われる。たとえ一時の痛手を、新たな制裁措置から被るとしても。 あれから100日が経過し、プーチン氏がキーウ(キエフ)での勝利のパレードのために用意していたかもしれない計画は、ことごとく無期限保留となった。ウクライナ人の士気は崩れず、ウクライナ軍は米国と同盟国から供与された近代的な対戦車兵器で武装。ロシア軍の機甲部隊を徹底的に破壊した。ウクライナの放ったミサイルで、ロシア黒海艦隊の誇りだった誘導ミサイル巡洋艦「モスクワ」は沈没した。さらにウクライナ軍の航空機は、予想に反して空での戦いを続けている。 3月下旬、ロシア軍は損耗した部隊をキーウ周辺から退却させ始め、戦略の焦点を東部ドンバス地方の攻略に変更すると主張した。侵攻から3カ月、ロシアはもはや短期間での勝利をウクライナで収めることを目指してはいないようだ。それを達成できそうにもない。 とはいえロシアは現在、ウクライナ領内で三日月型を形成する地域を支配下に置く。第2の都市ハルキウの周辺から始まり、分離主義勢力が押さえるドネツク、ルハンスクを抜けて西へ進み、ヘルソンへと達する地域だ。それはちょうどクリミア半島(2014年にロシアが併合)とドンバス地方とをつなぐ回廊を形成する格好になる。 ロシアによる現在の作戦の主目標はドンバス地方であり、現地では過酷な消耗戦が繰り広げられている。最近の戦闘の中心地は産業都市セベロドネツクの周辺で、ウクライナ軍はここにルハンスク州内最後の拠点を保持している。 ウクライナ軍は既にセベロドネツクの大半をロシア軍に奪われた。同市が陥落すれば象徴的な敗北になるものの、軍事専門家らは現地のウクライナ軍を敗北が濃厚な長期の包囲から救うものになるとの見方を示す。 米シンクタンクの戦争研究所は最近の分析で、ウクライナ政府がセベロドネツクにもっと多くの予備役や資源を投入できたものの、それをしなかったことが批判を招いていると言及しつつ、「セベロドネツクを救う目的でさらなる資源の投入をしない決断、そこから撤退するという決断は、痛みを伴うとしても戦略的には健全だ。ウクライナは限られた資源を節約して、重要地域の奪還に集中する必要がある。戦争の結果や戦争再開の条件を左右しない土地の防衛に集中すべきではない」との見解を示した。 ウクライナ国防省の報道官によると、ロシア軍はセベロドネツクに攻勢をかけつつ、ドネツク、ルハンスク両州でウクライナ軍の包囲を試みている。同時に部隊を再編し、スラビャンスク方面への攻撃にも着手しているという。スラビャンスクは戦略都市で、次の重要な戦闘の中心を形成する可能性がある。 こうしたウクライナ東部の戦闘はキーウ周辺での密集した都市環境と異なり、もっと開けた地形での戦いとなっている。従って、ウクライナ側はより強力な兵器、特に遠距離から標的を狙える砲撃システムを欧米に求める状況となっている。 バイデン米大統領は1日、ウクライナに対しHIMARS(ハイマース=高機動ロケット砲システム)を含むより近代的なロケット砲システムを供与する考えを明らかにした。装備されるロケットの射程は約80キロと、これまで供与されたどの兵器の水準をも大幅に上回る。 これはウクライナ政府にとって歓迎すべきニュースだが、ロシアが東部での攻撃を展開する中、国際メディアによるウクライナ報道は多少トップの扱いから後退しているのが実情だ。そしてプーチン氏はその傾向に期待している可能性がある。おそらく念頭にあるのはエネルギーの価格高騰と消費者物価の上昇だろう。どちらの動きもウクライナでの戦争で拍車がかかっており、米国と他の国々の世論はこの問題に集中する公算が非常に大きい(ひいては選挙の結果をも左右するだろう)。 プーチン氏はまた、外交問題に対する関心がすぐに薄れることも計算に入れているかもしれない。2015年、立て続けに敗北を喫していたシリアのアサド政権への支援を強化したのは他ならぬプーチン氏その人だった。シリアでの戦争は12年目に突入し、今なお続いているが、すでに世界の注目はウクライナへと移っている。 その点で、ゼレンスキー氏はウクライナが情報戦を戦う上での最大の武器の一つになっている。同氏はオンラインで世界中の議会に立て続けに姿を現し、各国の指導者にメッセージを送る。プーチン氏をなだめようとウクライナに向かって領土を割譲するよう求めかねない指導者に対しても、結果的にどうなるかを決めるのは自分ではなくウクライナ国民でなくてはならないと釘をさす。 しかし国内のあらゆる政敵を破滅に追い込み、メディアを効率よく支配するプーチン氏は、ゼレンスキー氏と同じような国内における圧力には直面していない。ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は最近の発言で、ロシア軍はウクライナで「期限を求めていない」と言及。プーチン氏がはるかに制約の少ないスケジュールでウクライナにおける自身の戦争を遂行していることを示唆した。反対にウクライナ軍は、国際社会が戦争に疲れた状態に陥ることを危惧する。それに伴って各国から自国の政府に対し、プーチン氏への譲歩を迫る圧力がかかるのではないかとの懸念を抱いている。 「そっちには時計があるが、こっちには時間がある」。捕らえられたタリバンの戦闘員が発したともされるこの言葉は、アフガン戦争を戦う米国のジレンマを端的に言い表すものだった。そこで嫌々ながら認めているのは、反乱が異なる政治的地平とスケジュールで遂行されていたという点だ。反乱する側の戦闘員らは、技術的に優位な米軍を打ち負かす必要はなく、ただ持ちこたえていればよかった。 このフレーズを流用する場合、ウクライナで決定的な要因となりそうなのは、時間があるのは果たしてどちらかということだろう。死ぬまで権力を握ったままでいそうなロシアの独裁者なのか、それとも国家の生存をかけて戦うウクライナの国民なのか。
EU、ロシア産原油 年末までに9割禁輸へ 追加制裁発動
2022年06月05日
欧州連合(EU)は4日、ウクライナに侵攻を続けるロシアへの追加制裁として、露産原油の輸入禁止措置を発動した。年末までに露産原油の9割が禁輸となり、ロシア経済への大きな打撃が予想される。ロシアは「EUの行動により、食糧・エネルギー問題が悪化する恐れがある」(外務省)と反発しており、エネルギーや食糧供給を「武器」としたEUへの揺さぶりを強める可能性がある。 【地図】ロシア軍のウクライナ侵攻状況、2月から現在 EUは2021年、ロシアから原油を480億ユーロ(約6兆7000億円)相当、石油精製品を230億ユーロ相当輸入した。EUはロシアの重要な収入源を断つことで「ウクライナに侵攻する能力を弱体化させる」(欧州委員会)と強調する。 一方、露外務省は2日の声明で、EUの制裁は「自滅的な効果をもたらす」と述べ、EU加盟国の住民に悪影響を与えると指摘した。ロシアは「欧州の穀倉」と呼ばれるウクライナの黒海沿岸の港を封鎖し、同国からの穀物輸出の主要ルートを遮断。欧州へのガス供給停止も拡大する。 ロシアのウクライナ侵攻を受けた食糧価格上昇を巡り、プーチン大統領は3日の国営放送のインタビューで、「ロシアのせいではない」と持論を展開し、「誤った」欧米の経済政策や対露制裁の影響を強調した。また、ウクライナ軍が「港の入り口に機雷をしかけた」とも訴え、ロシア軍による海上封鎖への国際的な非難に反論した。さらに、欧州諸国がロシアとの天然ガス供給の長期契約を結ばなかったことなどによりガス価格も上昇し、肥料の生産コストも増大したとし、「ロシアの軍事作戦とは全く関係がない」と主張した。 プーチン政権は欧米の対露制裁などがエネルギー価格の上昇や食糧問題の引き金となってきたと主張することで、ロシアからの食糧輸出拡大のための制裁解除を要求。今後も食糧やエネルギーを取引材料に国際社会に対露制裁の不当性を訴える方針とみられる。 EUは3日、露産原油の禁輸を柱とするロシアへの第6弾制裁を発表。制裁のうち一部は3日、禁輸などは4日に発動し
「アトツギ支援ネットワーク」年度内に創設へ…政府、中小企業の後継者不足対策
2022年06月05日
政府は、中小企業の事業を引き継いだ経営者を手助けする「アトツギ支援ネットワーク(仮称)」を年度内に創設する。中小企業は後継者不足が課題になっている。若い経営者の不安を取り除くために環境を整え、新たな担い手を呼び込む狙いがある。
中小企業庁が近く、金融支援のあり方を検討する有識者会議の中間取りまとめとして提言する。
支援策は、事業承継を機に、新規事業や業態転換に取り組もうとする若手経営者に焦点をあてる。たとえば、オンライン会議を活用し、後継者同士の意見交換や先輩経営者との対話の場をつくる。弁護士や税理士、金融の専門家への相談もできるようにする。
中小企業は、高齢になった経営者が後継者を見つけられず、廃業する例が多い。東京商工リサーチの調査によると、2021年度に「後継者難」が理由で倒産した負債1000万円以上の企業は404件あった。調査を始めた13年度以降で最多となっている。
かつては、親族や従業員に引き継ぐのが主流だった。経営は行き詰まっていないのに、廃業や休業に追い込まれる企業も多い。
中小企業は技術や雇用を支える重要な存在だ。政府は、全国に「事業承継・引継ぎ支援センター」を開設し、後継者探しに力を入れてきた。事業承継は、ゼロから起業するのとは違って、企業が培ってきた実績を生かすことができる。だが、実際に事業を引き継いだ後に相談できず、不安を感じている経営者は多い。
中小企業庁は、今回の支援策を岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の一環として位置付ける。先端技術やアイデアを武器に成長を目指す「スタートアップ」と呼ばれる新興企業の経営者とも交流する場を用意し、成長の速度を上げる。
中小企業にとっては資金繰りの課題もある。新しい事業を始める時には、一定の資金が必要となる。大企業に比べて信用力が劣るため、金融機関から十分な融資が受けられない場合も多い。投資家を紹介する機会もつくり、資金調達の手段が増えることを期待する。
父の日ギフトは何にする?お父さんたちに聞いた「本当に欲しいもの」は意外なモノだった
2022年06月05日
全国の10代~70代の男女(計500名)を対象に「父の日ギフト事情」に関する調査結果を公開している「父の日.jp」によれば、2021年の父の日のギフト購入場所の1位は「インターネット通販」(53.0%)。前年度から約20%急増している。その理由は、コロナ禍の外出と帰省の自粛だ。直接会って手渡しはできないけれど、気持ちを込めて贈る──そんな父の日のスタイルが定着しつつあるようだ。 【写真】「父の日」に幼いころの自分とパパの写真を公開したKoki,
通販サイトの中の人に聞いた昨年売れたギフト
インターネット通販大手、楽天市場の広報担当に近年の父の日ギフト事情を聞いた。 「コロナ禍をきっかけとしたライフスタイルの変化に伴い、自宅で豪華な食事を楽しめるような高級食材や、自宅でトレーニングできる商品へのニーズが上昇している傾向にあります」 父の日ギフトについて、実際に読者の声を聞いてみた! 「不要不急の外出自粛で、趣味の登山ができなくなった父。みるみる太ってきたので、これはまずいとミニフィットネスバイクを贈りました。意外と安くて見栄えもして健康にいい。オススメ」(千葉県・40代) 「楽しみの外食ができなくなり、ひとり暮らしの父は食が細くなってしまって……。調理の手間なしで、あっさり楽しめる高級茶漬けを贈ったところ、これが父の舌にどんぴしゃ!」(静岡県・50代) 「父は各地の銘酒と温泉巡りが好き。最近はどちらも難しいので、銘酒カタログと温泉の素をセットでギフトにしたら、とても喜んでくれました」(茨城県・30代) ステイホームで楽しめる点だけでなく、健康面を気遣ったギフトのチョイスが昨今の主流のようだ。
楽天市場の昨年の売れ筋ジャンルから学べ!
第1位 高級惣菜 うなぎや高級茶漬け、海鮮セットなどが人気。栄養たっぷりのうなぎは高齢のお父さんも大喜び♪ また近年ネット通販で流行している鯛の大きい切り身や鮎一匹使った高級茶漬けは、スペシャル感があり目にもおいしい一品だ。 第2位 お酒(日本酒、ビール) 飲んべえには何よりうれしいお酒。いろいろ飲みたいわがままなお父さんに人気なのは、飲み比べセット。日本酒は甘口から辛口、いつもより少し上等な銘柄のビールも人気。さぁお父さんとご機嫌で乾杯! 第3位 トレーニング家電、癒し系家電 “いつまでも元気でいてほしい”そんな思いから健康家電がランクイン。「足を乗せるだけで筋トレできるマシン」など無理のない健康家電がヒット。いつも頑張っているお父さんへの感謝は、首用の温熱マッサージ器で癒しを!
